[ニュースレター] 2019年10月号

─2019年10月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑤」

Date: October 22, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

リーダーのジレンマ

 

グループ・メンバー* のニーズを満たすことを通じてフォロワーの心をつかむことだけが効果的なリーダーシップのすべてではありません。反面では、リーダー自身も自分自身のニーズを上手く満たさなければならないのです。

グループ・メンバーのニーズを満たすためだけにリーダーシップのポジションに就きたいと思う人はめったにいません。リーダーも人間です。彼らもまた、地位、業績、より高い給料、承認、自尊心、保障、そして受容といった普通の人間としてのニーズを持っています。実際のところ、大抵はグループ・メンバーと同じニーズです。リーダーシップのポジションにいながら、これらのニーズを満たす方法が見出せなければ、その地位に長く留まりたいとは思わないでしょう。たとえ、リーダーが自分のニーズの多くが満たされないことがわかっていながら、我慢して長くその職を続けようとしても、すぐに、自分のグループ・メンバーのニーズが満たされるようすべきことを全力で努力しようとしても、それができない自分に気づくはずです。

 その説明は単純明快です。人は「お互いの利益」が得られると感じた時にのみ、他人のためになることに労力を使い続けます。人間関係において一方だけが利益を得るのには必ず限界があります。「魚心あれば水心」ということわざからも、この原則が理解できます。

 「満たされたコップの原則」もまた、ここでは作用しています。他人に与え続けることを可能にする(自分のコップから他人に水を飲ませ続ける)ためには、私は水が満たされたコップを持っていなければならず、また、水を補給し続ける(自分のコップを相対的に満たしておく)方法を見つけなければなりません。この原則の重要性については、援助を専門とするプロの間でよく理解されています。というのも、彼ら自身が私生活でのトラブルや、ニーズが満たされずに欠乏状態を経験している時、他人を援助する能力が非常に低下することに気づくからです。ですから、多くのプロのセラピストたちは、自分たちのコップを相対的に満たしておけるように、自分のためのセラピストを雇う必要性を感じているのです。

 

 

* この本を通して、私は「グループ・メンバー」「チーム・メンバー」「従業員」という言葉を同義語として使用しています。また、リーダーについても「スーパーバイザー」「マネジャー」「上司」など様々な用語を使用しています。「上司」という用語は私としては好ましくありませんが、通用性があり、使用しないというのも全く非現実的なので、この本でも使用しています。

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[ニュースレター] 2009年3月号

─2009年3月号─「How to Be Happy at Work」

L.E.T.ワークショップ修了者の方へ

最近、ビジネス誌に掲載されている職場の幸せについての記事を読んでいて(いくつか矛盾する点もありますが)、皆さんと共有したいハイライトがありましたのでご紹介します。

『10年に亘るリサーチが、職場の幸せ(これは喜び、順調な雇用、そして意義と定義します)は収入、収益性、従業員の定着、カスタマーロイヤリティー、そして安全な職場へと向上させるだろう、と指摘している。』(SmallBiz Magazine, Feb/Mar, 2009)

『肯定的な感情は創造力や問題解決能力、ストレス耐性を高める。』(SmallBiz Magazine, Feb/Mar, 2009)

ところで“幸せなクラス”にはどこでサインアップできますか?あなたはどのように楽しく充実した職場環境を作り上げていますか?職場で幸せになるにはどうしたらよいですか?(しかしながら、今となっては単に仕事があるだけで幸せなのではないでしょうか?)

記事が提唱していることは・・・・

・あなたの同僚にもっと感謝の思いを表現しましょう。感謝の気持ち、ポジティブな感情、強みを活かし最高のパフォーマンスを達成することは生産性を向上させ、離職率を引き下げ、利益を増加させることを研究が示している、と記事は言っています。私に言わせれば、゛もっと感謝のI-メッセージをおくりましょう″ということです。いくつか例をあげてみます。

゛昨日のブレーン・ストーミングのミーティングで率直に意見を言ってくれて感謝しています。皆が意見を言い合うと良い決定ができますね。″

“出張に必要なことが何なのかを前持って言ってくださると、私の時間やスケジュールを調整するのに助かるし、ストレスで参ってしまうこともなく、あなたの要望に時間内にこたえることができていい気分です。”

“企業ミーティングで、残業してまでも私たちがプロジェクトを遂行したことに対して、あなたから感謝の気持ちを述べられてとても嬉しかったです。”

・評価で従業員の問題点ではなく従業員の価値に焦点を当てる(L.E.T.の本にガイドラインが示されている“定期的に行われる実績会議”について考えてみましょう!)

多くの企業は何らかのパフォーマンスのレビュー・システムを持っています。これは最高におもしろい経験で、ここであなたは何ヶ月も前のことについて批評を受けたり、あなたがすべきだったすべてのことについて聞いたりすることになります。あなたは自信をなくし、傷つけられた、憤慨したといったような感情を持つでしょう。これに代わるものとしてL.E.T.(Leader Effective Training)では「定期的に会議を計画する(PPC)」ことを提案しています。

手短に言えば、グループ・メンバーの業務遂行に影響を及ぼす恐れのある問題や心配事、仕事の満足感や企業の将来についてリーダーとグループ・メンバーが討議をする機会を持つことです。過去の業績(もう既に済んでしまったこと)に焦点をあてないで、PPCは将来の業績(これから可能性のあること)に焦点をあてることをリーダーやグループ・メンバーに提案しています。それによって、PPCはリーダーがメンバーの過去の実績を評価するような好ましくない評価システムではなく、将来のパフォーマンスに焦点を絞ります。

PPCをもっと学びたくなりましたか?更に知りたい方はEメールして下さいね。

Thank you!

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[ニュースレター] 2012年1月号

─2012年1月号─「ゴードン・モデルを使って自分の道を見つける方法」

謹賀新年、L.E.T.修了者の方々へ

最近L.E.T.を修了したスティーブの話をしましょう。スティーブはバージニア州のロアノーク郡の消防署に勤務しています。
 
このストーリーはL.E.T.認定トレーナーの方々にもシェアしました。私がこのストーリーで気に入っているのは、とてもユニークな設定です。スティーブは自分のスキルを試して成功させようという熱意をもっており、また、彼はどうやったらワークショップを取っていない人たちにスキルを使って問題解決の一助になれるかを熱心に考えていたのです。
 
素晴らしいストーリーだと思いますし、皆さまもそう感じていただければ幸いです。
 
『私はアメリカ・パーク・サービスであるアパラチアン・トレイル管理委員会とともに、アパラチアン・トレイル(アメリカ東部にある3515キロメートルのハイキング道)に今日はほとんど一日中いました。道に迷うハイカーを減らすために、自分で音頭をとり、トレイルにサインを立てて道標にするなど、色々やっています。道に迷う軽率な人がいっぱいいて増えていく一方です。トレイルでこのような活動をして何年にもなりますが、継続的に抵抗にも遭っています。
ですから、ハイキングして話している間、私はアクティブ・リスニングやI-メッセージをし始め、何回かはギア・シフトをしていました。一日中、人々とハイキングをしていれば信頼関係(ラポール)も構築されます。そして『私たち』には問題があることに気づきました。彼らのニーズはトレイルが原始的なアプローチを失ってしまうことを恐れて人工的な標識を掲げることを嫌がっていました。そうすることで、トレイルの美しい景観が失われると思ったのです。私のニーズは人々が道に迷って命を落とすことを避けたいということです。
 
私たちがL.E.T.のワークショップで練習したこと全てを適用することができ、一日の終わりには駐車場でフォローアップ・ミーティングみたいなものもしました。私たちは4人が全員納得できる解決策(メソッドⅢを使って)に辿り着くことができました。私は主要なエリアに道標を立てことができ、彼らにも少しは助けになり、特にトレイルがよりわかりやすく、日中のハイカーが素晴らしい景色を満喫することができるようになりました。最後に、私たちの部署はレスキューやファースト・エイド(応急処置)の訓練をアパラチアン・トレイル管理委員会のような組織に提供し(彼らにとっては経費削減になっています)、トレイルのメンテナンスも支援しています。そしてアパラチアン・トレイル管理委員会の働きは認知され、認められました。
 
ですから、これは全ての人にとってWin-Winだと私は思いました。あのゴードン・モデルのクラスを取らなかったら、こんなに上手くできたと私は思っていません。本当にゴードン・モデルがもたらした奇跡だと思います。ゴードン・モデルがなければ、私たちが必要としていたものをこんな成功裏に手に入れ、最終的に人々を安全に傷つかず山から戻すことはできなかったと思います。ハイカーたちのニーズも満たし、アパラチアン・トレイル管理委員会のニーズも満たすことができました。全ての利害関係者からなるワーキング・グループを構築することでトレイルに戻ることができたのですが、L.E.T.トレーニングを使ったことで話し合いが解決に向かったと信じています。
 
皆さんにこのことを伝えたかったのです…願わくば、L.E.Tのクラスを続けて行く力になればと思います。私はずっと取り入れています。 

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[ニュースレター] 2015年1月号

─2015年1月号─「感情が高ぶった時、どうすべきか」

 Date: January 12th, 2015
Blog Post by:  Dr. Thomas Gordon (from his L.E.T. textbook)

人間関係において対立が起こった時、時として感情が高ぶってしまうレベルにまで達し、怒りの感情がぶつかり合います。この段階ではだれも建設的な問題解決をするムードではありません。感情が渦巻いて効果的な問題解決に必要な思考ができません。このような時、アクティブ・リスニングがとても役立ちます――相手は言いたいことを言って胸のつかえを下ろし、その後、問題解決のための道を切り開きます。

人は怒ったり動揺したりすると、周りにそれを知ってほしいと思います――『私が問題解決する前に、まず私がすごく怒っていて、動揺しているってことをわかってよ。』と言わんばかりに。『あなたが私をどれだけ怒らせたか、動揺させたか見てみなさいよ!悪いと思わないの?』などと言って、人はしばしば相手を懲らしめたくなります。人が対立で湧きあがった強い感情を吐き出す別の理由は、相手に自分の要求全てに応じるように脅すためです。『私が怒っていることを十分示し、大きな声で怒鳴れば、自分の要求が通るかも知れない。』これは子供の癇癪と同様、親ならよくわかると思いますが、ベストな戦略は感情が消えるのを待つことです。
 
 次にお伝えする人事ディレクターに関わった事例は、アクティブ・リスニングがどのように怒っている人を落ち着かせ、問題解決への道を切り開いたかを物語っています。
 
 『私にとって本当にうまく行ったのはユニオン・オフィサーとの事例です。彼らの以前のスタイルは大きな不平であれ小さな不平であれ、大騒ぎします。彼らが大きな声で叫べば、マネジメントの誰かが折れて彼らを元気づけるアイデアを試み、落ち着かせるでしょう。それを20年ほどやった後、もうこれ以上打つ手がなくなってしまいました。そこで、L.E.T.ワークショップを開催した後、レポート用紙を出してこう言いました。『あなた方はみんな、本当に動揺していますが、少しだけ落ち着いて話してくれるなら、私はここにそれらを書き留めます。』このようなミーティングには象徴的な転換点があります――相手は一定の時間、わめき散らし続けます。そして、相手が『しかじかの上司がひどいことをしたから、しかじかの方法で報復しなければならないんです。』などと話す内容を私は書き留め、アクティブ・リスニングをします。相手が本当に動揺していることをフィードバックし続け、それについてもっと聴いて何かできることはないのかを見つけ出したいと伝えます。そうすると相手は通常、問題が鎮まるように心が静まります。ミーティングが終わる頃までには、反論せずに受け入れ、『OK。私たちは問題がここにあること、そしてそれを調べなければならないことを理解しました。いつ回答をいただけますか?』というようなことを言って反論せずに受け入れます。相手が戻ってくる時にはいつも、『しかじかの件について調査しましたか?』など、全く別の感情のレベルになっています。そして、私は『ええ、私が見つけた結果はこんなことでした。』などと言います。私の答は必ずしもポジティブなものではなく、相手は聞きたいと思っていたことを聞けた訳ではありません。しかし、そうであったとしても、本当に聞いてもらえたという感じで、状況全体について心が和らいでいるように見えました。
 
人の感情が高ぶっている時、『相手が本当に聴いてもらえたと感じる』ところに行きつくための、アクティブ・リスニング以外の良いツールを私は知りません。

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[ニュースレター] 2017年12月号

─2017年12月号─「L.E.T.は競争上の優位性をもたらしますか?」

Date: December 13th, 2017 | BY Joseph Wilmot
 
1990年代後半、私はゴードン・トレーニング・インターナショナル(”GTI”)社で働いていました。私はリーダー・エフェクティブネス・トレーニング(”Leader Effectiveness Training” or “L.E.T.”)を採用していた企業のケース・スタディをまとめ、公表しました。長年お付き合いのある顧客(現在もGTI社の顧客を継続中)は、製造業の大きな民営企業です。その企業は活気が溢れ、健康的で多忙な従業員がいることでよく知られた企業です。インタビューをする中で、彼らはL.E.T.が「秘密の手段」「競争上の優位性」であると考えていることを大っぴらに認めてくれました。ドカーン!私が必要としていた引用でした。そして彼らは、素早くこう付け加えました。「他言は無用ですよ」

ガッカリ!その企業について私は公表するに至りましたが、最も価値ある情報の一部は省かざるを得ませんでした。しかし、私が言えることは、この企業はフォーチュン・マガジンの「働きがいのある会社ベスト100」のリストに載るほど有名だということです。現在に話を戻すと、私と私の妻は、2006年にハワイ州マウイ島で始めたファッション・ブティックのチェーン店を14店舗所有しています。今となっては遠慮なく、L.E.T.が私たちの会社の競争上の優位性であると言うことができます。

では、それがどのように私たちの競争優位性なのでしょうか?私たちの会社はとても複雑な何百ものパーツでできたエンジンで走る会社だと考えています。その複雑さに加えて、このエンジンのパーツには感情やニーズ、自身のマインドが存在しているのです。対立や誤解、憤りが多く噴出する機会でもあります。厄介な人たちの問題に対処するためのツールをL.E.T.は与えてくれます。それによってパーツがお互いを苦しめることなく、全ての業務を遅らせることもなく、崩壊することもありません。

嬉しいことに、私のビジネス・パートナーは妻です。ということは、私たちのパーソナルな部分も仕事上の部分も時として不鮮明になります。お互いが燃え尽きるリスクが絶えず存在しているということです。L.E.T.は私たちが問題解決に必要なツールを提供し、お互いの神経を逆撫ですることがありません。一緒に協力して働けるということはアドバンテージです。従業員との対立を解決できることもアドバンテージです。顧客や業者との対立を解決できること、健全な人間関係を維持できることもアドバンテージです。働くことが実際に楽しいと感じ、人の問題に悩まされずに生きることができるのもアドバンテージです。
今年はL.E.T.の世界に飛び込み、深く関わることができました。私は自分の会社のインハウス・トレーナーになったのです。それは、L.E.T.の価値への信頼の証しです。それゆえに、私は個人的に私たちの従業員にワークショップを教える時間を作ろうと決心したのです。そうすることで、メッセージが明確になると期待しています。私たちはL.E.T.を本当に価値あるものと認め、そしてどのレベルにいようが全ての人に学んで欲しいと思っています。

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[ニュースレター] 2010年3月号

─2010年3月号─「I-メッセージを送る時にしたいこと」

L.E.T.修了者の方々へ

今日はトマス・ゴードン博士(1918 – 2002).の誕生日です。

彼に敬意を表し、彼の執筆したすべての中で最も優雅で感銘深いものの1つを皆さんとともに味わいましょう。私たちが教えているワークショップはどれでも、つまりゴードン・モデルはこれに基づいています。皆さんが以前に見たことがあることは承知の上ですが、恐らく、読んでからしばらく経っていると思います。これは本当に強力なメッセージです。

今日私は彼に敬意を表し、あなたとこれをシェアするのは私自身彼にひとつ貸しがあるからです。(ダジャレを意図していますが—ゴードン博士は自分自身をダジャレ・マスターだと言っていました。)   

他者との人間関係に関する私の信条

あなたと私は互いに尊重し合い人間関係を維持していきたと思う関係です。さらに私たちはそれぞれが独自の価値とニーズをもった個々の人間です。

互いの価値観やニーズについてよりわかり、理解するために私たちのコミュニケーションにおいて常にオープンで正直でいましょう。

あなたが人生で問題を抱えた時、私はあなたを助け、私の意見を押し付けるよりもあなた自身の解決策を見出すのに役立つように、誠実で受容な態度であなたの話を聴こうとします。そして私が問題を解決したい時は私にとってよい聴き役になってほしいのです。

あなたの行動が私のニーズを満たすためにやらなければならないことを妨げている時には、あなたの行動がどのように私に影響を与えているかを隠さず正直にあなたに伝えます。あなたは私のニーズや感情を充分理解し、私にとって受け入れられない行動をあなたが変えてくれると信じています。また、私の行動を受け入れられない時には、私が自分の行動を変えることができるよう、隠さず正直に私に伝えてほしいのです。

そして私たちの人間関係において対立が生じた際には、私たちはどちらかが負ける犠牲のもとで勝つ、という権力行使に頼ることなく、互いに対立を解決していきましょう。私はあなたのニーズを尊重しますが、さらに私のニーズも尊重しなければなりません。ですから、私達双方が受け入れられる解決策を探す努力をしていきましょう。――あなたのニーズが満たされ、そして私のニーズも満たされます。――どちらも負けず、お互いが勝つのです。

このようにあなたは自分のニーズを満たすことを通して人間として成長を続けることができます。私も同じです。このように私達は健全な人間関係でいることができ、その関係の中でお互いに相手を受け入れようと努力することができるのです。そして、私達は尊重、愛、そして平和を持って互いの人間関係を続けていくことができるのです。

Dr. Thomas Gordon
©1964 Gordon Training International

Thank you, Tom!

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[ニュースレター] 2012年12月号

─2012年12月号─「あなたはオープンで正直な人間関係を望んでいますか?」

L.E.T.修了者の方々へ

ほとんどのリーダーはこの質問に素早く肯定的な返事をするでしょう。なぜなら、少なくとも理論上はオープンで正直な人間関係はほとんどの人が理想的だと考えるゴールだからです。しかし、ほとんどの組織においてリーダーとグループ・メンバーとのオープンで正直な人間関係は皆無です。リーダーは『上司役』を演じ、グループ・メンバーは『部下役』を演じます。

船の船長は嵐が来ていても全て制御されていると見せなければなりません。上司は見かけ上、クールで落ち着いていて冷静でいなければなりません。リーダーは命令を下し、人々に何をすべきかを伝えます。リーダーは恐怖をシェアしたり、自分のミスを認めたりしてはいけません。リーダーは自分の人間の弱さを隠します。

社員は命令を受け入れ、上司のアドバイスを受けます。社員は上司を批判せず、上司の判断に疑問を持ちません。自分の感情を隠してミスを隠します。正直であることは危険すぎます。アサーティブであることはおこがましいのです。

中西部にある大きな化学薬品会社の技術者が自分のゴードン・モデルのトレーナーに以下の件について話しました。『ほとんどのスーパーバイザーは少し頭がよくて自分の仕事にプライドを持っており、よりアグレッシブなのでスーパーバイザーになったのです。彼らの文化でこのことが意味するものは、その単語『上司』の言葉通り、既に上司であるということです。そして、上司はある一定の行動をとります――例えば、他の人に意見を仰ぐことは絶対にしません。上司は人に指示します。上司は生産を上げること以外に関心がありません。文化的にそのような行動が奨励されます。スーパーバイザーになるために一生懸命働く理由は、上司になるためです。一部のスーパーバイザーは『自分の権力を人とシェアしたくない』と言うでしょう。

リーダーが権力を使うのを止めて、対立をNo-Loseメソッドを使って解決しようとする時、人は役割や仮面を取り外すでしょう。上司が本気で社員が満足する対立解決策を望んでいると社員の側が気づくと、社員はオープンに、そして正直にそれらのニーズを表現し始めます。対立によって社員が負けるような決定に終わらないと社員が確信する時、彼らは本当の気持ちを上司にぶつけて対決することを恐れなくなります。それは逆にも作用します。リーダーは社員に対してよりオープンで正直になります。

メソッドⅢは新しい基準をリーダーとメンバーの人間関係に導入します。対立の状況下で打ち解けて防衛を解いても安全です。なぜなら、関係している全ての人が受容できる解決策が最終的に見つかるからです。
あなたがメソッドⅢを使うなら、権力主義的リーダーに対してはほとんど表現されない感情、批判、苦情が聞けます。あなたはその準備ができていますか?あなたが他の人にどのように見られているか聞く用意はありますか?保身や報復をしないで人から批判を受け、あなたの考えや意見に反対する人を受け入れることができますか?

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[ニュースレター] 2016年3月号

─2016年3月号─「ルールがワークしない時どうするか」

March 14th, 2016
By: Dr. Thomas Gordon
 
全ての組織にはルールがあります。全てのレベルのリーダーは自分の部下がルールを守るよう指導する責任があります。そのようなルールはグループ・メンバーが組織に入る以前から施行されていて、上層部により設定されたため、下のレベルのリーダーの『自由領域』を超えています。そのようなルールの多くは明らかにルールを守るべき人たちの参加がないまま設定されています。
 
ワーク・グループのメンバーがルールを破ったら、リーダーはどうすべきでしょうか?このような違反に対処しつつ、No-Loseの視点で対処する方法はありますか?
 
以下、ステップ・バイ・ステップの方法を箇条書きにしました。あなたのグループ・メンバーであるパットがあるルールを破ったと仮定して下さい。
 
1.      パットがルール違反をしたことが確かであるならば、彼女がルールを知っていて理解していたか確認します。もし、そうでなければ、ルールを説明し、ルールを実施する責任があなたにあることを説明します。
2.      何らかの理由でパットがルールを守れないと感じているならば、共感的に聴きます。しかし、あなたには彼女に自由を与える権限がないことを説明します。それは、あなたの自由の領域、影響の範囲を超えています。
3.      もし、パットが再度ルールを守らなかったら、あなたの行動の窓で彼女のルールを守らないという行動がどこに入るか決定しなければなりません。受容できる行動のエリア(あなたへの具体的な影響がない)にあるのか、受容できない行動のエリア(あなたへの具体的な影響がある)のか。
4.      パットがルールを守らないという行動があなたにとって本当に受容できるなら、あなたは何もアクションをとらず、彼女にその結果責任とってもらいます(彼女が問題を「持つ」)。例:もし従業員が自分の車を別の人が契約しているスペースに止めても、あなたに影響はないので何もしない。
5.      パットの行動があなたにとって受容できないなら(あなたが問題を「持つ」)、明瞭なI-メッセージを送ります。例:グループ・メンバーは機密文書を保護することができません。「パット、機密文書が保護されていない時、私はとても不安になります。何故なら、私は上司から責任を負わされているので、私の立場も危うくなるからです。」あなたはギア・シフトをして彼女の反応にアクティブ・リスニングする必要があるかも知れません。
6.      もし、パットが依然行動を変えようとしないなら、あなたはニーズの対立に気づき、メソッドⅢを始めるでしょう。そこで、あなたはどのようなニーズがあって彼女はルールを破っているのかに気づくかも知れません。
7.      もし、メソッドⅢでもあなたが受容できる解決策を見つけられないなら、以下の代替案の一つを選ぶことができます。
(a)    彼女に次回同じことが起こった際の重要性を正確に伝えます(それが何であったとしても――例えば、解雇、降格など)。
(b)    今回、その重要性がもたらす結果責任を果たさせます。
(c)    変えるのはルールの方であると決定し、あなたの上司にこの問題を報告します。
 
このアプローチには幾つかの仮定が存在します。人は時として、違反しているルールについて知りません。人がルールを破るのは、何かニーズを満たそうとしているからです。人は通常、訴えに応じて、あなたのニーズに慎重に対処します。ルールを破り続けるならば、人はその行動によってもたらされる結果を受け入れなければなりません。これらの仮定と、私がアウトラインした手順はリーダー・エフェクティブネスの概念と一貫しています。

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[ニュースレター] 2018年12月号

─2018年12月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.8」

Date: December 8th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

ロードブロック

 これら聴き手の応答の12カテゴリに含まれる暗黙の(時として非常に露骨な)意味合いは、話し手を受け入れるというよりも、むしろ話し手に変わってほしいという要望や意図になります。ロードブロックというのは、支援される人に対して考え方や感じ方、あるいは態度を変えてほしいという要望(しばしば圧力)を伝えてしまうのです。これら12種類の応答は、そのため、非受容を伝えるための手段として機能してしまいます。そして、非受容の雰囲気というのが、個人の成長や発展、そして心理的健康の促進にはほとんど役に立たないことは、もうご存知のはずです。
  では、なぜなのでしょうか? 人は、彼らを変えさせようとして恣意的な権力に恐れている時や、彼らを変えさせようとする脅威にさらされていたり、批判されていたり、こき下ろされていたり、もしくは分析されていたりすると感じている時、あまり効果的に問題解決をしようとはしないように思われます。こうした雰囲気は変化に対する防衛反応や抵抗を生み出します(レベルⅡの安全と安心のニーズを守るのです)。それと同時に、自己表現や自己探求──どちらも問題を解決するのには必要不可欠なもの──を阻害します。
 リスニングは、グループ・メンバーが彼らの問題を解決するための支援をする上で、もう一つ、問題解決の責任をメンバー(当然ながら「問題を所有する」人)に持たせ続けるという、とても重要な機能を果たします。12のロードブロックは、打って変わって、さまざまな度合いで問題の所有者からその責任を奪い取り、リーダーの手中に置きかえる傾向にあります。
 責任の中心を問題の所有者に据えておくことは、次のような理由から重要になります。
 第一に、チーム・メンバーに自分の問題を自分で解決させるリーダーは、たくさんの利益を生み出すための堅実な投資をしています。チーム・メンバーのリーダーに対する依存は少なくなり、より自律的に、より自立して、よりうまく自分で自分の問題を解決できるようになります。
 第二に、リーダーは、グループ・メンバーが仕事のオンとオフを問わず彼らの生活圏内で直面する、幅広いさまざまな個人的問題とその複雑さについて、充分に理解していることはめったにありません。そのため、問題解決の責任の中心を支援される人に据えておくためのスキルは、わずかな情報しかない問題についての答えを導き出すという不可能な課題からリーダーを解放してくれます。たとえ、相手の問題についての理解が通常どの程度制限されているかを認識している、熟練したプロのカウンセラーでも、しばしば重たいプレッシャーを感じていながら、それでもクライアントの解決策を導き出す責任を担うことはしません。

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[ニュースレター] 2011年3月号

─2011年3月号─「もしそれがそんなに重要ならば、あなたはどうしてやっていないのですか?」

L.E.T.修了者の方々へ、

リーダーシップ・トレーニングのほとんどはマネジャーがどのように自分のチーム・メンバーに積極的に成果をあげる行動をさせるかに重点を置いています。しかし、しばしば忘れられている力学は、『モデリング』の概念です。簡単に言うと、モデリングは他者にやってほしい行動を自分自身がやってみせるということです。これは基本的考えで、本質的にはゴードン・ルールが変化したもの(バリエーション)ですが、言うは易し、行うは難しなのです(私のするようにではなく、言うようにしなさい)!

ほとんどの組織ではそれぞれのレベルのメンバーが必要な行動を回避するのに都合のよい体制や仕事上の役割を構築しています。例えば、仕事の時間です。『適用除外』のポジションですが、報酬の計算が時給ではない場合は、時間ではなく仕事によって支払われます。このような人達は職務上時間のフレキシビリティ(柔軟性)があり、個人的なアポをスケジュールすることも可能ですし、『正式な』勤務時間中に子供のサッカーの試合を見に行くことも出来ますが、残業代ももらわずに夜勤をしたり、週末出勤をしたりします。ですから、このような体制には賛否両論あります。これがモデリングとどう関係しているのでしょうか?

通常このようなフレキシビリティを持っている上司が、頻繁に仕事に遅刻してくるなら、チームはそれに気づき、どうしてこれが受容できるのだろうかと疑問に思うでしょう。『もし自分たちが8時半きっかりに出社することがそんなに重要ならば、どうしてそれがあの上司には適用されないのだろうか?』とチーム・メンバーは疑問に思うでしょう。ここで重要なのは、遅刻に値する理由があるならば、それは受容されてもよいとみなされるということです。しかし、職務上フレキシビリティが既に組み込まれているので、上司が理由もなく遅刻しても受容されると思っているのです。

これがスタッフが認知している現状ならば、上司の信頼性が危うくなったのも理解できます。もし上司が来たい時に会社に来ているとチームの人たちが思うなら、決められた時間に出社することがそんなに重要ではなくなるでしょう。ここには不平等感が存在します。これは小さな例ですが、このような原則が毎日どのように行われているか考えてみて下さい。私たちが他者と関わる方法はどうでしょうか?言葉遣いはどうでしょうか?噂話をしたり他人を軽蔑したりするのはどうでしょうか?真実を言ってみてはどうでしょうか?会社が設定した規則に我々が従うというのはどうでしょうか?我々の子供たちに設定した行動規範を我々自身がやっているでしょうか?

もしリーダーシップ・トレーニングが他者の行動に影響を与えるスキルを身につけるためのものならば、モデリングの明らかにパワルフな影響に触れる必要があります。他者の行動に影響を与える唯一最善の方法は、その行動をあなた自身がモデリングすることです。あなたが上司がするように行い、それがうまく行くのを見ることで、他者も上司がするようにやってみようと思うのです。

L.E.T.マスター・トレーナー、スティーブ・クランドール氏執筆

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