─2015年7月号─「あなたはヘリコプター・リーダーですか?」

Date: July 13th, 2015
Blog posted by:  Michelle Adams (from the L.E.T. book)
 
 グループのリーダーになると、ほとんどの人は手綱をとって、好調なスタートを切り、自分ひとりで全ての問題解決をしようと課題に飛び込みたい誘惑を拒めないようです。当然のことながら、ほとんどの新米リーダーの最初の懸念事項は、なるべく早く、自分をリーダーに任命してくれた人たちに、その選択が間違っていなかったことを正当化することです。一刻も早く、良く見せたいと思っています。結局は、すぐに介入して『実権を握る』ことをしないなら、何のためのリーダーなのでしょうか?軍隊では、『指揮を執る』という表現をします。

 残念ながら、指揮を執ろうと急ぎすぎるとひどい目に遭うかも知れません。素早い改革、速攻解決、生産性の劇的増加を達成することに躍起になり、リーダーは前任者のグループ・リーダーが残したゴタゴタを一掃してくれるだろうという高い期待に応えようと、良く知られている『新任者』の誘惑に負けます。しかし、リーダーはほとんどグループ・メンバーのやる気と協力がなければ、自分だけでは改革などは成し遂げられません。そして、グループ・メンバーのやる気や協力は、すぐには得られるものではありません。グループは変化を拒否し、執拗にこれまでの習慣的やり方に固執します。これらの『グループの基準』がグループ・メンバーの行動に強い影響を与えます。
 
 例えば、グループは一般的に『普通の日の仕事』や『生産性の基準』とは何かという彼ら自身の基準を創り出しており、それらは明確にメンバーに理解されており、グループ内で非公式に強化されています。リーダーのアクションで、この基準の維持に脅威になるとみなされるものは、特にリーダーのアクションが任意のものとみなされるなら尚のこと、強硬に拒否されます。
 
 グループ内にあるこれらの抵抗勢力を、『等価交換』という観点から見てみましょう。公平な費用便益比のグループでの定義を動揺させるリーダーのアクションをグループは強硬に拒否します。つまり、仕事に費やしたエネルギー(費用)の量に関連した公平な利益(例えば、給与等)です。新任のリーダーは、この費用便益比を脅かす可能性があるとみられており、グループは組織による悪用から身を守りたいと思っています。
 
 グループは、新しい方法や手段が紹介されることにも強く拒否します。特に、それらが任意に、そして一方的にリーダーによって開始される場合。私たちは皆、どのように人が物事を一定の方法でやることに慣れているか、よくわかっています。ですから、新しい方法を覚えなければならない時には、グループ・メンバーが費やしても構わないと思っているエネルギー出力以上が求められているように思えるのです。

 多くの熱心な新リーダーは、用心深い『民生委員』のような態度を取ります。グループ・メンバーを監視して、間違いが何も起こらないように『全てを把握して』いるため、ミスも起こりません。このような『過剰監視』(あるいは、ヘリコプターのように従業員の周りをうろつくこと)には、次のような多くの事例があります。
 
– 詳細なアクティビティ、あるいは進捗状況報告書を求める
– 契約書を送る前、計画を実行する前、あるいは何かを決定する前にリーダーの承認を得るようにグループ・メンバーに要求する
– グループ・メンバーに既に割り当てられた課題を『正しく』行われたか確認するために引き継ぐ
– グループの外とのコンタクトを始める前には、メンバーは『リーダーを通して』から行かなければならない
 
 過剰監視の不可避の影響の一つは、リーダーの任意の権力行使に対する憤りです。もう一つの影響は、新しい要求に対する受動的な抵抗です(アクティビティ・レポートが、どうしてか提出されない)。グループにとって、もっと悪いのは、過剰監視はメンバーのリーダーに対する依存度を高めることです。メンバーは、全ての問題をリーダーに持ってくるようになります。メンバーの自発性が無くなります。イニシアティブが押さえつけられます。仕事での成長が止まります。リーダーは仕事が増え過ぎて、全てを自分でやらなければならなくなり、負担に感じます。ワーク・グループは、今となっては『ワンマン・オペレーション』となっています。新しい職務で、過剰監視しようとする新リーダーは、グループが持つ全ての資源の恩恵を受けずに、本当に一人でやらなければならないことに気づきます。時既に遅しです。

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