[ニュースレター] 2016年9月号

─2016年9月号─「悪いリーダーシップをよく観察:ケーススタディ」

Date: September 6th, 2016 | BY Marie Bryson
 
もし、私の人生の中で一つだけ真実なものがあるとしたら、これです。その人と私は全てにおいて全く正反対であるということです。私はステーキが好きで、彼は牛挽肉が好きです。私はものすごいレア肉を注文するので、キッチンでは温めたオーブンに肉を滑らせるだけでOKです。彼はすごいウェルダンの肉を注文するので、真っ黒になるまでオーブンに入れておかなければなりません。私は極めてカジュアルで、彼はものすごくカッチリしています。
 
そして、仕事です。
 
私は生きるために仕事をするタイプの人間です。彼は仕事をするために生きています。彼の自然の生息地はオフィスです。休暇?休暇は彼をストレスで参らせます。なぜなら、彼は職場を離れなければならないからです。
 
最近、私は口をぽかんとあけて彼を見ることがありました。なぜなら、「今週末、上司が車にひかれてしまえばいいのに・・・」と呟いたからです。
 
この時は本当に人が変わってしまった感じで、一皮むいてサイボーグである本当の自分を見せた方がいいのではないかと思うほどでした。
 
人は仕事ではなく上司を去る
 
私たちは皆、こんなことを耳にしたことがあるはずです。案の定、最近のGallupの調査によると、半数のアメリカの労働者は人生において上司が原因で仕事を辞めたことがあると言っています。数か月前、上司が新しくなったという人を知っています。彼は新しいレポーティング・ライン(新しい上司との関係)を疎ましく思っていたことも私は知っていました。しかし、彼の口からあの言葉を聞くまでは、状況がそんなにひどいということを知りませんでした。
 
こいつは、私が生きてきたのと同じくらい長く職場にいる奴なんだ。優しい人ではないね。ほとんどの期間、彼は週に60時間は働くことを期待しているマルチ・ナショナル企業で働いてきたんだ。そして、彼はそれをこなしてきた。喜んでだよ。
 
私:「車にひかれたの?うわぁ、あなた本当に上司のことが嫌みたいだね」と言いました。相手が問題を抱えていることを認識したので、アクティブにシフトしました。
 
彼:「あいつはあれをやっているんだよ。何をするか、どうやってするかを逐一指示するんだ。あいつは皆をクズ扱いするんだ。」
 
私:「あなたの上司はあなたをマイクロマネージして、あなたの同僚に対する扱いもひどくて、あなたを苛立たせるのね。」と私はフィードバックしました。
 
彼:「そうなんだ。例えば、私は会議の席ではノートパッドでメモを取るんだよ。紙のノートだよ。いつもそうしてきた。永遠に。今日奴は文字通り、会議を止めて、グループ全員の前で私に言ったんだ。このメモを取る行為が奴をとてもいらつかせると。そして、それは具体的な何かに影響を与えている訳ではないんだ。全く何も。奴はただ単にメモ取りが嫌いなんだ。なぜなら…えっと、奴は嫌いなだけなんだ。他の皆はラップトップでメモを取っているんだけど、それがなんだっていうんだ?私は違う。私は紙に書く。会議で議論したことを覚えていないという訳ではないよ。準備しないで行くことはないから。私の仕事の質に影響はない。これが私のやり方なんだ。今、それを変えるつもりはないし、奴にどんな影響があるっていうのかサッパリわからない。」
 
私:「そうね。あなたは、上司がただ単に嫌いという以外、何も特定の理由があるわけでもなく、権限をあなたに振りかざそうとしていると感じているみたいね。」と私は言いました。
 
彼は相槌を打ち、「それでもう一つ思い出した。相槌だよ。」
 
私:「相槌…それについてもっと詳しく話してくれる?」
 
彼:2-3ヶ月前に私たちは大きなグループで会議をしていたんだ。奴は仕上げなければならないある仕事について話していたんだ。私は奴の言っていることを理解したということを承認するために、相槌を打っていたんだ。奴は私の方をまっすぐ見て言ったんだ。「私は君に相槌を打ってもらわなくてもいいんだよ。私は君に理解して欲しいだけなんだ。」
 
神聖なロードブロック8番、バットマン
 
「そして、一ヶ月前に奴が持ち出したことがあるんだ。小さな部署だし、私たちは皆、ユニークな責任がある。別の会議で、奴はプレゼンで私たちがやっていること全てをリストアップしたスライドを見せたんだ。スライドでは1つのボックスにチェックマークがなく、奴はチェックマークが入っているところについては全て素晴らしい仕事をしていると言ったんだ。チェックマークがないものについて、一体誰の責任か皆わかっていた。公の場で侮辱したんだ。それに、奴以外の皆は同意していないよ。私たちはチェックマークがないものについて責任を負っている人と彼の仕事ぶりを尊敬しているんだ。上司はどういう訳か、それを持ち出した。信じられないほど、不愉快だったよ。」
 
私たちは話し続けました。彼の元上司からの人事考課は輝かしいものでしたから、彼は心配しています。しかし、間違いなく職場のハラスメントとも思えるような上司の下での次回の人事考課について、彼は心配しています。
 
私は彼の心配について話せる人は誰かいないのか聞きました。「人事部は従業員の側に立っていると考えれば、話に行くかも。でも、わからないから最悪なんだ。」
 
もし状況が改善しないなら――そして、人事考課が去年に比べて輝かしいものではないなら――彼は新しい仕事を探し始めるかも知れません。そして、そうなってしまったら、悲しいです。なぜなら、彼はこの上下関係になるまではこの仕事に満足していたからです。
 
これは、不幸にも、悪いリーダーが認められて、大事にされ過ぎた職場の現状です。彼らが最初に感情的に健康な職場を作る責任について教育され、その責任を負わされていなければ、不必要な離職率の高さ、従業員の仕事に対する熱意の欠如、生産性の悪さというコストが組織にかかります。

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[ニュースレター] 2016年10月号

─2016年10月号─「問題解決のミーティングのために必要な7つのベスト・プラクティス」

ミーティングは現代社会でビジネスを行う呪いです。多くの問題は一人の人間が自分で解決するには複雑過ぎます。大企業の中の異なる部署、それぞれがある問題の違う分野に対する責任、あるいは部署の中にある異なるチームが同じ問題に対する解決策を見つけ遂行する責任を持つのかも知れません。これは、企業の業務をシステム・アップグレードすることで大規模にオートメーション化する時、あるいは新製品ラインを導入する際に起こりえます。ミーティングは現代社会でビジネスを行う呪いですが、必要不可欠なものでもあります。では、どうやってミーティングをより効率的にすることができるでしょうか?
 
トーマス・ゴードン博士はミーティングの生産性を改善するための17の異なる方法を開発しました。そのうち、最も重要な7つの方法は以下の通りです。
 
ミーティングは同じ時間に同じ場所で行う。特定の問題に特化したミーティングは、いつものスケジュールで行い、毎回目的を持って行う。 ミーティングは小規模で行う(15名を超えない。5名なら尚良い)。問題に関連する各部署を代表して意思決定を行える権限を持つ人を一名特定して出席させる。同時に、その代表者が出席できない時に意思決定を委任されている代替者を選出しておく。 ミーティングは、リーダーではなくメンバーが当日のアジェンダのもっとも重要な項目が何なのかの優先順位をつけることから始める。リーダーはゴールを設定するが、グループが優先順位をつける。 不変のグラウンド・ルールを作り、ミーティングでは全ての人が貢献するチャンスを与え、誰もミーティングを独占しないようにする。 ミーティングのゴールに直接関連したアジェンダの項目にフォーカスする。当該ミーティングのゴールに関連しない問題の側面的議論へと脱線しないようにする。 お互いの得意分野をメンバーから根拠もなく推測されないようにする。ミーティングに出席する人は、代表している部署の専門知識を持ち、他のメンバーから信頼され選出される。 目的が1つ達成されたらチェックし、次のミーティングでの明らかな目的を設定する。  
トーマス・ゴードン博士の著書「Leader Effectiveness Training」では、これらのポイントの一つ一つに関してより詳細に解説しています。ここでは言及していませんが、著書ではミーティングの企画・司会について10の特徴についても書いています。しかし、これらのたった7つの原則を遂行しただけでも、ミーティングは飛躍的に効率化し、生産性が向上します。最も重要なことは、メンバーはミーティングを短く終わらせることができ、皆、ビジネスの本当の仕事――ミーティングで合意した解決策の遂行――に戻れることです。

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[ニュースレター] 2016年11月号

─2016年11月号─「電子的に対決することは有益ですか?」

Date: November 16th, 2016 | by Brian K. Miller
 
 昔、ビジネス・コミュニケーションのほとんどが対面で行われていました。マネジャーは直接チーム・メンバーに話し、チーム・メンバーは直接顧客に話していました。今日の世界では、ほぼ全てのコミュニケーションは電子的なものです。マネジャーはE-メールやテキスト・メッセージなどのアプリケーションを通してチームと話します。そして、チーム・メンバーも同じようなツールを使って顧客と対処します。契約ですら紙面による直筆サインより電子サインを使用しています。

 L.E.T.スキルはテキスト・ベースのコミュニケーションのためのデザインにはなっていません。注意深い配慮なしにE-メールやテキスト・メッセージで使用しようとするのは扱いにくいですし、不自然です。しかしながら、それが役に立たないという意味ではありません。それは、ただ単に少しだけ注意深く考えなければならないということです。

 例えば、あなたの会社のブラックベリーやスマホから安全なメッセージ・アプリケーションで送られる典型的なテキスト・メッセージは以下のように書かれるかも知れません。
 
「Mtg @ 11. pp?」
 
 これがあなたのマネジャーから届いたとします。最初は、謎めいているように思います。なんておかしな暗号なのか?あなたのマネジャーが、あなたに話しかけたとしたら、こう言うでしょう。「重要な顧客とのミーティングが11時にあるから忘れないで下さい。私はまだパワーポイントのプレゼンを見ていないのだけど、もう完成しましたか?」

 あなたがマネジャーの電子的速記に精通しているなら、ブラックベリーのメッセージは完璧に意味をなすものでしょう。しかし、意味がわからないのであれば、読み解くのに時間を浪費しなければなりません。一旦意味がわかったなら、返事を書かなければなりません。要するに、パワーポイントのプレゼンを仕上げるのに使えた時間を10分~15分も無駄にしてしまうということです。

 当然ながら、第一の課題はパワーポイントのプレゼンを仕上げて、あなたのマネジャーに送ることです。それをした後、マネジャーの謎めいたメッセージについて彼に対決します。これには適切な対決的I-メッセージが必要です。しかし、「あなたが謎めいたテキスト・メッセージを送る時、課題を終わらせる前に私はメッセージを解読するのに時間をとられ、混乱してしまいます」というのは魅力的なアプローチではありません。あなたがどれだけ注意深くI-メッセージを作成しても、簡単に誤解を招きます。

 あなたのメッセージ送信のアプリを通してI-メッセージを送る代わりに、受話器を取って直接マネジャーに電話をし、あなたのI-メッセージを伝える方がよいでしょう。これをすることで、テキスト・メッセージのアプリによる遅れもなく、すぐに対面でギア・シフトをする機会が訪れるでしょう。もし、あなたのマネジャーが電話嫌いな人ならば、他の選択肢としてテキスト・メッセージを送ってミーティングをするのに都合のいい時間を聞くことです。そのミーティングで直接会って対決的I-メッセージを送ることができます。

 現代のテキスト・メッセージやE-メールでのペースの速い世界でさえも、対決は対面で行うか、電話で行うのが最善です。明確化が今も尚、良いコミュニケーションの最も重要なクオリティです。誰かに対してひどい電子的コミュニケーション・スキルについて対決する時、昔からの方法、つまり対面で行うことで最も効果的に達成できます。

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[ニュースレター] 2016年12月号

─2016年12月号─「大統領選挙について話すのが辛いですか?(GLOPの指導書)」

Date: December 13th, 2016 | BY Marie Bryson
 
そうですね。

あなたがどちらの側についていたかに関わらず(今回は投票を見送ろうと思っていたとしても)、皆さんも同感だと思いますが、非常に醜くてアメリカを分断した衝撃的な18か月間の政権運動でした。そして、どちらが勝ってもそれは変わりません。

どこに行ってもGlop, Glop。
 
人種差別主義者.”
偏屈者
リベラルと称する間抜け
嘆かわしい
急進的フェミニスト
独裁者.”
ナチス
共産主義者
犯罪者
正気とは思えない
悪党
反逆者
社会正義を守る戦士SJW (Social Justice Warrior).” (あたかも悪いことのように言われますが…)
 
GLOP(General Labeling of People)の教科書的例を探すとしたら、今回の選挙でお互いを誹謗中傷した事例以上のものはないでしょう。

GLOPは猿の檻の中の排泄物のように飛び交った――ソーシャル・メディア、インターネット画像、集会で、会議で、落書きで、飛行機の中で毎日アメリカ人によって捕らえられる問題のあるビデオで、公共交通機関で、手芸店で、コーヒーショップで。礼拝の場所にも純粋にGLOPに基づく脅迫文が届きます。

ヘイ、アメリカ。これよりは上手くできるでしょう。

GLOPが何か、どうして人々はGLOPに頼ってしまうのでしょう。

L.E.T.でいうGLOPとは、誰かにレッテルを貼る方法(あるいはグループ全体に対して)で、それは他の誰かが言ったことややったことの解釈です。それに飛び乗ってパッと手っ取り早く判断を下すことに他なりません。軽蔑的で、敵対的で、破壊的です。GLOP(レッテルを貼られた)されているその人あるいはグループと共有する心理的な共通の特徴を取り除きます。人々を対立する派閥に分断してしまいます。

(そして、私自身もGLOPPINGをたくさんしていることを認めます。特に大統領選挙の結果が出た夜は、何度も飲み物を流しました。誰も完ぺきではありません。)

しかし、最終的にはGLOPはオープンで正直で建設的なコミュニケーションの可能性を取り除いてしまいます。――それは私たちが来年以降是が非でも必要なものです。

私たちは努力を倍増させなければならないでしょう――政府の世界だけでなく、個人、家族、公共の場、職場で――私たちはGLOPなしにお互いに臨むようにします。

GLOPはトーマス・ゴードン博士の対立解決法の最初のステップである、満たされないニーズの観点から対立を定義するという基礎をなす原則を根本的に無視します。

私たちは単に不愉快なだけなので、深い意見の不一致がある訳ではありません――私たちは意見の不一致の根底にあるニーズを表明する方法をまだ見つけていないので意見の不一致をみているのです。
 
アサーティブ vs. アグレッシブなコミュニケーション
予想される家族間での政治的議論を避けるため、私は今年、休暇に家族で集まることをしない選択をした人たちを知っています。彼らは通常不愉快ではあるものの扱いやすいです。しかし、今年に限っては実際に殴り合いになったり完全に人間関係が終わったりしてしまうことを恐れたのです。

お願いだから、アメリカ人たち。もっとうまくできるはずでしょう?

まずはリフレッシャーです。アサーティブ・コミュニケーションとアグレッシブ・コミュニケーションには違いがあります。

アサーティブ・コミュニケーションは、私たちのニーズが究極的に満たされることを期待して、私たちのニーズを他の人たちに伝えるためにデザインされています。ある意味、それは同時に相手の感情やニーズに敬意を表し、敏感である方法によります。I-メッセージは満たされないニーズについてのアサーティブ・コミュニケーションを形成する熟考されたシステマティックな方法です。

アグレッシブ・コミュニケーションは、逆にコミュニケーションをしている人のニーズを満たすことを求めて相手の感情を無視します。それは敵対的で、無神経で、コミュニケーションの流れを中断してしまいます。それは正直かも知れませんが、相手に恥をかかせたり、傷つけたり、辱めたり、脅かしたりすることもいとわない、「正直」の種類です。アグレッシブ・コミュニケーションは「Dirty Dozen」のコミュニケーション・ロードブロックのいくつかを定期的に採用します:命令する、指図する、警告する、脅かす、批判する、判断を下す、悪口をいう。

大統領選挙に関連して、あなたも心当たりがあるならば、話しましょう。

レッテルではなく、行動に焦点を当てましょう。

自分がアグレッシブ・コミュニケーションを受ける側にいたら、状況を悪化させないように応答することは、時として難しいです。とても難しいです。しかし、L.E.T.のスキルをもった熟練したコミュニケーターであるということは本当に役に立ちます。

ここで少し、予想される家族内での政治的議論について話し合ってみましょう。「人種差別主義者、同性愛嫌悪者、女性嫌悪者、逆行する人、こぶしを引きずる不愉快な奴」ということで同意できない親戚の人たちを切り捨てる前に、(精神的にもそれ以外にも)その他にも自由に使えるツールがいろいろあります。

例えば、行動の窓があります。

休暇の集まりでマッシュポテトを回している間、勝ち誇ったからかいを含む喜びに沸いた勝利のダンスを見る側にいたとします。その時、その行動が受容エリアにあるのか非受容エリアにあるのかを決めることができます。それは、結局ある日の食事風景です。誰も人の気持ちを変えられることはほとんどなく、対決は非生産的であると認識しつつ、受容エリアを広く持ってこの集まりのイベントの中に入っていくこともできます。

私たちには宣言的I-メッセージ、予防的I-メッセージがあります。全てが失敗に終わったとしても、価値観の衝突が常にあることを認識しています。

全てが失敗した時には、信条があります。

最終的なGLOP反対者のメディテーションです。
 
私の人間関係に関する信条

あなたと私は、私が尊重し維持したいと考える人間関係にあります。私たちそれぞれは、個別の価値観とニーズを持つ人間です。
 
私たち各々が何を尊重し、欲しているのかをよく知り理解するために、私たちのコミュニケーションにおいては常にオープンで正直でいましょう。
 
あなたが人生において問題を経験している時、私の解決策を押し付けないで、あなた自身の解決策を見出せるように、私は誠実な受容と理解の態度であなたの話に耳を傾けます。そして、私が自分の問題の解決策を見つける必要がある時には、あなたも私の話に耳を傾けて欲しいのです。
 
私自身のニーズを満たすために私がすべきことを、あなたの行動が妨げる時には、私はあなたの行動がどのように私に影響を与えているかを隠さず正直にお話しします。何故なら、あなたが私のニーズや感情を充分尊重してくれていて、私にとって受容できない行動を変える努力をしてくれると信じていますから。また、私の行動をあなたが受容できない時は、あなたも隠さず正直に話してくれることを望みます。私も自分の行動を変えるように努力します。
 
そして、人間関係において私たちが対立を経験する時、一方が他方を犠牲にして勝つために権力に訴えることがないよう、一つひとつの対立を一緒に解決するようにしましょう。私はあなたのニーズを尊重しますが、私自身のニーズも尊重しなければなりません。ですから、いつもお互いが受容できる解決策を一緒に探す努力をしましょう。あなたのニーズも私のニーズも満たされる―――どちらも負けることなく、お互いが勝つのです。
 
このように、あなたはあなたのニーズを満たすことで人間として成長し続けることができます。そして、私自身も同様です。よって、私たちの人間関係は健全な人間関係で、お互いが実現可能な存在になるよう努力することができるのです。そして、私たちはお互いに尊重し合い、愛し合い、平和的に関わり続けることができるのです。
 
                                                                                             トーマス・ゴードン博士

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[ニュースレター] 2017年1月号

─2017年1月号─「ニーズとリーダーシップ: 権力の使用・悪用の対価」

Date: January 9th, 2017 | BY Marie Bryson
 
今年の1月、私は明らかな理由で新しい門出に思いを馳せていました。思いを馳せていたら、効果的なリーダーシップについての基本的な仮説は多くの場合、語られないままであることに驚きました。
アブラハム・マズローのニーズのヒエラルキーの理論が1943年に開発された時(これは多分偶然ではないでしょうが、第二次世界大戦の真っただ中と合致しますが)、私たちは最も基本的なレベルでほとんどの人を動機付けるものが何なのかについての洞察を得ました。
復習しますと、マズローは次のような理論を展開しました。人は一般的に、「プラミッド」あるいはヒエラルキーの上の方のニーズを満たすことに労力を向ける以前に、一番下のレベルのニーズを満たす必要があります。生理学的で安全性のニーズがピラミッドの基本的な2つのレベルを形成しています。第二次世界大戦以前のボスたちは、これらの2つのレベルのニーズをレバレッジした権力を使って、例えば、生理学的で安全性のニーズを提供したり取り上げたりする方法で人々を引っ張っていました。
前世紀の大半は、権力のみを行使することで人々を導くことが「最善の方法」なのかどうかを北米の人はほとんど疑問に思いませんでした。
少なくともほとんどの組織環境において、私たちはそのようなリーダーシップをなくしました。
しかし、明らかに「おまえはクビだ!」の魅力は完全にはなくなりませんでした。結局――そのアプローチの方が速いのです。即座に目に見える「人間関係の問題」を取り除いてくれるほど効果があります。
そして、それは言うことを聞かないと次はあなたですよということを人々に通告します。上司は上司!時間と労力を使って部下との人間関係を構築するより、その権力を持って、時として鞭をふるったらどうでしょうか?
 
人はどのように権力に反応するのか
「誰でも負けるのは嫌いです。相手に有利な人間関係を喜ぶ人はいません。自分から何かをはく奪するようなことを強要されることは、誰も望んでいません。権力が人々に様々なリアクションを引き起こすのも納得できます――権力と戦い、回避し、権力から防衛し、その影響を無効にしようと試みます。」(Dr. Thomas Gordon, Leader Effectiveness Training, p. 171)
どのようにリーダーとして導くかは常に究極的には個々人のリーダーの裁量です。しかし、対立を解決するために権力を使う選択肢(メソッドⅠのWin-Lose解決法)の結果は予見できます。
 
上に向かって行うコミュニケーションの削減
面白くないニュースを持ってきたメッセンジャーをリーダーが叩き潰すなら、当然、リーダーが受け取れるニュースの量は減るでしょう――それは激減するでしょう。怒りや報復のための権力使用を引き起こす恐怖から、トップに伝えられる情報の正確性も損なわれます。ゲームの名前は「上司には聞きたいことを伝えなさい」というもので、それがうまく行かないことはないでしょう。
 
おだてたり、ご機嫌をとったりする反応
おだてたりするYes-menやYes-womenが増加しています。権力行使に頼るリーダーは、自分が望むフォロワーを作り出します。通常、それはお気に入りの排他的小集団で地位を得るためには何でも言ったりしたりする人たちの集団です。
 
服従と適合
特に上司に頼まれたことを正確に行うことは、多かれ少なかれフォロワーが罰を回避するために使うコーピング・メカニズムです。この行動は、命令が理にかなっていない、あるいは明らかに間違っていたとしても持続します。
 
抵抗と反抗的な態度
権力の悪用に対する一つのコーピング・メカニズムは、指示・命令全てに対して、それがどんなに小さなことでも文字通り質問したり抵抗したり、グループ・プロジェクトでモラールの損失や障害になることです。
 
同盟や連立を組む
権力が定期的に使われ、悪用される時、アメとムチで脅される人たちは、非公式に互いにコミュニケーションを取り合い始めます。仕事の遅滞、病欠、回避方法、妨害行為、労働組合が職場での非公式なコミュニケーションの事例です。
 
引きこもりと逃避
限界まで追い込まれた時、人は有害な権限を振りかざす人を避けようとします。
 
権限の使用に代わる選択肢
リーダーが、マズローのニーズのヒエラルキーの高いレベルに人々を導くための方法があることは証明されています。最も基本的なニーズを拒否することで恐怖心を植え付ける方法ではなく、相互信頼、自尊心の確立、自己実現の自由を求める心にアピールすることで達成できます。リーダーシップのNo-Lose対立解決法に投資する組織は、本当の意見の一致、健全な人間関係、離職率の低さによって達成される質の高い意思決定、その決定をやり遂げるコミットメントの増加という恩恵を受けるでしょう。

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[ニュースレター] 2017年2月号

─2017年2月号─「権力の多様化」

Date: February 26th, 2017 | BY Brian Miller
 
 人間関係の権力は思ったほど簡単な概念ではありません。多くの人間関係で、権力の役割は明確ですが、一部の人間関係ではあいまいで定義するのが難しいのです。「権力」という言葉ですら、人によっては異なる意味に捉えられます。ゴードン・モデルでは、私たちは通常権力による人間関係を2種類に分類して対処しています。それらを「メソッドI」と「メソッドⅡ」と呼んでいます。
 メソッドⅠはトップダウン型の権力による人間関係です。一人の人間が意思決定をし、他の人(あるいはチームの全員)がその決定に従います。トップダウン型のメソッドⅠのリーダーは通常、役職だからということでチームの責任を負っています。しかしながら、これは必ずしも真実ではありません。あるグループでは、責任者は一貫してある一人のグループ・メンバーの意見に従います。グループ・リーダーがどう感じていようが、グループは一人のメンバーの決定や意見に従います。最初は、グループ・リーダーは弱くて能力のないリーダーのように思えますが、それはグループ・ダイナミックスの正しい解釈ではありません。リーダーのタイトルを持っている人が他の人のフォロワーになります。自然と、あるケースでは、このようなことが起こります。なぜならば、本当のグループ・リーダーは役職だからリーダーになっている人よりも、より仕事ができるからです。ほとんどの場合、このようなことが起こる理由は、本当のリーダーはアグレッシブで支配的なパーソナリティを持ち合わせており、グループに対して命令ができるのです。もし、グループが自分たちの課題をやり遂げて、自分たちの目標に達するならば、この状況は受容できる状況かも知れません。残念ながら、時間とともに役職だからグループ・リーダーになっている人は本当のリーダーからだけでなく、他のグループ・メンバーからも拒否され、軽蔑されたと感じるでしょう。役職だからリーダーである人は、いつかけんか腰の態度やいじめによって支配を再度主張しようとします。そうなった時、生産的なチームも突然非生産的になってしまいます。
 メソッドⅡはボトムアップ型の権力による人間関係です。この状況はほとんどの人たちが「弱いリーダーシップ」と解釈しているものです。人間関係で権力を保有している(あるいは役職からチームのリーダー)と思われている人は、ほとんど、あるいは全く自分の個人的な考えをグループに主張しません。その代わり、アイデアはいつもグループから出され、グループは議論したり投票したりして、どのアイデアを採択するかを決定します。この状況は多くの人たちにとって、グループ・リーダーとしてもグループ・メンバーとしても、とても生産的で心地よいものです。上記の状況のように、役職からリーダーになった人ではない真のリーダーの場合、徐々にグループから仲間はずれに感じ始めます。グループ・リーダーは不必要で快く受け入れられていないと感じます。このようなネガティブな感情がピークに達し始めると、グループ・リーダーはグループ・ディスカッションからもっと引きこもってしまうでしょう。このようなことが起こると、グループは明らかに目指すべき目標もなくなり、生産性が劇的に低下してしまいます。
 権力が人間関係の土台になっている時はいつでも、権力者から従うように強要されている人は拒絶感を経験します。この拒絶の感覚は、やがて無気力感(欲望の欠如)や倦怠感(意欲の欠如)を生み出します。無気力感や倦怠感がひとたび人の心を支配し始めると、回復するのはとても難しいのです。職場に現れない人、しばしば自分の上司と口論する人、予定より遅れてしまう人、あるいは頻繁に病気になる人は、無気力感あるいは倦怠感、またはその両方に深く陥ります。
 対立は時としてこのような権力に基づいた人間関係の中で起こります。ゴードン・モデルの強みに一つは、このような人間関係を上手く切り抜けるためのツールを提供します。実際の権限ではなく、役職から権限を持っている人は、どのようにグループの中の権限が均衡を失したのかについてのグループの認識を高めるために、対決的I-メッセージ、アクティブ・リスニング、ギア・シフトを使うことができます。メソッドⅢの対立解決法は、権力のバランスを取り戻し、生産性を回復させるための仲立ちとして使われます。同様に、権力の基づいた人間関係によって抑圧され、疎外されたグループ・メンバーは、対決的I-メッセージを使って権力を使っている人に自分自身の感情を伝えて気づかせることができます。グループ・メンバーはアクティブ・リスニングやギア・シフトを使って、人間関係を権力によってコントロールしようとする人の理不尽な要求に対して反応することができます。
 私たちが力関係が不均衡な人間関係にある時、L.E.T.で学んだスキルが権力のバランスを回復させるためのロードマップとなります。

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[ニュースレター] 2018年3月号

─2018年3月号─「パワハラをしないで済む方法はリスニング・スキル」

Date: March 1st, 2018 | BY Brian K. Miller

 日本において、パワハラが再びトップ・ニュースになっています。レスリング界では栄和人監督のパワハラについて告発状が出され、話題となっています。内容は割愛させていただきますが、ここで興味深いのはパワハラをされたとされるオリンピック金メダリストの伊調馨選手が告発状を出した本人ではないということです。
 パワハラは通常リーダーが反対意見を恐れて行われます。ほとんどの場合、このような恐怖を掻き立てている前提として、「準優勝はありえない」ということに集約されています。多くのリーダーはたった一つのゴールしか見えていません。部署のトップ、業界トップ、市場のトップ等々。質と価値を目指して努力することは常に重要ですが、ナンバーワンになるという強迫観念は全く有益ではありません。完全なる勝利への強迫観念は常に破壊的な力となってしまいます。その破壊的な力は自信喪失や周りの世界の全ての局面をマイクロマネージしたいというニーズに由来します。完全支配は不可能ですし、たった一人あるいはたった一つの企業しかナンバーワンになれませんから、完全支配や最高の勝利への強迫観念にはたった一つの結果しかあり得ません。それは落胆と不名誉です。不名誉への恐怖がリーダーをパワハラ依存へと導き、自分のチームを完全支配しようとします。
 パワハラの治療法はリスニング・スキルを改善することです。良い聴き手の特性は受容、共感そして誠実さです。当然ながら、リーダーが完全支配を求めるとき、これらの特性を持ち合わせることは不可能です。リーダーが絶えず受容を示すことは大切です。リーダーは、部下が持ち込む全てのアイデアに同意することはできませんし、すべきではありません。なぜならば、アイデアによっては締め切りを守ることや生産的であろうとするチームの能力を台無しにすることがあるからです。しかしながら、リーダーは全てのアイデアを受容する態度を示さなければなりません。受容は同意ではありません。
 リーダーがアイデアを提示されたときに、その利点を認識して応答する時に受容が起こります。アイデアの利点を認識するということは、リーダーが個人的な利点を認識し、アイデアを出した人の人間としての価値も認識しているのです。受容を表すことで、リーダーは個々のチーム・メンバーが創造力を働かせて考え続け、発生する問題について絶えずより良い解決策を見つけるよう促します。より多くの問題についてチーム・メンバーが創造的に、また自信を持って自ら解決することができれば、リーダーが自分の労力と時間を費やして解決に乗り出さなければならない問題というのは少なくなります。これにより、リーダーはより大きな戦略的問題、将来のプランニングやチームの総合的な方向性にフォーカスすることができるようになります。
 共感というのはマスターするには難しいスキルです。共感というのは感情の同列化ではありません。チーム・メンバーが問題に直面しているのと「同じように感じる」ことではないのです。共感は、受容の結果であり受容のパートナーでもあるのです。共感は、たとえ問題がリーダーにとって小さかろうが馬鹿げていようが、チーム・メンバーにとって不可欠で圧倒的なものであることを認識することから始まります。問題がどのようなものであろうと、その問題はチーム・メンバーにとって重要なのです。リーダーにとってチーム・メンバーの問題が実在的ではなくとも、共感は、チーム・メンバーの問題が彼らにとっては実在的であると認識することです。リーダーが手を止めて、チーム・メンバーに注意を払い、この問題がそれを訴えている人にとってとてもリアルであることを受け入れるとき、共感は明白に示されます。
 注意を払うことはリスニングのスターティング・ポイントです。チーム・メンバーは、乗り越えられないように思える幅広い問題を経験することでしょう。チーム・メンバーがそれらの問題をチーム・リーダーに相談しようとやって来た時には、電話を置いて、キーボードから手を離し、あなたがしていたことが何であろうと中断して顔をあげてチーム・メンバーの顔を直接見ることが重要です。明らかにチーム・メンバーは自分だけでは問題を解決することができませんが、それは彼らにとって非常に重要で、問題は差し迫っており、彼らはあなたの時間が必要だと感じているのです。あなたがしていることを止めて、注意を払い、この問題(考えであれ、何であれ)があなたのチーム・メンバーにとって重要であることを受容し、これらすべてを用いてチーム・メンバーが思い浮かんだ新しいアイデアを提案できるよう促します。
 リーダーは、チーム・メンバーが将来何年にもわたってビジネス・モデルを改善するみごとで創造的な解決策を見つける瞬間を予想することなど決してできません。チーム・メンバーに、そのような人生を変えるようなアイデアを持って来てもらう唯一の方法は、絶えず良いリスニング・スキルを練習することです。良いリスニング・スキルを練習してさえいれば、パワハラを拠り所にしてあなたのチームの目標を達成するよう推進することはなくなるでしょう。

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[ニュースレター] 2018年4月号

─2018年4月号─「注意を払う行動と沈黙を組み合わせる」

Date: April 17th, 2018 | BY Brian K. Miller
 
私は同じ考えを繰り返し考える傾向があります。わかっています。私が同じ考えに戻ってしまうのには理由があります。今日の職場で起こるほとんど全ての問題(セクハラ、パワハラ、締切りを守れない、従業員の欠勤、士気の欠如等々)は同じ場所から派生しています。人々は感謝されていると感じておらず、自分の意見を自由に言えないと感じています。今日の職場での重大な問題は、誰も人の話を聞いていないということです。ほとんど権力のない(あるいは絶大な権力を持つ)人は全て、問題解決したり命令を下したりするのに忙し過ぎて、部下の話に耳を傾ける時間がありません。
リーダーが開発できる最も重要なスキルは自分の部下の心配事に誠実に耳を傾ける方法を習得することです。自分たちの意見がリーダーにとって重要であると感じるとき、人々は日常の問題解決に対して自由に、より創造的になることができます。最後には、日常の問題を解決することが、ビジネスを軌道に乗せるためのたった一つの課題です。
ですから、もう一度、時間を作って基本的なリスニング・スキルを復習してみましょう。ゴードン・モデルは4つの基本的なリスニング・スキルを定義しています。
 
1. 注意を払う行動
2. 沈黙
3. ドア・オープナー
4. 簡単受容
 
今日は、2つのスキルにフォーカスしたいと思います。注意を払う行動と沈黙です。
 
1. 注意を払う行動
 
職場と家庭での人間関係における苛立ちの最も大きな原因の一つは、携帯電話です。会話の最中、あるいは時として会議をしている最中にすら鳴り、相手は突然話を中断してテキスト・メッセージに返信します。インスタント・コミュニケーションは今日の世界では最もパワフルなビジネス・ツールですが、場合によっては人間関係にダメージを与えうるツールでもあります。頭のいいリーダーであれば、オフィスに着いたらすぐに私用の携帯電話は電源を切り、机の引き出しに入れ、一日の仕事が終わるまでそこにしまっておくでしょう。2番目に効果的な戦略は、「サイレントモード」にしておくことで、携帯電話が鳴ったり振動したりすることがありません。そして日中、携帯電話のメッセージをチェックし、返信する時間を確保しておきます。最も非効果的な方法は、私用の携帯電話をノーマルモードのままポケットの中に入れて、携帯電話が鳴っても無視することです。私用の携帯電話なら、ほとんどの場合は仕事が終わるまでに1~2回も確認すれば事足りるでしょうから、できることなら最低でも「サイレントモード」にしておくのがベターでしょう。
話が若干逸れてしまいましたが、ここで言いたいのは、会話の最中に携帯電話が鳴り、それによって会話が中断されてしまうと、聴き手側の話し手に対する注意力が疎かになるだけでなく、相手に不快感を与えるということです。仮に「マナーモード」だったとしても、ポケットの中で突然バイブレーションが鳴れば、聴き手側の話し手に対する注意力は疎かになる恐れがあります。ちょっとした変化でも、敏感に感じ取る人はいるものです。ですから、相手の話を聞くときは常に、相手に対して注意を払うための最低限の気遣いが必要なのです。
 
2. 沈黙
 
人間は非常に奇妙な動物です。私たちは話をするのが好きです。私たちの中には話を止めない人もいます。しかしながら、私たちも人の話を聞かない限り、結局お互いの話を遮り、全く何も伝えることができないで終わってしまいます。私たちは話すのが好きですから、最も効果的な基本的リスニング・スキルの一つは、単純に全く何も言わないということです。電話を置き、話し手の目を見て、注意を払い、そして相手が力尽きるか解決策に到達するまで長々と話をさせてあげます。私がしたことは、相手が話し終えるまで静かに座っていただけですが、相手が何度「ありがとう!君のおかげで助かったよ!」と言ってくれたか数え切れません。
注意を払う行動と沈黙を組み合わせることで、驚きの結果を成し遂げることができます。あなたがしていることを止めて、相手の目を見て、話をさせてあげれば、驚くほど多くの問題が簡単に自然と解決されます。もちろん、これだけで全ての問題を解決できるわけではありませんが、この単純なリスニング・スキルだけで職場で起こりうる小さな日常の問題の多くを解決することができます。もっと重要なことは、部下が自分たちの会社への貢献が重要であり、自分たちの意見が本当に大切にされていると感じるようになることです。
 
今回は4つの基本的なリスニング・スキルから2つを取り上げましたが、この2つのスキルだけでも、相手に対する印象は大きく変わります。注意を向けて話を聞いてくれているという実感が、相手の自分に対する見方に影響し、より話しやすい環境を形成してくれるのです。より踏み込んだ問題解決への足掛かりとして、今一度、ぜひ活用してみてください。今まで何も話してくれなかった人が、ひょっとしたら、突然話をしてくれるようになるかもしれません。
 
注意を払う行動と沈黙を組み合わせる  
Date: April 17th, 2018 | BY Brian K. Miller
 
私は同じ考えを繰り返し考える傾向があります。わかっています。私が同じ考えに戻ってしまうのには理由があります。今日の職場で起こるほとんど全ての問題(セクハラ、パワハラ、締切りを守れない、従業員の欠勤、士気の欠如等々)は同じ場所から派生しています。人々は感謝されていると感じておらず、自分の意見を自由に言えないと感じています。今日の職場での重大な問題は、誰も人の話を聞いていないということです。ほとんど権力のない(あるいは絶大な権力を持つ)人は全て、問題解決したり命令を下したりするのに忙し過ぎて、部下の話に耳を傾ける時間がありません。
リーダーが開発できる最も重要なスキルは自分の部下の心配事に誠実に耳を傾ける方法を習得することです。自分たちの意見がリーダーにとって重要であると感じるとき、人々は日常の問題解決に対して自由に、より創造的になることができます。最後には、日常の問題を解決することが、ビジネスを軌道に乗せるためのたった一つの課題です。
ですから、もう一度、時間を作って基本的なリスニング・スキルを復習してみましょう。ゴードン・モデルは4つの基本的なリスニング・スキルを定義しています。
 
1. 注意を払う行動
2. 沈黙
3. ドア・オープナー
4. 簡単受容
 
今日は、2つのスキルにフォーカスしたいと思います。注意を払う行動と沈黙です。
 
1. 注意を払う行動
 
職場と家庭での人間関係における苛立ちの最も大きな原因の一つは、携帯電話です。会話の最中、あるいは時として会議をしている最中にすら鳴り、相手は突然話を中断してテキスト・メッセージに返信します。インスタント・コミュニケーションは今日の世界では最もパワフルなビジネス・ツールですが、場合によっては人間関係にダメージを与えうるツールでもあります。頭のいいリーダーであれば、オフィスに着いたらすぐに私用の携帯電話は電源を切り、机の引き出しに入れ、一日の仕事が終わるまでそこにしまっておくでしょう。2番目に効果的な戦略は、「サイレントモード」にしておくことで、携帯電話が鳴ったり振動したりすることがありません。そして日中、携帯電話のメッセージをチェックし、返信する時間を確保しておきます。最も非効果的な方法は、私用の携帯電話をノーマルモードのままポケットの中に入れて、携帯電話が鳴っても無視することです。私用の携帯電話なら、ほとんどの場合は仕事が終わるまでに1~2回も確認すれば事足りるでしょうから、できることなら最低でも「サイレントモード」にしておくのがベターでしょう。
話が若干逸れてしまいましたが、ここで言いたいのは、会話の最中に携帯電話が鳴り、それによって会話が中断されてしまうと、聴き手側の話し手に対する注意力が疎かになるだけでなく、相手に不快感を与えるということです。仮に「マナーモード」だったとしても、ポケットの中で突然バイブレーションが鳴れば、聴き手側の話し手に対する注意力は疎かになる恐れがあります。ちょっとした変化でも、敏感に感じ取る人はいるものです。ですから、相手の話を聞くときは常に、相手に対して注意を払うための最低限の気遣いが必要なのです。
 
2. 沈黙
 
人間は非常に奇妙な動物です。私たちは話をするのが好きです。私たちの中には話を止めない人もいます。しかしながら、私たちも人の話を聞かない限り、結局お互いの話を遮り、全く何も伝えることができないで終わってしまいます。私たちは話すのが好きですから、最も効果的な基本的リスニング・スキルの一つは、単純に全く何も言わないということです。電話を置き、話し手の目を見て、注意を払い、そして相手が力尽きるか解決策に到達するまで長々と話をさせてあげます。私がしたことは、相手が話し終えるまで静かに座っていただけですが、相手が何度「ありがとう!君のおかげで助かったよ!」と言ってくれたか数え切れません。
注意を払う行動と沈黙を組み合わせることで、驚きの結果を成し遂げることができます。あなたがしていることを止めて、相手の目を見て、話をさせてあげれば、驚くほど多くの問題が簡単に自然と解決されます。もちろん、これだけで全ての問題を解決できるわけではありませんが、この単純なリスニング・スキルだけで職場で起こりうる小さな日常の問題の多くを解決することができます。もっと重要なことは、部下が自分たちの会社への貢献が重要であり、自分たちの意見が本当に大切にされていると感じるようになることです。
 
今回は4つの基本的なリスニング・スキルから2つを取り上げましたが、この2つのスキルだけでも、相手に対する印象は大きく変わります。注意を向けて話を聞いてくれているという実感が、相手の自分に対する見方に影響し、より話しやすい環境を形成してくれるのです。より踏み込んだ問題解決への足掛かりとして、今一度、ぜひ活用してみてください。今まで何も話してくれなかった人が、ひょっとしたら、突然話をしてくれるようになるかもしれません。

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[ニュースレター] 2018年5月号

─2018年5月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.1」

Date: May 9th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon   
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
一般的なリーダーシップ
Page 2: 
もしも、リーダーであることがこのように不快な経験を伴うのであれば、それはほとんどの場合、リーダー自身の非効果性に原因があります。そして、リーダーとして効果的であることに特化した研修などを受ける機会がほとんどないことを考慮すると、いかにリーダーであることが、多くの場合に難しく、消耗し、失望してしまうものであるかは理解できます。
Page 8:
権力を使うことなくどのように人々に影響を与えるかがリーダーとしての効果を高める鍵となります。
 
Pages 17 – 18:
リーダーとは何か?
「リーダーは育てられるものではなく、生まれつくもの。」社会科学者がわずか60年~70年前に徹底的な調査の本格的な主題にし始めるまでは、ほとんどの人がそう考えていました。その昔、リーダーとなる人があまりにも頻繁に恵まれた同一の家系から出現していたことから、ほとんどの人がリーダーシップは受け継がれるものだと考え、社会的に根強い階級差別があったことから、誰でもがリーダーになれるわけではありませんでした。階級差別が撤廃され、リーダーが社会のあらゆる階層から出てくるのが明らかになると、リーダーシップは優秀な遺伝子を持って生まれたり立派な家庭から生まれたりするよりも、もっと複雑なものであるということが常識になりました。
遺伝子の適切な組み合わせでリーダーが生まれるわけではないとすれば、恐らく、全てのリーダーはしつけや教育を通して習得した特定の特性や特徴を持ち合わせているのではないでしょうか。この考え方によってリーダーの普遍的な特性の調査が始まりました。しかし、何百という研究によって、リーダーとそうでない人との間には何の特性の違いもないということが判明し、リーダーシップがリーダーの中に備わっている特定の属性の産物であるという仮説は消えてなくなりました。
社会科学者たちが、リーダーとフォロワーとの間のインタラクションという観点でリーダーシップを調べ始めた時、大きな進展が見られました。
 
問題の所有権
Page 37:
「行動の窓」はどんな時でも、どの人が満たされないニーズを持つのか――生産的な仕事を妨げる問題を持つのは誰なのかをあなたが決めるのを助けてくれます。
その目的は、問題が存在していることにリーダーがいち早く気づき、その問題を診断し、人間関係を安定させ生産的な仕事を続けることができるようにするためには、どのスキルを使うべきかを知ることにあります。
 
Page 39:
グループのリーダーになる過程において、手綱をきつく掴み、最高のスタートを切り、全ての問題を自分一人で解決してやろうという誘惑をはねのけられる人はほとんどいません。ほとんどの新しいリーダーにとっては、任命した人たちに、その選択が正しかったことをできるだけ早く証明することが最初の懸念であることはもっともなことです。自分をよく見せたい、それも早ければ尚よい。結局のところ、すぐにでも介入して、「実権を握る」のでないなら、リーダーは何のためにいるのでしょうか?軍用語ではそれを、「指揮を執る」と表現します。
残念なことに、急いで実権を握ろうとすると、リーダーはひどい目に遭うかも知れません。急な改革や速攻治療、生産性の劇的な向上に熱心で、グループの前任のボスが残した問題を綺麗に後始末して欲しいという高い期待があると、リーダーはよく知られる「改革に積極的な新任者」の誘惑に負けてしまいます。しかし、グループ・メンバーの意欲と協力がなければ、自分の力だけではリーダーは滅多に改革はできませんし、即座にメンバーからの協力を得られるものでもありません。グループは変化に抵抗し、慣れ親しんだ方法を続けることに固執します。これらの「グループの規範」は、グループ・メンバーの行動に強い影響を与えます。
 
 
Pages 41 – 42:
効果的なリーダーを問題解決能力のある人として考え直してみると、リーダーは問題解決の全責任を一人で負う必要はないということを強調しておく必要があるでしょう。むしろ、グループ・メンバーの支援をリソースとして得ても良いのです。少なくとも理論上は、問題に直面した際、最善の解決策を導くためにグループ・メンバー全員の創造的リソース(もちろんリーダーも含めて)を結集するのが理想的なグループと言えます。メンバーの全員が全ての問題解決に関わる必要はなく、理想的なグループでは、適材適所でメンバー全員のリソースを活用できるのです。

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[ニュースレター] 2019年4月号

─2019年4月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.12」

Date: April 30, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

どのような人になりたいか?パート1

 

あなたが選ぶリーダーシップのスタイルは、あなたが将来どんな人になるかに大きく影響するでしょう。リーダーとしてのあなたと、人としてのあなたの2つを切り離すことはできないのです。なぜなら、あなたはリーダーとして多くの時間を費やすため、その役割であなたがどのように振舞うかが、人としてのあなたを容赦なく形成するでしょう。

具体的に言うと、威圧的な権力に基づくリーダーシップ・スタイルを選ぶと、あなたは一貫して懐疑と不信の態度をとり続ける必要があるでしょう。人に話をするときも慎重でなければなりませんし、あなたが行使した権力に対する抵抗の兆し(あるいは、あからさまな不服従)を見抜くように警戒していなければなりません。このように警戒するとともに、独裁主義的リーダーにとって他の人たちは皆、限られた能力しか持ち合わせず、自己決定したり、建設的な変化や個人的成長をしたり、自主的に考えたりする潜在能力も低いとみなされます。

あなたが威圧的な権力を自分のリーダーシップのスタイルとして選択するならば、それが異なる形であなたの個人的な生活に影響を与えるでしょう。前にも指摘したように、グループの意思決定の責任を一手に引き受けたり、ポリシーや規定を実施したり、強制したりする全負担を負うことで、あなたの緊張、悩み、不安が増大し、そして究極的には肉体的にも精神的にも健康を害してしまうという代償を払うことになるでしょう。

一方、あなたは他人に対してオープンで、正直で、率直な人でありたいですか?心理学者は「自己一致」という専門用語を用いて、人が内面で考えていること、あるいは感じていることとその人が外部に向かって伝えていることの間の類似性に言及しています。あなたは、思ったままを話し、話したままを思っている人でいたいですか?それとも、嘘っぽくて他人から信頼されない人でありたいですか?正直で、率直なI-メッセージを送って、自分の立場を正確に人々に伝える人でありたいですか?

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