─2025年6月号─「それは家に置いてきてください」

Date: May 8th, 2025 | BY Dr. Thomas Gordon

 

人は幼少期から、感情は悪いものであり危険なもの、つまり良好な人間関係の敵であると考えるように教え込まれています。人は、自分自身の感情だけでなく、周囲の人々の感情も恐れるようになります。それは主に、人生の中で大人から次のようなメッセージを何度も聞かされてきたからです。

 

「弟のことが嫌いだなんて、絶対に言わないで。」

「起きたことで落ち込む必要はないわ。」

「そんな酷いことを言うくらいなら、何も言わないで。」

「落ち込まないで。明日はきっと良くなるよ。」

「何も恐れることはない。」

「毅然とした態度で。」

「プライドを捨てなさい。」

「言葉遣いに気をつけなさい。お嬢さん。」

 

その後、感情表現を禁じる強い戒めが、職場という場でさらに強化されることになります。職場では、感情はもはや存在すべきではないと警告されるのです。どういうわけか、感情や情緒は、職場で私たちが望む人間関係に求められる合理性と表面的でいることの対極にあるものと捉えられているのです。

 

心配事を玄関先に置いて口を閉ざすことは、組織内の人々にとって適切な行動とみなされ、人々はこれらの行動が長期的には評価され報われると感じています。

 

このように蔓延している抑圧的な集団規範は、心理的健康状態の悪化に大きく寄与するだけでなく、組織の有効性にも逆効果をもたらします。

 

誰もがよく知っているように、人と働くと、苛立ち、怒り、フラストレーション、失望、傷つき、恐怖、無力感、絶望、憎しみ、苦々しさ、落胆など、軽度から重度まで、様々な感情が必然的に生じます。

 

こうした感情を経験すること自体は不健康ではありませんが、抑圧することは不健康です。

 

感情を常に抑え込むことは、間違いなく「健康に有害」であり、最終的には潰瘍、頭痛、胸焼け、高血圧、大腸痙攣、その他多くの心身症を引き起こす可能性があります。また、抑圧された感情は仕事に集中できなくなり、効率を低下させることもあります。

 

職場で真に健康的で生産的、安全で、リスペクトのある環境を作る方法を学びましょう。それは、より良いコミュニケーションスキルと、それらを活用したいという意欲から始まります。

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