─2022年9月号─「自分でやるのか、グループの助けを得てやるのか⑪」

Date: September 11, 2022 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

誰が責任者か?

 

 

それでもリーダーは、独断専行に走るリーダーが自分だけで決定したことについての説明責任を受け入れるのと同じように、グループ・メンバーが参加して決定したことについての説明責任を負うこともできます。どのように意思決定がなされるかは、つまりリーダーの説明責任とは全く関係がありません。意識的にグループ・メンバーを参加させて意思決定するリーダーは、そうすることで質の高い決定ができ、主体的に説明責任を果たしたいと思えるものなのです。

 

しかしながら、グループの決定の質についてはリーダー間で非常に多くの論争があります。参加型の意思決定や問題解決で本当に質の高い決定ができるのでしょうか?リーダーによっては、グループではよい意思決定はできないと確信している人もいます。彼らは、過重労働についてこんなジョークを引用します。「ラクダは委員会によって作り出された馬である(訳注:大勢が力を合わせて1つの良い結果を作り出そうと努力しても、個々の相違から中途半端な物しか出来ないということ)。」そのようなリーダーにとってはグループが賢い決定をするとは思えません。彼らにとって、賢い決定とは賢いリーダーによってのみなされるのです。

 

問題は最初から常に正しく形成されていません。議論は通常、最善の意思決定はグループ・メンバーによってなされるのか、それともグループ・リーダーによってなされるのかということに終始します。このように言うと、グループ・メンバーはグループ・リーダーと競わされ、しばしばグループ・メンバーは不利な立場に置かれます。なぜならば、リーダーの方がメンバーよりも多くの情報や経験を有しているからです。

 

 質問を言い換えてみましょう。リーダーは(グループ・メンバーのリソースなしに)グループ(リーダーを含む)よりも賢い決定を下すことができるのでしょうか?今、グループ全体が可能な限りのリソースを使って、限られたリソースしかないリーダーに立ち向かいます。この問題を家族の状況に置いてみると、一般的に受け入れられている考えに「父親が一番よく知っている」というものがありますが、賢い若者からは「確かにそうですが、父親は、自身と子供たちを足し合わせた知識よりも多くのことを知っているのでしょうか」と反論されるでしょう。

 

グループが問題を解決し、すべてのメンバーのリソースを活用して意思決定するときでさえ、すべての解決や決定が最も質の高いものであるかどうかの保証はありません。しかし、リーダーがひとりで問題解決したり意思決定したりしても、同じことが言えます。グループによる解決策や決定が、個人による解決策や決定と同じように、悪いものから素晴らしいものまでいろいろあります。7 章では、質の高い意思決定がしやすくなるように、グループによる問題解決の有効性を高める具体的な方法を紹介します。

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