[ニュースレター] 2019年9月号

─2019年9月号─「地位に就くだけではリーダーではない④」

Date: September 29, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

リーダーとは何か?

 

多少単純化し過ぎているかも知れませんが、下記に挙げるものが、リーダーがどのようにフォロワーの心をつかむのかについての説明となります。

 

  1. すべての人は生き延びるためにニーズを満たし、緊張を和らげようと絶えず努力をします。
  2. ニーズを満たすためにはちょっとした手段(道具、食べ物、お金、体力、知識、情報など)が必要です。
  3. 個人のニーズの大半は、人やグループとの人間関係で満足されます。だから、人やグループは、私たちがニーズを満たすために最も頻繁に頼る手段になります(私たちは自分たち自身の食べ物を育てないし、衣服も作らないし、教育も自分で施してはいません)。
  4. 人は、自分のニーズを満たしてくれる手段を持っている人との人間関係を積極的に探し求めます。
  5. 人びとがグループに加わるのは、そのようなメンバーシップが彼ら自身のニーズを満たす手段を提供してくれると期待するからです。逆に、ニーズが満たされなくなるとグループから離脱していきます。
  6. グループ・メンバーは、リーダーが彼らのニーズを満たす手段を持っている人だとみなした場合に限り、そのリーダーの影響と指導を受け入れます。人はニーズやウォンツ(欲望)を与えてくれると信じているリーダーについていきます(そして、命令にしたがって行動します)。

 

したがって、グループ・メンバーの観点から見て「リーダーについていく」ことで自分たちのニーズが満たされるということが約束される時に限って、リーダーはリーダーとしての地位に値し、維持することができるということになります。「リーダー・エフェクティブネス・トレーニング」の本では、リーダーがこの約束を現実のものにするために欠かせない重要な心構え、スキル、メソッド、そして手順を特定(明確化)し、説明しています。効果的なリーダーシップを身に付け、維持できるようになる人がいる一方、それができるようにならない人もいるということは、もはや不思議なことではありません。調査と観察を通じて、社会科学者たちは効果的なリーダーシップの重要な必要条件の多くを特定しました。私の狙いは、リーダーになりたい人により分かり易く、より使いやすくするために、この知識をまとめることです。

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[ニュースレター] 2019年10月号

─2019年10月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑤」

Date: October 22, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

リーダーのジレンマ

 

グループ・メンバー* のニーズを満たすことを通じてフォロワーの心をつかむことだけが効果的なリーダーシップのすべてではありません。反面では、リーダー自身も自分自身のニーズを上手く満たさなければならないのです。

グループ・メンバーのニーズを満たすためだけにリーダーシップのポジションに就きたいと思う人はめったにいません。リーダーも人間です。彼らもまた、地位、業績、より高い給料、承認、自尊心、保障、そして受容といった普通の人間としてのニーズを持っています。実際のところ、大抵はグループ・メンバーと同じニーズです。リーダーシップのポジションにいながら、これらのニーズを満たす方法が見出せなければ、その地位に長く留まりたいとは思わないでしょう。たとえ、リーダーが自分のニーズの多くが満たされないことがわかっていながら、我慢して長くその職を続けようとしても、すぐに、自分のグループ・メンバーのニーズが満たされるようすべきことを全力で努力しようとしても、それができない自分に気づくはずです。

 その説明は単純明快です。人は「お互いの利益」が得られると感じた時にのみ、他人のためになることに労力を使い続けます。人間関係において一方だけが利益を得るのには必ず限界があります。「魚心あれば水心」ということわざからも、この原則が理解できます。

 「満たされたコップの原則」もまた、ここでは作用しています。他人に与え続けることを可能にする(自分のコップから他人に水を飲ませ続ける)ためには、私は水が満たされたコップを持っていなければならず、また、水を補給し続ける(自分のコップを相対的に満たしておく)方法を見つけなければなりません。この原則の重要性については、援助を専門とするプロの間でよく理解されています。というのも、彼ら自身が私生活でのトラブルや、ニーズが満たされずに欠乏状態を経験している時、他人を援助する能力が非常に低下することに気づくからです。ですから、多くのプロのセラピストたちは、自分たちのコップを相対的に満たしておけるように、自分のためのセラピストを雇う必要性を感じているのです。

 

 

* この本を通して、私は「グループ・メンバー」「チーム・メンバー」「従業員」という言葉を同義語として使用しています。また、リーダーについても「スーパーバイザー」「マネジャー」「上司」など様々な用語を使用しています。「上司」という用語は私としては好ましくありませんが、通用性があり、使用しないというのも全く非現実的なので、この本でも使用しています。

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[ニュースレター] 2019年11月号

─2019年11月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑥」

Date: November 17, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

リーダーのジレンマ

 

また、組織内で働くすべてのリーダーたちの最も強いニーズの1 つには、自分自身の上司の目にはよく映りたいということもあるでしょう。リーダーの自尊心は上司からのインプットや評価に、その大部分が由来します。さらに重要なのは、リーダーが上司の期待や目標に沿わなかった場合(組織が目標を達成するための支援を効果的にしていると認められなかった場合)、彼らは降格や解雇といった脅威に晒されることでしょう。

 したがって、フォーマルな組織の中で働いているリーダーはジレンマに陥ります。彼らは、組織のニーズを満たすのと同時に、グループ・メンバーのニーズを満たさなければならないのです。そのための秘訣は、いかにして双方向からのニーズのバランスをとるかを学び、上司とグループ・メンバーの双方から効果的な人であると認められるようになることです。フォーマルな組織で働いたことのある人なら誰でも分かっていることですが、これは簡単な課題ではありません。なぜならば、組織のニーズが主に生産性と効率性の向上である一方、グループ・メンバーのニーズは、時として生産性や効率性の向上をめざすためのプレッシャーに抵抗することだからです。

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[ニュースレター] 2019年3月号

─2019年3月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.11」

Date: March 16, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
問題解決
 
 リーダーが問題解決のファシリテーター(問題が解決されるのを見る)としてのスキルを学べば、リーダーが自分一人ですべての問題を解決しようとするよりも、仕事が実際にとてもやりやすくなります。すべての問題解決を自分一人でするには、リーダーは全ての答えを持ち、全知で、超人的な知力を備え、尽きることのない知識や経験の宝庫でなくてはなりません。繰り返し強調しますが、効果的なリーダーはどうしたらメンバーが自ら問題を解決し始め、問題解決できるチームを作り上げることができるか、グループ・メンバーの創造的なリソースをいつ、どのように求めるか、メンバーとリーダーとの間に距離を置かないような人間関係をどのように構築するかを学ぶ必要があります。全知になるという目標とは異なり、これらの目標は達成可能です。

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[ニュースレター] 2019年2月号

─2019年2月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.10」

Date: February 17, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
メソッドⅢ/権力 part 2
 
 学校でもアメとムチは教師が教室で「規律」を保つために常に使っている重要なツールです。そのような慣例は数百年の間、ほとんど変わっていません。それは、私にとっては驚きの源泉です。(2019年1月のニューズレターからの続き)
 これが意味するところは、子供たちが大人に移行する時までに誰も大人が子供を従わせるために権力を使う以外の大人対子供の対立解決モデルに触れることがありません。
ですから、子供たちは権力ではない方法を使う大人との人間関係を経験する機会がほとんどありません。子供たちが経験する全てが強制力と支配です。私が聞いたように「どうして権力や権限をもってしても先生や親の言うことを聞かなかったのですか?」とあなたが子供たちに聞いたとしても、驚くほど頻繁に「もっと権力や権限を使うべきだったのではないですか」と返答します。
 これまで35年間、L.E.T.ワークショップに参加した人は十中八九、Win-Lose対立解決法に対して有効な代替案が実際に存在することを知って非常に驚いたとしても無理はありません。ですから、リーダーが権力を使う時に影響力を失うという考え方に直面した時、リーダーたちは不信感を表明しました。実のところ、L.E.T.ワークショップに申し込んだリーダーの中には、もっと巧妙に、もっと賢く権力を使う方法を学べると期待している人もいました――全く権力を使わないことを教えられるとは思いもしていませんでした。

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[ニュースレター] 2019年1月号

─2019年1月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.9」

Date: January 26th, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

メソッドⅢ/権力 part 1

時間の代償


権力は人々の中に強い抵抗を生み出し、それを行使するリーダーに挑戦するよう人々を挑発するため、そのような反応に対処するのに多大な時間と労力をリーダーが使わなければならないのも無理はありません。それでもなお、リーダーは他の権力以外の問題解決法あるいは対立解決法よりも時間がかからないという理由でしばしば自身の権力行使を正当化します。この主張は、半分事実です。メソッドⅠによる意思決定は、グループでの意思決定よりも時間がかからない一方、一方的に決められた決定を受け入れさせるのにはとてつもない時間がかかります。
権力を得ることでリーダーはより大きな影響力を持つようになるという一般的な考え方とは裏腹に、権力はリーダーのグループ・メンバーに対する影響力を喪失させます。
ほとんどの人たちは、個人的な経験から2つのWin-Lose対立解決法が人間関係を壊し、組織の有効性を下げるリスクが高いことを知っていますが、ほとんどのリーダーにとって、これらの対立解決法が最適な方法であり続けます。これに関しては多くの説明があり得ますが、以下の2つの説明がもっともらしいと思います:人は対立解決へのアプローチに対する個人的な経験がほとんどありません。ほとんどの人にとっては、最も大きい影響があることが最も大きな権限があることと同じだと考えられています。
ほとんどの子供たちは、大人が決めたことをするためにアメとムチを頻繁にたっぷりと親が投与する家庭で育ってきています。家庭内暴力についての有名な全国的な研究では、80%の親はお尻を叩いたり、ひっぱたいたりという普通の体罰手段を使っていることがわかっています。30%近くの親たちは暴力で逮捕されていたかも知れない暴力行為を子供たちに行っていました!同様に、学校でもアメとムチは教師が教室で「規律」を保つために常に使っている重要なツールです。そのような慣例は数百年の間、ほとんど変わっていません。それは、私にとっては驚きの源泉です。

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[ニュースレター] 2018年5月号

─2018年5月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.1」

Date: May 9th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon   
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
一般的なリーダーシップ
Page 2: 
もしも、リーダーであることがこのように不快な経験を伴うのであれば、それはほとんどの場合、リーダー自身の非効果性に原因があります。そして、リーダーとして効果的であることに特化した研修などを受ける機会がほとんどないことを考慮すると、いかにリーダーであることが、多くの場合に難しく、消耗し、失望してしまうものであるかは理解できます。
Page 8:
権力を使うことなくどのように人々に影響を与えるかがリーダーとしての効果を高める鍵となります。
 
Pages 17 – 18:
リーダーとは何か?
「リーダーは育てられるものではなく、生まれつくもの。」社会科学者がわずか60年~70年前に徹底的な調査の本格的な主題にし始めるまでは、ほとんどの人がそう考えていました。その昔、リーダーとなる人があまりにも頻繁に恵まれた同一の家系から出現していたことから、ほとんどの人がリーダーシップは受け継がれるものだと考え、社会的に根強い階級差別があったことから、誰でもがリーダーになれるわけではありませんでした。階級差別が撤廃され、リーダーが社会のあらゆる階層から出てくるのが明らかになると、リーダーシップは優秀な遺伝子を持って生まれたり立派な家庭から生まれたりするよりも、もっと複雑なものであるということが常識になりました。
遺伝子の適切な組み合わせでリーダーが生まれるわけではないとすれば、恐らく、全てのリーダーはしつけや教育を通して習得した特定の特性や特徴を持ち合わせているのではないでしょうか。この考え方によってリーダーの普遍的な特性の調査が始まりました。しかし、何百という研究によって、リーダーとそうでない人との間には何の特性の違いもないということが判明し、リーダーシップがリーダーの中に備わっている特定の属性の産物であるという仮説は消えてなくなりました。
社会科学者たちが、リーダーとフォロワーとの間のインタラクションという観点でリーダーシップを調べ始めた時、大きな進展が見られました。
 
問題の所有権
Page 37:
「行動の窓」はどんな時でも、どの人が満たされないニーズを持つのか――生産的な仕事を妨げる問題を持つのは誰なのかをあなたが決めるのを助けてくれます。
その目的は、問題が存在していることにリーダーがいち早く気づき、その問題を診断し、人間関係を安定させ生産的な仕事を続けることができるようにするためには、どのスキルを使うべきかを知ることにあります。
 
Page 39:
グループのリーダーになる過程において、手綱をきつく掴み、最高のスタートを切り、全ての問題を自分一人で解決してやろうという誘惑をはねのけられる人はほとんどいません。ほとんどの新しいリーダーにとっては、任命した人たちに、その選択が正しかったことをできるだけ早く証明することが最初の懸念であることはもっともなことです。自分をよく見せたい、それも早ければ尚よい。結局のところ、すぐにでも介入して、「実権を握る」のでないなら、リーダーは何のためにいるのでしょうか?軍用語ではそれを、「指揮を執る」と表現します。
残念なことに、急いで実権を握ろうとすると、リーダーはひどい目に遭うかも知れません。急な改革や速攻治療、生産性の劇的な向上に熱心で、グループの前任のボスが残した問題を綺麗に後始末して欲しいという高い期待があると、リーダーはよく知られる「改革に積極的な新任者」の誘惑に負けてしまいます。しかし、グループ・メンバーの意欲と協力がなければ、自分の力だけではリーダーは滅多に改革はできませんし、即座にメンバーからの協力を得られるものでもありません。グループは変化に抵抗し、慣れ親しんだ方法を続けることに固執します。これらの「グループの規範」は、グループ・メンバーの行動に強い影響を与えます。
 
 
Pages 41 – 42:
効果的なリーダーを問題解決能力のある人として考え直してみると、リーダーは問題解決の全責任を一人で負う必要はないということを強調しておく必要があるでしょう。むしろ、グループ・メンバーの支援をリソースとして得ても良いのです。少なくとも理論上は、問題に直面した際、最善の解決策を導くためにグループ・メンバー全員の創造的リソース(もちろんリーダーも含めて)を結集するのが理想的なグループと言えます。メンバーの全員が全ての問題解決に関わる必要はなく、理想的なグループでは、適材適所でメンバー全員のリソースを活用できるのです。

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[ニュースレター] 2018年6月号

─2018年6月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.2」

Date: June 10th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
アクティブ・リスニング/共感
Pages 63 – 64: 
ここ数十年の間に、一部の心理学者は人間関係における個人の成長と心理的健康を促進する決定的な要素を特定しようとしてきました。この徹底的な研究は、初めは効果的なプロの支援エージェント(カウンセラーや心理療法士)の特徴や言動を特定することだけに焦点を当てていましたが、最終的にそのいくつかは効果的な教師、効果的な配偶者、そして効果的な親の個人的な資質についての研究へと指向を変えました。そして、どのような人間関係においても一個人が他人の成長と心理的健康を促進するためには、少なくとも2つの要素が必要になるという、かなり決定的な証拠が浮かび上がってきました。その要素は、共感受容です。
共感とは、相手の立場に立って考え、その人の「個人的な意味の世界」─すなわちその人が現実をどう認識しているのか、物事についてどう感じるのか─を理解する能力のことです。アクティブ・リスニングはまさにこの機能を果たします。人が共感的に理解されているとしばしば感じられるような環境は、その人の心理的健康と個人的成長のすべてにおいて貢献します。私は、このような環境が問題解決をファシリテートし、結果として、より大きなニーズの充足につながることから、心理的健康と個人の成長を促進するのだと確信しています。人は、問題を解決してニーズが満たされた時、マズローのピラミッドにおけるより高いレベルのニーズに向かって上がっていく自由を得て、自己実現と自己成長を成し遂げるための新しい方法を見出せるようになるのです。
 
Page 69: 
責任の中心を問題の所有者に据えておくことは、次のような理由から重要になります。
第一に、チーム・メンバーに自分の問題を自分で解決させるリーダーは、たくさんの利益を生み出すための堅実な投資をしています。チーム・メンバーのリーダーに対する依存は少なくなり、より自律的に、より自立して、よりうまく自分で自分の問題を解決できるようになります。
第二に、リーダーは、グループ・メンバーが仕事のオンとオフを問わず彼らの生活圏内で直面する、幅広いさまざまな個人的問題とその複雑さについて、充分に理解していることはめったにありません。そのため、問題解決の責任の中心を支援される人に据えておくためのスキルは、わずかな情報しかない問題についての答えを導き出すという不可能な課題からリーダーを解放してくれます。
 
Page 88: 
人々の問題は、まるで玉ねぎのようで、いくつもの層が折り重なってできています。外側の皮を何枚か剥いて初めて、核心的な問題に到達できるのです。時として人は、本当の問題が何であるかわかっていながら、そこから始めることを恐れています。たいていの場合、その真下にあるものに全く気づいていないことがあります。誰かが何か厄介な問題についてあなたに話し始めても、あなたはたいてい「提示された問題」のみを聞きます。アクティブ・リスニングは、支援される人が提示している問題から先へと進み、最終的には核心的な問題に入るように効果的にファシリテートします。

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[ニュースレター] 2018年7月号

─2018年7月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.3」

Date: July 7th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

感情 part 1
Pages 81 – 83:
 
人は、およそ幼少の頃から感情を良くないものであり危険なもの─良い人間関係の敵─というふうに見なすよう教え込まれています。人は、自分自身の感情または自分を取り巻く他人の感情を恐れながら育ちます。なぜなら、彼らは生活の中で、大人たちから次のようなメッセージをたくさん受け取ってきたからです。

  
「自分の弟を嫌いだなんて、二度と言わないでちょうだい。」
  
「起こったことに、がっかりすべきじゃないよ。」
  
「何か良いことが言えないなら、何も言わないでちょうだい。」
  
「そのことを後悔しないで。明日はきっと良くなるよ。」
  
「恐れるものなんて、何もないよ。」
  
「そんなに気を落とさないで。」
  
「プライドを捨てなさい。」
  
「口を慎みなさい、お嬢さん。」

 
やがて、私たちは感情を表現することをこの上さらに固く禁止される事態に遭遇します。それは、仕事の世界です。私たちはそこで、感情が職場には全くもってふさわしくないと警告を受けるのです。どういうわけか、感情や喜怒哀楽は、私たちが職場で望む人間関係に要求される合理性や希薄さとは正反対のものとみなされています。心配事を職場に持ち込まず、口を閉ざす行動が、職場で働く人間としてふさわしいものと考えられています。人は、これらの行動が高く評価され、長い目でみれば報いられると感じているのです。

感情 part 2
 
この蔓延している抑圧的なグループ規範は、心理的健康を損ねることに寄与するに留まらず、組織的な有効性において逆効果です。誰でもよく知っているように、人々と仕事をしていると、必然的に穏やかなものから強いものまで、ありとあらゆる感情が発生します。焦燥、怒り、フラストレーション、失望、痛み、恐れ、つまらなさ、絶望、憎悪、苦痛、落胆などなど。こういった感情を経験することが不健康なのではなく、それを抑制することのほうが不健康なのです。あなたの感情を絶えず押し殺すことは、間違いなく「あなたの健康に害をなすもの」で、最終的に潰瘍、頭痛、胸焼け、高血圧症、けいれん性結腸または他のあらゆる心因性の問題を引き起こします。抑制された感情は、仕事からあなたの気を散らせ、あなたの有効性も減少させます。

Page 85:
 
感情は一時的なものです。誰かが、「こんな仕事は大嫌いだ!」「サラとは一緒に仕事できない」「ここでは、誰も私の仕事を評価してくれない!」などと言った場合、ほとんどの人はこうした感情が、どちらかと言えば永続的で変えられないもののように思うことが多いようです。そして通常、感情が強ければ強いほど、それはより決定的で取り消せないように聞こえます。たとえば、もし私の妻が玄関で私を迎えながら「私はあなたにひどく腹を立てているの!」と言ったとしたら、私の咄嗟の反応は、何か気に障ることを言ったようだな、妻は二度と私に対して今までと同様の気持ちを抱かないだろうな、といったものになるでしょう。「もう二度と一緒には、どこへも行かないから」と子供が思わず口走ったとしたら、親御さんたちもまた似たような反応をするでしょう。

 
幸いにも、ネガティブな感情はかなり一時的なことがあります。その理由の一つは、「あなたの注意を十分に引きたいの」とか「あなたがどれくらい私に嫌な思いをさせたかを知って欲しいの」といった気持ちを伝えるために、人々はわざと強い否定的な感情をコミュニケーションの記号として選択するからです。

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[ニュースレター] 2018年8月号

─2018年8月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.4」

Date: August 11th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
私が問題をもつ時
 
Pages 101 – 104:
相手を効果的に支援する方法について理解したところで、今度はあなた自身を支援する方法を知る必要があります。他者との人間関係において自分たちのニーズを上手く満たすことができる人がいますが、それはなぜでしょう? 相手の行動があなたに問題を引き起こす時、どうやったらその人があなたに対して憤りを感じず、メンツを失わないで、行動を変えるような影響を与えることができるでしょうか?
私たちは皆、相手の行動が受容できないとか、私たちに問題をもたらしているとかいうメッセージを相手に伝えることを躊躇します。相手が傷ついたり、怒ったり、私たちを嫌いになったりするリスクがあります。そのような恐怖には正当な理由がない訳ではありません。誰が、あなたの行動は受容できないと言われたいでしょうか?人は高い頻度で、対決に対して、聞きたくないという否定的な反応を示します。そこから口論になるかもしれません。あるいは、相手は批判的なメッセージで報復するかも知れません。あるいは、相手は傷ついたり怒ったりして、その場を立ち去るかも知れません。あるいは、相手は防衛的になったり不愉快になったりするかも知れません。ですから、相手に対して自らを主張して対決するには、ある程度の勇気が必要です。
さらに、リーダーが対決することに不安を覚えるもう一つの重要な理由は、彼らが使用する特定の言葉が、もともとは彼らが子供だった頃、彼らに対決した大人たちから学習したもので、それが抵抗や報復を引き起こしたり、対決した相手との人間関係を傷つけたりする可能性が高いからなのです。私たちのL.E.T.ワークショップでは、インストラクターは簡単な演習を行い、その結果は一貫して、リーダーが問題を引き起こす相手に対決する時、対決のメッセージで使われる言葉は、不快だったり、脅迫的だったり、批判的だったり、道を説くものだったり、見下していたり、皮肉っぽいものだったり、対決された方の自尊心を傷つけたりするということを示します。

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