[ニュースレター] 2015年1月号

─2015年1月号─「感情が高ぶった時、どうすべきか」

 Date: January 12th, 2015
Blog Post by:  Dr. Thomas Gordon (from his L.E.T. textbook)

人間関係において対立が起こった時、時として感情が高ぶってしまうレベルにまで達し、怒りの感情がぶつかり合います。この段階ではだれも建設的な問題解決をするムードではありません。感情が渦巻いて効果的な問題解決に必要な思考ができません。このような時、アクティブ・リスニングがとても役立ちます――相手は言いたいことを言って胸のつかえを下ろし、その後、問題解決のための道を切り開きます。

人は怒ったり動揺したりすると、周りにそれを知ってほしいと思います――『私が問題解決する前に、まず私がすごく怒っていて、動揺しているってことをわかってよ。』と言わんばかりに。『あなたが私をどれだけ怒らせたか、動揺させたか見てみなさいよ!悪いと思わないの?』などと言って、人はしばしば相手を懲らしめたくなります。人が対立で湧きあがった強い感情を吐き出す別の理由は、相手に自分の要求全てに応じるように脅すためです。『私が怒っていることを十分示し、大きな声で怒鳴れば、自分の要求が通るかも知れない。』これは子供の癇癪と同様、親ならよくわかると思いますが、ベストな戦略は感情が消えるのを待つことです。
 
 次にお伝えする人事ディレクターに関わった事例は、アクティブ・リスニングがどのように怒っている人を落ち着かせ、問題解決への道を切り開いたかを物語っています。
 
 『私にとって本当にうまく行ったのはユニオン・オフィサーとの事例です。彼らの以前のスタイルは大きな不平であれ小さな不平であれ、大騒ぎします。彼らが大きな声で叫べば、マネジメントの誰かが折れて彼らを元気づけるアイデアを試み、落ち着かせるでしょう。それを20年ほどやった後、もうこれ以上打つ手がなくなってしまいました。そこで、L.E.T.ワークショップを開催した後、レポート用紙を出してこう言いました。『あなた方はみんな、本当に動揺していますが、少しだけ落ち着いて話してくれるなら、私はここにそれらを書き留めます。』このようなミーティングには象徴的な転換点があります――相手は一定の時間、わめき散らし続けます。そして、相手が『しかじかの上司がひどいことをしたから、しかじかの方法で報復しなければならないんです。』などと話す内容を私は書き留め、アクティブ・リスニングをします。相手が本当に動揺していることをフィードバックし続け、それについてもっと聴いて何かできることはないのかを見つけ出したいと伝えます。そうすると相手は通常、問題が鎮まるように心が静まります。ミーティングが終わる頃までには、反論せずに受け入れ、『OK。私たちは問題がここにあること、そしてそれを調べなければならないことを理解しました。いつ回答をいただけますか?』というようなことを言って反論せずに受け入れます。相手が戻ってくる時にはいつも、『しかじかの件について調査しましたか?』など、全く別の感情のレベルになっています。そして、私は『ええ、私が見つけた結果はこんなことでした。』などと言います。私の答は必ずしもポジティブなものではなく、相手は聞きたいと思っていたことを聞けた訳ではありません。しかし、そうであったとしても、本当に聞いてもらえたという感じで、状況全体について心が和らいでいるように見えました。
 
人の感情が高ぶっている時、『相手が本当に聴いてもらえたと感じる』ところに行きつくための、アクティブ・リスニング以外の良いツールを私は知りません。

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[ニュースレター] 2017年12月号

─2017年12月号─「L.E.T.は競争上の優位性をもたらしますか?」

Date: December 13th, 2017 | BY Joseph Wilmot
 
1990年代後半、私はゴードン・トレーニング・インターナショナル(”GTI”)社で働いていました。私はリーダー・エフェクティブネス・トレーニング(”Leader Effectiveness Training” or “L.E.T.”)を採用していた企業のケース・スタディをまとめ、公表しました。長年お付き合いのある顧客(現在もGTI社の顧客を継続中)は、製造業の大きな民営企業です。その企業は活気が溢れ、健康的で多忙な従業員がいることでよく知られた企業です。インタビューをする中で、彼らはL.E.T.が「秘密の手段」「競争上の優位性」であると考えていることを大っぴらに認めてくれました。ドカーン!私が必要としていた引用でした。そして彼らは、素早くこう付け加えました。「他言は無用ですよ」

ガッカリ!その企業について私は公表するに至りましたが、最も価値ある情報の一部は省かざるを得ませんでした。しかし、私が言えることは、この企業はフォーチュン・マガジンの「働きがいのある会社ベスト100」のリストに載るほど有名だということです。現在に話を戻すと、私と私の妻は、2006年にハワイ州マウイ島で始めたファッション・ブティックのチェーン店を14店舗所有しています。今となっては遠慮なく、L.E.T.が私たちの会社の競争上の優位性であると言うことができます。

では、それがどのように私たちの競争優位性なのでしょうか?私たちの会社はとても複雑な何百ものパーツでできたエンジンで走る会社だと考えています。その複雑さに加えて、このエンジンのパーツには感情やニーズ、自身のマインドが存在しているのです。対立や誤解、憤りが多く噴出する機会でもあります。厄介な人たちの問題に対処するためのツールをL.E.T.は与えてくれます。それによってパーツがお互いを苦しめることなく、全ての業務を遅らせることもなく、崩壊することもありません。

嬉しいことに、私のビジネス・パートナーは妻です。ということは、私たちのパーソナルな部分も仕事上の部分も時として不鮮明になります。お互いが燃え尽きるリスクが絶えず存在しているということです。L.E.T.は私たちが問題解決に必要なツールを提供し、お互いの神経を逆撫ですることがありません。一緒に協力して働けるということはアドバンテージです。従業員との対立を解決できることもアドバンテージです。顧客や業者との対立を解決できること、健全な人間関係を維持できることもアドバンテージです。働くことが実際に楽しいと感じ、人の問題に悩まされずに生きることができるのもアドバンテージです。
今年はL.E.T.の世界に飛び込み、深く関わることができました。私は自分の会社のインハウス・トレーナーになったのです。それは、L.E.T.の価値への信頼の証しです。それゆえに、私は個人的に私たちの従業員にワークショップを教える時間を作ろうと決心したのです。そうすることで、メッセージが明確になると期待しています。私たちはL.E.T.を本当に価値あるものと認め、そしてどのレベルにいようが全ての人に学んで欲しいと思っています。

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[ニュースレター] 2010年3月号

─2010年3月号─「I-メッセージを送る時にしたいこと」

L.E.T.修了者の方々へ

今日はトマス・ゴードン博士(1918 – 2002).の誕生日です。

彼に敬意を表し、彼の執筆したすべての中で最も優雅で感銘深いものの1つを皆さんとともに味わいましょう。私たちが教えているワークショップはどれでも、つまりゴードン・モデルはこれに基づいています。皆さんが以前に見たことがあることは承知の上ですが、恐らく、読んでからしばらく経っていると思います。これは本当に強力なメッセージです。

今日私は彼に敬意を表し、あなたとこれをシェアするのは私自身彼にひとつ貸しがあるからです。(ダジャレを意図していますが—ゴードン博士は自分自身をダジャレ・マスターだと言っていました。)   

他者との人間関係に関する私の信条

あなたと私は互いに尊重し合い人間関係を維持していきたと思う関係です。さらに私たちはそれぞれが独自の価値とニーズをもった個々の人間です。

互いの価値観やニーズについてよりわかり、理解するために私たちのコミュニケーションにおいて常にオープンで正直でいましょう。

あなたが人生で問題を抱えた時、私はあなたを助け、私の意見を押し付けるよりもあなた自身の解決策を見出すのに役立つように、誠実で受容な態度であなたの話を聴こうとします。そして私が問題を解決したい時は私にとってよい聴き役になってほしいのです。

あなたの行動が私のニーズを満たすためにやらなければならないことを妨げている時には、あなたの行動がどのように私に影響を与えているかを隠さず正直にあなたに伝えます。あなたは私のニーズや感情を充分理解し、私にとって受け入れられない行動をあなたが変えてくれると信じています。また、私の行動を受け入れられない時には、私が自分の行動を変えることができるよう、隠さず正直に私に伝えてほしいのです。

そして私たちの人間関係において対立が生じた際には、私たちはどちらかが負ける犠牲のもとで勝つ、という権力行使に頼ることなく、互いに対立を解決していきましょう。私はあなたのニーズを尊重しますが、さらに私のニーズも尊重しなければなりません。ですから、私達双方が受け入れられる解決策を探す努力をしていきましょう。――あなたのニーズが満たされ、そして私のニーズも満たされます。――どちらも負けず、お互いが勝つのです。

このようにあなたは自分のニーズを満たすことを通して人間として成長を続けることができます。私も同じです。このように私達は健全な人間関係でいることができ、その関係の中でお互いに相手を受け入れようと努力することができるのです。そして、私達は尊重、愛、そして平和を持って互いの人間関係を続けていくことができるのです。

Dr. Thomas Gordon
©1964 Gordon Training International

Thank you, Tom!

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[ニュースレター] 2012年12月号

─2012年12月号─「あなたはオープンで正直な人間関係を望んでいますか?」

L.E.T.修了者の方々へ

ほとんどのリーダーはこの質問に素早く肯定的な返事をするでしょう。なぜなら、少なくとも理論上はオープンで正直な人間関係はほとんどの人が理想的だと考えるゴールだからです。しかし、ほとんどの組織においてリーダーとグループ・メンバーとのオープンで正直な人間関係は皆無です。リーダーは『上司役』を演じ、グループ・メンバーは『部下役』を演じます。

船の船長は嵐が来ていても全て制御されていると見せなければなりません。上司は見かけ上、クールで落ち着いていて冷静でいなければなりません。リーダーは命令を下し、人々に何をすべきかを伝えます。リーダーは恐怖をシェアしたり、自分のミスを認めたりしてはいけません。リーダーは自分の人間の弱さを隠します。

社員は命令を受け入れ、上司のアドバイスを受けます。社員は上司を批判せず、上司の判断に疑問を持ちません。自分の感情を隠してミスを隠します。正直であることは危険すぎます。アサーティブであることはおこがましいのです。

中西部にある大きな化学薬品会社の技術者が自分のゴードン・モデルのトレーナーに以下の件について話しました。『ほとんどのスーパーバイザーは少し頭がよくて自分の仕事にプライドを持っており、よりアグレッシブなのでスーパーバイザーになったのです。彼らの文化でこのことが意味するものは、その単語『上司』の言葉通り、既に上司であるということです。そして、上司はある一定の行動をとります――例えば、他の人に意見を仰ぐことは絶対にしません。上司は人に指示します。上司は生産を上げること以外に関心がありません。文化的にそのような行動が奨励されます。スーパーバイザーになるために一生懸命働く理由は、上司になるためです。一部のスーパーバイザーは『自分の権力を人とシェアしたくない』と言うでしょう。

リーダーが権力を使うのを止めて、対立をNo-Loseメソッドを使って解決しようとする時、人は役割や仮面を取り外すでしょう。上司が本気で社員が満足する対立解決策を望んでいると社員の側が気づくと、社員はオープンに、そして正直にそれらのニーズを表現し始めます。対立によって社員が負けるような決定に終わらないと社員が確信する時、彼らは本当の気持ちを上司にぶつけて対決することを恐れなくなります。それは逆にも作用します。リーダーは社員に対してよりオープンで正直になります。

メソッドⅢは新しい基準をリーダーとメンバーの人間関係に導入します。対立の状況下で打ち解けて防衛を解いても安全です。なぜなら、関係している全ての人が受容できる解決策が最終的に見つかるからです。
あなたがメソッドⅢを使うなら、権力主義的リーダーに対してはほとんど表現されない感情、批判、苦情が聞けます。あなたはその準備ができていますか?あなたが他の人にどのように見られているか聞く用意はありますか?保身や報復をしないで人から批判を受け、あなたの考えや意見に反対する人を受け入れることができますか?

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[ニュースレター] 2016年3月号

─2016年3月号─「ルールがワークしない時どうするか」

March 14th, 2016
By: Dr. Thomas Gordon
 
全ての組織にはルールがあります。全てのレベルのリーダーは自分の部下がルールを守るよう指導する責任があります。そのようなルールはグループ・メンバーが組織に入る以前から施行されていて、上層部により設定されたため、下のレベルのリーダーの『自由領域』を超えています。そのようなルールの多くは明らかにルールを守るべき人たちの参加がないまま設定されています。
 
ワーク・グループのメンバーがルールを破ったら、リーダーはどうすべきでしょうか?このような違反に対処しつつ、No-Loseの視点で対処する方法はありますか?
 
以下、ステップ・バイ・ステップの方法を箇条書きにしました。あなたのグループ・メンバーであるパットがあるルールを破ったと仮定して下さい。
 
1.      パットがルール違反をしたことが確かであるならば、彼女がルールを知っていて理解していたか確認します。もし、そうでなければ、ルールを説明し、ルールを実施する責任があなたにあることを説明します。
2.      何らかの理由でパットがルールを守れないと感じているならば、共感的に聴きます。しかし、あなたには彼女に自由を与える権限がないことを説明します。それは、あなたの自由の領域、影響の範囲を超えています。
3.      もし、パットが再度ルールを守らなかったら、あなたの行動の窓で彼女のルールを守らないという行動がどこに入るか決定しなければなりません。受容できる行動のエリア(あなたへの具体的な影響がない)にあるのか、受容できない行動のエリア(あなたへの具体的な影響がある)のか。
4.      パットがルールを守らないという行動があなたにとって本当に受容できるなら、あなたは何もアクションをとらず、彼女にその結果責任とってもらいます(彼女が問題を「持つ」)。例:もし従業員が自分の車を別の人が契約しているスペースに止めても、あなたに影響はないので何もしない。
5.      パットの行動があなたにとって受容できないなら(あなたが問題を「持つ」)、明瞭なI-メッセージを送ります。例:グループ・メンバーは機密文書を保護することができません。「パット、機密文書が保護されていない時、私はとても不安になります。何故なら、私は上司から責任を負わされているので、私の立場も危うくなるからです。」あなたはギア・シフトをして彼女の反応にアクティブ・リスニングする必要があるかも知れません。
6.      もし、パットが依然行動を変えようとしないなら、あなたはニーズの対立に気づき、メソッドⅢを始めるでしょう。そこで、あなたはどのようなニーズがあって彼女はルールを破っているのかに気づくかも知れません。
7.      もし、メソッドⅢでもあなたが受容できる解決策を見つけられないなら、以下の代替案の一つを選ぶことができます。
(a)    彼女に次回同じことが起こった際の重要性を正確に伝えます(それが何であったとしても――例えば、解雇、降格など)。
(b)    今回、その重要性がもたらす結果責任を果たさせます。
(c)    変えるのはルールの方であると決定し、あなたの上司にこの問題を報告します。
 
このアプローチには幾つかの仮定が存在します。人は時として、違反しているルールについて知りません。人がルールを破るのは、何かニーズを満たそうとしているからです。人は通常、訴えに応じて、あなたのニーズに慎重に対処します。ルールを破り続けるならば、人はその行動によってもたらされる結果を受け入れなければなりません。これらの仮定と、私がアウトラインした手順はリーダー・エフェクティブネスの概念と一貫しています。

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[ニュースレター] 2018年12月号

─2018年12月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.8」

Date: December 8th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

ロードブロック

 これら聴き手の応答の12カテゴリに含まれる暗黙の(時として非常に露骨な)意味合いは、話し手を受け入れるというよりも、むしろ話し手に変わってほしいという要望や意図になります。ロードブロックというのは、支援される人に対して考え方や感じ方、あるいは態度を変えてほしいという要望(しばしば圧力)を伝えてしまうのです。これら12種類の応答は、そのため、非受容を伝えるための手段として機能してしまいます。そして、非受容の雰囲気というのが、個人の成長や発展、そして心理的健康の促進にはほとんど役に立たないことは、もうご存知のはずです。
  では、なぜなのでしょうか? 人は、彼らを変えさせようとして恣意的な権力に恐れている時や、彼らを変えさせようとする脅威にさらされていたり、批判されていたり、こき下ろされていたり、もしくは分析されていたりすると感じている時、あまり効果的に問題解決をしようとはしないように思われます。こうした雰囲気は変化に対する防衛反応や抵抗を生み出します(レベルⅡの安全と安心のニーズを守るのです)。それと同時に、自己表現や自己探求──どちらも問題を解決するのには必要不可欠なもの──を阻害します。
 リスニングは、グループ・メンバーが彼らの問題を解決するための支援をする上で、もう一つ、問題解決の責任をメンバー(当然ながら「問題を所有する」人)に持たせ続けるという、とても重要な機能を果たします。12のロードブロックは、打って変わって、さまざまな度合いで問題の所有者からその責任を奪い取り、リーダーの手中に置きかえる傾向にあります。
 責任の中心を問題の所有者に据えておくことは、次のような理由から重要になります。
 第一に、チーム・メンバーに自分の問題を自分で解決させるリーダーは、たくさんの利益を生み出すための堅実な投資をしています。チーム・メンバーのリーダーに対する依存は少なくなり、より自律的に、より自立して、よりうまく自分で自分の問題を解決できるようになります。
 第二に、リーダーは、グループ・メンバーが仕事のオンとオフを問わず彼らの生活圏内で直面する、幅広いさまざまな個人的問題とその複雑さについて、充分に理解していることはめったにありません。そのため、問題解決の責任の中心を支援される人に据えておくためのスキルは、わずかな情報しかない問題についての答えを導き出すという不可能な課題からリーダーを解放してくれます。たとえ、相手の問題についての理解が通常どの程度制限されているかを認識している、熟練したプロのカウンセラーでも、しばしば重たいプレッシャーを感じていながら、それでもクライアントの解決策を導き出す責任を担うことはしません。

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[ニュースレター] 2011年3月号

─2011年3月号─「もしそれがそんなに重要ならば、あなたはどうしてやっていないのですか?」

L.E.T.修了者の方々へ、

リーダーシップ・トレーニングのほとんどはマネジャーがどのように自分のチーム・メンバーに積極的に成果をあげる行動をさせるかに重点を置いています。しかし、しばしば忘れられている力学は、『モデリング』の概念です。簡単に言うと、モデリングは他者にやってほしい行動を自分自身がやってみせるということです。これは基本的考えで、本質的にはゴードン・ルールが変化したもの(バリエーション)ですが、言うは易し、行うは難しなのです(私のするようにではなく、言うようにしなさい)!

ほとんどの組織ではそれぞれのレベルのメンバーが必要な行動を回避するのに都合のよい体制や仕事上の役割を構築しています。例えば、仕事の時間です。『適用除外』のポジションですが、報酬の計算が時給ではない場合は、時間ではなく仕事によって支払われます。このような人達は職務上時間のフレキシビリティ(柔軟性)があり、個人的なアポをスケジュールすることも可能ですし、『正式な』勤務時間中に子供のサッカーの試合を見に行くことも出来ますが、残業代ももらわずに夜勤をしたり、週末出勤をしたりします。ですから、このような体制には賛否両論あります。これがモデリングとどう関係しているのでしょうか?

通常このようなフレキシビリティを持っている上司が、頻繁に仕事に遅刻してくるなら、チームはそれに気づき、どうしてこれが受容できるのだろうかと疑問に思うでしょう。『もし自分たちが8時半きっかりに出社することがそんなに重要ならば、どうしてそれがあの上司には適用されないのだろうか?』とチーム・メンバーは疑問に思うでしょう。ここで重要なのは、遅刻に値する理由があるならば、それは受容されてもよいとみなされるということです。しかし、職務上フレキシビリティが既に組み込まれているので、上司が理由もなく遅刻しても受容されると思っているのです。

これがスタッフが認知している現状ならば、上司の信頼性が危うくなったのも理解できます。もし上司が来たい時に会社に来ているとチームの人たちが思うなら、決められた時間に出社することがそんなに重要ではなくなるでしょう。ここには不平等感が存在します。これは小さな例ですが、このような原則が毎日どのように行われているか考えてみて下さい。私たちが他者と関わる方法はどうでしょうか?言葉遣いはどうでしょうか?噂話をしたり他人を軽蔑したりするのはどうでしょうか?真実を言ってみてはどうでしょうか?会社が設定した規則に我々が従うというのはどうでしょうか?我々の子供たちに設定した行動規範を我々自身がやっているでしょうか?

もしリーダーシップ・トレーニングが他者の行動に影響を与えるスキルを身につけるためのものならば、モデリングの明らかにパワルフな影響に触れる必要があります。他者の行動に影響を与える唯一最善の方法は、その行動をあなた自身がモデリングすることです。あなたが上司がするように行い、それがうまく行くのを見ることで、他者も上司がするようにやってみようと思うのです。

L.E.T.マスター・トレーナー、スティーブ・クランドール氏執筆

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[ニュースレター] 2014年3月号

─2014年3月号─「ゴードン・モデルがいつもあなたと共にありますように」

 あなたがより上手く人と関われるように助けるメッセージを詩にのせてここに掲げます。それはキビキビした言葉ではなく親切な言葉を使って、あなたに平安が訪れる機会を増やしてくれるでしょう。

 私たちの窓は『行動』がどこにあるのかを見えるようにしてくれます。今、あなたは問題があなたのものなのか、私のものなのか、それとも私たちのものなのかを識別する方法を学びました。

 誰かが(話を聞いてほしくて)耳を必要としている時、あなたはその人の話を聞いてあげ、その人が疑いや恐れに対する解決策を見つける手助けをします。

 あなたが大丈夫だと思っていないことを伝える必要がある時には、非難しないであなたのニーズを満たすための異なるスキルがあります。

 メソッドⅢは怒鳴ったり責めたりする代わりに使うスキルです。あなたと友達、上司あるいは母親がNo-Lose解決策を見つける支援となります。

 今日は聖パトリック祭です。以上が皆さんに言いたいことです。ただ単に生き残るためではなく、あなたはユニークで個性的な方法で目標に向かって前進できますように。

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[ニュースレター] 2017年2月号

─2017年2月号─「権力の多様化」

Date: February 26th, 2017 | BY Brian Miller
 
 人間関係の権力は思ったほど簡単な概念ではありません。多くの人間関係で、権力の役割は明確ですが、一部の人間関係ではあいまいで定義するのが難しいのです。「権力」という言葉ですら、人によっては異なる意味に捉えられます。ゴードン・モデルでは、私たちは通常権力による人間関係を2種類に分類して対処しています。それらを「メソッドI」と「メソッドⅡ」と呼んでいます。
 メソッドⅠはトップダウン型の権力による人間関係です。一人の人間が意思決定をし、他の人(あるいはチームの全員)がその決定に従います。トップダウン型のメソッドⅠのリーダーは通常、役職だからということでチームの責任を負っています。しかしながら、これは必ずしも真実ではありません。あるグループでは、責任者は一貫してある一人のグループ・メンバーの意見に従います。グループ・リーダーがどう感じていようが、グループは一人のメンバーの決定や意見に従います。最初は、グループ・リーダーは弱くて能力のないリーダーのように思えますが、それはグループ・ダイナミックスの正しい解釈ではありません。リーダーのタイトルを持っている人が他の人のフォロワーになります。自然と、あるケースでは、このようなことが起こります。なぜならば、本当のグループ・リーダーは役職だからリーダーになっている人よりも、より仕事ができるからです。ほとんどの場合、このようなことが起こる理由は、本当のリーダーはアグレッシブで支配的なパーソナリティを持ち合わせており、グループに対して命令ができるのです。もし、グループが自分たちの課題をやり遂げて、自分たちの目標に達するならば、この状況は受容できる状況かも知れません。残念ながら、時間とともに役職だからグループ・リーダーになっている人は本当のリーダーからだけでなく、他のグループ・メンバーからも拒否され、軽蔑されたと感じるでしょう。役職だからリーダーである人は、いつかけんか腰の態度やいじめによって支配を再度主張しようとします。そうなった時、生産的なチームも突然非生産的になってしまいます。
 メソッドⅡはボトムアップ型の権力による人間関係です。この状況はほとんどの人たちが「弱いリーダーシップ」と解釈しているものです。人間関係で権力を保有している(あるいは役職からチームのリーダー)と思われている人は、ほとんど、あるいは全く自分の個人的な考えをグループに主張しません。その代わり、アイデアはいつもグループから出され、グループは議論したり投票したりして、どのアイデアを採択するかを決定します。この状況は多くの人たちにとって、グループ・リーダーとしてもグループ・メンバーとしても、とても生産的で心地よいものです。上記の状況のように、役職からリーダーになった人ではない真のリーダーの場合、徐々にグループから仲間はずれに感じ始めます。グループ・リーダーは不必要で快く受け入れられていないと感じます。このようなネガティブな感情がピークに達し始めると、グループ・リーダーはグループ・ディスカッションからもっと引きこもってしまうでしょう。このようなことが起こると、グループは明らかに目指すべき目標もなくなり、生産性が劇的に低下してしまいます。
 権力が人間関係の土台になっている時はいつでも、権力者から従うように強要されている人は拒絶感を経験します。この拒絶の感覚は、やがて無気力感(欲望の欠如)や倦怠感(意欲の欠如)を生み出します。無気力感や倦怠感がひとたび人の心を支配し始めると、回復するのはとても難しいのです。職場に現れない人、しばしば自分の上司と口論する人、予定より遅れてしまう人、あるいは頻繁に病気になる人は、無気力感あるいは倦怠感、またはその両方に深く陥ります。
 対立は時としてこのような権力に基づいた人間関係の中で起こります。ゴードン・モデルの強みに一つは、このような人間関係を上手く切り抜けるためのツールを提供します。実際の権限ではなく、役職から権限を持っている人は、どのようにグループの中の権限が均衡を失したのかについてのグループの認識を高めるために、対決的I-メッセージ、アクティブ・リスニング、ギア・シフトを使うことができます。メソッドⅢの対立解決法は、権力のバランスを取り戻し、生産性を回復させるための仲立ちとして使われます。同様に、権力の基づいた人間関係によって抑圧され、疎外されたグループ・メンバーは、対決的I-メッセージを使って権力を使っている人に自分自身の感情を伝えて気づかせることができます。グループ・メンバーはアクティブ・リスニングやギア・シフトを使って、人間関係を権力によってコントロールしようとする人の理不尽な要求に対して反応することができます。
 私たちが力関係が不均衡な人間関係にある時、L.E.T.で学んだスキルが権力のバランスを回復させるためのロードマップとなります。

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[ニュースレター] 2019年11月号

─2019年11月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑥」

Date: November 17, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

リーダーのジレンマ

 

また、組織内で働くすべてのリーダーたちの最も強いニーズの1 つには、自分自身の上司の目にはよく映りたいということもあるでしょう。リーダーの自尊心は上司からのインプットや評価に、その大部分が由来します。さらに重要なのは、リーダーが上司の期待や目標に沿わなかった場合(組織が目標を達成するための支援を効果的にしていると認められなかった場合)、彼らは降格や解雇といった脅威に晒されることでしょう。

 したがって、フォーマルな組織の中で働いているリーダーはジレンマに陥ります。彼らは、組織のニーズを満たすのと同時に、グループ・メンバーのニーズを満たさなければならないのです。そのための秘訣は、いかにして双方向からのニーズのバランスをとるかを学び、上司とグループ・メンバーの双方から効果的な人であると認められるようになることです。フォーマルな組織で働いたことのある人なら誰でも分かっていることですが、これは簡単な課題ではありません。なぜならば、組織のニーズが主に生産性と効率性の向上である一方、グループ・メンバーのニーズは、時として生産性や効率性の向上をめざすためのプレッシャーに抵抗することだからです。

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