─2012年4月号─「ゴードン・トレーニングの社長と副社長が『こんなことになった』のに、アクティブ・リスニングがどのように---またしても---2人の一日を救ったのか」

L.E.T.修了者の方々へ

忙しい副社長は会社の設立記念日のパーティに向けて忙しく働いていました。その時、社長が副社長のオフィスに慌ただしく入ってきて、「来月の設立記念パーティの進捗状況が必要なの!」と要求しました。
 
「少々お待ち下さい」と副社長が応対します。
 
「今すぐ必要なの」と社長は怒って声を荒げました。「あなたはいつものろいのよ!」
 
「少々お待ち下さい」と副社長は繰り返します。
 
「あなたはいつもそういうだけなのよ!」と言って社長はオフィスをバタバタと出て行きました。
 
30分後、副社長は半分仕上がった報告書を社長のオフィスに届けました。「設立記念パーティのスケジュールの暫定版をお持ちしました」
 
社長は電話中でした。副社長を一瞥するとオフィスから出て行くように手で合図します。
 
その一時間後、社長がまた副社長のオフィスに入ってきて、「設立記念パーティのスケジュールの暫定版を持っていたと思うのだけど、どこなの?」と言います。
 
何も言わずに副社長は眉をひそめて報告書を社長に手渡しました。
 
そこで副社長はL.E.T.スキルを思い出しました。社長が更に詳細を求めて戻ってきたら、怒って対応するのではなく、アクティブ・リスニングを使ってみようと決心しました。
 
終業時刻寸前に、社長が副社長のオフィスに慌ただしく入ってきました。副社長は四半期の営業報告書のプレゼン・スライドを作成中で、帰宅する前までに仕上げようと急いでいました。
 
「パーティ出張サービス(ケータリング)がどうしてこんなに高いのか理解できないわ」と社長が叫びました。「去年のたった半分の額ですよ」と副社長は返答したのですが、今一度立ち止まってアクティブ・リスニングの応答を試みました。「社長は報告書の作成に時間がかかったことに憤りを感じていて、今年ケータリングの費用がもっとかかることに腹を立てているのですね。この2つは異なる問題ですから、1つずつ見てみましょう。どちらがより重要ですか?」
 
「もちろん費用よ!」社長はまだ怒っていましたが、既に平静を取り戻しかけているようでした。
 
「去年のケータリングは美味しくなかったので、今年は社長から去年より質のよいケータリングを見つけてくるよう仰せつかりました。このケータリングは街でも最高のケータリングですが、最も高いところです。メニューを変更するかケータリングを変更することもできます」
 
冷静になった社長は少し考えて言いました。「メニューを変更してちょうだい。シンプルでしかもヘルシーなメニューに変えてちょうだい」
 
「それは可能です。さて、報告書に時間がかかった理由は、ケータリング・サービスの何社かに電話をしていて、返事が出そろうのに時間がかかったからです。街で随一のこのケータリングの返答が一番長くかかっていました。このケータリングが一番フレキシブルでしたし、私がまず一番高いメニューを提案して、そこから値段を下げて行きながらもエレガントなディナーをキープすることを勧めてくれました。
 
「まあ…それは本当にいい提案だわね。去年の費用とこの見積もりの間の価格を選んで、そこから最善のバリューのものをネゴしてみて」
 
「はい、やってみます」
 
社長は自分のオフィスに戻り、副社長はケータリングに電話をかけました。

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