─2017年1月号─「ニーズとリーダーシップ: 権力の使用・悪用の対価」
Date: January 9th, 2017 | BY Marie Bryson
今年の1月、私は明らかな理由で新しい門出に思いを馳せていました。思いを馳せていたら、効果的なリーダーシップについての基本的な仮説は多くの場合、語られないままであることに驚きました。
アブラハム・マズローのニーズのヒエラルキーの理論が1943年に開発された時(これは多分偶然ではないでしょうが、第二次世界大戦の真っただ中と合致しますが)、私たちは最も基本的なレベルでほとんどの人を動機付けるものが何なのかについての洞察を得ました。
復習しますと、マズローは次のような理論を展開しました。人は一般的に、「プラミッド」あるいはヒエラルキーの上の方のニーズを満たすことに労力を向ける以前に、一番下のレベルのニーズを満たす必要があります。生理学的で安全性のニーズがピラミッドの基本的な2つのレベルを形成しています。第二次世界大戦以前のボスたちは、これらの2つのレベルのニーズをレバレッジした権力を使って、例えば、生理学的で安全性のニーズを提供したり取り上げたりする方法で人々を引っ張っていました。
前世紀の大半は、権力のみを行使することで人々を導くことが「最善の方法」なのかどうかを北米の人はほとんど疑問に思いませんでした。
少なくともほとんどの組織環境において、私たちはそのようなリーダーシップをなくしました。
しかし、明らかに「おまえはクビだ!」の魅力は完全にはなくなりませんでした。結局――そのアプローチの方が速いのです。即座に目に見える「人間関係の問題」を取り除いてくれるほど効果があります。
そして、それは言うことを聞かないと次はあなたですよということを人々に通告します。上司は上司!時間と労力を使って部下との人間関係を構築するより、その権力を持って、時として鞭をふるったらどうでしょうか?
人はどのように権力に反応するのか
「誰でも負けるのは嫌いです。相手に有利な人間関係を喜ぶ人はいません。自分から何かをはく奪するようなことを強要されることは、誰も望んでいません。権力が人々に様々なリアクションを引き起こすのも納得できます――権力と戦い、回避し、権力から防衛し、その影響を無効にしようと試みます。」(Dr. Thomas Gordon, Leader Effectiveness Training, p. 171)
どのようにリーダーとして導くかは常に究極的には個々人のリーダーの裁量です。しかし、対立を解決するために権力を使う選択肢(メソッドⅠのWin-Lose解決法)の結果は予見できます。
上に向かって行うコミュニケーションの削減
面白くないニュースを持ってきたメッセンジャーをリーダーが叩き潰すなら、当然、リーダーが受け取れるニュースの量は減るでしょう――それは激減するでしょう。怒りや報復のための権力使用を引き起こす恐怖から、トップに伝えられる情報の正確性も損なわれます。ゲームの名前は「上司には聞きたいことを伝えなさい」というもので、それがうまく行かないことはないでしょう。
おだてたり、ご機嫌をとったりする反応
おだてたりするYes-menやYes-womenが増加しています。権力行使に頼るリーダーは、自分が望むフォロワーを作り出します。通常、それはお気に入りの排他的小集団で地位を得るためには何でも言ったりしたりする人たちの集団です。
服従と適合
特に上司に頼まれたことを正確に行うことは、多かれ少なかれフォロワーが罰を回避するために使うコーピング・メカニズムです。この行動は、命令が理にかなっていない、あるいは明らかに間違っていたとしても持続します。
抵抗と反抗的な態度
権力の悪用に対する一つのコーピング・メカニズムは、指示・命令全てに対して、それがどんなに小さなことでも文字通り質問したり抵抗したり、グループ・プロジェクトでモラールの損失や障害になることです。
同盟や連立を組む
権力が定期的に使われ、悪用される時、アメとムチで脅される人たちは、非公式に互いにコミュニケーションを取り合い始めます。仕事の遅滞、病欠、回避方法、妨害行為、労働組合が職場での非公式なコミュニケーションの事例です。
引きこもりと逃避
限界まで追い込まれた時、人は有害な権限を振りかざす人を避けようとします。
権限の使用に代わる選択肢
リーダーが、マズローのニーズのヒエラルキーの高いレベルに人々を導くための方法があることは証明されています。最も基本的なニーズを拒否することで恐怖心を植え付ける方法ではなく、相互信頼、自尊心の確立、自己実現の自由を求める心にアピールすることで達成できます。リーダーシップのNo-Lose対立解決法に投資する組織は、本当の意見の一致、健全な人間関係、離職率の低さによって達成される質の高い意思決定、その決定をやり遂げるコミットメントの増加という恩恵を受けるでしょう。
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