─2019年10月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑤」
Date: October 22, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon
(L.E.T. bookからの引用)
リーダーのジレンマ
グループ・メンバー* のニーズを満たすことを通じてフォロワーの心をつかむことだけが効果的なリーダーシップのすべてではありません。反面では、リーダー自身も自分自身のニーズを上手く満たさなければならないのです。
グループ・メンバーのニーズを満たすためだけにリーダーシップのポジションに就きたいと思う人はめったにいません。リーダーも人間です。彼らもまた、地位、業績、より高い給料、承認、自尊心、保障、そして受容といった普通の人間としてのニーズを持っています。実際のところ、大抵はグループ・メンバーと同じニーズです。リーダーシップのポジションにいながら、これらのニーズを満たす方法が見出せなければ、その地位に長く留まりたいとは思わないでしょう。たとえ、リーダーが自分のニーズの多くが満たされないことがわかっていながら、我慢して長くその職を続けようとしても、すぐに、自分のグループ・メンバーのニーズが満たされるようすべきことを全力で努力しようとしても、それができない自分に気づくはずです。
その説明は単純明快です。人は「お互いの利益」が得られると感じた時にのみ、他人のためになることに労力を使い続けます。人間関係において一方だけが利益を得るのには必ず限界があります。「魚心あれば水心」ということわざからも、この原則が理解できます。
「満たされたコップの原則」もまた、ここでは作用しています。他人に与え続けることを可能にする(自分のコップから他人に水を飲ませ続ける)ためには、私は水が満たされたコップを持っていなければならず、また、水を補給し続ける(自分のコップを相対的に満たしておく)方法を見つけなければなりません。この原則の重要性については、援助を専門とするプロの間でよく理解されています。というのも、彼ら自身が私生活でのトラブルや、ニーズが満たされずに欠乏状態を経験している時、他人を援助する能力が非常に低下することに気づくからです。ですから、多くのプロのセラピストたちは、自分たちのコップを相対的に満たしておけるように、自分のためのセラピストを雇う必要性を感じているのです。
* この本を通して、私は「グループ・メンバー」「チーム・メンバー」「従業員」という言葉を同義語として使用しています。また、リーダーについても「スーパーバイザー」「マネジャー」「上司」など様々な用語を使用しています。「上司」という用語は私としては好ましくありませんが、通用性があり、使用しないというのも全く非現実的なので、この本でも使用しています。
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