─2015年4月号─「マズローの欲求段階説」
Blog Post by: Brian K. Miller
2015年4月ニューズレター
L.E.T.の目的は、『行動の窓』の生産的な仕事の時間(『問題のないエリア』と呼びます)を最大限にすることです。時間と資源がビジネスのニーズを満たすことに向けられる時、ビジネスに関わる全ての人が成功します。もし、個人的な問題、リーダーシップの欠如、非効率な業務習慣が組織のニーズの妨げになるなら、ビジネスは赤字になり、給料を支払えなくなり、従業員を解雇せざるを得なくなり、全く最悪のケースでは、完全に解散し、残余財産を切り売りすることになります。生産的で居続ける鍵は、組織の中の全ての人のニーズが満たされる手段をとることです。しかし、時として、その『ニーズ』の厳密な本質を定義するのは難しいのです。
アブラハム・マズロー(Abraham Maslow)は人間の基本的欲求(ニーズ)を説明するピラミッド構造を考案しました。マズローのピラミッドでは、低次から高次まで5つの階層があります。各階層は、個人の生活の質の高いレベルを徐々に表していきます。自己実現の欲求は、5段階のピラミッド構造の最上階にあり、ピラミッドのベースにあるのは生理的欲求です。各階層を簡単に見ていきましょう。
1. 生理的欲求: これは基本的で、ファンダメンタルな生命維持に必要な欲求です。例えば、食べ物、水、衣服など。
2. 安全の欲求: 野生では、人は野生生物から身を守るためにフェンスが、そして自然の力から守るためにシェルターが必要です。現代では、犯罪の被害者になったり事故でけがをしたりすることなく、自宅と会社を往復できると信じる必要があります。
3. 社会欲求と愛の欲求: 友達や家族は、私たちが悲しい時には慰めてくれ、私たちが幸せな時には一緒に喜んでくれ、自分の存在が重要であるという考えを強化してくれる社会環境を、私たちに提供してくれます。
4. 承認の欲求: 成功は満足と承認の両方をもたらします。私たちは、重要な目標に到達すると、もっと高い目標を設定する権限が与えられたように感じます。その目標に到達したことで拍手喝采を浴び、報酬を得ると、この達成感が強化され、達成し続けようと私たちをやる気にさせます。
5. 自己実現の欲求: 私たちは自分の最終目標に到達すると、どのようにそれを達成したかに他の人たちに教える権限が与えられたように感じます。私たちは、同じ道を苦労して進んでいる他の人たちに支援の手を差し伸べ、また、同じ道を歩み始めたばかりの人たちを指導します。時として、本を書いたり、同じ目標を達成しようとしている人たちを支援する学校を始めたりします。
リーダーが部下やフォロワーをやる気にさせるためには、彼ら自身がどの階層の欲求を満たしたのか、彼らのチーム・メンバーはまだどの階層に取り組んでいるのかを認識できなければなりません。ある欲求はとても難しく、プロの支援を通してしか達成できないかも知れません。アルコール中毒、怒ると狂暴になる性格、仕事に対する怠慢なアプローチは、しばしば、個人がピラミッド構造のどこか低いレベルで身動きが取れなくなっているサインです。このような問題の場合、その個人を適切なプロフェッショナルに紹介することで、最善の対応ができます。
習慣的に遅刻する、一時的にやる気を喪失する、あるいは過剰な労働時間などの普通の問題は、個人が目標達成のための努力をしている時に、複雑な事態を経験しているシグナルです。このような場合、アクティブ・リスニングが相手に『声に出しながら考え』、自分自身の解決策を見つける機会を提供します。
もしリーダーが、気が短くて、怒りっぽく、不安を抱いているならば、リーダーは仕事で不愉快にも中断を余儀なくさせられ、現在の目標を達成して次の段階に移ることを妨害されている可能性があります。この場合、リーダーは問題を引き起こしている相手に、対決的I-メッセージで対決するべきです。私たちは誰かに対決する時にはいつも、私たちの問題が相手に問題を引き起こす現実的な可能性があることを、心に留めておく必要もあります。ゆえに、リーダーはアクティブ・リスニングにギア・シフトし、場合によってはメソッドⅢの対立解決法をする必要があります。
これら3つの状況全てにおいて、最初のステップは、どの種類のニーズが満たされていないのか、どの目標が達成できていないのか、その人はどの欲求段階に到達しようと悪戦苦闘しているのかを特定することです。ほとんどの場合、第1段階の生理的欲求と第2段階の安全の欲求には問題がありません。現代のほとんどの人は、食べ物、シェルター、適度に個人の安全性が確保されています。
職場では、問題を引き起こす満たされないニーズのほとんどは、第3段階か第4段階のニーズです。人が頑張ってやった良い仕事が気づかれないと、感謝されていないと感じるため、第3段階や第4段階のニーズが満たされない結果となります。もし部下や同僚が、自分の仕事が失敗したとか不公平に失敗のレッテルを貼られたと感じるならば、問題について充分な時間を割き、心を開いて話してもらうことが、自身の解決策を考え出す重要な鍵です。ゆえに、アクティブ・リスニングは常にリーダーの最もパワフルで、頻繁に使われるツールであり続けます。対決的I-メッセージの後にギア・シフトが続きます。必要に応じて、メソッドⅢの対立解決法がリーダーにとってその次に重要なツールとなります。何故ならば、リーダーは常にチーム・メンバーに組織とチーム・メンバー一人ひとりのニーズの両方について、コミュニケーションする責任があるからです。
マズローの欲求のピラミッドは、チームあるいはチーム・メンバー自身のどのようなニーズがまだ満たされていないのかを、リーダーが特定するのを助けます。どのように満たされないニーズが、ある種類の行動を引き起こすのかを特定すれば、特定の行動が『行動の窓』のどこに属するかが簡単にわかります。特定の行動を『行動の窓』に正確に位置づけることで、L.E.T.のスキルの何を使えば問題解決を支援できるかが決まります。ゆえに、リーダーも部下も両者が生産的なエリアに留まることができます。個人個人が、より生産的であればある程、会社はより儲かり、社員全員が成功することが容易になります。
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