─2017年7月号─「I-メッセージ:「有害な」人たちへの最善の応答」

Date: July 26th, 2017 | BY  Brian K. Miller

 アメリカとヨーロッパでは、ここ2-3年の間、「有害な」人たちを描写した自己啓発本が爆発的な人気です。「有害な」人たちに対処する時に起きる最初の問題は、彼らが誰なのかを定義することです。自然と、「有害な」人の定義は、自己啓発本の著者の世界観によるところが大きい。これは常に、通俗心理の問題です:それは既存のステレオタイプ(既成概念)を強化します。

 一方で、現実社会では、私たちはどんな人でも、人生で単に馬が合わないという人間が少なくとも一人はいるものです。彼らの価値観と私たちの価値観は一貫して正反対です。私にとって「有害な」人は、他の誰かのベスト・フレンドかも知れません。私が親愛なる友達だと思っている人が、他の誰かにとって「有害な」人かも知れません。「有害な」人たちの広義のカテゴリーはありません。しかしながら、私たちは少なくとも「有害な」人と思う人を一人は知っています。私たちの自然な反応は、あらゆる機会でこの人を避けようということですが、それは本当に最善の戦略でしょうか?

 宮本武蔵はその著書『五輪書』で、「すべてにタイミングがある。戦略のタイミングは、大きな練習なしにはマスターすることができません。」と書いています。「有害な」人に対してI-メッセージで応答する方法を学習することは、私たちの日々の人間関係をマネージする重要な戦略です。私たちがこのような方法でI-メッセージを使い始めると、I-メッセージをどのように構成するのかと、それをどのようにデリバーするのかについて多くのミスを犯すでしょう。これらはタイミングのエラーです。そして、この戦略をマスターするたった一つの方法は、練習をし続けることです。

 例として、あなたが職場のデスクに座っているとしましょう。あなたは新製品の様々なマーケティング戦略の結果の可能性を計算する新しいスプレッドシートを作成しています。あなたが予測、マーケット・バイアス、マーケットの要求等々をまとめ始めて、既に3日目です。突然、あなたの背後から、あなたがオフィスで一番嫌いな人が肩越しに現れ、次のように言います。「あなたが既存のマーケット・プロトコルの両側性転移の軸を定義しないなら、どうやって新市場を開拓できるのですか?」

 あなたは彼が何を言っているのかサッパリわかりません。わかったとしても、あなたが3日もかかって開発したスプレッドシートとは何の関係もありません。ほとんどの人にとって、最初の応答は苛立たしさです。しかし、この人は突然後ろから何の警告もなしに現れて、このような意味のない提案を大声でする傾向があります。この苛立たしい習慣は腹立たしい毎日の儀式のようになって、集中力を乱しモチベーションを下げます。対決する時が来ました。それはI-メッセージを送る時が来たという意味です。

 最初のステップは、あなたが言おうとしている直感的な応答を止めます。単に言うのを止めます。「有害な」人が一緒にいて居心地を悪くしているのは、彼らの異なる価値観です。全ての「有害な」人間関係はある種の価値観の衝突です。私たちは、価値観の衝突には解決がないことを知っています。ゆえに、この特定の時間にフォーカスします。どうして、この特定の人との遭遇が心をかき乱すのか?

 例えば、私の応答は次のようなものかも知れません。「あなたが突然、私の肩越しに現れて、鋭い批判をする時、私の最初の気持ちはあなたを完全に無視したいということです。少なくとも、あなたが私を批判する前に、少しだけ警告があるといいのですが。簡単な何か、例えば友好的な挨拶など。」

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