─2016年5月号─「それで、今誰が問題を持っているのですか?」

Date: May 10th, 2016
By: Dr. Bill Stinnett
 
私は今、I-メッセージを送りました。相手は少し防衛的に見えます。私たちは行動の窓のどこにいるでしょうか?この質問は、L.E.T.ワークショップの間、しばしばあがってきます。私はたった今、私の問題を相手に渡したのでしょうか?あるいは、そこには新しい問題が存在しているのでしょうか?

明確にするために例を挙げてみましょう。私には信頼し尊敬する同僚のシルビアがいます。彼女は素晴らしい同僚です。一生懸命に働くし、協力的で快く助けてくれます。チーム・メンバーに期待する全てが整っているのです。でも最近、彼女は私を怒らせるようなことをするのです。私は彼女に3つの質問をメールでしようと思います。

例えば、「金曜日の1時からミーティングできますか?クラークへの入札に対する回答は出ましたか?私が月曜日に送った資料に目を通してもらえましたか?」一日が経って、彼女から返事が来ました。「金曜日なら大丈夫!その時に話しましょう。」OK。でもクラークへの入札や資料の件は?この件はここ2-3週間で2-3回起こっているのです。ですから、私はもう一度、他の2つの質問を繰り返す形でメールを彼女宛て、送りました。さらに加えて、3つ目のメールを3つ目の質問だけを入れて送りました。念のため!小さいことのように思うでしょうが、私にとっては余計な仕事が増える原因で、時々、必要な情報を入手するのが遅れてしまうのです。

彼女の行動が私の行動の窓の中の受容ラインの下に落ちてきたと思ったので、対決的I-メッセージを作り、金曜日のミーティングで送ってみようと決意しました。こんな感じです。「シルビア、先週2-3回、私はあなたにいくつかの質問をメールでしました。あなたは最初の質問だけに返信してきました。それは、今日私たちがミーティングをするというメールだけです。(私はクラークへの入札と以前に送った資料についても聞きました)あなたがそういうことをすると、回答のない質問を繰り返し送らなければならないか、あなたに電話をかけなければなりません。余計時間がかかりますし、私は困ります。本音を言えば、ある種フラストレーションなのです。」

短い間があって、彼女はこう言いました。「ごめんなさい。私ほんとうに忙しかったの。あなたからの他の2つの質問のメールにも回答しました。それに、今日、ミーティングがあることはわかっていたし、そこで話すことができると思いました。回答するにはある種複雑でしたし、会って話した方がいいと思いました。どうして、あなたはそんなに大騒ぎするのですか?」

それで、今、誰が問題を持っているのですか?

私はこう理解しています。私がまだ、もともとの問題を持っています。シルビアは、自分の行動を喜んで変えると示唆するものは何もしていませんし、言っていません。彼女は私のメールを全部読むとか、私の質問に全部答えるとは同意していません。将来、私が複数のメールを彼女に送らなくても良いという確信はありません。

それどころか、シルビアの私への返事は新しい問題です。彼女は私の対決に少し驚いています。少し防衛的になっています。シルビアは応答(返事)を「持っています」(それは新しい「行動」です)。私の行動の窓で、彼女の防衛的な応答はシグナル・行動のようです。私の行動の窓で「相手が問題を持つ」セクションに入ります。私が何をするかはわかっています。なぜなら、L.E.T.リーダー研修で学びました。アクティブ・リスニングにギア・シフトします。この時点では、まだ「私たちが」問題を持つには至っていません。シルビアは行動を変えて私のニーズに応えてくれるかも知れません。
そこで、私は次のように言います。「そうですね。色々なことが起こっていて、すぐには全てに返信できないのですね。それに、私が聞きたいことは、少し考える時間が必要かも知れませんからね。今日、私たちがこうして話す時間を持つとわかっていたから、メールで複雑なことを書く必要性を感じなかったのですね。実際に会って話した方がよっぽどいいですものね。こんな風にこの問題を取り上げている私に少しうんざりしているでしょうね。」

シルビア:「ええ。私が全てやり遂げることはわかっているでしょ。私たちは本当にうまく協力しあっているじゃないですか。」もっとアクティブ・リスニングをします。「私たちの職場での人間関係は、あなたにとって大切なのですね。あなたは私にもっと信頼して欲しい。小さなことをいちいち言われる必要もないと感じているのですね。少し傷ついたというか。」
I-メッセージに戻って、「それはよくわかりました。でも、あなたが私のメッセージ全てに返信しないと、どうしていいかわからなくなることをわかって欲しいのです。あなたがランチ・ミーティングでそれを議論するつもりなのかもわからないので、時間を割いて再度メールしなければなりません。私のメッセージの最後の部分を見ていないのではないかと心配になりました。」

この時点で、シルビアは次のように言うかも知れません。「わかりました。つまり、あなたは私が何を考えているか読めないのですね?では、今後は全ての質問に対して何か答えるようにしましょう。例え、すぐに即答できなくても、そのようにあなたにお伝えします。会う予定にするか、何か考えます。」
「いいですね。」と私は言います。さて、シルビアが約束通りのことをしてくれると私が信頼するなら、「B」は両方ともなくなります。

その一方、それはそんなに簡単ではないかも知れません。シルビアは「今、私がどれだけ忙しいか、あなたは全く理解していません。私は永遠にこのようなメールをもらい続けるのです。全て、最後まで読んでいたら、何もできません。ほとんどの場合、新しいことは冒頭の文章の一つ二つにしか書いてありません。残りは以前のメッセージの繰り返しです。問題の要点を早く言って欲しいのです。」(シグナル行動が更に見られる)

私はまた、アクティブ・リスニングをします。「ということは、あなたにとって私が全体像を見えていない人ということなのですね。メールを全て最後まで読むのは現実的ではないと。あなたは今、仕事量にとても圧倒されているのですね。それに、メールを読み進めても、何か新しいことが書いてある訳ではないので、時間の無駄だと感じているのですね。」
シルビアは「その通り。あなたの仕事をしづらくしようとしているのではないのです。でも、どうやって改善できるのかわからないのですよ。」

さて、今、誰が問題を持っているのでしょうか?私はL.E.T.リーダー研修を受講したので、これは「私たち」が問題を持つのだとわかります。メソッドⅢの対立解決法を行うチャンスです。シルビアと私には、この時点で異なるニーズがあります。お互いのニーズ全てを満たす明らかな解決策はありません。

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