[ニュースレター] 2020年7月号

─2020年7月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑬」

Date: July 4, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

問題解決者としてのリーダー

 

グループ・リーダーの主要な役割は、問題解決の促進者であると考えることが、私にとっては役に立ってきました。グループは、メンバーの問題が解決されるように責任をもって面倒をみてくれるリーダーが必要です。ある人は、全く問題のない職場にはリーダーは不要である――少なくとも、あまり頻繁には必要ではない──と主張するかもしれません。もし、グループがいつも効率的に、そして生産的に機能しており、メンバーが常に達成感、結束力、高い自尊心や個人的価値を経験しているのなら、「スーパーバイザー」がほとんど必要ないことは明らかでしょう。グループに問題がある時にだけ非常にリーダーを必要とします。つまり、メンバーが自分の個人的なニーズを満たすことができずに問題を抱えている時や、組織の目標が達成されずにグループがリーダーに問題を抱え込ませる時です。

私はこれら2 種類の問題の関係を、私が発案した「行動の窓」と呼ぶ図形で表わしてみました。この図表はマズローとハーツバーグから引き出されたすべての概念を結び合わせるのに役立ちます。少しの間、自分がグループ・リーダーの立場になったと考え、グループ・メンバーの一人を観察する時に、その人の行動が常にあなたの目の前にある四角い窓を通して見えていると想像してみましょう。次にその窓は二つの部分からなっていると想像してください。1 つはグループ・メンバーの行動で、あなたに問題を引き起こしていないので、あなたにとっては受容できる行動です(あなたの行動の窓の一番上の部分)。もう1 つは、その行動があなたに問題を引き起こしているので、あなたにとっては受容できない行動を示します(あなたの行動の窓の一番下の部分)。

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[ニュースレター] 2020年6月号

─2020年6月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑫」

Date: June 7, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

 

 (前出の関連箇所)「不満要因」がないことそれ自体ではめったに満足感を生み出しません。たとえば、労働条件がいいからといってそこから満足感が生まれるということはめったにないでしょう。しかしながら、劣悪な労働条件は実際に不満の感情を生み出しました。そして、満足要因(達成、承認など)があることでのみ、満足感がもたらされたのです。(前出の関連箇所、終わり)

このような顕著な研究結果は、組織の下のレベルで働く人たちには全く同じようには適用できないかもしれません。レベルⅠやⅡの欲求が満たされていない(低賃金、不安定な仕事である)場合、彼らは恐らく非常に強い欠乏感を抱くはずです。その結果、このようなグループのリーダーは、グループ・メンバーが賃金に不公平感を抱いていたり、雇用の安定について不安を感じていたりするかも知れず、その徴候を無視することが絶対にできないのです。

 ハーツバーグの調査結果に匹敵するものに、テキサス・インスツルメンツの産業心理学者M・スコット・マイヤーズの6 年間にわたる動機づけ行為に関する研究があります。 その結果は、「ハーバード・ビジネス・レビュー」において次のように要約されています。

 

従業員が効果的に働くよう動機づけるものは何でしょうか?それは達成感、責任感、成長、昇進、仕事そのものの面白さ、そして承認を得られたと感じることができるようなチャレンジングな仕事です。従業員に不満を与えるものは何でしょうか?ほとんどの場合、それは仕事の周辺の要因で、就業規則、照明、休憩時間、肩書、年功序列、賃金、福利厚生といったものです。

従業員が不満を感じるのはどのような時でしょうか?それは、有意義な成果を挙げる機会を奪われてしまったり、職場環境に敏感になったり、あら探しをし始めたりする時などです。

 

 マイヤーズはハーツバーグと同様に、スーパーバイザーが満たしてあげなければならない従業員のニーズで同じ種類のもの2 つを特定しました。それらは、モチベーション・ニーズとメンテナンス・ニーズです。前者は課題中心で、後者は相対的に仕事の周辺に関わるものです。

 マイヤーズの研究は、私がずっと強調してきたポイントの有効性を確認してくれました。すなわち、効果的なスーパーバイザーは、仕事のスペシャリストとしてのスキル(仕事のプランニングと整理をするスキル)だけでなく、人間関係のスペシャリストとしてのスキル(メンバーの不満の原因を見つけ解決するスキル)も持たなければなりません。効果的なリーダーは、仕事中心であると同時に、人間中心でもあるのです。グループ・メンバーは誰でも勝ち組にいたいと思っていますが、そのために自分の価値や自尊心を犠牲にしようなどとは、決して思ってはいません。

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[ニュースレター] 2020年5月号

─2020年5月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑪」

Date: May 16, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

 

ニーズを満たすのに障害となるもの(「不満要因」)には、次のようなものがあります。

 

  1. 上司とのよくない人間関係
  2. 同僚とのよくない人間関係
  3. 不適切な技術的指導
  4. 劣悪な社内規定やアドミニストレーション
  5. 劣悪な労働条件
  6. 従業員の個人的生活における問題

 

ニーズを満たすもの(「満足要因」)には、次のようなものがあります。

 

  1. 達成
  2. 承認
  3. 仕事そのもの
  4. 責任
  5. 昇進

 

 「不満要因」がないことそれ自体ではめったに満足感を生み出しません。たとえば、労働条件がいいからといってそこから満足感が生まれるということはめったにないでしょう。しかしながら、劣悪な労働条件は実際に不満の感情を生み出しました。そして、満足要因(達成、承認など)があることでのみ、満足感がもたらされたのです。

 これらの研究がはっきりと示唆していることは─―そしてこれは、リーダーにとって非常に重要なことですが─―グループ・メンバーが高い生産性へと動機づけられ、同時に仕事に満足するためには、仕事自体がやりがいのあるものでなければならないということです。その仕事は成長、責任、承認、そして昇進の機会を与えるものでなければなりません。これらの必要条件は、マズローのレベルⅢ、Ⅳ、そしてⅤの欲求に非常に類似しており、効果的なリーダーは、グループ・メンバーが最高レベルのニーズ――仕事上の達成や、その達成の承認から得られる自尊心、そして自己実現(自分の可能性が役に立っているという感覚)――を満たすのを可能にするスキルとメソッドを十分に学ぶ必要があるという前述の私の主張をサポートしています。これらのスキルとメソッドについては後の章で詳しく紹介いたします。

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[ニュースレター] 2020年4月号

─2020年4月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑩」

Date: April 5, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

  1. グループや組織は、必ずしもそのメンバーにレベルⅣやレベルⅤの欲求を満たす機会を与える訳ではありません。特に低いレベルにいる人たちで、仕事がかなり厳密に定義もしくはルーティン化されていたり、その活動がほとんど完全にコントロールされていたり、個人的な指示、意思決定やイニシアチブをとる自由度がかなり制限されていたりする場合はそうです。
  2. リーダーが任意に権力を行使する時、グループ・メンバーは、仕事について非難されることを恐れたり、職務で絶えず不安を感じたりするかも知れません。彼らの安心と安全の欲求が満たされていないと、レベルⅡで行き詰り、社会的欲求や能力と自尊心の欲求を満たすために達成しようとする動機づけがなされません。
  3. 異なるグループ・メンバーは、同時にあるいは同じ状況下にあっても、人によって異なる欲求のレベルで仕事をしているかも知れません。スタッフ・ミーティングで、ある人は疲れているかもしれません(レベルⅠ)が、別の人はグループが何かを達成することを望んでいるかもしれません(レベルⅣ)。また、他の人たちはお互いに話したり冗談を言っていたりするかもしれません(レベルⅢ)。
  4. レベルⅠとレベルⅡの欲求は、現代の豊かな社会ではめったに強力な動機づけにはなりません。なぜなら、グループ・メンバーの生理的欲求はほとんど満たされており(最低賃金法)、解雇される不安もありません(労働組合による保護)。だから、リーダーが、グループ・メンバーに解雇すると警告したり脅したりして、モチベーションを上げようとしても、またコントロールしようとしても、めったにうまくいきません。
  5. もし従業員が、仕事の上でレベルⅢ、ⅣないしレベルⅤの段階の欲求を満たす機会がほとんどないとしたら、彼らは仕事以外で(スポーツや趣味、社交クラブなどを通じて)、社会的インタラクション、達成感や自己実現の欲求を満たす機会を探すでしょう。こういう訳で、多くの人は仕事を維持して給料を得るために必要な最低限の労力しか費やしません。それに加えて、彼らは組織の中で疎外感を感じていたり、関与していないと感じていたりします。
  6. 素晴らしい成果と高度な達成感へと動機づけられるためには(レベルⅣ)、メンバーは次のような責任を果たしてくれるリーダーが必要です。 (a) 公平だと思える賃金が受け取れる (b) 職の安定が感じられる(c) グループが社会的インタラクションや友情をはぐくむ機会、また、理解され受け入れられていると感じる機会を与えてくれる(レベルⅠ、Ⅱ、Ⅲの欲求が満たされる)。
  7. グループの問題解決や意思決定に参加させてくれるリーダーを持つことでメンバーが得られる主な利益として、こうした活動から社会的インタラクションの欲求(レベルⅢ)、組織における自尊心や地位への欲求(レベルⅣ)、そして時には自己実現や自己開発の欲求(レベルⅤ)を満たす機会をメンバーに与えることができます。

 

 マズローの概念に改良を加えることで、リーダーはグループ・メンバーのニーズに対する洞察をより深めることができます。それは、フレデリック・ハーツバーグの研究から発展した二要因理論です。彼は、相対的に独立した2 つの要因が存在する証拠を収集しました。(1) 仕事を一緒にするグループの状況では、ある要因はニーズを満たすのに障害となり、イライラの原因または「不満要因」となります。(2) もう一方の要因は、ニーズを満たす供給者とみなされ、ニーズを満たすもの、または「満足要因」となります。

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[ニュースレター] 2020年2月号

─2020年2月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑨」

Date: February 25, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

人がグループに求めるもの

 人間の欲求を表わすのに役立つ方法として、いくつかの異なるレベルを持つヒエラルキーで表現するものがあります。この分野において先駆け的心理学者のアブラハム・マズローは、個人における5 種類の異なる欲求に関して、その相対的重要性を示した5 つの層からなるピラミッドを構築しました。

 レベルⅠの欲求、たとえば飢えや渇き、暖かさなどは、最も重要(あるいは「非常に優勢」)で、人が次のレベルにおける欲求を満たそうとするためには、まずそれらが優先的に満たされていなければなりません。レベルⅡの欲求(安心と安全)も、さらに上のレベルの欲求を充足しようとするためには優先的に満たしておかなければならず、ピラミッドの上へ行っても同様です。たとえば、空腹な原始人は、生命の危険を冒してでも(安心と安全の欲求を無視しても)食べ物を得るために野生動物を追跡することに、強く動機づけられるでしょう。その野生動物を殺して、必要な分だけ食べたら、今度は安心の欲求を満たすことに動機づけられ、残った肉を保存処理し、将来の消費に備えるために貯蔵するかも知れません(安心と安全の欲求)。食べ物が十分に蓄えられると、次に彼は友人たちを呼んで食べ物をシェアするかも知れません(受容と社会的インタラクションの欲求)。これらの欲求が満たされると、食べ物をより新しい味付けで調理することを試してみようとするかもしれません(達成感と自尊心の欲求)。最終的に、これらの欲求が程よく満たされたならば、彼はきっと洞穴の壁に殺した動物の絵を描くことにするでしょう(自己実現の欲求)。

 マズローの欲求5 段階説の意味するところは、リーダーにとって非常に重要なものです。

 

 

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[ニュースレター] 2020年1月号

─2020年1月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑧」

Date: January 2, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

グループ・メンバーの視点から見て、彼らのニーズが満たされるという希望が叶うようなことをしてくれることによって、グループのリーダーはリーダーシップのポジションを獲得します。もう一度強調すると、グループ・メンバーなしには、あなたはリーダーたり得ません。そして、グループ・メンバーがニーズを満たすのをあなたが助けてくれる時にだけ、彼らはあなたの指示や影響を受け入れてくれるのです。

とても単純なことのように聞こえますが、まずリーダーはグループ・メンバーが正確に何を必要としているのかを把握しなければなりません。そうして初めてリーダーは、グループ・メンバーのニーズを満たすために何をすべきかを判断でき、引き換えにグループ・メンバーは組織に対して一定の労力を提供し、あるいはその職務を果たすのです。この公平な交換がリーダーシップのカギとなります。

人びとはグループに何を求めるのでしょうか?初期における「科学的管理法」の専門家たちは、人は主に、個人的な収益のために働いているのだと考えていました。これは経済理論です。後に、人はグループから、それ以上のものを求めているという研究結果が立証されました――とりわけ、他のメンバーから認められること、達成感と成功感、他のメンバーとの社会的なインタラクション、グループに参加することから得られる社会的ステータスなどです。

ゆえに、社会経済理論の観点から考える方がより正確なのです。つまり、リーダーは、グループ・メンバーたちをグループに惹きつけておくだけの幅広いインセンティブを提供しているのだと認知する概念です。メンバーを生産的なグループ・メンバーとしてグループ内に保持しておくためには、効果的なリーダーはメンバーたちの単なる金銭的なニーズ以上のものを満足させる必要があります。

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[ニュースレター] 2019年12月号

─2019年12月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑦」

Date: December 22, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

リーダーのジレンマ

 

階層制の組織におけるリーダーシップに関した数多くの研究では、効果的なリーダーは、自分自身のニーズ(そして、彼らの上司のニーズである生産性と効率性)を満たすためのスキル・セットが1つ必要であり、グループ・メンバーのニーズを満たすためにはもう1 つのまったく異なるスキル・セットが必要であると強く指摘しています。さしあたり、これら2 つのスキル・セットを非常に一般的な言葉で表現してみましょう。

 

 A. グループ・メンバーのニーズを満たすスキル

   (1) グループ・メンバーの自尊心と個人的な価値を高める行動

   (2) グループの結束力とチーム精神を強める行動

  B. 組織のニーズを満たすスキル

   (1) 生産性とグループ目標の達成を刺激する行動:生産性を刺激してグループ目標達成意欲を高める行動

   (2) グループ・メンバーの目標達成を支援する行動:プランニング、スケジューリング、調整、問題解決、資源の提供

 

効果的なリーダーは「人間関係のスペシャリスト」(メンバーのニーズを満たすこと)だけであっても、あるいは「生産性のスペシャリスト」(組織のニーズを満たすこと)だけであっても十分ではありません。効果的なリーダーは、その両方でなくてはならないのです。さらに重要なこととして、効果的なリーダーは、グループ・メンバーのニーズとリーダーのニーズの両方を満たすためには、いつ、どこでこれらの多様なスキルを使うのかということを知るだけの柔軟性やセンシティビティといったものも習得しなければなりません。最後に、効果的なリーダーは、これら2 つの競合するニーズの源泉の間に生じる、避けられない対立を解決するためのスキルを学ぶ必要があります。

 『リーダー・エフェクティブネス・トレーニング』(2019)は、相互ニーズの充足という最も重要な状態を作るのに、どのようにしたらより効果的に作れるようになれるのか、上司や自分のグループ・メンバーとのより誠実なコミュニケーションの醸成を通じて、どのようにしたらより柔軟でセンシティブになれるのか、他者との人間関係における憤り、敵意、疎外感を大幅に軽減するための公平な(あるいは「No-Lose」の)対立解決法を用いるにはどうしたらよいかをリーダーの方々に示すことを目的としています。

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[ニュースレター] 2018年7月号

─2018年7月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.3」

Date: July 7th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

感情 part 1
Pages 81 – 83:
 
人は、およそ幼少の頃から感情を良くないものであり危険なもの─良い人間関係の敵─というふうに見なすよう教え込まれています。人は、自分自身の感情または自分を取り巻く他人の感情を恐れながら育ちます。なぜなら、彼らは生活の中で、大人たちから次のようなメッセージをたくさん受け取ってきたからです。

  
「自分の弟を嫌いだなんて、二度と言わないでちょうだい。」
  
「起こったことに、がっかりすべきじゃないよ。」
  
「何か良いことが言えないなら、何も言わないでちょうだい。」
  
「そのことを後悔しないで。明日はきっと良くなるよ。」
  
「恐れるものなんて、何もないよ。」
  
「そんなに気を落とさないで。」
  
「プライドを捨てなさい。」
  
「口を慎みなさい、お嬢さん。」

 
やがて、私たちは感情を表現することをこの上さらに固く禁止される事態に遭遇します。それは、仕事の世界です。私たちはそこで、感情が職場には全くもってふさわしくないと警告を受けるのです。どういうわけか、感情や喜怒哀楽は、私たちが職場で望む人間関係に要求される合理性や希薄さとは正反対のものとみなされています。心配事を職場に持ち込まず、口を閉ざす行動が、職場で働く人間としてふさわしいものと考えられています。人は、これらの行動が高く評価され、長い目でみれば報いられると感じているのです。

感情 part 2
 
この蔓延している抑圧的なグループ規範は、心理的健康を損ねることに寄与するに留まらず、組織的な有効性において逆効果です。誰でもよく知っているように、人々と仕事をしていると、必然的に穏やかなものから強いものまで、ありとあらゆる感情が発生します。焦燥、怒り、フラストレーション、失望、痛み、恐れ、つまらなさ、絶望、憎悪、苦痛、落胆などなど。こういった感情を経験することが不健康なのではなく、それを抑制することのほうが不健康なのです。あなたの感情を絶えず押し殺すことは、間違いなく「あなたの健康に害をなすもの」で、最終的に潰瘍、頭痛、胸焼け、高血圧症、けいれん性結腸または他のあらゆる心因性の問題を引き起こします。抑制された感情は、仕事からあなたの気を散らせ、あなたの有効性も減少させます。

Page 85:
 
感情は一時的なものです。誰かが、「こんな仕事は大嫌いだ!」「サラとは一緒に仕事できない」「ここでは、誰も私の仕事を評価してくれない!」などと言った場合、ほとんどの人はこうした感情が、どちらかと言えば永続的で変えられないもののように思うことが多いようです。そして通常、感情が強ければ強いほど、それはより決定的で取り消せないように聞こえます。たとえば、もし私の妻が玄関で私を迎えながら「私はあなたにひどく腹を立てているの!」と言ったとしたら、私の咄嗟の反応は、何か気に障ることを言ったようだな、妻は二度と私に対して今までと同様の気持ちを抱かないだろうな、といったものになるでしょう。「もう二度と一緒には、どこへも行かないから」と子供が思わず口走ったとしたら、親御さんたちもまた似たような反応をするでしょう。

 
幸いにも、ネガティブな感情はかなり一時的なことがあります。その理由の一つは、「あなたの注意を十分に引きたいの」とか「あなたがどれくらい私に嫌な思いをさせたかを知って欲しいの」といった気持ちを伝えるために、人々はわざと強い否定的な感情をコミュニケーションの記号として選択するからです。

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[ニュースレター] 2018年6月号

─2018年6月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.2」

Date: June 10th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
アクティブ・リスニング/共感
Pages 63 – 64: 
ここ数十年の間に、一部の心理学者は人間関係における個人の成長と心理的健康を促進する決定的な要素を特定しようとしてきました。この徹底的な研究は、初めは効果的なプロの支援エージェント(カウンセラーや心理療法士)の特徴や言動を特定することだけに焦点を当てていましたが、最終的にそのいくつかは効果的な教師、効果的な配偶者、そして効果的な親の個人的な資質についての研究へと指向を変えました。そして、どのような人間関係においても一個人が他人の成長と心理的健康を促進するためには、少なくとも2つの要素が必要になるという、かなり決定的な証拠が浮かび上がってきました。その要素は、共感受容です。
共感とは、相手の立場に立って考え、その人の「個人的な意味の世界」─すなわちその人が現実をどう認識しているのか、物事についてどう感じるのか─を理解する能力のことです。アクティブ・リスニングはまさにこの機能を果たします。人が共感的に理解されているとしばしば感じられるような環境は、その人の心理的健康と個人的成長のすべてにおいて貢献します。私は、このような環境が問題解決をファシリテートし、結果として、より大きなニーズの充足につながることから、心理的健康と個人の成長を促進するのだと確信しています。人は、問題を解決してニーズが満たされた時、マズローのピラミッドにおけるより高いレベルのニーズに向かって上がっていく自由を得て、自己実現と自己成長を成し遂げるための新しい方法を見出せるようになるのです。
 
Page 69: 
責任の中心を問題の所有者に据えておくことは、次のような理由から重要になります。
第一に、チーム・メンバーに自分の問題を自分で解決させるリーダーは、たくさんの利益を生み出すための堅実な投資をしています。チーム・メンバーのリーダーに対する依存は少なくなり、より自律的に、より自立して、よりうまく自分で自分の問題を解決できるようになります。
第二に、リーダーは、グループ・メンバーが仕事のオンとオフを問わず彼らの生活圏内で直面する、幅広いさまざまな個人的問題とその複雑さについて、充分に理解していることはめったにありません。そのため、問題解決の責任の中心を支援される人に据えておくためのスキルは、わずかな情報しかない問題についての答えを導き出すという不可能な課題からリーダーを解放してくれます。
 
Page 88: 
人々の問題は、まるで玉ねぎのようで、いくつもの層が折り重なってできています。外側の皮を何枚か剥いて初めて、核心的な問題に到達できるのです。時として人は、本当の問題が何であるかわかっていながら、そこから始めることを恐れています。たいていの場合、その真下にあるものに全く気づいていないことがあります。誰かが何か厄介な問題についてあなたに話し始めても、あなたはたいてい「提示された問題」のみを聞きます。アクティブ・リスニングは、支援される人が提示している問題から先へと進み、最終的には核心的な問題に入るように効果的にファシリテートします。

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[ニュースレター] 2018年5月号

─2018年5月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.1」

Date: May 9th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon   
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
一般的なリーダーシップ
Page 2: 
もしも、リーダーであることがこのように不快な経験を伴うのであれば、それはほとんどの場合、リーダー自身の非効果性に原因があります。そして、リーダーとして効果的であることに特化した研修などを受ける機会がほとんどないことを考慮すると、いかにリーダーであることが、多くの場合に難しく、消耗し、失望してしまうものであるかは理解できます。
Page 8:
権力を使うことなくどのように人々に影響を与えるかがリーダーとしての効果を高める鍵となります。
 
Pages 17 – 18:
リーダーとは何か?
「リーダーは育てられるものではなく、生まれつくもの。」社会科学者がわずか60年~70年前に徹底的な調査の本格的な主題にし始めるまでは、ほとんどの人がそう考えていました。その昔、リーダーとなる人があまりにも頻繁に恵まれた同一の家系から出現していたことから、ほとんどの人がリーダーシップは受け継がれるものだと考え、社会的に根強い階級差別があったことから、誰でもがリーダーになれるわけではありませんでした。階級差別が撤廃され、リーダーが社会のあらゆる階層から出てくるのが明らかになると、リーダーシップは優秀な遺伝子を持って生まれたり立派な家庭から生まれたりするよりも、もっと複雑なものであるということが常識になりました。
遺伝子の適切な組み合わせでリーダーが生まれるわけではないとすれば、恐らく、全てのリーダーはしつけや教育を通して習得した特定の特性や特徴を持ち合わせているのではないでしょうか。この考え方によってリーダーの普遍的な特性の調査が始まりました。しかし、何百という研究によって、リーダーとそうでない人との間には何の特性の違いもないということが判明し、リーダーシップがリーダーの中に備わっている特定の属性の産物であるという仮説は消えてなくなりました。
社会科学者たちが、リーダーとフォロワーとの間のインタラクションという観点でリーダーシップを調べ始めた時、大きな進展が見られました。
 
問題の所有権
Page 37:
「行動の窓」はどんな時でも、どの人が満たされないニーズを持つのか――生産的な仕事を妨げる問題を持つのは誰なのかをあなたが決めるのを助けてくれます。
その目的は、問題が存在していることにリーダーがいち早く気づき、その問題を診断し、人間関係を安定させ生産的な仕事を続けることができるようにするためには、どのスキルを使うべきかを知ることにあります。
 
Page 39:
グループのリーダーになる過程において、手綱をきつく掴み、最高のスタートを切り、全ての問題を自分一人で解決してやろうという誘惑をはねのけられる人はほとんどいません。ほとんどの新しいリーダーにとっては、任命した人たちに、その選択が正しかったことをできるだけ早く証明することが最初の懸念であることはもっともなことです。自分をよく見せたい、それも早ければ尚よい。結局のところ、すぐにでも介入して、「実権を握る」のでないなら、リーダーは何のためにいるのでしょうか?軍用語ではそれを、「指揮を執る」と表現します。
残念なことに、急いで実権を握ろうとすると、リーダーはひどい目に遭うかも知れません。急な改革や速攻治療、生産性の劇的な向上に熱心で、グループの前任のボスが残した問題を綺麗に後始末して欲しいという高い期待があると、リーダーはよく知られる「改革に積極的な新任者」の誘惑に負けてしまいます。しかし、グループ・メンバーの意欲と協力がなければ、自分の力だけではリーダーは滅多に改革はできませんし、即座にメンバーからの協力を得られるものでもありません。グループは変化に抵抗し、慣れ親しんだ方法を続けることに固執します。これらの「グループの規範」は、グループ・メンバーの行動に強い影響を与えます。
 
 
Pages 41 – 42:
効果的なリーダーを問題解決能力のある人として考え直してみると、リーダーは問題解決の全責任を一人で負う必要はないということを強調しておく必要があるでしょう。むしろ、グループ・メンバーの支援をリソースとして得ても良いのです。少なくとも理論上は、問題に直面した際、最善の解決策を導くためにグループ・メンバー全員の創造的リソース(もちろんリーダーも含めて)を結集するのが理想的なグループと言えます。メンバーの全員が全ての問題解決に関わる必要はなく、理想的なグループでは、適材適所でメンバー全員のリソースを活用できるのです。

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