[ニュースレター] 2015年5月号

─2015年5月号─「世間は良く言います: 1オンスの予防は1ポンドの治療に匹敵する」

Date: May 12th, 2015
Blog post by: Linda Adams
 
 対立を防ぎたい人は挙手して下さい!たくさんの手が挙がりましたね。まさにそれをするのを助けてくれるツールがこれです!私たちのワークショップでは、I-メッセージをいつ、どのように送るかを教えています。対決的I-メッセージの概念は、トーマス・ゴードン博士によって開発されました。リンダ・アダムズ氏が、追加説明をしており、とても役に立ちますので、是非読み進めて下さい!
 
 予防的I-メッセージは人間関係における問題や対立を予防する一つの方法です。
 
 予防的I-メッセージによって、あなたのニーズと欲求を相手に知ってもらうことができます。
 
 予防的I-メッセージの背後にある理論は、あなたが何を欲しているのか、明確なイメージがあれば、相手はあなたのニーズを満たす手伝いをしやすくなります。
 
 予防的I-メッセージは、他のI-メッセージ同様、率直、明確で自己一致しています。
 
 予防的な表明を送る3つの主要なステップは以下の通りです:
 
1.      あなたが何を欲しているのか、あるいは必要としているのか、そしてそれは何故なのかを知らなければなりません。そして、あなたのニーズを満たす可能性のある解決策に辿り着かなければなりません。
2.      あなたは自分のニーズを満たす個人的な責任を負います。
3.      あなたは自分のニーズを満たすために行動します。あなたが必要としている協力をしてくれる相手の人たち(人)に、あなたは表明します。
 

 予防的I-メッセージは2つの要素を含んでいます(3つの要素――行動、感情、影響を含む対決的I-メッセージとは異なり)。
 
1.      主張(アサーション)――あなたが何を欲しているのか、何を必要としているかの表明、そして
2.      理由――あなたのニーズの理由
 
予防的I-メッセージは、以下の場合に送ることができます。
a.     他の人が以前、あなたのニーズを満たすのをブロックした
b.     相手の人が以前、あなたがこのニーズを満たすのを促してくれた
c.     あなたのニーズに関して、その人と何らやりとりした経験がない
 
事例: あなたは絵を描くのが好きだとします。最近、あなたは絵を描くことに時間を費やしたいと思っています。あなたは、週中は仕事をしているので、時間に余裕があるのは週末だけです。静かで、妨げられることのない絵画の時間を持つことがあなたにとっては重要です。
 
あなたの自己開示:「今週、自分のための時間が欲しいです...」
 
あなたの理由:「...何故なら、今製作中の絵を終わらせたいのです。」
 
他のケースで、あなたはもっと情報を提供したい、相手にもっと自分のニーズについて話したいと思うかも知れません。
 
事例: 「体重を減らしたいので、私はエクササイズ・プログラムを始めたいと思います。」
 
いかがでしょうか?

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[ニュースレター] 2015年4月号

─2015年4月号─「マズローの欲求段階説」

Blog Post by: Brian K. Miller
 
2015年4月ニューズレター
 
 L.E.T.の目的は、『行動の窓』の生産的な仕事の時間(『問題のないエリア』と呼びます)を最大限にすることです。時間と資源がビジネスのニーズを満たすことに向けられる時、ビジネスに関わる全ての人が成功します。もし、個人的な問題、リーダーシップの欠如、非効率な業務習慣が組織のニーズの妨げになるなら、ビジネスは赤字になり、給料を支払えなくなり、従業員を解雇せざるを得なくなり、全く最悪のケースでは、完全に解散し、残余財産を切り売りすることになります。生産的で居続ける鍵は、組織の中の全ての人のニーズが満たされる手段をとることです。しかし、時として、その『ニーズ』の厳密な本質を定義するのは難しいのです。
 
 アブラハム・マズロー(Abraham Maslow)は人間の基本的欲求(ニーズ)を説明するピラミッド構造を考案しました。マズローのピラミッドでは、低次から高次まで5つの階層があります。各階層は、個人の生活の質の高いレベルを徐々に表していきます。自己実現の欲求は、5段階のピラミッド構造の最上階にあり、ピラミッドのベースにあるのは生理的欲求です。各階層を簡単に見ていきましょう。
 
1.    生理的欲求: これは基本的で、ファンダメンタルな生命維持に必要な欲求です。例えば、食べ物、水、衣服など。
2.    安全の欲求: 野生では、人は野生生物から身を守るためにフェンスが、そして自然の力から守るためにシェルターが必要です。現代では、犯罪の被害者になったり事故でけがをしたりすることなく、自宅と会社を往復できると信じる必要があります。
3.    社会欲求と愛の欲求: 友達や家族は、私たちが悲しい時には慰めてくれ、私たちが幸せな時には一緒に喜んでくれ、自分の存在が重要であるという考えを強化してくれる社会環境を、私たちに提供してくれます。
4.    承認の欲求: 成功は満足と承認の両方をもたらします。私たちは、重要な目標に到達すると、もっと高い目標を設定する権限が与えられたように感じます。その目標に到達したことで拍手喝采を浴び、報酬を得ると、この達成感が強化され、達成し続けようと私たちをやる気にさせます。
5.    自己実現の欲求: 私たちは自分の最終目標に到達すると、どのようにそれを達成したかに他の人たちに教える権限が与えられたように感じます。私たちは、同じ道を苦労して進んでいる他の人たちに支援の手を差し伸べ、また、同じ道を歩み始めたばかりの人たちを指導します。時として、本を書いたり、同じ目標を達成しようとしている人たちを支援する学校を始めたりします。
 
 リーダーが部下やフォロワーをやる気にさせるためには、彼ら自身がどの階層の欲求を満たしたのか、彼らのチーム・メンバーはまだどの階層に取り組んでいるのかを認識できなければなりません。ある欲求はとても難しく、プロの支援を通してしか達成できないかも知れません。アルコール中毒、怒ると狂暴になる性格、仕事に対する怠慢なアプローチは、しばしば、個人がピラミッド構造のどこか低いレベルで身動きが取れなくなっているサインです。このような問題の場合、その個人を適切なプロフェッショナルに紹介することで、最善の対応ができます。
 
 習慣的に遅刻する、一時的にやる気を喪失する、あるいは過剰な労働時間などの普通の問題は、個人が目標達成のための努力をしている時に、複雑な事態を経験しているシグナルです。このような場合、アクティブ・リスニングが相手に『声に出しながら考え』、自分自身の解決策を見つける機会を提供します。
 
 もしリーダーが、気が短くて、怒りっぽく、不安を抱いているならば、リーダーは仕事で不愉快にも中断を余儀なくさせられ、現在の目標を達成して次の段階に移ることを妨害されている可能性があります。この場合、リーダーは問題を引き起こしている相手に、対決的I-メッセージで対決するべきです。私たちは誰かに対決する時にはいつも、私たちの問題が相手に問題を引き起こす現実的な可能性があることを、心に留めておく必要もあります。ゆえに、リーダーはアクティブ・リスニングにギア・シフトし、場合によってはメソッドⅢの対立解決法をする必要があります。
 
 これら3つの状況全てにおいて、最初のステップは、どの種類のニーズが満たされていないのか、どの目標が達成できていないのか、その人はどの欲求段階に到達しようと悪戦苦闘しているのかを特定することです。ほとんどの場合、第1段階の生理的欲求と第2段階の安全の欲求には問題がありません。現代のほとんどの人は、食べ物、シェルター、適度に個人の安全性が確保されています。
 
 職場では、問題を引き起こす満たされないニーズのほとんどは、第3段階か第4段階のニーズです。人が頑張ってやった良い仕事が気づかれないと、感謝されていないと感じるため、第3段階や第4段階のニーズが満たされない結果となります。もし部下や同僚が、自分の仕事が失敗したとか不公平に失敗のレッテルを貼られたと感じるならば、問題について充分な時間を割き、心を開いて話してもらうことが、自身の解決策を考え出す重要な鍵です。ゆえに、アクティブ・リスニングは常にリーダーの最もパワフルで、頻繁に使われるツールであり続けます。対決的I-メッセージの後にギア・シフトが続きます。必要に応じて、メソッドⅢの対立解決法がリーダーにとってその次に重要なツールとなります。何故ならば、リーダーは常にチーム・メンバーに組織とチーム・メンバー一人ひとりのニーズの両方について、コミュニケーションする責任があるからです。
 
 マズローの欲求のピラミッドは、チームあるいはチーム・メンバー自身のどのようなニーズがまだ満たされていないのかを、リーダーが特定するのを助けます。どのように満たされないニーズが、ある種類の行動を引き起こすのかを特定すれば、特定の行動が『行動の窓』のどこに属するかが簡単にわかります。特定の行動を『行動の窓』に正確に位置づけることで、L.E.T.のスキルの何を使えば問題解決を支援できるかが決まります。ゆえに、リーダーも部下も両者が生産的なエリアに留まることができます。個人個人が、より生産的であればある程、会社はより儲かり、社員全員が成功することが容易になります。

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[ニュースレター] 2015年2月号

─2015年2月号─「権力中毒: 悪いリーダーシップの習慣を絶つことが難しいのは、どうしてか?」

Date: January 20th, 2015
Blog Post By: William D. Stinnett, Ph.D.

 『毎回、上司のところに新しいアイデアを持って行くと、話を途中で遮ってうまく行かない理由を言われ、ボツにされます。上司は私のアイデアを全部聞いてくれません。わざわざ新しいアイデアを考える必要なんてあるんでしょうか?』この上司の下で働くチーム・メンバーのほとんどの人が同じ話をします。この上司は前回のフィードバック・セッションでも同じような不満を聞いて、本当に一生懸命自分の行動を変えようとしてみたと答えていました。『私はそのような上司にはなりたくないんです。自分のチーム・メンバーの話に耳を傾けたい。彼らのアイデアを聞きたい。彼らにとって、苛立たしいことはわかっていますが、私にとっても同様に苛立たしいんです。』と上司は言いました。私は彼女の言っていることは本当だと思います。

 問題は、この上司が変わりたくないのではありません。彼女はクラスをとってみたり、別のコーチについてみたり、別のフィードバック・プロセスを始めてみたりしますが、2-3週間経つと、また同じ昔の癖に戻ってしまいます。喫煙を止めようとしたり、もっと運動をしようとしたり、痩せようとしたり、長く続いた癖を永久に直そうとした人なら誰でも、それがどれだけ大変なことかお分かりでしょう。これが新年の抱負のジレンマです。意図するところがどれだけ誠実であろうと、実行するのは耐え難いほど難しいのです。
 
 ナショナル・パブリック・ラジオで放送していた習慣(癖)についてのプログラムで、ベトナム戦争に行ったアメリカ兵の間のヘロイン中毒に関わる調査について紹介していました。『1971年5月、二人の下院議員、コネチカット州のロバート・スティールとイリノイ州のモーガン・マーフィーは公式訪問でベトナムに出向き、非常に憂慮すべきニュースを持ち帰りました。ベトナム駐留のアメリカ軍人の15%がヘロイン中毒であるというのです。』ニクソン大統領は薬物撲滅を宣言し、ベトナム戦争に行って帰還した人たちの追跡調査を依頼しました。リー・ロビンズが追跡調査をした結果、帰還した5%の人しかヘロイン中毒を再発していませんでした。多くの人は、特別に治療などを受けていませんでした(彼らは皆、ベトナムにいた頃には、何がしかの治療を受けていました。)ヘロインはもちろん、とても中毒性の高い薬物です。
 
 では、なぜベトナム帰還兵は、ほとんど中毒にならなかったのでしょうか?アメリカでヘロイン中毒になっている人たちで、同様の治療を受けていた人でも90%の確率で再発しています。あるグループは変わりたいと思っていて、別のグループは変わりたいと思っていなかったのでしょうか?その可能性は低いでしょう。行動変容に関する以前の調査では、意図や態度を修正することにフォーカスしていました。ですから、広告のキャンペーンやセラピー、コーチングなどが新しい行動に影響を与えるものとして、主軸のツールとなって使われていました。このような戦略は、人々が献血をしたり、ボランティア活動に参加したりする程度の頻度で行う行動についてはOKでしたが、喫煙や過食など、毎日あるいは毎時学習され、リピートされる習慣では、説得やセラピーのみに頼る方法は、あまり効果的ではありません。
 
 デイビッド・ニールという心理学者がこう説明しています。『行動が何回も繰り返される時、特にその人が同じ設定でその行動を繰り返す時、人がしたいと思うことを変えさせることに成功します。しかし、人がその行動をし過ぎると、その行動は人の意図に反して行われます。』これは、前述の上司の例のようです。新しいアイデアを持ったチーム・メンバーの話を、うまく行かないと言って長年にわたって遮ってきたため、その行動を変えたいと思うだけでは、トレーニングやコーチングを使ってもダメなのです。
 
 上手く行くのは、環境を変えることです。喫煙がガンを誘発するとわかった時、公に『喫煙を止めよう』キャンペーンが大々的に行われました。しかし、実際に禁煙した人はわずかしかいませんでした。喫煙率が減少し始めたのは、環境が変化した時だったのです。今日、レストラン、バー、飛行機、空港、公の建物、ほとんどの職場、ホテルなどは禁煙です。ほとんどの人は、車内や自宅での喫煙ができません。多くのビルは建物前の歩道での喫煙を禁止しています。環境が根本的に変わりました。
 
 ですから、喫煙者が喫煙の危険性を理解して変わろうとしているだけでなく、喫煙者にたばこの時間だと長年思い起こさせたきっかけが取り払われ、顕著に変えられたのです。(他に誰もたばこを吸っていません。灰皿はどこにもありません。臭いもなくなりました。)
 
 ホームレスに関連した多くの悪い習慣があります。ドラッグ中毒、アルコール中毒、家庭内暴力、人生全般についての悪い意思決定。慈善事業のいくつかが、ホームレスを路上から引き離したり、ご飯を食べさせたり、きれいにして町に帰したり、ホームレスの人たちの『手当て』をしようとしました。時々、仮設住宅やシェルターを紹介しました。ホームレスの人たちは仕事を探す、問題を解決すると約束します。数人は約束を守ります。しかひ、多くの人たちはまた路上生活に戻り、そしてシェルターに戻ってきます。サイクルは繰り返されます。
 
 彼らはホームレスでいたいのでしょうか?多分そうではないでしょう!何人かはもちろん精神の病に侵されているかも知れません。何人かは、自分でもほとんどコントロールの効かない状況に直面しているのでしょう。しかし、多くの人はまともで、能力がある人たちですが、私たちのほとんどが経験する『普通の』生活に耐えられないのです。私は何年も、ホームレスの家族を路上生活から立ち直らせ、戻らせないように支援してきた組織と仕事をしてきました。その組織の手段は隠すまでもありません。
 
 その組織は、クライエントの環境を完全に変えたのです。きちんとした住宅、家具、衣服、食料、訓練、保育園、就職支援、多くのサービスや管理を、1年、2年、あるいはもっと長く提供しました(クライエントは薬物やアルコールを止める責任を負い、自分の家の世話をしているか、子供たちを学校に行かせているかなどについて、検査を受けることを条件としています)。その組織は、クライエントが自分たちの人生を現実に変えるために必要なスキル(そして習慣)を開発するまで、充分な期間、寄り添いました。

 リーダーの行動を変えることにも同じ原理が応用できます。一つのワークショップ、一つのチーム・ビルディング・セッション、一つのコーチングの予定、一つの新たなリーダーシップ・トレーニング・プログラムだけでは、リーダーの側の持続的な行動変容を起こすことはほとんどありません。だからと言って、そのような努力が無益だとか重要ではないということではありません。より組織的な変化の過程には、不可欠な部分だと言えるでしょう。肝心なのは、古い習慣が育った環境を生み出した全ての要素と取り組む努力をすることです。ミーティング、報酬体系、目標、企業のビジョン、トレーニング、上下関係、業績測定、チームの自主性、新しいチーム・メンバーを採用するために使用される要因などは全て、望まれるリーダーシップの種類と一貫性がなければなりません。
 
そして、これらの変化は長期間にわたって促進されなければなりません。どれくらい長くというのは、もちろん、色々な要因によります。商品やプロセスの複雑性、市場の成長力、組織のサイズ、階層の数、説明責任の配分など。変わりたいということは、第一歩です。新しいスキルを学習することは、良い考えです。しかし、権力を持つ人たちが、全ての要因が考慮されるよう、最後までやり遂げるコミットメントがある環境で、前述の要因がなされなければなりません。
 
リーダーは、他の人たちがついて行こうと決めた人のことです。リーダーは権限を持っています。リーダーは他の人、組織、ビジネスに重要な影響を及ぼす決定をすることができます。そのような決定の結果はあっと驚くものである可能性があります。ことは起こります。人々はビックリして飛び上ります。あなたはすぐに結果を見ます。色々な意味で、それは薬物のようです。リーダーは、権限によって『High』になれるのです。即座に結果がでることは、ヘロインで『High』になるのと同様にスリリングかも知れません。しかし、薬は切れてきます。リーダーが決定をしなければならない時は毎回、同じ種類の結果、同じ種類の興奮を達成するためには、以前より強い権限を使わなければなりません。それは、同じウキウキ気分を味わうためには、より多くのヘロインやコカインが必要であるのと同じ原理です。
 
 協力的なリーダーシップは、同じような即効性のある元気づけにはなりません。効果を見るのには、もっと長くかかります。喫煙者は、たばこが癌の原因になることを知っています。中毒者は、ヘロインが危険であることを知っています。しかし、それは習慣になってしまったのです。悪影響はどこか、遠い将来に起こること。諦めることは、それに伴って起こる高揚感を諦めることを意味します。あなたが、リーダーシップ・トレーニングの受講に登録して、自分のリーダーシップ・スタイルを変えたいと思っても、それは簡単ではありません。より協力的な、チーム中心のアプローチのリーダーシップが、長期的には優れた成果をあげることができるとわかっていても、リーダーが仕事をやり遂げるために、権限を使う習慣への依存を止めるのには充分ではありません。結局、悪い習慣の影響は、遠い将来に起こること。
 
 チーム・メンバーが新しいアイデアを説明しようとする時に、それを遮る習慣があるリーダーは、リーダーの解決策を手にして立ち去るチーム・メンバーを見る時の満足感をギブアップしなければなりません。『やれやれ、すぐに解決できたわ。あの説明を全部聞かなくて済んだじゃない。』物事がすぐに起こるのを見る快感を、あなたはギブアップしなければなりません。時として引き下がらなければならないかも知れません。違和感があるかも知れません。心配に感じるかも知れません。2-3週間、あるいは数ヶ月は、あなたの組織、チーム、あなた自身の低水準のパフォーマンスに我慢しなければならないでしょう。皆が新しい行動を学習して、それを習慣化させられるまで我慢が必要です。それには費用がかかります。それは投資です。専念して、やる気がないと、組織の文化を変えるのに必要なこと全てを成し遂げられません。そして、組織のリーダーと他の皆が新しい習慣を形成しようと、充分な期間、努力を維持する粘り強さが必要です。
 
 もし、あなたがこのような環境に必要な変化を作り出すなら、不適切な権力の乱用は完全に場違いになるでしょう。それは、飛行機の中や病院で煙草に火をつけるようなものです。間違っていると感じるでしょう。このような状況に辿り着くには、忍耐が必要です。それは、新年の抱負より、はるかに多大な忍耐が必要です。

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[ニュースレター] 2015年1月号

─2015年1月号─「感情が高ぶった時、どうすべきか」

 Date: January 12th, 2015
Blog Post by:  Dr. Thomas Gordon (from his L.E.T. textbook)

人間関係において対立が起こった時、時として感情が高ぶってしまうレベルにまで達し、怒りの感情がぶつかり合います。この段階ではだれも建設的な問題解決をするムードではありません。感情が渦巻いて効果的な問題解決に必要な思考ができません。このような時、アクティブ・リスニングがとても役立ちます――相手は言いたいことを言って胸のつかえを下ろし、その後、問題解決のための道を切り開きます。

人は怒ったり動揺したりすると、周りにそれを知ってほしいと思います――『私が問題解決する前に、まず私がすごく怒っていて、動揺しているってことをわかってよ。』と言わんばかりに。『あなたが私をどれだけ怒らせたか、動揺させたか見てみなさいよ!悪いと思わないの?』などと言って、人はしばしば相手を懲らしめたくなります。人が対立で湧きあがった強い感情を吐き出す別の理由は、相手に自分の要求全てに応じるように脅すためです。『私が怒っていることを十分示し、大きな声で怒鳴れば、自分の要求が通るかも知れない。』これは子供の癇癪と同様、親ならよくわかると思いますが、ベストな戦略は感情が消えるのを待つことです。
 
 次にお伝えする人事ディレクターに関わった事例は、アクティブ・リスニングがどのように怒っている人を落ち着かせ、問題解決への道を切り開いたかを物語っています。
 
 『私にとって本当にうまく行ったのはユニオン・オフィサーとの事例です。彼らの以前のスタイルは大きな不平であれ小さな不平であれ、大騒ぎします。彼らが大きな声で叫べば、マネジメントの誰かが折れて彼らを元気づけるアイデアを試み、落ち着かせるでしょう。それを20年ほどやった後、もうこれ以上打つ手がなくなってしまいました。そこで、L.E.T.ワークショップを開催した後、レポート用紙を出してこう言いました。『あなた方はみんな、本当に動揺していますが、少しだけ落ち着いて話してくれるなら、私はここにそれらを書き留めます。』このようなミーティングには象徴的な転換点があります――相手は一定の時間、わめき散らし続けます。そして、相手が『しかじかの上司がひどいことをしたから、しかじかの方法で報復しなければならないんです。』などと話す内容を私は書き留め、アクティブ・リスニングをします。相手が本当に動揺していることをフィードバックし続け、それについてもっと聴いて何かできることはないのかを見つけ出したいと伝えます。そうすると相手は通常、問題が鎮まるように心が静まります。ミーティングが終わる頃までには、反論せずに受け入れ、『OK。私たちは問題がここにあること、そしてそれを調べなければならないことを理解しました。いつ回答をいただけますか?』というようなことを言って反論せずに受け入れます。相手が戻ってくる時にはいつも、『しかじかの件について調査しましたか?』など、全く別の感情のレベルになっています。そして、私は『ええ、私が見つけた結果はこんなことでした。』などと言います。私の答は必ずしもポジティブなものではなく、相手は聞きたいと思っていたことを聞けた訳ではありません。しかし、そうであったとしても、本当に聞いてもらえたという感じで、状況全体について心が和らいでいるように見えました。
 
人の感情が高ぶっている時、『相手が本当に聴いてもらえたと感じる』ところに行きつくための、アクティブ・リスニング以外の良いツールを私は知りません。

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[ニュースレター] 2014年12月号

─2014年12月号─「サウンド・オブ・サイレンスに耳を傾ける」

Blog post by: Sheryl Wilde

L.E.T. 修了者の方々へ、

“And in the naked light I saw
Ten thousand people, maybe more
People talking without speaking
People hearing without listening
People writing songs that voices
Never shared and no one dared…”
~サイモンとガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」より
 
 ここ数年、私は家で同居している、老いていく両親のことを心配しているので、リスニングについて一生懸命学んでいます。私が学んだことで最も重要な教訓の一つがこれです:
 
 時々、感情があまりにも根強くて、それを描写するための言葉が見つかりません――そんな時は是が非でも聴いて欲しい時だったりします。
 
 そんなに昔の話ではありません。ある夜、遠い親戚から電話がありました。電話の内容は、私の父の兄弟で最後の生存者だった妹が亡くなったという知らせでした。父の姉も2-3週間前に亡くなったばかりでした。そして、父のたった一人の男兄弟で一卵性双生児の弟も数か月前に亡くなったばかりでした。
 
 父は平然としていると言ってしまうのは控え目な表現です。父は無口な人です――父は世界大恐慌(1929年10月28~29日)に育ち、『第二次世界大戦』で戦った人です。父はハグをする人ではありませんし、『愛しているよ』と言う人でもありません。私は父が泣くところを見たことがありません。父にとって、感情をシェアするアクティブ・リスニングの概念は、彼の言葉で表現するなら、『ばかげたたわ言』なのです。父は自分の兄弟二人が亡くなったという知らせをいつもの静かなストイックな表情で聞いていました。しかし、双子の兄弟が亡くなった数日後、父は脳卒中を患い、姉が亡くなった数時間後、父は病院に搬送され、心房性細動と診断されました。
 
 父の病気が直接このような経験に関連しているのかどうか確信をもって言えませんが、妹が死んだ知らせを父に伝えようとした時に、ぼんやりとその時の出来事が心をよぎりました。正直に言えば、父がもう一度悪い知らせを聞いて、それを黙って飲み込んでしまったら、父の心臓が破裂してしまうのではないかと心配になっていました。
 
 私は父が座っていたリビングにやっとの思いで入っていき、父の傍らに座り、妹が亡くなったことを知らせました。父は石のように無表情な顔をして、それこそ永遠に思えるほど長い時間そこに座っていました。そして、父は苦痛を回避するために自分の心を詳細な情報で満たそうと、父の意識が機械的にシフトするのを私は感じとることができました: いつのことだったんだ?妹はどうやって亡くなったんだ?葬式はいつだ?
 
 それは今まで覚えている限りお互いしたことのないことでしたが、私は父の手をとりました。それは父を沈黙させるほどびっくりさせました。長く思われた数秒ののち、父は私の目を見ました。『本当に悲しんでいること、わかっているよ、お父さん。もし話したいなら、私はここにいるから、いい?』と私は言いました。父は目をそらし、素早く自分の手を私の手から離しました。父は長い長い時間、全く何も言わずにまっすぐ前を見つめて、そこに座っていました。
 
 他に何ができるかわからず、私は立ち上がろうとしたその時、父はほとんど聞こえない位の小さな声で、言葉に詰まりながら、『私が最後の生き残りだ』と言いました。そして、父は私の手を掴んで、強く握ってすすり泣きました。すすり泣く度に、父の体全体が震えていました。父は本当に打ちのめされていて、話すことができませんでした。私は父の傍らに座って、90年分の悲しみを吐き出しているかのような父の心に、ただただ耳を傾けていました。もうこれ以上泣くことができなくなった時、父は私の手を強く握って、永遠かと思われるほどの時間が流れた後、『ありがとう』と一言、言いました。
 
 父はその夜、ほとんど何も言いませんでしたが、沈黙を通して父の心は大声で泣いていました。
 
 私の父の心に耳を傾けた、サウンド・オブ・サイレンスにすら耳を傾けるというこの話は、リーダーシップと何の関係があるのでしょうか?このニューズレターを読んで下さっている皆様はアクティブ・リスニングのスキルが充分あって、効果的なリーダーシップの重要性も熟知していることと思います。リスニングのスキルはリーダーシップの域をはるかに超えていると私は信じています。私たちは皆、生まれつき人間として、聞いてもらいたいというニーズを持っています。聴き手として、相手が聞いて欲しい方法で――評価せず、思いやりを持って――話させてあげる必要があります。
 
 心を込めて相手の心にアクティブ・リスニングをすることは勇気が要ります。特にプロフェッショナルな設定では。Peter Bregmanという人が、『相手と関わる方法は心です。それが信頼関係を生み出す方法です。心――私たちと相手の両方の――人々に私たちについて来たいと思わせ、全てを投じて何かを成し遂げたいと思わせるのが心です。能力、暖かさ、頭脳と心を示すリーダーに人はついていきたいと思っています。そして、心から始めるべきであることを示唆する証拠がたくさん出てきています。』と述べています。
 
 サイモンとガーファンクルの歌に唄われているように、『予言者の言葉は地下鉄の壁に書かれている(“Words of the prophets are written on the subway walls,”)』のかどうか私にはわかりませんが、時として人生の中で最も深い心の底からの感情や経験は、個人的な生活の中であっても職場での生活であっても、声に出されていないけれど、『サウンド・オブ・サイレンスの中で囁かれている(“whispered in the sounds of silence”)』のだと私は強く信じています。
 
 囁きを聞こうと耳を澄ましてみて下さい。静寂が起こると、最も美しい歌――声ではシェアできないような歌が聞こえるかも知れません。

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[ニュースレター] 2014年11月号

─2014年11月号─「ホリデーの間、平和を保つ方法」

November, 2014
By: Michelle Adams

L.E.T. 修了者の方々へ、

 ホリデー・シーズンに影を落としたくはないけれど...しかし、現実を見据えましょう。ホリデー・シーズンは時として一緒にいるのが難しい家族の人たちと一緒に過ごさなければならないので、私たちの幾人かはホリデー・シーズンに怯えています。
 
 オーケー、思った通り、感謝祭のディナーをあなたは自分の家で振舞うことになり、キッチンで働いています。キッチンではあなたの叔母のメリッサ、あなたの姪のヴァネッサも働いています。2人は長年様々な話題でぶつかってきました。

 あなたは自分の手作りのグレイビーが焦げないように注意しながら、言い争いが白熱するのを聞いています。アイデアがあります。仲裁者になってみてはいかがでしょうか?
あなたはゴードン・モデルのスキルを持っています。それらのスキルを試してみましょう!下に示すのは仲裁者になるための指針です。お役に立つといいです:

仲裁者とは何か:
 中立的な立場の第三者で、対立関係にある人たちに相互に受容できる解決策を見つける支援をする特別なスキルを持っている人です。

仲裁者は以下のことはしません:
– アドバイスや意見を言う
– どちらかの肩を持つ
– 解決策を評価する
– 最善策を決定する
– 誰が正しくて誰が間違っているかを解明しようとする
– 他の人たちに仲裁について話す
– どちらかを非難する

仲裁者は以下のことをします:
– 対立関係にある双方から仲裁者として受け入れられている
– 対立関係にある双方の人が、相手を非難しないでそれぞれの感情を表現できるように支援する
– 対立関係にある、口論中の人たち双方に対してアクティブ・リスニングをし、お互いが相手の見解に対して耳を傾ける支援をする
– お互いの間に起こった対立を明確に定義するよう助ける
– 対立関係にある人を対立解決の6つのステップへと導く
– 仲裁のセッションについては極秘に扱う
– 中立の立場を貫く
 
 楽しく、平和な感謝祭を皆さまが過ごせるよう、ゴードン・トレーニング・インターナショナル社およびセカンド・ウィンド株式会社一同、お祈り申し上げます。

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[ニュースレター] 2014年10月号

─2014年10月号─「ゴードン・モデルがどのようにあなたの会社を成功に導く支援となるのでしょう – 2顧客の事例」

Date: October 13th, 2014
Blog post by: Michelle Adams


 ひとたび人がゴードン・モデル(LET, Synergistic Selling, etc.)を自分で経験してしまうと、彼らはイエス、これは本当にうまく行くと言います。周りの人も会社もより生産的になれる、本当に。
以下の人たちが言うことを聞いてみて下さい。9つの証言だからではなく、彼らは物事の実態を見抜き、それはとても素晴らしい注意喚起としてシェアしてくれているからです。役に立つことを望みます!

 『私たちの職場はまるで自分の家のようなところ。ということは私たちの同僚や顧客は私たちの職場での家族を意味します。好むと好まざるとにかかわらず、その中間のもの全てに当てはまります。私たちの違いは組織やビジネスの協力的なファブリックを織りなす助けとなります。完璧な世界では、コミュニケーションしてお互いに上手くやる能力は、それらの人間関係や職場のファブリックの豊かさを強化してくれるはずです。L.E.T.は人が人と関わる時に起こる現実の浮き沈みを助けてくれるインタラクティブな手法です。

 リスニング・スキルづくしの3日間集中トレーニングに参加するように人にお願いするのは非現実的のようです。多くの人は自分の現在のコミュニケーション・スキルの障害に気づいていないので、コミュニケーションの基本に取り組ませるにはどうしたらいいのでしょうか?悪い習慣はなかなか死なないのに、新しいスキルはとてつもない練習努力が必要です。長年、私が受け持った多くのクラスで、幾人かの人は当初、懐疑心、無関心、クラスに出るのに気が進まないのだということを訴えましたが、最後にはとても熱心な受講者になりました。

 L.E.T.は小さなステップを踏みながら、学習する人を教え、基本的なスキルをインタラクティブな演習やディスカッションを通して復習し、開発します。その際、コミュニケーションの何故、どうしてという理由を説明します。

 各クラスで私は豊かな学習経験と、組織で働く人々に対するより深い尊敬の念と理解を経験する機会を得ました。人間関係は深まり、傷は癒え、L.E.T.に参加した人たちの間で友情が芽生えました。完全な世界はありませんが、L.E.T.は確かに私たちをより尊重できる立派な職場社会へと移行する手助けとなります。』―トレーニング・コーディネーター、フェデラル・コート・システム、テキサス州
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 『私たちは製造環境に置かれており、私たちの部署に対して9か月前にL.E.T.を紹介しました。それ以前には、私たちには多くの従業員関連の問題がありました。例えば、お互いにコミュニケーションをとるのが不可能である、当事者意識がない、問題に対処しない等に及ぶ問題です。私たちがスーパーバイザーにL.E.T.を提供してからは、自分たちの部下を管理できるようになり、物事が悪化したりせず、アクティブなコミュニケーションができるようになりました。従業員とのアクティブ・リスニングを通して、問題に耳を傾け、同僚との問題を自分自身で解決できるように従業員を支援しています。

 私たちの従業員が上手く行く度合いが確実に増えました。会社でのコミュニケーションの量が増えました。私たちは以前、とても独裁的なタイプの組織でした。一人の人が物事を決定し、それが下に降りていきます。今は、可能な限り、コミュニケーションに関わり、私たちはコミュニケーションをとるようにしています。私たちは問題解決に従業員を参加させるようにしています。従業員は会社に投資し、会社に自分たちの居場所があると感じるようになりました。それは、自分たちが会社に対して所有権を持っていると感じているからです。それは単なる仕事とか給料だけではありません。決定に同意できない従業員がいる場合は、少なくとも決定に参加した従業員が「会社は全員に意見を言う機会を解放してくれていたんですよ。皆、意志決定するチャンスはあったんですよ。あなたは参加しようとしなかったんだから、諦めなさい。次回、関わりたかったら、声をあげて発言して下さい。」私たちの会社では全てのドアが本当の意味で開かれています。
―人事部ディレクター、インターナショナル・マニュファクチャリング社、英国

 皆さんも、何かシェアしたい話、助けが必要なチャレンジ、質問があれば、伺いますよ。

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[ニュースレター] 2014年9月号

─2014年9月号─「助けて! 解決が止まらない!」

Date: September 8th, 2014
Blog post by: Michelle Adams

 ゴードン・モデルのワークショップ(L.E.T.、P.E.T.やシナジスティック・セリング等)を受講した方々、問題の所有権の概念を覚えていらっしゃるでしょうか(そう望みます!)。私たちの多くは、多分、ほどんどの人は傾向や欲求として、他の人が苦労していたり動揺していたりする(私たちの行動の窓で彼らが『相手が問題を持つ』エリアにいる時)のを見ると、それらを解決して回復させてあげたいと思うでしょう。
 
 私たちの目的はそういう人たちの痛みを和らげてあげることですよね?あるいは、もしかしたら...私たちが行うこの問題解決の支援が本当は私たち自身の痛みを和らげるためなのかもしれません。何故なら、相手が経験している状況を見るのは気づまりだからです。正式には私たちの仕事の一部だからかも知れないですよね?つまり、問題解決をすることが。私がリーダーである、マネジャーである、あるいは親であるならば、問題を解決して私たちの人生を上手く乗り越えることは私がすべきことですよね、そうですよね?

 問題の所有権のこの概念について私が様々な情報源から集めた情報をシェアさせて下さい!

 解決屋のあなた、よく聞いてください!

1.ゴードン・トレーニング・インターナショナル社(GTI)の創設者であるトーマス・ゴードン博士が執筆した『Leader Effectiveness Training』の書籍より:

 『責任の所在を、問題を所有している人に帰属させることは重要です。何故ならば:

 まず、チーム・メンバーが自ら問題を解決するチームのリーダーは多くの利点を享受し、利益を生む健全な投資をしています。チーム・メンバーはリーダーに依存することが少なく、自己決定でき、自分のことは自分でし、自分で問題解決をする能力があります。
 
 次に、グループ・メンバーがその人生でも仕事上でもそれ以外の状況でも出くわす個人的な問題の複雑さと多様性についてリーダーには充分な理解がほとんどありません。結果的に、問題解決の責任の所在を、支援を必要とする人に帰属させるスキルは、ほとんど情報がない問題の答えを見つけ出すという不可能なタスクからリーダーを解放してくれます。とても熟練したプロのカウンセラーであっても、他の人の問題は通常、カウンセラー自身の理解を超えている、制限されていることを認識しています。時として、とてもプレッシャーを感じますが、自分のクライアントの解決策をカウンセラーが生み出す責任は負わないようにしています。』

2.ゴードン・トレーニング・インターナショナル社(GTI)の代表取締役社長であるリンダ・アダムズ氏が執筆した『Be Your Best』の書籍より:

 『問題の所有権を相手に委ねることほどホッとして自由な気持ちになれる経験はありません。それは、あなたが問題解決の責任を負うことは金輪際ないということです。他の利点としては:

– あなたは全ての答を持っている必要があると感じるプレッシャーから解放されます。
– あなたは相手が問題解決することを許します。そうすることで、相手に自分自身の認識や判断で自立心、責任感、自信を持つよう支援します。
– あなた自身の人生、ニーズや問題に責任を持つことは、一方で相手にも同じことをする自由を許すことでもあります。
– あなたの解決策はしばしば相手にとっては最善策ではありません。
– 相手の問題に対する解決策を与えることのリスクは、もし解決策が上手く行かなかった時に相手から非難されることです。
– 相手が提示した問題の水面下にあるものを知ることは困難です。もしあなたがあなた自身の解決策にすぐに飛びつくと、相手がより深い感情や問題に触れることを阻むかも知れません。
– 相手の問題を引き受けて解決策を提案することで相手はあなたにますます依存するようになります。』

3.ゴードン・トレーニング・インターナショナル社(GTI)の認定マスター・トレーナーであるビル・スティネット博士が執筆した『How DOES L.E.T. Work Exactly?』の書籍より:

 『多くの組織では問題の所有権について多大なる混乱をきたしています。所有願望、コントロール願望、非難せずにはいられない傾向、根拠のない思い込み、その他の非生産的な行動は組織において多大なミスや安定性の欠如につながります。私はしばしば「全ての問題を所有」しようとするマネジャーに出くわします。よいパフォーマンスをあげたい、全てのことを「掌握して」いたいという願望に動機づけられているのですが、そのように組織を見るやり方は持続不可能です。このようなやり方をするマネジャーは究極的には失敗します。

 反対に、一部のマネジャーたちは機会があれば非難の矛先を変えようとします。これもまた、必勝法ではありません。もし参加者が正しいことをしようというモチベーションがあるなら、彼らは誰が問題を所有しているのかを決めるために時間をとって考え、非生産的な会話や議論を回避し、間違った問題解決をする回数を減らし、チーム・メンバー間の問題の所有権への意識を高めるでしょう。

 行動の窓は、リーダーが相手に問題への解決策を探索させるよう耳を傾け激励する必要があるのか、あるいは自分に関する明確なメッセージを送る必要があるのか、あるいは双方がお互いに問題解決をする必要があるのかを、リーダーに寸時に判断させます。とにかく、会話が良いスタートを切るでしょう。双方が、正しい会話に発展するでしょう。』

4.ゴードン・トレーニング・インターナショナル社(GTI)の認定マスター・トレーナーであるビル・スティネット博士が執筆した『Isn’t It Obvious:  Why Leaders Get Into Trouble by Giving Advice』の書籍より:

 『問題の所有権をリーダーが担う度に、リーダーは相手の問題の所有権、あるいは責任感をもぎ取ってしまいます。それを頻繁に行うと、チーム・メンバー、顧客、同僚はあなたを不快に思うようになります。彼らはリーダーに過度に依存するようになるかも知れません。有能なリーダーは組織の中での不必要な依存体質を減少させる、あるいは撲滅するように努めます。リーダーに対する過度な依存はどのチーム、どの組織にとっても不健全です。有能なチームというのは自立心と自信を育てます。

 とても生産的なチームは問題解決をする権限を与えられていると感じ、仕事を成し遂げていきます。自分たちの問題の全てについて、解決策をリーダーに求めなければならないのは、弱い、あまり能力のないチームなのです。もし、皆が上司に一字一句をチェックしてもらわなければならない組織であなたが働いたことがあるなら、それがどれほど無力なことかお分かりでしょう。優秀ということが不可能になります。
 
 まだ、この概念と奮闘していますか?お電話下さるかメールを下さい。このことについてもっとお話ししましょう。私は耳を傾けますよ。J

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[ニュースレター] 2015年6月号

─2015年6月号─「リーダーとグループ・メンバー全員との間で対立があったらどうすべきか」

Date: June 8th, 2015
Blog post by:  Michelle Adams, excerpted from the L.E.T. book by Dr. Thomas Gordon
 
 フランスで最近行ったL.E.T.ワークショップで、プロジェクト・リーダーとプロジェクト・コーディネーター全員との間の対立を扱ったあるケース・スタディが表面化しました。重複したワークフローを排除することで最大限の生産性を担保することを目指して、プロジェクト・リーダーはプロジェクト・コーディネーター各人にそれぞれの進捗状況を発表してもらう週一回の長時間にわたる会議を開いていました。プロジェクト・コーディネーターが大勢いるため、各人のプレゼンテーションが短くても会議自体は長時間かかりました。

 ほとんど会議に出なかったり、毎週の会議に遅刻してきたり、会議中にそわそわしていたり、頻繁に時計を気にしていたり、一般的に他の人のプレゼンテーションを無視していたりしたプロジェクト・コーディネーターとプロジェクト・リーダーは個別のミーティングを開きました。このプロジェクト・コーディネーターにアクティブ・リスニングすることで、彼がこの毎週の会議に参加することで生産性が失われていると感じていることを知りました。何故なら、プロジェクト・コーディネーターの報告を聞くことでほとんどの時間をとられていたものの、彼らのチームの課題は彼自身とは何の関係もなかったからです。
 
 次の週の会議で、プロジェクト・リーダーは、他のプロジェクト・コーディネーターたちに、どのような価値を会議で見出すことができたかを話し合うように言いました。圧倒的な反対に遭って、プロジェクト・リーダーは毎週の会議をする必要性をなくす方法をブレーンストーミングするように言いました。ブレーンストーミングを始める前に、プロジェクト・リーダーは皆に、彼女が唯一意図するところは、既存のワークフローを重複させないことであると伝えました。何故なら、ワークフローが重複すると、生産過程で時間を更に無駄にすることになるからです。
 
 多くのアイデアが出されました。プロジェクト・リーダーは批判も議論もせず、出されたアイデアを一つずつ全てホワイトボードに書き出しました。プロジェクト・コーディネーター全員が少なくとも一つアイデアを出し終えた時、リストに載った各アイデアの強みと弱みを話し合うようにグループを促しました。自分のアドバイスや批判を差し挟まずにディスカッションをコントロールするようにプロジェクト・コーディネーターに言い、ミーティングはすぐに解決策に至りました。プロジェクト・コーディネーターたちは、最もワークする解決策は、毎週15行以下の短いE-メールを各人がグループ全員に送るというものでした。各プロジェクト・コーディネーターはE-メールをレビューし、他のプロジェクト・コーディネーターが自分のチームの仕事を重複してやっていないかをチェックします。月一回、プロジェクト・コーディネーターは集まってプロジェクト・リーダーと会議をし、コミュニケーション・フローが計画通りに上手く行っていることを確認し、2つのチームが同じ問題の解決に着手していないかをダブル・チェックします。
 
 最も問題になっているプロジェクト・コーディネーターにまずアクティブ・リスニングをし、そして次にプロジェクト・コーディネーターの全グループに対してアクティブ・リスニングします。そして彼らにメソッドⅢを一つひとつ説明し、士気とイニシアティブを失ってしまう可能性を素早く解決します。プロジェクト・コーディネーターにブレーンストーミングと解決策選択のステップのフローをコントロールさせます。そうすることで、早く効果的に選択された解決策を確実に実行してもらうことができます。

 これは、グループの個々人の目標がグループ全体の集合的目標と対立しているような状況で応用できる、ほぼ完璧な事例です。 

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[ニュースレター] 2015年7月号

─2015年7月号─「あなたはヘリコプター・リーダーですか?」

Date: July 13th, 2015
Blog posted by:  Michelle Adams (from the L.E.T. book)
 
 グループのリーダーになると、ほとんどの人は手綱をとって、好調なスタートを切り、自分ひとりで全ての問題解決をしようと課題に飛び込みたい誘惑を拒めないようです。当然のことながら、ほとんどの新米リーダーの最初の懸念事項は、なるべく早く、自分をリーダーに任命してくれた人たちに、その選択が間違っていなかったことを正当化することです。一刻も早く、良く見せたいと思っています。結局は、すぐに介入して『実権を握る』ことをしないなら、何のためのリーダーなのでしょうか?軍隊では、『指揮を執る』という表現をします。

 残念ながら、指揮を執ろうと急ぎすぎるとひどい目に遭うかも知れません。素早い改革、速攻解決、生産性の劇的増加を達成することに躍起になり、リーダーは前任者のグループ・リーダーが残したゴタゴタを一掃してくれるだろうという高い期待に応えようと、良く知られている『新任者』の誘惑に負けます。しかし、リーダーはほとんどグループ・メンバーのやる気と協力がなければ、自分だけでは改革などは成し遂げられません。そして、グループ・メンバーのやる気や協力は、すぐには得られるものではありません。グループは変化を拒否し、執拗にこれまでの習慣的やり方に固執します。これらの『グループの基準』がグループ・メンバーの行動に強い影響を与えます。
 
 例えば、グループは一般的に『普通の日の仕事』や『生産性の基準』とは何かという彼ら自身の基準を創り出しており、それらは明確にメンバーに理解されており、グループ内で非公式に強化されています。リーダーのアクションで、この基準の維持に脅威になるとみなされるものは、特にリーダーのアクションが任意のものとみなされるなら尚のこと、強硬に拒否されます。
 
 グループ内にあるこれらの抵抗勢力を、『等価交換』という観点から見てみましょう。公平な費用便益比のグループでの定義を動揺させるリーダーのアクションをグループは強硬に拒否します。つまり、仕事に費やしたエネルギー(費用)の量に関連した公平な利益(例えば、給与等)です。新任のリーダーは、この費用便益比を脅かす可能性があるとみられており、グループは組織による悪用から身を守りたいと思っています。
 
 グループは、新しい方法や手段が紹介されることにも強く拒否します。特に、それらが任意に、そして一方的にリーダーによって開始される場合。私たちは皆、どのように人が物事を一定の方法でやることに慣れているか、よくわかっています。ですから、新しい方法を覚えなければならない時には、グループ・メンバーが費やしても構わないと思っているエネルギー出力以上が求められているように思えるのです。

 多くの熱心な新リーダーは、用心深い『民生委員』のような態度を取ります。グループ・メンバーを監視して、間違いが何も起こらないように『全てを把握して』いるため、ミスも起こりません。このような『過剰監視』(あるいは、ヘリコプターのように従業員の周りをうろつくこと)には、次のような多くの事例があります。
 
– 詳細なアクティビティ、あるいは進捗状況報告書を求める
– 契約書を送る前、計画を実行する前、あるいは何かを決定する前にリーダーの承認を得るようにグループ・メンバーに要求する
– グループ・メンバーに既に割り当てられた課題を『正しく』行われたか確認するために引き継ぐ
– グループの外とのコンタクトを始める前には、メンバーは『リーダーを通して』から行かなければならない
 
 過剰監視の不可避の影響の一つは、リーダーの任意の権力行使に対する憤りです。もう一つの影響は、新しい要求に対する受動的な抵抗です(アクティビティ・レポートが、どうしてか提出されない)。グループにとって、もっと悪いのは、過剰監視はメンバーのリーダーに対する依存度を高めることです。メンバーは、全ての問題をリーダーに持ってくるようになります。メンバーの自発性が無くなります。イニシアティブが押さえつけられます。仕事での成長が止まります。リーダーは仕事が増え過ぎて、全てを自分でやらなければならなくなり、負担に感じます。ワーク・グループは、今となっては『ワンマン・オペレーション』となっています。新しい職務で、過剰監視しようとする新リーダーは、グループが持つ全ての資源の恩恵を受けずに、本当に一人でやらなければならないことに気づきます。時既に遅しです。

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