[ニュースレター] 2020年12月号

─2020年12月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑰」

Date: December 12, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

問題解決者としてのリーダー

 

一貫性を持たせるために、「行動の窓」の3 番目の部分に名前を付けたいと思います。「私に問題を引き起こす行動」と言いましょう。

 

 「行動の窓」は、もう一つの別の状況を扱うまでは、完全なものではありません。時として、あなたとあなたのグループ・メンバーの一人が、明らかに共通の問題を持ったり対立したりする場合があります。このような時に、あなたがた双方はお互いの人間関係で受容できない不満の感情を経験しています。あなたかあなたのグループ・メンバーのどちらかがもう一方に対決したり、満たされないニーズを表現したりする時、しばしば対立の存在が明らかとなります。

 

たとえば:

あなたのマネジャーはあなたに新しいプロジェクトのリーダーをして欲しいと思っています。あなたは既に働き過ぎだと感じています。

あなたは昇給するに値すると感じています。あなたの上司は同意していません。

今年の家族旅行では、あなたの配偶者はキャンプに行きたいと言っていますが、あなたは実家に帰りたいと考えています。

 

このような対立は「行動の窓」の一番下の部分に属します。

 

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[ニュースレター] 2020年10-11月合併号

─2020年10-11月合併号─「地位に就くだけではリーダーではない⑯」

Date: November 1, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

問題解決者としてのリーダー

 

グループ・メンバーのもう一つの違った種類の行動も「行動の窓」に置いてみることができます。あなたはリーダーとして、ニーズを満たせなくて問題を経験しているグループ・メンバーの行動を観察します。そのような行動は、少なくとも具体的で明確な形ではあなたに問題を引き起こすことはありません。しかし、あなたのチーム・メンバーは何らかの個人的な問題を抱えていることは明らかです。何らかのニーズは満たされておらず、ニーズの欠乏という危険が存在しています。一般的には次のような言語的なヒントが見られます。

 

「頭にきた」                                       「怒ったぞ」

「不幸だ」                                           「不満足だ」

「今日は全くなんて日だ!」              「寝てればよかった!」

「会社なんてくそくらえ!」              「どれだけやれば気が済むんだ?」

 

もしくは、直接的ではないものの、態度で示されるヒントがあるかも知れません。

 

不機嫌で落ち込んだ様子

神経質でピリピリし、過敏になる

あなたに話しかけなくなる

あなたの目を見なくなる

緊張し怯えている、不安そうな様子

いつも文句ばかり言う

空想にふける、忘れっぽくなる

 

このような行動は、あなたの「行動の窓」の特別なエリアに帰属しています。それは、「グループ・メンバーが問題を持つことを示す行動」に分類されます。

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[ニュースレター] 2020年9月号

─2020年9月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑮」

Date: September 5 2, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

問題解決者としてのリーダー

 

他の人の行動が起きる場所によって、あなたの「行動の窓」は明らかに影響を受けます。たとえば、会社のクリスマス・パーティーでは、あなたのグループ・メンバーの一人ひとりに対する「行動の窓」はいつもより受容できる行動のエリアがより広くなるでしょう。

 

この環境下では、グループ・メンバーが2 ~ 3 杯お酒を飲んで騒がしい行動をしても、受容できるでしょう。仕事の時間に同じような行動をしたとしたら、到底受け入れられないでしょう。あなたの「行動の窓」は、他の人の特定の性格によっても自然と影響を受けます。長く働いている社員で、あなたがその性格に慣れている場合には、新入社員の行動よりもより受け入れやすいでしょう。

 

あなたの「行動の窓」は、グループ・メンバーの行動に対して「一貫した」感情を持つことが不可能であることを示しています。あなたは生身の人間であり、(受け入れる、もしくは受け入れられない)人間の感情は、その日その状況、相手によってかなり変化します。多くの人は一旦リーダーの地位に就くと、その役割を果たすために自分の人間らしさ、一貫性のなさを抑制したり隠したりしなければならないと思い込んでいました。

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[ニュースレター] 2020年8月号

─2020年8月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑭」

Date: August 2, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

問題解決者としてのリーダー

 

ここに、キャリーというあなたのグループ・メンバーの一人がいて、仕事を終わらせようとして熱心に働いています。キャリーの行動はあなたに何の問題も引き起こしていないので、あなたはこの行動をあなたの「行動の窓」の一番上の部分に置きます。

最近、もう一人のグループ・メンバーであるジェリーは、一人で解決できると思われる事柄について、あなたのオフィスにやってきて相談したり、あなたの承認を得たりする強いニーズを示しています。あなたは、彼があなたの時間を無駄にしていて(彼の時間の無駄でもあり)、彼があなたに頼り過ぎていると感じています。この特定の行動はあなたにとっては受容できないので、あなたはジェリーの行動を「行動の窓」の一番下の部分に置きます。

 これは、どのグループ・メンバーの行動を考える上でも役に立つ方法です。まず、ある特定の行動に対するあなたの正直な感情を、はっきりとわからせてくれます。その行動を受け入れているのか、いないのか?また、他の人の行動があなたに問題を引き起こしている時にも知らせてくれます。しかし、その問題についてどう対応したらよいかは、まだ示してくれていません。それについては、6 章で説明します。

 あなたの「行動の窓」では、2 つのエリアを分けるラインは不動ではないことも知っておきましょう。このラインは次の理由で頻繁に上下します。(1) あなた自身のこと(今日の気分)(2) あなたがどこにいるか(その行動が起こる特定の環境)、そして(3) グループ・メンバーごとの性格の違い(ある人は他の人と比べて受容しやすい)、です。

たとえば、あなたの体調も良く、十分な休養も取れていて、爽快に感じる日には、グループ・メンバーに対するあなたの「行動の窓」は、通常、受容できる行動のエリアが広くなります。

疲れていたり、風邪を引きそうだったり、あるいはスピーチの原稿がはかどらなくて腹を立てたりしている日は、あなたの「行動の窓」はまさに一番下の受容できないエリアが広くなるでしょう。

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[ニュースレター] 2020年7月号

─2020年7月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑬」

Date: July 4, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

問題解決者としてのリーダー

 

グループ・リーダーの主要な役割は、問題解決の促進者であると考えることが、私にとっては役に立ってきました。グループは、メンバーの問題が解決されるように責任をもって面倒をみてくれるリーダーが必要です。ある人は、全く問題のない職場にはリーダーは不要である――少なくとも、あまり頻繁には必要ではない──と主張するかもしれません。もし、グループがいつも効率的に、そして生産的に機能しており、メンバーが常に達成感、結束力、高い自尊心や個人的価値を経験しているのなら、「スーパーバイザー」がほとんど必要ないことは明らかでしょう。グループに問題がある時にだけ非常にリーダーを必要とします。つまり、メンバーが自分の個人的なニーズを満たすことができずに問題を抱えている時や、組織の目標が達成されずにグループがリーダーに問題を抱え込ませる時です。

私はこれら2 種類の問題の関係を、私が発案した「行動の窓」と呼ぶ図形で表わしてみました。この図表はマズローとハーツバーグから引き出されたすべての概念を結び合わせるのに役立ちます。少しの間、自分がグループ・リーダーの立場になったと考え、グループ・メンバーの一人を観察する時に、その人の行動が常にあなたの目の前にある四角い窓を通して見えていると想像してみましょう。次にその窓は二つの部分からなっていると想像してください。1 つはグループ・メンバーの行動で、あなたに問題を引き起こしていないので、あなたにとっては受容できる行動です(あなたの行動の窓の一番上の部分)。もう1 つは、その行動があなたに問題を引き起こしているので、あなたにとっては受容できない行動を示します(あなたの行動の窓の一番下の部分)。

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[ニュースレター] 2020年6月号

─2020年6月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑫」

Date: June 7, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

 

 (前出の関連箇所)「不満要因」がないことそれ自体ではめったに満足感を生み出しません。たとえば、労働条件がいいからといってそこから満足感が生まれるということはめったにないでしょう。しかしながら、劣悪な労働条件は実際に不満の感情を生み出しました。そして、満足要因(達成、承認など)があることでのみ、満足感がもたらされたのです。(前出の関連箇所、終わり)

このような顕著な研究結果は、組織の下のレベルで働く人たちには全く同じようには適用できないかもしれません。レベルⅠやⅡの欲求が満たされていない(低賃金、不安定な仕事である)場合、彼らは恐らく非常に強い欠乏感を抱くはずです。その結果、このようなグループのリーダーは、グループ・メンバーが賃金に不公平感を抱いていたり、雇用の安定について不安を感じていたりするかも知れず、その徴候を無視することが絶対にできないのです。

 ハーツバーグの調査結果に匹敵するものに、テキサス・インスツルメンツの産業心理学者M・スコット・マイヤーズの6 年間にわたる動機づけ行為に関する研究があります。 その結果は、「ハーバード・ビジネス・レビュー」において次のように要約されています。

 

従業員が効果的に働くよう動機づけるものは何でしょうか?それは達成感、責任感、成長、昇進、仕事そのものの面白さ、そして承認を得られたと感じることができるようなチャレンジングな仕事です。従業員に不満を与えるものは何でしょうか?ほとんどの場合、それは仕事の周辺の要因で、就業規則、照明、休憩時間、肩書、年功序列、賃金、福利厚生といったものです。

従業員が不満を感じるのはどのような時でしょうか?それは、有意義な成果を挙げる機会を奪われてしまったり、職場環境に敏感になったり、あら探しをし始めたりする時などです。

 

 マイヤーズはハーツバーグと同様に、スーパーバイザーが満たしてあげなければならない従業員のニーズで同じ種類のもの2 つを特定しました。それらは、モチベーション・ニーズとメンテナンス・ニーズです。前者は課題中心で、後者は相対的に仕事の周辺に関わるものです。

 マイヤーズの研究は、私がずっと強調してきたポイントの有効性を確認してくれました。すなわち、効果的なスーパーバイザーは、仕事のスペシャリストとしてのスキル(仕事のプランニングと整理をするスキル)だけでなく、人間関係のスペシャリストとしてのスキル(メンバーの不満の原因を見つけ解決するスキル)も持たなければなりません。効果的なリーダーは、仕事中心であると同時に、人間中心でもあるのです。グループ・メンバーは誰でも勝ち組にいたいと思っていますが、そのために自分の価値や自尊心を犠牲にしようなどとは、決して思ってはいません。

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[ニュースレター] 2020年5月号

─2020年5月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑪」

Date: May 16, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

 

ニーズを満たすのに障害となるもの(「不満要因」)には、次のようなものがあります。

 

  1. 上司とのよくない人間関係
  2. 同僚とのよくない人間関係
  3. 不適切な技術的指導
  4. 劣悪な社内規定やアドミニストレーション
  5. 劣悪な労働条件
  6. 従業員の個人的生活における問題

 

ニーズを満たすもの(「満足要因」)には、次のようなものがあります。

 

  1. 達成
  2. 承認
  3. 仕事そのもの
  4. 責任
  5. 昇進

 

 「不満要因」がないことそれ自体ではめったに満足感を生み出しません。たとえば、労働条件がいいからといってそこから満足感が生まれるということはめったにないでしょう。しかしながら、劣悪な労働条件は実際に不満の感情を生み出しました。そして、満足要因(達成、承認など)があることでのみ、満足感がもたらされたのです。

 これらの研究がはっきりと示唆していることは─―そしてこれは、リーダーにとって非常に重要なことですが─―グループ・メンバーが高い生産性へと動機づけられ、同時に仕事に満足するためには、仕事自体がやりがいのあるものでなければならないということです。その仕事は成長、責任、承認、そして昇進の機会を与えるものでなければなりません。これらの必要条件は、マズローのレベルⅢ、Ⅳ、そしてⅤの欲求に非常に類似しており、効果的なリーダーは、グループ・メンバーが最高レベルのニーズ――仕事上の達成や、その達成の承認から得られる自尊心、そして自己実現(自分の可能性が役に立っているという感覚)――を満たすのを可能にするスキルとメソッドを十分に学ぶ必要があるという前述の私の主張をサポートしています。これらのスキルとメソッドについては後の章で詳しく紹介いたします。

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[ニュースレター] 2020年4月号

─2020年4月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑩」

Date: April 5, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

  1. グループや組織は、必ずしもそのメンバーにレベルⅣやレベルⅤの欲求を満たす機会を与える訳ではありません。特に低いレベルにいる人たちで、仕事がかなり厳密に定義もしくはルーティン化されていたり、その活動がほとんど完全にコントロールされていたり、個人的な指示、意思決定やイニシアチブをとる自由度がかなり制限されていたりする場合はそうです。
  2. リーダーが任意に権力を行使する時、グループ・メンバーは、仕事について非難されることを恐れたり、職務で絶えず不安を感じたりするかも知れません。彼らの安心と安全の欲求が満たされていないと、レベルⅡで行き詰り、社会的欲求や能力と自尊心の欲求を満たすために達成しようとする動機づけがなされません。
  3. 異なるグループ・メンバーは、同時にあるいは同じ状況下にあっても、人によって異なる欲求のレベルで仕事をしているかも知れません。スタッフ・ミーティングで、ある人は疲れているかもしれません(レベルⅠ)が、別の人はグループが何かを達成することを望んでいるかもしれません(レベルⅣ)。また、他の人たちはお互いに話したり冗談を言っていたりするかもしれません(レベルⅢ)。
  4. レベルⅠとレベルⅡの欲求は、現代の豊かな社会ではめったに強力な動機づけにはなりません。なぜなら、グループ・メンバーの生理的欲求はほとんど満たされており(最低賃金法)、解雇される不安もありません(労働組合による保護)。だから、リーダーが、グループ・メンバーに解雇すると警告したり脅したりして、モチベーションを上げようとしても、またコントロールしようとしても、めったにうまくいきません。
  5. もし従業員が、仕事の上でレベルⅢ、ⅣないしレベルⅤの段階の欲求を満たす機会がほとんどないとしたら、彼らは仕事以外で(スポーツや趣味、社交クラブなどを通じて)、社会的インタラクション、達成感や自己実現の欲求を満たす機会を探すでしょう。こういう訳で、多くの人は仕事を維持して給料を得るために必要な最低限の労力しか費やしません。それに加えて、彼らは組織の中で疎外感を感じていたり、関与していないと感じていたりします。
  6. 素晴らしい成果と高度な達成感へと動機づけられるためには(レベルⅣ)、メンバーは次のような責任を果たしてくれるリーダーが必要です。 (a) 公平だと思える賃金が受け取れる (b) 職の安定が感じられる(c) グループが社会的インタラクションや友情をはぐくむ機会、また、理解され受け入れられていると感じる機会を与えてくれる(レベルⅠ、Ⅱ、Ⅲの欲求が満たされる)。
  7. グループの問題解決や意思決定に参加させてくれるリーダーを持つことでメンバーが得られる主な利益として、こうした活動から社会的インタラクションの欲求(レベルⅢ)、組織における自尊心や地位への欲求(レベルⅣ)、そして時には自己実現や自己開発の欲求(レベルⅤ)を満たす機会をメンバーに与えることができます。

 

 マズローの概念に改良を加えることで、リーダーはグループ・メンバーのニーズに対する洞察をより深めることができます。それは、フレデリック・ハーツバーグの研究から発展した二要因理論です。彼は、相対的に独立した2 つの要因が存在する証拠を収集しました。(1) 仕事を一緒にするグループの状況では、ある要因はニーズを満たすのに障害となり、イライラの原因または「不満要因」となります。(2) もう一方の要因は、ニーズを満たす供給者とみなされ、ニーズを満たすもの、または「満足要因」となります。

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[ニュースレター] 2020年2月号

─2020年2月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑨」

Date: February 25, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

人がグループに求めるもの

 人間の欲求を表わすのに役立つ方法として、いくつかの異なるレベルを持つヒエラルキーで表現するものがあります。この分野において先駆け的心理学者のアブラハム・マズローは、個人における5 種類の異なる欲求に関して、その相対的重要性を示した5 つの層からなるピラミッドを構築しました。

 レベルⅠの欲求、たとえば飢えや渇き、暖かさなどは、最も重要(あるいは「非常に優勢」)で、人が次のレベルにおける欲求を満たそうとするためには、まずそれらが優先的に満たされていなければなりません。レベルⅡの欲求(安心と安全)も、さらに上のレベルの欲求を充足しようとするためには優先的に満たしておかなければならず、ピラミッドの上へ行っても同様です。たとえば、空腹な原始人は、生命の危険を冒してでも(安心と安全の欲求を無視しても)食べ物を得るために野生動物を追跡することに、強く動機づけられるでしょう。その野生動物を殺して、必要な分だけ食べたら、今度は安心の欲求を満たすことに動機づけられ、残った肉を保存処理し、将来の消費に備えるために貯蔵するかも知れません(安心と安全の欲求)。食べ物が十分に蓄えられると、次に彼は友人たちを呼んで食べ物をシェアするかも知れません(受容と社会的インタラクションの欲求)。これらの欲求が満たされると、食べ物をより新しい味付けで調理することを試してみようとするかもしれません(達成感と自尊心の欲求)。最終的に、これらの欲求が程よく満たされたならば、彼はきっと洞穴の壁に殺した動物の絵を描くことにするでしょう(自己実現の欲求)。

 マズローの欲求5 段階説の意味するところは、リーダーにとって非常に重要なものです。

 

 

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[ニュースレター] 2020年1月号

─2020年1月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑧」

Date: January 2, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

グループ・メンバーの視点から見て、彼らのニーズが満たされるという希望が叶うようなことをしてくれることによって、グループのリーダーはリーダーシップのポジションを獲得します。もう一度強調すると、グループ・メンバーなしには、あなたはリーダーたり得ません。そして、グループ・メンバーがニーズを満たすのをあなたが助けてくれる時にだけ、彼らはあなたの指示や影響を受け入れてくれるのです。

とても単純なことのように聞こえますが、まずリーダーはグループ・メンバーが正確に何を必要としているのかを把握しなければなりません。そうして初めてリーダーは、グループ・メンバーのニーズを満たすために何をすべきかを判断でき、引き換えにグループ・メンバーは組織に対して一定の労力を提供し、あるいはその職務を果たすのです。この公平な交換がリーダーシップのカギとなります。

人びとはグループに何を求めるのでしょうか?初期における「科学的管理法」の専門家たちは、人は主に、個人的な収益のために働いているのだと考えていました。これは経済理論です。後に、人はグループから、それ以上のものを求めているという研究結果が立証されました――とりわけ、他のメンバーから認められること、達成感と成功感、他のメンバーとの社会的なインタラクション、グループに参加することから得られる社会的ステータスなどです。

ゆえに、社会経済理論の観点から考える方がより正確なのです。つまり、リーダーは、グループ・メンバーたちをグループに惹きつけておくだけの幅広いインセンティブを提供しているのだと認知する概念です。メンバーを生産的なグループ・メンバーとしてグループ内に保持しておくためには、効果的なリーダーはメンバーたちの単なる金銭的なニーズ以上のものを満足させる必要があります。

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