[ニュースレター] 2010年3月号

─2010年3月号─「I-メッセージを送る時にしたいこと」

L.E.T.修了者の方々へ

今日はトマス・ゴードン博士(1918 – 2002).の誕生日です。

彼に敬意を表し、彼の執筆したすべての中で最も優雅で感銘深いものの1つを皆さんとともに味わいましょう。私たちが教えているワークショップはどれでも、つまりゴードン・モデルはこれに基づいています。皆さんが以前に見たことがあることは承知の上ですが、恐らく、読んでからしばらく経っていると思います。これは本当に強力なメッセージです。

今日私は彼に敬意を表し、あなたとこれをシェアするのは私自身彼にひとつ貸しがあるからです。(ダジャレを意図していますが—ゴードン博士は自分自身をダジャレ・マスターだと言っていました。)   

他者との人間関係に関する私の信条

あなたと私は互いに尊重し合い人間関係を維持していきたと思う関係です。さらに私たちはそれぞれが独自の価値とニーズをもった個々の人間です。

互いの価値観やニーズについてよりわかり、理解するために私たちのコミュニケーションにおいて常にオープンで正直でいましょう。

あなたが人生で問題を抱えた時、私はあなたを助け、私の意見を押し付けるよりもあなた自身の解決策を見出すのに役立つように、誠実で受容な態度であなたの話を聴こうとします。そして私が問題を解決したい時は私にとってよい聴き役になってほしいのです。

あなたの行動が私のニーズを満たすためにやらなければならないことを妨げている時には、あなたの行動がどのように私に影響を与えているかを隠さず正直にあなたに伝えます。あなたは私のニーズや感情を充分理解し、私にとって受け入れられない行動をあなたが変えてくれると信じています。また、私の行動を受け入れられない時には、私が自分の行動を変えることができるよう、隠さず正直に私に伝えてほしいのです。

そして私たちの人間関係において対立が生じた際には、私たちはどちらかが負ける犠牲のもとで勝つ、という権力行使に頼ることなく、互いに対立を解決していきましょう。私はあなたのニーズを尊重しますが、さらに私のニーズも尊重しなければなりません。ですから、私達双方が受け入れられる解決策を探す努力をしていきましょう。――あなたのニーズが満たされ、そして私のニーズも満たされます。――どちらも負けず、お互いが勝つのです。

このようにあなたは自分のニーズを満たすことを通して人間として成長を続けることができます。私も同じです。このように私達は健全な人間関係でいることができ、その関係の中でお互いに相手を受け入れようと努力することができるのです。そして、私達は尊重、愛、そして平和を持って互いの人間関係を続けていくことができるのです。

Dr. Thomas Gordon
©1964 Gordon Training International

Thank you, Tom!

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[ニュースレター] 2012年12月号

─2012年12月号─「あなたはオープンで正直な人間関係を望んでいますか?」

L.E.T.修了者の方々へ

ほとんどのリーダーはこの質問に素早く肯定的な返事をするでしょう。なぜなら、少なくとも理論上はオープンで正直な人間関係はほとんどの人が理想的だと考えるゴールだからです。しかし、ほとんどの組織においてリーダーとグループ・メンバーとのオープンで正直な人間関係は皆無です。リーダーは『上司役』を演じ、グループ・メンバーは『部下役』を演じます。

船の船長は嵐が来ていても全て制御されていると見せなければなりません。上司は見かけ上、クールで落ち着いていて冷静でいなければなりません。リーダーは命令を下し、人々に何をすべきかを伝えます。リーダーは恐怖をシェアしたり、自分のミスを認めたりしてはいけません。リーダーは自分の人間の弱さを隠します。

社員は命令を受け入れ、上司のアドバイスを受けます。社員は上司を批判せず、上司の判断に疑問を持ちません。自分の感情を隠してミスを隠します。正直であることは危険すぎます。アサーティブであることはおこがましいのです。

中西部にある大きな化学薬品会社の技術者が自分のゴードン・モデルのトレーナーに以下の件について話しました。『ほとんどのスーパーバイザーは少し頭がよくて自分の仕事にプライドを持っており、よりアグレッシブなのでスーパーバイザーになったのです。彼らの文化でこのことが意味するものは、その単語『上司』の言葉通り、既に上司であるということです。そして、上司はある一定の行動をとります――例えば、他の人に意見を仰ぐことは絶対にしません。上司は人に指示します。上司は生産を上げること以外に関心がありません。文化的にそのような行動が奨励されます。スーパーバイザーになるために一生懸命働く理由は、上司になるためです。一部のスーパーバイザーは『自分の権力を人とシェアしたくない』と言うでしょう。

リーダーが権力を使うのを止めて、対立をNo-Loseメソッドを使って解決しようとする時、人は役割や仮面を取り外すでしょう。上司が本気で社員が満足する対立解決策を望んでいると社員の側が気づくと、社員はオープンに、そして正直にそれらのニーズを表現し始めます。対立によって社員が負けるような決定に終わらないと社員が確信する時、彼らは本当の気持ちを上司にぶつけて対決することを恐れなくなります。それは逆にも作用します。リーダーは社員に対してよりオープンで正直になります。

メソッドⅢは新しい基準をリーダーとメンバーの人間関係に導入します。対立の状況下で打ち解けて防衛を解いても安全です。なぜなら、関係している全ての人が受容できる解決策が最終的に見つかるからです。
あなたがメソッドⅢを使うなら、権力主義的リーダーに対してはほとんど表現されない感情、批判、苦情が聞けます。あなたはその準備ができていますか?あなたが他の人にどのように見られているか聞く用意はありますか?保身や報復をしないで人から批判を受け、あなたの考えや意見に反対する人を受け入れることができますか?

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[ニュースレター] 2016年3月号

─2016年3月号─「ルールがワークしない時どうするか」

March 14th, 2016
By: Dr. Thomas Gordon
 
全ての組織にはルールがあります。全てのレベルのリーダーは自分の部下がルールを守るよう指導する責任があります。そのようなルールはグループ・メンバーが組織に入る以前から施行されていて、上層部により設定されたため、下のレベルのリーダーの『自由領域』を超えています。そのようなルールの多くは明らかにルールを守るべき人たちの参加がないまま設定されています。
 
ワーク・グループのメンバーがルールを破ったら、リーダーはどうすべきでしょうか?このような違反に対処しつつ、No-Loseの視点で対処する方法はありますか?
 
以下、ステップ・バイ・ステップの方法を箇条書きにしました。あなたのグループ・メンバーであるパットがあるルールを破ったと仮定して下さい。
 
1.      パットがルール違反をしたことが確かであるならば、彼女がルールを知っていて理解していたか確認します。もし、そうでなければ、ルールを説明し、ルールを実施する責任があなたにあることを説明します。
2.      何らかの理由でパットがルールを守れないと感じているならば、共感的に聴きます。しかし、あなたには彼女に自由を与える権限がないことを説明します。それは、あなたの自由の領域、影響の範囲を超えています。
3.      もし、パットが再度ルールを守らなかったら、あなたの行動の窓で彼女のルールを守らないという行動がどこに入るか決定しなければなりません。受容できる行動のエリア(あなたへの具体的な影響がない)にあるのか、受容できない行動のエリア(あなたへの具体的な影響がある)のか。
4.      パットがルールを守らないという行動があなたにとって本当に受容できるなら、あなたは何もアクションをとらず、彼女にその結果責任とってもらいます(彼女が問題を「持つ」)。例:もし従業員が自分の車を別の人が契約しているスペースに止めても、あなたに影響はないので何もしない。
5.      パットの行動があなたにとって受容できないなら(あなたが問題を「持つ」)、明瞭なI-メッセージを送ります。例:グループ・メンバーは機密文書を保護することができません。「パット、機密文書が保護されていない時、私はとても不安になります。何故なら、私は上司から責任を負わされているので、私の立場も危うくなるからです。」あなたはギア・シフトをして彼女の反応にアクティブ・リスニングする必要があるかも知れません。
6.      もし、パットが依然行動を変えようとしないなら、あなたはニーズの対立に気づき、メソッドⅢを始めるでしょう。そこで、あなたはどのようなニーズがあって彼女はルールを破っているのかに気づくかも知れません。
7.      もし、メソッドⅢでもあなたが受容できる解決策を見つけられないなら、以下の代替案の一つを選ぶことができます。
(a)    彼女に次回同じことが起こった際の重要性を正確に伝えます(それが何であったとしても――例えば、解雇、降格など)。
(b)    今回、その重要性がもたらす結果責任を果たさせます。
(c)    変えるのはルールの方であると決定し、あなたの上司にこの問題を報告します。
 
このアプローチには幾つかの仮定が存在します。人は時として、違反しているルールについて知りません。人がルールを破るのは、何かニーズを満たそうとしているからです。人は通常、訴えに応じて、あなたのニーズに慎重に対処します。ルールを破り続けるならば、人はその行動によってもたらされる結果を受け入れなければなりません。これらの仮定と、私がアウトラインした手順はリーダー・エフェクティブネスの概念と一貫しています。

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[ニュースレター] 2018年12月号

─2018年12月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.8」

Date: December 8th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

ロードブロック

 これら聴き手の応答の12カテゴリに含まれる暗黙の(時として非常に露骨な)意味合いは、話し手を受け入れるというよりも、むしろ話し手に変わってほしいという要望や意図になります。ロードブロックというのは、支援される人に対して考え方や感じ方、あるいは態度を変えてほしいという要望(しばしば圧力)を伝えてしまうのです。これら12種類の応答は、そのため、非受容を伝えるための手段として機能してしまいます。そして、非受容の雰囲気というのが、個人の成長や発展、そして心理的健康の促進にはほとんど役に立たないことは、もうご存知のはずです。
  では、なぜなのでしょうか? 人は、彼らを変えさせようとして恣意的な権力に恐れている時や、彼らを変えさせようとする脅威にさらされていたり、批判されていたり、こき下ろされていたり、もしくは分析されていたりすると感じている時、あまり効果的に問題解決をしようとはしないように思われます。こうした雰囲気は変化に対する防衛反応や抵抗を生み出します(レベルⅡの安全と安心のニーズを守るのです)。それと同時に、自己表現や自己探求──どちらも問題を解決するのには必要不可欠なもの──を阻害します。
 リスニングは、グループ・メンバーが彼らの問題を解決するための支援をする上で、もう一つ、問題解決の責任をメンバー(当然ながら「問題を所有する」人)に持たせ続けるという、とても重要な機能を果たします。12のロードブロックは、打って変わって、さまざまな度合いで問題の所有者からその責任を奪い取り、リーダーの手中に置きかえる傾向にあります。
 責任の中心を問題の所有者に据えておくことは、次のような理由から重要になります。
 第一に、チーム・メンバーに自分の問題を自分で解決させるリーダーは、たくさんの利益を生み出すための堅実な投資をしています。チーム・メンバーのリーダーに対する依存は少なくなり、より自律的に、より自立して、よりうまく自分で自分の問題を解決できるようになります。
 第二に、リーダーは、グループ・メンバーが仕事のオンとオフを問わず彼らの生活圏内で直面する、幅広いさまざまな個人的問題とその複雑さについて、充分に理解していることはめったにありません。そのため、問題解決の責任の中心を支援される人に据えておくためのスキルは、わずかな情報しかない問題についての答えを導き出すという不可能な課題からリーダーを解放してくれます。たとえ、相手の問題についての理解が通常どの程度制限されているかを認識している、熟練したプロのカウンセラーでも、しばしば重たいプレッシャーを感じていながら、それでもクライアントの解決策を導き出す責任を担うことはしません。

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[ニュースレター] 2011年3月号

─2011年3月号─「もしそれがそんなに重要ならば、あなたはどうしてやっていないのですか?」

L.E.T.修了者の方々へ、

リーダーシップ・トレーニングのほとんどはマネジャーがどのように自分のチーム・メンバーに積極的に成果をあげる行動をさせるかに重点を置いています。しかし、しばしば忘れられている力学は、『モデリング』の概念です。簡単に言うと、モデリングは他者にやってほしい行動を自分自身がやってみせるということです。これは基本的考えで、本質的にはゴードン・ルールが変化したもの(バリエーション)ですが、言うは易し、行うは難しなのです(私のするようにではなく、言うようにしなさい)!

ほとんどの組織ではそれぞれのレベルのメンバーが必要な行動を回避するのに都合のよい体制や仕事上の役割を構築しています。例えば、仕事の時間です。『適用除外』のポジションですが、報酬の計算が時給ではない場合は、時間ではなく仕事によって支払われます。このような人達は職務上時間のフレキシビリティ(柔軟性)があり、個人的なアポをスケジュールすることも可能ですし、『正式な』勤務時間中に子供のサッカーの試合を見に行くことも出来ますが、残業代ももらわずに夜勤をしたり、週末出勤をしたりします。ですから、このような体制には賛否両論あります。これがモデリングとどう関係しているのでしょうか?

通常このようなフレキシビリティを持っている上司が、頻繁に仕事に遅刻してくるなら、チームはそれに気づき、どうしてこれが受容できるのだろうかと疑問に思うでしょう。『もし自分たちが8時半きっかりに出社することがそんなに重要ならば、どうしてそれがあの上司には適用されないのだろうか?』とチーム・メンバーは疑問に思うでしょう。ここで重要なのは、遅刻に値する理由があるならば、それは受容されてもよいとみなされるということです。しかし、職務上フレキシビリティが既に組み込まれているので、上司が理由もなく遅刻しても受容されると思っているのです。

これがスタッフが認知している現状ならば、上司の信頼性が危うくなったのも理解できます。もし上司が来たい時に会社に来ているとチームの人たちが思うなら、決められた時間に出社することがそんなに重要ではなくなるでしょう。ここには不平等感が存在します。これは小さな例ですが、このような原則が毎日どのように行われているか考えてみて下さい。私たちが他者と関わる方法はどうでしょうか?言葉遣いはどうでしょうか?噂話をしたり他人を軽蔑したりするのはどうでしょうか?真実を言ってみてはどうでしょうか?会社が設定した規則に我々が従うというのはどうでしょうか?我々の子供たちに設定した行動規範を我々自身がやっているでしょうか?

もしリーダーシップ・トレーニングが他者の行動に影響を与えるスキルを身につけるためのものならば、モデリングの明らかにパワルフな影響に触れる必要があります。他者の行動に影響を与える唯一最善の方法は、その行動をあなた自身がモデリングすることです。あなたが上司がするように行い、それがうまく行くのを見ることで、他者も上司がするようにやってみようと思うのです。

L.E.T.マスター・トレーナー、スティーブ・クランドール氏執筆

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[ニュースレター] 2014年3月号

─2014年3月号─「ゴードン・モデルがいつもあなたと共にありますように」

 あなたがより上手く人と関われるように助けるメッセージを詩にのせてここに掲げます。それはキビキビした言葉ではなく親切な言葉を使って、あなたに平安が訪れる機会を増やしてくれるでしょう。

 私たちの窓は『行動』がどこにあるのかを見えるようにしてくれます。今、あなたは問題があなたのものなのか、私のものなのか、それとも私たちのものなのかを識別する方法を学びました。

 誰かが(話を聞いてほしくて)耳を必要としている時、あなたはその人の話を聞いてあげ、その人が疑いや恐れに対する解決策を見つける手助けをします。

 あなたが大丈夫だと思っていないことを伝える必要がある時には、非難しないであなたのニーズを満たすための異なるスキルがあります。

 メソッドⅢは怒鳴ったり責めたりする代わりに使うスキルです。あなたと友達、上司あるいは母親がNo-Lose解決策を見つける支援となります。

 今日は聖パトリック祭です。以上が皆さんに言いたいことです。ただ単に生き残るためではなく、あなたはユニークで個性的な方法で目標に向かって前進できますように。

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[ニュースレター] 2017年2月号

─2017年2月号─「権力の多様化」

Date: February 26th, 2017 | BY Brian Miller
 
 人間関係の権力は思ったほど簡単な概念ではありません。多くの人間関係で、権力の役割は明確ですが、一部の人間関係ではあいまいで定義するのが難しいのです。「権力」という言葉ですら、人によっては異なる意味に捉えられます。ゴードン・モデルでは、私たちは通常権力による人間関係を2種類に分類して対処しています。それらを「メソッドI」と「メソッドⅡ」と呼んでいます。
 メソッドⅠはトップダウン型の権力による人間関係です。一人の人間が意思決定をし、他の人(あるいはチームの全員)がその決定に従います。トップダウン型のメソッドⅠのリーダーは通常、役職だからということでチームの責任を負っています。しかしながら、これは必ずしも真実ではありません。あるグループでは、責任者は一貫してある一人のグループ・メンバーの意見に従います。グループ・リーダーがどう感じていようが、グループは一人のメンバーの決定や意見に従います。最初は、グループ・リーダーは弱くて能力のないリーダーのように思えますが、それはグループ・ダイナミックスの正しい解釈ではありません。リーダーのタイトルを持っている人が他の人のフォロワーになります。自然と、あるケースでは、このようなことが起こります。なぜならば、本当のグループ・リーダーは役職だからリーダーになっている人よりも、より仕事ができるからです。ほとんどの場合、このようなことが起こる理由は、本当のリーダーはアグレッシブで支配的なパーソナリティを持ち合わせており、グループに対して命令ができるのです。もし、グループが自分たちの課題をやり遂げて、自分たちの目標に達するならば、この状況は受容できる状況かも知れません。残念ながら、時間とともに役職だからグループ・リーダーになっている人は本当のリーダーからだけでなく、他のグループ・メンバーからも拒否され、軽蔑されたと感じるでしょう。役職だからリーダーである人は、いつかけんか腰の態度やいじめによって支配を再度主張しようとします。そうなった時、生産的なチームも突然非生産的になってしまいます。
 メソッドⅡはボトムアップ型の権力による人間関係です。この状況はほとんどの人たちが「弱いリーダーシップ」と解釈しているものです。人間関係で権力を保有している(あるいは役職からチームのリーダー)と思われている人は、ほとんど、あるいは全く自分の個人的な考えをグループに主張しません。その代わり、アイデアはいつもグループから出され、グループは議論したり投票したりして、どのアイデアを採択するかを決定します。この状況は多くの人たちにとって、グループ・リーダーとしてもグループ・メンバーとしても、とても生産的で心地よいものです。上記の状況のように、役職からリーダーになった人ではない真のリーダーの場合、徐々にグループから仲間はずれに感じ始めます。グループ・リーダーは不必要で快く受け入れられていないと感じます。このようなネガティブな感情がピークに達し始めると、グループ・リーダーはグループ・ディスカッションからもっと引きこもってしまうでしょう。このようなことが起こると、グループは明らかに目指すべき目標もなくなり、生産性が劇的に低下してしまいます。
 権力が人間関係の土台になっている時はいつでも、権力者から従うように強要されている人は拒絶感を経験します。この拒絶の感覚は、やがて無気力感(欲望の欠如)や倦怠感(意欲の欠如)を生み出します。無気力感や倦怠感がひとたび人の心を支配し始めると、回復するのはとても難しいのです。職場に現れない人、しばしば自分の上司と口論する人、予定より遅れてしまう人、あるいは頻繁に病気になる人は、無気力感あるいは倦怠感、またはその両方に深く陥ります。
 対立は時としてこのような権力に基づいた人間関係の中で起こります。ゴードン・モデルの強みに一つは、このような人間関係を上手く切り抜けるためのツールを提供します。実際の権限ではなく、役職から権限を持っている人は、どのようにグループの中の権限が均衡を失したのかについてのグループの認識を高めるために、対決的I-メッセージ、アクティブ・リスニング、ギア・シフトを使うことができます。メソッドⅢの対立解決法は、権力のバランスを取り戻し、生産性を回復させるための仲立ちとして使われます。同様に、権力の基づいた人間関係によって抑圧され、疎外されたグループ・メンバーは、対決的I-メッセージを使って権力を使っている人に自分自身の感情を伝えて気づかせることができます。グループ・メンバーはアクティブ・リスニングやギア・シフトを使って、人間関係を権力によってコントロールしようとする人の理不尽な要求に対して反応することができます。
 私たちが力関係が不均衡な人間関係にある時、L.E.T.で学んだスキルが権力のバランスを回復させるためのロードマップとなります。

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[ニュースレター] 2019年11月号

─2019年11月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑥」

Date: November 17, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

リーダーのジレンマ

 

また、組織内で働くすべてのリーダーたちの最も強いニーズの1 つには、自分自身の上司の目にはよく映りたいということもあるでしょう。リーダーの自尊心は上司からのインプットや評価に、その大部分が由来します。さらに重要なのは、リーダーが上司の期待や目標に沿わなかった場合(組織が目標を達成するための支援を効果的にしていると認められなかった場合)、彼らは降格や解雇といった脅威に晒されることでしょう。

 したがって、フォーマルな組織の中で働いているリーダーはジレンマに陥ります。彼らは、組織のニーズを満たすのと同時に、グループ・メンバーのニーズを満たさなければならないのです。そのための秘訣は、いかにして双方向からのニーズのバランスをとるかを学び、上司とグループ・メンバーの双方から効果的な人であると認められるようになることです。フォーマルな組織で働いたことのある人なら誰でも分かっていることですが、これは簡単な課題ではありません。なぜならば、組織のニーズが主に生産性と効率性の向上である一方、グループ・メンバーのニーズは、時として生産性や効率性の向上をめざすためのプレッシャーに抵抗することだからです。

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[ニュースレター] 2009年4月号

─2009年4月号─「誰が問題の所有権を持っているかを知る方法」

L.E.T.ワークショップ修了者の方へ

皆さんもご承知のとおり、誰が問題を所有しているかを明確にするのは必要不可欠なことです。最初の作業、#1としては、あなたはどのゴードンモデルを使うのかを決める,そうですね?時々、誰が問題を所有しているのか曖昧になることがありませんか? 今回のニューズレターはこれを思い起こすのに役立つと思います! 待って・・始める前にあなたの窓を思い出してみましょう――あなたがどのように外の人々を見ているのか!

1.   相手が取り乱している、あるいは問題や心配事を持っていることを示している時、そのシグナル行動は行動の窓の最上部に置かれます。(相手が問題を持つ)

2. 相手もあなたも効果的に機能している、すなわち両者ともに思い悩んだり、取り乱したりしていない時、その行動(両方が効果的である)は行動の窓の2番目の部分に置かれます。(問題のないエリア、生産的な仕事のエリア)

3. 相手の行動があなたのニーズを満たすのを妨げる場合、すなわち相手がしたり、言ったりしたことによってあなたが苛立ち、心配になっているなどの場合、その人の行動は行動の窓の3つめの部分に置かれます。(私が問題を持つ)

4. 相手もあなたも両方が苛立ちを感じている、すなわちお互いが対立している時、これらの行動は行動の窓の4つ目の部分に置かれます。(私たちが問題を持つ)

1.相手が問題を持つ:

時々、あなたのニーズを妨げない、受容できる相手の行動を観察することがあるでしょう。しかし、相手は困っている――問題や悩みを経験し、とても動揺しているといったサインをちょうどその時、あなたに伝えているという状況にあなたは気づきます。

あなたは次のような言語的な手掛かりを相手から得るでしょう。

怒っているんだ!”
寝ていればよかった.”
ところで一体彼らは私たちに何を期待しているっていうんだ?”

あるいは次のような非言語的な手掛かりを得るかも知れません:

悲しそうにしている、泣いている
あなたと話すのを避けている
忘れっぽくなっている
頻繁に溜息をつく

相手が問題や関心事、満たされないニーズを感じ、あなたにシグナルを送っている時、相手が問題を持つ、と言います。

それはその人に起きていて、その人の問題であり、あなたの問題ではありません。
あなたはとても心配かもしれませんが、あなた自身はその問題を解決せず、あなた自身はその問題を所有しないで相手が問題解決するのを助けたい、と思っています。

2. 問題のないエリア:  

このエリアは生産的な行動(受容出来る行動、OKで何も問題がない)が起きている時を表します。

問題のないエリアはあなたの受容エリアの中にあります。
このエリアは相手もあなたもお互いにニーズが満たされていることを経験している時です。
ここでは生産的な仕事がなされています。
相手の行動は相手が問題を持っていることを示しませんし、あなたに問題を起こしてもいません。

問題のないエリアにおける状況として次のようなものがあります。

あなたの上司とあなたは刺激のある話し合いをしています。
あなたとあなたのチームメンバーは任務を遂行するため、熱心に働いています。

3. 私が問題を持つエリア:

このエリアは受容ラインの下にあることに注意してください。相手の行動はあなたのニーズを満たすのを妨げています。その時、あなたが問題を持っています。落ち着きがなくなる、欲求が満たされない、心配な、不愉快な気分を味わったりしているのはあなたです。
受容できない行動の例

グループメンバーが相変わらず会議に遅れてくる
部署の中であなたに影響を与える活動について同僚はあなたに知らせてくれない。

相手の行動によって問題を感じているのはあなたである時、あなたが問題を持っています。

4. 私たちが問題を持つ:

あなたのニーズと相手のニーズが衝突している状況です。お互いが人間関係において受容できない感覚を経験します。あなたかグループメンバーのどちらかが相手に立ち向かい、満たされないニーズを表現する時、しばしば対立の存在が明らかになります。

このエリアは受容ラインの下にあることに注意してください。

お互いのニーズが満たされていません。両者とも取り乱し、欲求不満を感じています。
対立した状況の例

チームメンバーが繁忙期に数日休みを取りたがっている
あなたが重要なミーティングをスケジュールに入れた日と同じ日に同僚が会議室を使いたがっている。

このまとめがあなたのお役に立てると幸いです。あなたのフィードバックや提案、意向などお聞きしたいです!

Thank you! 🙂

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[ニュースレター] 2012年2月号

─2012年2月号─「バラは赤、スミレは青紫---私はどうやってあなたに感謝していると言ったらいいですか?」

L.E.T.修了者の方々へ

チョコレート、カード、花—それらはみな、あなたのバレンタイン(あるいは友達、同僚、子供など)があなたにとってどれだけ大切かを伝える素晴らしい、心温まる手段です。
 
皆さんはそこに感謝のI-メッセージも付け加えるでしょうね!
 
このようなタイプのI-メッセージは(レッテル貼りや判断を使う称賛とは異なり)、相手の行動に焦点を当てつつあなたへのポジティブな影響をも織り込みます。それは他の人たちの貢献に感謝するための優れた方法です(それはまた、あなたは何が好きであるかを知らせますし、相手も感謝のI-メッセージを受け取れば、その行動を繰り返したいと思う傾向にあります)。ですから、称賛をやめてこんなのを代わりに試してみたらいかがでしょうか!
 
いくつか例を紹介しましょう。 
 
『あなたが遅くまで残ってあの注文を処理してくれて、私は本当に感謝しています。期日にも間に合ったので、私はとてもホッとしています。』
 
『あなたと話して楽しませていただきました。私はあなたの洞察力を高く評価しています。』
 
『あなたが今日、無事に帰宅したと連絡をくれた時、私はホッとして仕事のプロジェクトに集中することができました。』
 
『私はあなたとハイキングに行くのが本当に楽しくて好きです。いつも喋っていなくてもいいし、とてもリラックスできてあなたと一緒にいることが楽です。』
 
『一週間会社を離れていても、私が通常する業務をあなたがこなしてくれることを私は本当に評価しています。旅行中も助かっています。』
 
Happy Valentine’s Day to you! 皆さまが一日中、誰かに感謝されることをお祈りします。

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