[ニュースレター] 2024年8月号

─2024年8月号─「なぜアクティブ・リスニングはこれほど難しいのか?」

日付: 2024 年 7 月 11 日 |BY ミシェル・アダムス

 

「問題を抱えている人に出会ったとき、私たちの通常の反応は、その人の物事の見方を変えようとすることです。つまり、その人の状況を私たちが見ているように見てもらうため、あるいは彼にそう見てもらいたいと願うことです。私たちは、嘆願し、理屈をこね、叱り、励まし、侮辱し、駆り立て、何でもして、望ましい方向、つまり、私たちがその人に進んでもらいたい方向へと変化するように誘導します。しかし、私たちがめったに気づいていないのは、このような状況下では、私たちは通常、特定の方法で世界を見たいという自分自身のニーズに応えているに過ぎないということです。私たちが行動すべきだと信じている方法とは異なる行動を許容し、理解することは非常に困難です。しかし、自分の方法へと他人を導いたり、影響を与えたりする必要性から解放されることができれば、私たちは理解を持って耳を傾け、それによって最も強力な変化の手段を取り入れることができます。」(カール・ロジャーズ博士)

 

ロジャーズ博士は、リフレクティブ・リスニング(彼の教え子であり同僚の一人であるリチャード・ファーソン博士によってアクティブ・リスニングと改名)の生みの親です。

 

ロジャーズ博士の教え子であり、同僚であり、親友でもあったトーマス・ゴードン博士は、1955年にこのリスニング・スキルを個人的にやっていた企業コンサルティングに取り入れました。そして1962年、ゴードン博士は最初のペアレント・エフェクティブネス・トレーニング・プログラムを教え、その後、アメリカ全土と世界50カ国以上に広まり、それがアクティブ・リスニングを世界に紹介したP.E.T.となりました。私たちはそのことを永遠に感謝しています。

 

それはそれとして素晴らしく、うれしいことですが、なぜ…どうしてアクティブ・リスニングを使うのがそんなに難しいのでしょうか?どうしてアクティブ・リスニングを学び、使うことに時間を費やすだけの価値があると人に納得させるのが難しいのでしょうか??

 

これについてはいくつか考えがあります。

 

  1. 地球上のほとんどの人は、コミュニケーション・ロードブロックを使う親によって育てられました。(「乗り越えろ」「馬鹿げている」「泣くんじゃない」など)。ですから、相手が感情を持っていることを受け入れて(同意ではない)、説得して諦めさせるようなことをしないでいいと提案することは、常識に反するかもしれず、あるいは異質なことに思えるかもしれません。そのため、これらのロードブロックを使うことは、断ち切るのが難しい習慣なのです。

 

  1. 相手が何を感じるべきか、何を感じるべきでないかを知っていると思うなど何様でしょうか?私たちは彼らですか?違いますよね。相手の感情に自分たちを介入させたり、相手がどうすべきか、どう感じるべきかについて私たちの考えを押し付けたりするのは少し自己中心的です。一歩引いて、混乱した感情や複雑な感情のすべてとともに、相手がその人らしくいることを許容してください。(余談ですが、6月に公開された素晴らしい映画があります。その映画では、感情が私たちにどのような影響を与えるかを深く掘り下げています――Inside Out 2、日本語タイトルはインサイド・ヘッド2です。)

 

  1. あーもううんざり。感情にそこまでの時間を実際に費やす必要があるんですか?頼むから仕事に戻ってください—こんなことをしている時間はないんです。そうですね〜……まあ、私たちは人間ですし、感情があります—それは事実です。こうした感情を認め、それを共有できる信頼の風土を作らなければ、将来的に大きな代償を払うことになります。それに、私たちは自分の感情に基づいて意思決定を行います。もちろん、スプレッドシート、世論調査、アンケートも使用しており、それらも確かに重要なデータではあります。しかし、感情もデータです。そして、自分自身、チーム、組織にとって最善の決定を下すために、すべてのデータを尊重する方法を学ぶ必要があります。

 

もう1つ、チーム・メンバー間の対立を調停しようとしたり、同じ問題を抱えて何度も相談してくるチーム・メンバーと一緒に仕事をしたり、同僚への不満や苦情を申し立てたりして人事部に相談する人と一緒に仕事をしなければならないなど、今、どれだけの時間を費やしていますか?正直、無駄です。その代わりに、アクティブ・リスニングに時間を費やして、どれだけ節約できるか試してみませんか?

 

ということで、今日のところはこれでおしまいです。ご拝読ありがとうございました。

プログラムに関するご質問など、お気軽にお問い合わせください。

セカンド・ウィンド株式会社

〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-8-10-601 エスタシオン高円寺

[ニュースレター] 2023年8月号

─2023年8月号─「あなたは自分自身に責任を負っていますか?」

Date: July 25th, 2023 | BY Michelle Adams

 L.E.T.修了者として、あなたは間違いなく「私の人間関係に関する信条」を読んだり見たりしたことがあるでしょう。それはすべてのゴードン・モデルのプログラムの中心的な部分です。信条は本当にゴードン・モデルの核心であり魂であり、ゴードン・モデルを推進するものです。信条は1964年にトーマス・ゴードン博士によって書かれました。ゴードン博士がその作成についてインタビューを受けた時、彼はこれを共有しました:

私は預言者の書の中にあるカリール・ジブランの美しい詩によって信条を書くように促されました。預言者の書は次のように書き始められています。「あなたの子供はあなたの子供ではありません…」私はまた、P.E.T.(Parents Effectiveness Training)で教えられている主要なスキルの簡単な要約をコースの最後に、クラスで学んだことを思い出させるために親たちに提供する何かが欲しかったのです。

 それは、あなたがあなたの重要な人間関係で果たす役割に対して責任を取る方法を説明しています。

 あなたはそれらの人間関係にあなたの全意識を向けることを決心します。本質的に、相手が問題を抱えている時に、あなたはそれに気づくことをあなた自身に約束します。あなたはそれを無視したり、すべてが大丈夫であるふりをしたりしません。相手が話したいのであれば、相手の「共鳴板」になる責任を負います。[アクティブ・リスニング]

 さらに、あなたはあなた自身のニーズを満たす方法を認識し、見つける責任があります。相手にブロックされていると感じた時、あなたは自分の気持ちを抑圧したり、相手の行動があなたにどのように影響するかを知らせることを回避したりしないように自分自身に約束します。相手は、あなたができる限り明確かつ敏感に相手に伝えてくれることを頼りにしています。[対決的I-メッセージ]

 最後に、あなたがたが対立している時、あなたはあなたがた双方のニーズを満たす解決策を見つけるために、相手と協力する責任を取ります。基本的に、信条は説明責任の表明です。あなたは人間関係を機能させる上でのあなたの役割について自分自身に責任を負わせています。[メソッドⅢ]

 そして、おそらくゴードン博士の信条をもう一度読む時が来たのでしょう。

 ゴードン博士はしばしば信条を人間関係の青写真と呼んでいました。私はそれを「あなたの人間関係のGPS」と呼ぶのが好きです。

<私の人間関係に関する信条>

 あなたと私は、私が尊重し維持したいと考える人間関係にあります。私たちそれぞれは、個別の価値観とニーズを持つ人間です。

 私たち各々が何を尊重し、欲しているのかをよく知り理解するために、私たちのコミュニケーションにおいては常にオープンで正直でいましょう。

 あなたが人生において問題を経験している時、私の解決策を押し付けないで、あなた自身の解決策を見出せるように、私は誠実な受容と理解の態度であなたの話に耳を傾けます。そして、私が自分の問題の解決策を見つける必要がある時には、あなたも私の話に耳を傾けて欲しいのです。

 私自身のニーズを満たすために私がすべきことを、あなたの行動が妨げる時には、私はあなたの行動がどのように私に影響を与えているかを隠さず正直にお話しします。なぜなら、あなたが私のニーズや感情を充分尊重してくれていて、私にとって受容できない行動を変える努力をしてくれると信じていますから。また、私の行動をあなたが受容できない時は、あなたも隠さず正直に話してくれることを望みます。私も自分の行動を変えるように努力します。

 そして、人間関係において私たちが対立を経験する時、一方が他方を犠牲にして勝つために権力に訴えることがないよう、一つひとつの対立を一緒に解決するようにしましょう。私はあなたのニーズを尊重しますが、私自身のニーズも尊重しなければなりません。ですから、いつもお互いが受容できる解決策を一緒に探す努力をしましょう。あなたのニーズも私のニーズも満たされる―――どちらも負けることなく、お互いが勝つのです。

 このように、あなたはあなたのニーズを満たすことで人間として成長し続けることができます。そして、私自身も同様です。よって、私たちの人間関係は健全な人間関係で、お互いが実現可能な存在になるよう努力することができるのです。そして、私たちはお互いに尊重し合い、愛し合い、平和的に関わり続けることができるのです。

トーマス・ゴードン博士

プログラムに関するご質問など、お気軽にお問い合わせください。

セカンド・ウィンド株式会社

〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-8-10-601 エスタシオン高円寺

[ニュースレター] 2022年8月号

─2022年8月号─「敬意を持って自分の気持ちを伝える方法 (そして、なぜ自分の解決策を除外することが不可欠なのか)」

Date: July 14th, 2022 | BY Linda Adams

 

チームメンバー、上司、または人間関係のある人(職場または家庭)との間で問題がある場合、自分の考えや気持ちを明確で、率直で非難しない方法で伝えると、相手が行動を変えてくれる可能性がはるかに高くなります。

 

ゴードン・モデルの他の I -メッセージと同様に、自分の考え、ニーズ、感情を自分のものとして所有することが重要です。そして、同僚、リーダー、その他の人々に対して、彼らの行動があなたのニーズを満たすことを妨げる場合にそれらを表現することを学びます。

 

私たちは、このタイプの I-メッセージを対決的I-メッセージと呼んでいます。これにより、相手はあなたに何が起こっているのか、そしてあなたが相手の助けを必要としていることを知ることができます。相手の人を責めたり、けなしたり、何をすべきかを指示したりしません。

 

対決的I-メッセージは3つの構成要素からなります:

 

  • あなたにとって問題となる相手の行動
  • この行動があなたに及ぼす具体的な影響
  • あなたの気持ち

 

対決的I-メッセージには解決策がないことに注意してください。

 

あなたの解決策 (通常、非難がましいYou-メッセージに見られるもの)は、相手のニーズではなく、あなたのニーズのみを満たす可能性があります。

 

もしそうなら、それは不必要な抵抗を生み出します。 実際、解決策を提案するとすぐに抵抗に遭う傾向があります。それはないに越したことはありません。先入観のある解決策は避けてください!

 

解決策に直面することなく、相手は、あなたの I-メッセージで表現されているように、あなたのニーズを満たすだけでなく、相手のニーズを満たす解決策を自由に思いつくことができます。それによって、相手が それを実行するモチベーションが上がります。

 

解決策を提示されなくても、相手はあなたを助ける方法を選ぶことで、あなたのニーズや気持ちに配慮するチャンスがあります。

 

これは、相手の自尊心を育み、成長を促します。

プログラムに関するご質問など、お気軽にお問い合わせください。

セカンド・ウィンド株式会社

〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-8-10-601 エスタシオン高円寺

[ニュースレター] 2021年8月号

─2021年8月号─「自分でやるのか、グループの助けを得てやるのか⑤」

Date: August 8, 2021 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

アルフレッド・マローは、ハーウッド・マニュファクチャリング社の取締役会の会長だった当時、組織における協力の必要性について次のように結論づけています。

 

以前は、一般社員と会社役員との間の教育格差が大きく広がっていました。現在ではもはやその様なことはなく、これから数年先にはその差はさらに縮まるでしょう。スーパーバイザーより社員の方が技術的なスキルが優れているということは、今では普通のことです。

 

今日、慎重なエグゼクティブが直面している最大のチャレンジは、人びと、特に管理職スタッフとの協力です。「すべての人がリーダーのために」ではなく、エグゼクティブは自分のスタッフを効果的なチームにまとめあげ、協力的に、しかし個々人が自分のやり方で会社のために引っ張ってくれるチームにしていかなければなりません。

 

 「競争社会をこえて:ノーコンテストの時代」という著書の中で、アルフィ・コーンは、「とても頻繁に─―私たちが思っている以上に頻繁に─―協力は各メンバーのスキルを利用するのと同時に、そのインタラクションが個々人の能力を高めるというミステリアスであるが否定しようのないプロセスなのです。」と述べています。

 今日、リーダーは問題解決のためにグループ・メンバーの創造的なリソースを活用すべきかどうかという質問などほとんど聞かれません。多くの効果的なリーダーは非公式、公式(スタッフ・ミーティングなど)を問わず、それをただただ実践しているのです。重要な課題は、いつグループ・メンバーを参加させるのか、誰を選ぶのか、どのような種類の問題に参加が必要なのか、最終的な決断はどうやって誰が行うのか、対立をどうやって扱うかということです。私は、これらの課題について後程、詳細に説明し、同時にこれらの課題に対処するスキルや方法も提供いたします。

プログラムに関するご質問など、お気軽にお問い合わせください。

セカンド・ウィンド株式会社

〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-8-10-601 エスタシオン高円寺

[ニュースレター] 2020年8月号

─2020年8月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑭」

Date: August 2, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

問題解決者としてのリーダー

 

ここに、キャリーというあなたのグループ・メンバーの一人がいて、仕事を終わらせようとして熱心に働いています。キャリーの行動はあなたに何の問題も引き起こしていないので、あなたはこの行動をあなたの「行動の窓」の一番上の部分に置きます。

最近、もう一人のグループ・メンバーであるジェリーは、一人で解決できると思われる事柄について、あなたのオフィスにやってきて相談したり、あなたの承認を得たりする強いニーズを示しています。あなたは、彼があなたの時間を無駄にしていて(彼の時間の無駄でもあり)、彼があなたに頼り過ぎていると感じています。この特定の行動はあなたにとっては受容できないので、あなたはジェリーの行動を「行動の窓」の一番下の部分に置きます。

 これは、どのグループ・メンバーの行動を考える上でも役に立つ方法です。まず、ある特定の行動に対するあなたの正直な感情を、はっきりとわからせてくれます。その行動を受け入れているのか、いないのか?また、他の人の行動があなたに問題を引き起こしている時にも知らせてくれます。しかし、その問題についてどう対応したらよいかは、まだ示してくれていません。それについては、6 章で説明します。

 あなたの「行動の窓」では、2 つのエリアを分けるラインは不動ではないことも知っておきましょう。このラインは次の理由で頻繁に上下します。(1) あなた自身のこと(今日の気分)(2) あなたがどこにいるか(その行動が起こる特定の環境)、そして(3) グループ・メンバーごとの性格の違い(ある人は他の人と比べて受容しやすい)、です。

たとえば、あなたの体調も良く、十分な休養も取れていて、爽快に感じる日には、グループ・メンバーに対するあなたの「行動の窓」は、通常、受容できる行動のエリアが広くなります。

疲れていたり、風邪を引きそうだったり、あるいはスピーチの原稿がはかどらなくて腹を立てたりしている日は、あなたの「行動の窓」はまさに一番下の受容できないエリアが広くなるでしょう。

プログラムに関するご質問など、お気軽にお問い合わせください。

セカンド・ウィンド株式会社

〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-8-10-601 エスタシオン高円寺