[ニュースレター] 2011年12月号

─2011年12月号─「ストレスのないホリディ・シーズンを過ごす3つの簡単な方法」

L.E.T.修了者の皆さま
  
効果的なコミュニケーションの重要な要素の一つに自己開示があります。相手の気持ちやニーズを侵害しないように注意しながら、あなた自身の気持ちとニーズを言葉にします。自己一致した開示とは、あなたが感じている通りに、あるいはあなたが必要としていることを正確に相手に言葉で伝えることです。
 
あとであなたも発見することになるでしょうが、そのような自己一致した開示はNo-Lose対立解決を促すのみならず、あなたの人間関係で起きる多くの対立を防いでくれます。
 
自己開示が自己一致している人を描写する言葉で一般的に使われているものをいくつか紹介しましょう。
 
* 本物の              * 誠実な
 
* 正真正銘の    * 信じられる
 
* 素直な           * 信頼できる
 
* 遠慮のない    * 率直な
 
* 隠し事のない * 正直な
 
* はっきりものを言う * 真実な
 
自己開示が自己一致した人のもう一つの特徴は、ほとんどの場合、『わたしは』から話し始めます。例えば:
 
わたしは…と感じます。
 
わたしは…を経験しています。
 
わたしは…が欲しいです。
 
わたしは…と信じています。
 
わたしは…が必要です。

わたしは…と思います。
 
このような理由から、ゴードン博士は隠し事がなく、率直で自己一致したコミュニケーションのために『I-メッセージ』という言葉を初めて作りました。この『I-メッセージ』は相手にあなたが『透けて見えるほど本物である』というメッセージを伝えます。人々はあなたに隠し事がなく、考えていることや感じていることを喜んで開示することを知ってあなたを信頼するようになるでしょう。
 
しかしながら、自己開示のI-メッセージを送るには自分のことを知ってもらう勇気が必要です。賢者の『汝自身を知れ』を覚えていますか?そこで、『汝自身を知ってもらえ』を追加してみて下さい。I-メッセージはあなた自身(あなたが好きなもの、嫌いなもの、あなたが信じているもの、価値観、ニーズなど)をもっと知る手助けをしてくれます。
 
方法1: このI-メッセージは相手に前もってあなたが何を必要としているか、何を欲しているかを事前に伝えるので、対立を回避してくれます。私たちは実際にはこのような自己開示を『予防的I-メッセージ』と呼んでいます。例) 『私たちの休暇の予算を立ててプランを練るため、私はあなたと今時間をとって、休暇の過ごし方について話し合いたいと思います。』
 
方法2: 相手にあなたが今やりたくないことを伝える自己一致のメッセージを『応答のI-メッセージ』と呼びます。それは相手のリクエストを断るというあなたの決定と『No』という選択をした理由を明瞭に言葉で伝える応答です。例) 『私は今年の大晦日のパーティを全く開催したくありません。これまで5年連続で開催してきたのだけれど、もうやりたくないのです。』
 
方法3: あなたの信念や価値観を相手とシェアするメッセージを『宣言的I-メッセージ』と呼びます。例) 『今年は休暇に親戚訪問をせずに、家に居たいと思います。』
 
自己開示はあなたが自分のニーズや感情を持った人間であることを、相手に知ってもらえます…相手にもニーズや感情があるように。あなたが自己開示をすることで相手も自己開示をしてくれるようになります。相互効果で対立を友好的に解決する手助けになります。
 
自己開示をする人たちはよりよい精神の健康を保っています。なぜなら、彼らは自分たちのニーズをうまく満たし、目標に到達し、問題を解決しているからです。明らかに、そのような人たちには自信や自尊心があります。
 
 
喜びに満ちた、平和で対立のない年末年始をお過ごしください!!!  
2012にまたお会いしましょう!   

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[ニュースレター] 2015年4月号

─2015年4月号─「マズローの欲求段階説」

Blog Post by: Brian K. Miller
 
2015年4月ニューズレター
 
 L.E.T.の目的は、『行動の窓』の生産的な仕事の時間(『問題のないエリア』と呼びます)を最大限にすることです。時間と資源がビジネスのニーズを満たすことに向けられる時、ビジネスに関わる全ての人が成功します。もし、個人的な問題、リーダーシップの欠如、非効率な業務習慣が組織のニーズの妨げになるなら、ビジネスは赤字になり、給料を支払えなくなり、従業員を解雇せざるを得なくなり、全く最悪のケースでは、完全に解散し、残余財産を切り売りすることになります。生産的で居続ける鍵は、組織の中の全ての人のニーズが満たされる手段をとることです。しかし、時として、その『ニーズ』の厳密な本質を定義するのは難しいのです。
 
 アブラハム・マズロー(Abraham Maslow)は人間の基本的欲求(ニーズ)を説明するピラミッド構造を考案しました。マズローのピラミッドでは、低次から高次まで5つの階層があります。各階層は、個人の生活の質の高いレベルを徐々に表していきます。自己実現の欲求は、5段階のピラミッド構造の最上階にあり、ピラミッドのベースにあるのは生理的欲求です。各階層を簡単に見ていきましょう。
 
1.    生理的欲求: これは基本的で、ファンダメンタルな生命維持に必要な欲求です。例えば、食べ物、水、衣服など。
2.    安全の欲求: 野生では、人は野生生物から身を守るためにフェンスが、そして自然の力から守るためにシェルターが必要です。現代では、犯罪の被害者になったり事故でけがをしたりすることなく、自宅と会社を往復できると信じる必要があります。
3.    社会欲求と愛の欲求: 友達や家族は、私たちが悲しい時には慰めてくれ、私たちが幸せな時には一緒に喜んでくれ、自分の存在が重要であるという考えを強化してくれる社会環境を、私たちに提供してくれます。
4.    承認の欲求: 成功は満足と承認の両方をもたらします。私たちは、重要な目標に到達すると、もっと高い目標を設定する権限が与えられたように感じます。その目標に到達したことで拍手喝采を浴び、報酬を得ると、この達成感が強化され、達成し続けようと私たちをやる気にさせます。
5.    自己実現の欲求: 私たちは自分の最終目標に到達すると、どのようにそれを達成したかに他の人たちに教える権限が与えられたように感じます。私たちは、同じ道を苦労して進んでいる他の人たちに支援の手を差し伸べ、また、同じ道を歩み始めたばかりの人たちを指導します。時として、本を書いたり、同じ目標を達成しようとしている人たちを支援する学校を始めたりします。
 
 リーダーが部下やフォロワーをやる気にさせるためには、彼ら自身がどの階層の欲求を満たしたのか、彼らのチーム・メンバーはまだどの階層に取り組んでいるのかを認識できなければなりません。ある欲求はとても難しく、プロの支援を通してしか達成できないかも知れません。アルコール中毒、怒ると狂暴になる性格、仕事に対する怠慢なアプローチは、しばしば、個人がピラミッド構造のどこか低いレベルで身動きが取れなくなっているサインです。このような問題の場合、その個人を適切なプロフェッショナルに紹介することで、最善の対応ができます。
 
 習慣的に遅刻する、一時的にやる気を喪失する、あるいは過剰な労働時間などの普通の問題は、個人が目標達成のための努力をしている時に、複雑な事態を経験しているシグナルです。このような場合、アクティブ・リスニングが相手に『声に出しながら考え』、自分自身の解決策を見つける機会を提供します。
 
 もしリーダーが、気が短くて、怒りっぽく、不安を抱いているならば、リーダーは仕事で不愉快にも中断を余儀なくさせられ、現在の目標を達成して次の段階に移ることを妨害されている可能性があります。この場合、リーダーは問題を引き起こしている相手に、対決的I-メッセージで対決するべきです。私たちは誰かに対決する時にはいつも、私たちの問題が相手に問題を引き起こす現実的な可能性があることを、心に留めておく必要もあります。ゆえに、リーダーはアクティブ・リスニングにギア・シフトし、場合によってはメソッドⅢの対立解決法をする必要があります。
 
 これら3つの状況全てにおいて、最初のステップは、どの種類のニーズが満たされていないのか、どの目標が達成できていないのか、その人はどの欲求段階に到達しようと悪戦苦闘しているのかを特定することです。ほとんどの場合、第1段階の生理的欲求と第2段階の安全の欲求には問題がありません。現代のほとんどの人は、食べ物、シェルター、適度に個人の安全性が確保されています。
 
 職場では、問題を引き起こす満たされないニーズのほとんどは、第3段階か第4段階のニーズです。人が頑張ってやった良い仕事が気づかれないと、感謝されていないと感じるため、第3段階や第4段階のニーズが満たされない結果となります。もし部下や同僚が、自分の仕事が失敗したとか不公平に失敗のレッテルを貼られたと感じるならば、問題について充分な時間を割き、心を開いて話してもらうことが、自身の解決策を考え出す重要な鍵です。ゆえに、アクティブ・リスニングは常にリーダーの最もパワフルで、頻繁に使われるツールであり続けます。対決的I-メッセージの後にギア・シフトが続きます。必要に応じて、メソッドⅢの対立解決法がリーダーにとってその次に重要なツールとなります。何故ならば、リーダーは常にチーム・メンバーに組織とチーム・メンバー一人ひとりのニーズの両方について、コミュニケーションする責任があるからです。
 
 マズローの欲求のピラミッドは、チームあるいはチーム・メンバー自身のどのようなニーズがまだ満たされていないのかを、リーダーが特定するのを助けます。どのように満たされないニーズが、ある種類の行動を引き起こすのかを特定すれば、特定の行動が『行動の窓』のどこに属するかが簡単にわかります。特定の行動を『行動の窓』に正確に位置づけることで、L.E.T.のスキルの何を使えば問題解決を支援できるかが決まります。ゆえに、リーダーも部下も両者が生産的なエリアに留まることができます。個人個人が、より生産的であればある程、会社はより儲かり、社員全員が成功することが容易になります。

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[ニュースレター] 2018年6月号

─2018年6月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.2」

Date: June 10th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
アクティブ・リスニング/共感
Pages 63 – 64: 
ここ数十年の間に、一部の心理学者は人間関係における個人の成長と心理的健康を促進する決定的な要素を特定しようとしてきました。この徹底的な研究は、初めは効果的なプロの支援エージェント(カウンセラーや心理療法士)の特徴や言動を特定することだけに焦点を当てていましたが、最終的にそのいくつかは効果的な教師、効果的な配偶者、そして効果的な親の個人的な資質についての研究へと指向を変えました。そして、どのような人間関係においても一個人が他人の成長と心理的健康を促進するためには、少なくとも2つの要素が必要になるという、かなり決定的な証拠が浮かび上がってきました。その要素は、共感受容です。
共感とは、相手の立場に立って考え、その人の「個人的な意味の世界」─すなわちその人が現実をどう認識しているのか、物事についてどう感じるのか─を理解する能力のことです。アクティブ・リスニングはまさにこの機能を果たします。人が共感的に理解されているとしばしば感じられるような環境は、その人の心理的健康と個人的成長のすべてにおいて貢献します。私は、このような環境が問題解決をファシリテートし、結果として、より大きなニーズの充足につながることから、心理的健康と個人の成長を促進するのだと確信しています。人は、問題を解決してニーズが満たされた時、マズローのピラミッドにおけるより高いレベルのニーズに向かって上がっていく自由を得て、自己実現と自己成長を成し遂げるための新しい方法を見出せるようになるのです。
 
Page 69: 
責任の中心を問題の所有者に据えておくことは、次のような理由から重要になります。
第一に、チーム・メンバーに自分の問題を自分で解決させるリーダーは、たくさんの利益を生み出すための堅実な投資をしています。チーム・メンバーのリーダーに対する依存は少なくなり、より自律的に、より自立して、よりうまく自分で自分の問題を解決できるようになります。
第二に、リーダーは、グループ・メンバーが仕事のオンとオフを問わず彼らの生活圏内で直面する、幅広いさまざまな個人的問題とその複雑さについて、充分に理解していることはめったにありません。そのため、問題解決の責任の中心を支援される人に据えておくためのスキルは、わずかな情報しかない問題についての答えを導き出すという不可能な課題からリーダーを解放してくれます。
 
Page 88: 
人々の問題は、まるで玉ねぎのようで、いくつもの層が折り重なってできています。外側の皮を何枚か剥いて初めて、核心的な問題に到達できるのです。時として人は、本当の問題が何であるかわかっていながら、そこから始めることを恐れています。たいていの場合、その真下にあるものに全く気づいていないことがあります。誰かが何か厄介な問題についてあなたに話し始めても、あなたはたいてい「提示された問題」のみを聞きます。アクティブ・リスニングは、支援される人が提示している問題から先へと進み、最終的には核心的な問題に入るように効果的にファシリテートします。

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[ニュースレター] 2009年11月号

─2009年11月号─「誰が勝ち、誰が負けるのでしょう?」

L.E.T.修了者の方々へ

大辞書によれば、対立とは衝突、意見の不一致、論争、口論、けんか、激突、闘争や争い――特に長くなってしまった争いです。この言葉は何かただならぬ張りつめたものという意味合いがあります。そしてすべての人は自分たちの経験から、対立は人間関係においては不愉快で破壊的であり、それと同様にグループや組織においては非生産的でコストがかかることを知っています。しかしながら人間関係において対立は避けられないという結論からは逃れられません。その結果、いかにして対立を最小限にするか、防ぎようのない対立をどのように解決していくか、これらを発見するという2つの課題が残ります。

対立は人との関係において決して完全には避けられないのですが、とりわけリーダーが予防についての章で書かれているスキルや方法を使えば、いくつかは予防できる可能性はあります。この他にこれらに関連のあるスキルは本格的な権力闘争の状況に陥ってしまうのを防ぐのに役に立ちます。

リスニング スキル

グループのメンバーや仲間達が持っている彼ら自身の問題を解決するのを助けることができるリーダーは、予防の策を講じています。結局、チーム・メンバーの問題は仕事上、彼らの職務遂行に影響を及ぼすかもしれません。これらは明らかにそのうちにリーダーに問題をもたらし、リーダーとチーム・メンバーとの間で対立が生じる可能性があります。

ある日、あなたはグループ・メンバーの一人がいつになく不機嫌で何を言っても上の空に見えるような合図や手がかりを感じたと仮定します。この行動はどんな場合でもあなたには受け入れられないというわけではないですが、-すべての人は時々この状況に置かれますから―それにもかかわらずあなたは、もし、この状況が数日続けば、その際には1つの重要なプロジェクトを終えるためにこの人に頼っている、いう理由で彼女の仕事のパフォーマンスが低下することを心配します。確かに彼女に近づき『ホリー、今日はあなた、何か悩みがあるように見えるって私は気づいたのだけど、よかったら話してくれるかしら?今は聴く時間があるわ。』と助け舟を出すのは賢明でしょう。

しばしば、数分人の話を聴くだけで驚くべき効果が出ることもあります。彼女の感情は放出され問題解決が始まり、彼女はいくつかの解決策にさえ行きつくかもしれません。おまけに、あなたは彼女を気遣っていることを明らかに示しているということです。そしてもし問題が解決されれば、あなたのリスニングは予防の機能を果たしたことになります。その後に起こる、あなたにとって実際には受容できない出来事――例えば、プロジェクト遂行に失敗する――を予防したのです。

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[ニュースレター] 2012年12月号

─2012年12月号─「あなたはオープンで正直な人間関係を望んでいますか?」

L.E.T.修了者の方々へ

ほとんどのリーダーはこの質問に素早く肯定的な返事をするでしょう。なぜなら、少なくとも理論上はオープンで正直な人間関係はほとんどの人が理想的だと考えるゴールだからです。しかし、ほとんどの組織においてリーダーとグループ・メンバーとのオープンで正直な人間関係は皆無です。リーダーは『上司役』を演じ、グループ・メンバーは『部下役』を演じます。

船の船長は嵐が来ていても全て制御されていると見せなければなりません。上司は見かけ上、クールで落ち着いていて冷静でいなければなりません。リーダーは命令を下し、人々に何をすべきかを伝えます。リーダーは恐怖をシェアしたり、自分のミスを認めたりしてはいけません。リーダーは自分の人間の弱さを隠します。

社員は命令を受け入れ、上司のアドバイスを受けます。社員は上司を批判せず、上司の判断に疑問を持ちません。自分の感情を隠してミスを隠します。正直であることは危険すぎます。アサーティブであることはおこがましいのです。

中西部にある大きな化学薬品会社の技術者が自分のゴードン・モデルのトレーナーに以下の件について話しました。『ほとんどのスーパーバイザーは少し頭がよくて自分の仕事にプライドを持っており、よりアグレッシブなのでスーパーバイザーになったのです。彼らの文化でこのことが意味するものは、その単語『上司』の言葉通り、既に上司であるということです。そして、上司はある一定の行動をとります――例えば、他の人に意見を仰ぐことは絶対にしません。上司は人に指示します。上司は生産を上げること以外に関心がありません。文化的にそのような行動が奨励されます。スーパーバイザーになるために一生懸命働く理由は、上司になるためです。一部のスーパーバイザーは『自分の権力を人とシェアしたくない』と言うでしょう。

リーダーが権力を使うのを止めて、対立をNo-Loseメソッドを使って解決しようとする時、人は役割や仮面を取り外すでしょう。上司が本気で社員が満足する対立解決策を望んでいると社員の側が気づくと、社員はオープンに、そして正直にそれらのニーズを表現し始めます。対立によって社員が負けるような決定に終わらないと社員が確信する時、彼らは本当の気持ちを上司にぶつけて対決することを恐れなくなります。それは逆にも作用します。リーダーは社員に対してよりオープンで正直になります。

メソッドⅢは新しい基準をリーダーとメンバーの人間関係に導入します。対立の状況下で打ち解けて防衛を解いても安全です。なぜなら、関係している全ての人が受容できる解決策が最終的に見つかるからです。
あなたがメソッドⅢを使うなら、権力主義的リーダーに対してはほとんど表現されない感情、批判、苦情が聞けます。あなたはその準備ができていますか?あなたが他の人にどのように見られているか聞く用意はありますか?保身や報復をしないで人から批判を受け、あなたの考えや意見に反対する人を受け入れることができますか?

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[ニュースレター] 2016年6月号

─2016年6月号─「権力を持たない人から権力に対する力強い言葉」

Date: June 7th, 2016
By: Dr. Thomas Gordon, Three-time Nobel Peace Prize Nominee and founder of Gordon Training
 
私は幾度となく、権力の源泉について聞かれます。それはどこから来るのかと。その質問をしてくる人は、まだ知られていない、あるいは隠された権力の源泉があることを期待しているのです。その権力の源泉により、今まで負けていた喧嘩に勝ち始めることを期待しているのです。しかし、権力の秘密の源泉という考えは、スペインの探検家ポンセ・デ・レオンの若さの源泉の考え方に似ています。それは、存在しないということです。

ですから、私はそういう人たちにこう言います。権力はアメとムチを与える力から来ていると。言い換えると、権力は痛みや快感を創る能力です。権力を使用する人はアメとムチを操って、欲しいものを手に入れています。痛みが十分大きければ、あるいは報酬が期待に十分沿っていれば、順守してもらえます。

しかしながら、順守するには代償を払うことになります。受け手の人はただ単に順守する訳ではありません。個人の完全性を維持するために、やりたくないことをすることに対処する方法をとります。このような行動はコーピング・メカニズムと呼び、3つのカテゴリーに分類されます。反撃、逃走、服従。反撃する人は反撃したり、拒否したり、挑発したり、五分五分に戻そうとしたりします。コーピング・スタイルが逃走という人は、物理的にも感情的にも逃げようとします。彼らは引きこもり、逃げ去り、白日夢を見たり、空想したり、飲酒や薬物に走ったり、病気になったりします。服従する人は、しばしば最も求められる子供、学生、従業員等ですが、最も不健康な人たちかも知れません。特に命令が重要なニーズと対立する時に従順で、「権力者を尊敬し」、命令に従います。それが、子供の頃から一般的に学習され多くの人が人生で実践しているメカニズムです。

しかしながら、服従はアサーティブネス、独立心、十分に機能する一般的能力にダメージを与える影響があります。次のように考えてください。服従することで対処する人は、消極的で、自分から始めることはなく、依存する傾向があります。ですから、あまり良い従業員ではなく、人間関係においても一緒に仕事するのが難しいものです。外見的には親切で素直ですが、内面では怒っていて敵対的である傾向があります。

あなたのコーピング・スタイルを知るために、権力のリコール演習をすることをお勧めします。それは私の組織で、何千もの受講者とのワークショップでインストラクターが使った演習です。紙を一枚使って、そこに4つの縦のコラムを作ります。左のコラムの一番上に「私がやらされたこと」と書きます。次のコラムには、「誰がそれを私にさせたか」を書きます。3つ目のコラムの上には「私は何をした(例えば、従った?)」を書きます。そして最後に4つ目のコラムに「私はどのように感じ、そして何をしたか」を書きます。

さて、あなたが小学生だったころを思い起こしてください。誰かがあなたがしたくないことをさせます。それは誰ですか?あなたは何をしましたか?あなたがしたことに関してどう感じ、そしてあなたは何をしましたか?

あなたが年をとった時についても、このプロセスを繰り返します。例えば、高校時代、そしてつい最近。

人が発見することは、権力の使用は単純に問題の性質を変えるだけです。例えば、私たちのワークショップ(Teacher Effectiveness Training)では、フロリダから来た高校の校長先生が、小学5年生のクラスルームの外に座らされているところを思い出しています。なぜなら、彼は「静かにする時間」の時に、教室で紙飛行機を飛ばしたからです。彼は恥ずかしい思いをして、腹を立てていました。結果、駐車場まで抜け出して行き、一人の先生の車のタイヤの空気を抜いてやりました。この場合、クラスの邪魔をするから器物破損へと発展しました。

このようなことは、あなたにも当てはまりますか?あなたは何とかして対処しましたか?何千人もの人たちがこの演習をして、ほとんど似たようなリストを作りました。あなたの演習結果もこのリストにあるかどうか見てみてください。
 
• 反抗する、背く
• 報復する、逆襲する、言い争う
• 嘘をつく、真実を隠す
• 怒る、癇癪を起す
• ルールを破る
• 他者を非難する、告げ口をする
• 顎で使う、やり返す
• 他者と団結する、組織化する
• ご機嫌を取る、承認を求める
• 引きこもる、空想する
• 逃げる、課題や仕事を辞める
• 諦める、敗北する
• 無視する、黙殺する
• 競争する、勝つ必要がある
• 希望がないように感じる、落ち込んでいる、泣いている
• 恐れる、臆病になる、恥ずかしがる
• 病気になる
• 過食の後、下剤で胃の中を空っぽにする、あるいはダイエットをする
• 服従する、順応する、命令に従う
• 飲酒する、薬物を使う
• 欺く、盗作する
 
強制力への応答としてこれらのコーピング・メカニズムを使うことは、予測可能で回避できません。しかし、この観点から観ると、権力を使うことは避けるべきです。なぜなら、それによって人間関係が破壊されるからです。

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[ニュースレター] 2019年5月号

─2019年5月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.13」

Date: May 30, 2019 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

どのような人になりたいか?パート2

 

言うまでもありませんが、コミュニケーションで自己一致しているリスクはあります。そして、あなたはそのリスクを負うことができるか否かを真剣に考慮するべきです。自分のイメージをあなたが現実にそうであるように、オープンで、正直で、率直なリーダーになろうとすれば、あなたは本当の自分を他人にさらけ出すリスクを負います。I-メッセージの送り手は、自分自身に対しても他人に対しても「透き通ってリアル」です。人々はありのままの自分であることに勇気をもたなければなりません。つまり、人生のどの瞬間にも、感じたまま、考えたままに意思疎通(コミュニケーション)しなければなりません。そして、それに対するリスクはあります。もし、あなたが他人に対して心を開くなら、本当のあなたを知られてしまいます!他人にあなたの本当の姿を知られてもいいですか?

相手の言うことに耳を傾けるリーダーになろうとすれば、他にもリスクがあります。既にご存知の通り、アクティブ・リスニングはもっぱら話し手のメッセージにのみ注意を払うため、あなたは一時的に自分自身の考え、感情、評価、判断を保留しなければなりません。相手の話を正確に理解することが要求されます。あなたが話し手の意味する観点からメッセージを理解しようとするなら、あなたは話し手の立場(相手の価値判断の枠組みや相手にとっての現実世界)にあなた自身を置いてみなければなりません。そうしたときにのみ、話し手の意図した意味を聞き取ることができるのです。

 

アクティブ・リスニングの「フィードバック」は、あなたのリスニングの正確性をチェックする最終手段に過ぎません。それは、話し手にあなたが理解したということも確実に伝えます。

アクティブ・リスニングは、それ自身リスクを負っています。アクティブ・リスニングを行う人に何かが起こります。相手がどう考え、感じているかを正確に理解し、一時的に自分を相手の立場に置いて相手が見ているように世界を眺めてみると、あなた自身の意見や態度が変化してしまうリスクがあります。

人々は本当に理解したことによって変化することがあります。他人の「経験にオープン」であると、あなた自身の経験を再解釈しなければという気になります。他の人たちに耳を傾けられない人たちは「防衛的」です。なぜなら、そのような人たちは、自分とは異なる考えやモノの見方に自分をさらす余裕がないからです。

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[ニュースレター] 2011年1月号

─2011年1月号─「The Big Picture問題の全体像」

L.E.T.修了者の方々へ

時々、何かを読んで、それが思いもかけず自分にとって大きな影響を与えているということがあります。私にも2-3日前、トマス・ゴードン博士の『ゴードン・モデルの起源』という本を読んでいて、そのような経験をしました。

私はトム(トマスの愛称)と7―8年を過ごしましたが、彼の思いやりや機知、鋭敏な知力が大好きでした。彼はいつも愛情に満ち溢れ、支えてくれ、受容してくれました。そして、ティーンエイジャーであれば(私もトムに初めて会った時はティーンエイジャーでした)、自分を見てくれて、影響を深く与えてくれる人がいることに非常に感謝するでしょう。私はトムの思いやりの範囲を全く理解していませんでした…役立たずの歯の矯正ブリッジとメガネをかけたティーンエイジャーの私のことをトムは気にかけていてくれただけでなく、彼は世界全体を気にかけていたのです。親、子供、政府のリーダーたち、同僚、彼自身の家族…全ての人。

『ゴードン・モデルの起源』の最後のパラグラフを読んだ時、私はトムのビジョンの深さを思い知らされました。彼はプログラムを通して、『平等の権利、他人のニーズに対する尊敬の念、人間関係での協力、平和的対立解決などの価値観がいつか普遍的特質になるであろうこと』を信じていました。

このような価値観がある種コントロールされた環境である家庭で使われるのと、職場でマネジャーや社員を導くために使われるのは別ものです。しかし、それもまたトムのビジョンのなくてはならない部分なのです。そして、それゆえに彼のリーダーシップ・トレーニング・プログラムは極めて重要です。

仕事に行って価値ある仕事をしていて、よく聞いてもらっていて、権利を与えられていると想像してみて下さい。あなたは問題に直面する時、あるいは誰かと対立している時(なぜなら対立は起こりますし、それは全く自然なことです!)、あなたには相手を軽くあしらったり体面を傷つけたりせず、また自分のプライドを捨てず、『ただ黙って対応するようなことがない』対処法を持っています。会社が全ての人に一緒に問題解決することを奨励し、組織のリーダーシップに参加するよう奨励していると想像してみて下さい。

トマス・ゴードン博士はそれを想像しました…そして彼のリーダーシップ・トレーニング・プログラムであるL.E.T.はそのビジョンを現実のものとするための青写真なのです。
私の中の大人の部分が彼の業績に対して感謝しています。彼のライフ・ワークに感謝します。そして私の中のティーンエイジャーの部分は彼がいなくて寂しいです。

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[ニュースレター] 2014年4月号

─2014年4月号─「コミュニケーション、リスニング、対立解決などに役立つ7 つのブログと記事」

L.E.T. ワークショップ修了者の方々へ、

 皆様の住まわれている地域でも春が訪れ、すべてが順調に行っていることを祈願いたします 🙂
 
 今回のL.E.T.ワークショップ修了者コネクションはいくつかのブログや記事のリンクをご紹介しています。皆様に役立つ、興味深いものだと自信を持っています。
 
 こちらがリンクのリストです。
 
1. もっと効果的に対決する必要がありますか?そんなあなたにはこちらをどうぞ:
http://www.gordontraining.com/leadership-training/totally-mess-confrontation/

2. 問題がない時にアクティブ・リスニングを使う:
http://www.gordontraining.com/leadership-training/psst-active-listening-just-problems/

3. Win-WinはメソッドⅢと同じですか?:
http://www.gordontraining.com/leadership-training/isnt-method-iii-win-win/

4. より良いリスニングのための10個のヒント:
http://www.gordontraining.com/leadership-training/10-helpful-tips-better-active-listening/

5. あなたの人間関係のスタイルは何ですか?:
http://www.gordontraining.com/leadership-training/relationship-style/

6. 学習段階 – 新しいスキルを学ぶ時のヒント:
http://www.gordontraining.com/leadership-training/competent/

7. 最後に大事なことを言い忘れていましたが、私たちのL.E.T.ワークショップ修了者のためのモバイル・サイトもご覧ください。ゴードン・モデルのどのワークショップを取られたとしても、このサイトは役立つヒント、記事、クイズやビデオでいっぱいです:
http://mobile.gordonmodel.com/

 良い一週間をお過ごしください!

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[ニュースレター] 2017年6月号

─2017年6月号─「受容と共感」

Date: June 27th, 2017 | BY  Brian K. Miller

 どのような時にも多くのことが私たちの気分に影響を与えます。例をあげると、体の健康、直近で食べた食事、アレルギーの季節、孤立感、ごひいきのサッカー・チームの成績などです。私たちを取り巻く人の行動をどのように認識するかに影響を与えるのは私たちの気分です。ゴードン・モデルでは、私たちはこれらの異なる全ての要因を簡単なダイアグラムに凝縮しています。それは「行動の窓」です。私たちは「行動の窓」を2つのセクションに分けます。上部の受容エリアと下部の非受容エリアです。受容ラインが、それら2つのセクションを分けるラインです。上下する受容ラインは、私たちの気分に影響を与える全ての事象の物差しです。全ての事象が私たちの気分を高揚させ、気分が良い時、受容ラインはとても低い位置にあります。受容ラインが低い時、私たちはとても寛容で優しいです。その結果、通常は私たちをとても怒らせるような広範囲の行動でも、突如として面白く、滑稽で、楽しませてくれるものに感じます。しかしながら、物事がうまく行っていない時には、受容ラインは非常に高い位置に上昇し、ほとんど全ての事象が私たちを怒らせるのです。

 次のシナリオを考えてみましょう。

 あなたは寝坊をしたので、大急ぎで着替えをします。家を出ようとした時、あなたの左足の靴が完璧に壊れてしまいます。あなたは、下駄箱から二番目に良い靴に手を伸ばしますが、どういう訳か、その靴はそこにありません。下駄箱にあるのはテニス・シューズだけです。あなたは他の靴を探す時間がありませんので、それを履いて家を出ます。あなたの家から駅まで、全ての信号に引っ掛かります。今日は交通量がとても多くて交差点を全速力で横切ることもできません。あなたは駅に着いて、初めて定期券を持参していないことに気づきます。仕方なく切符を購入しようとしますが、今日に限って切符売り場は長蛇の列です。携帯電話の時計をちらっと見ると、いつもより既に20分も遅れています。あなたは、やっと切符を手にして改札を通ろうとした時、10人ほどの高校生が集団で横入りをします。どういう訳か、彼らの半分の人の定期券は使えず、彼らが改札をどうにかこうにか抜け出るのを待っていたため、あなたは更に遅れてしまいます。予定より30分遅れて、遂に電車までたどり着きます。あなたは会社に遅刻した上に、最初に出くわしたのが自分の上司です。挨拶を交わす代わりに、あなたの上司が最初に訊いたことは、あなたがどうして適切な靴を履いていないのかということです。

 このシナリオで、あなたの受容ラインは非常に高い位置にあります。全てが受容できない行動です。あなたの気分は非常に不安で、イライラして落ち着かず、爆発寸前です。

 ここで正反対のシナリオを考えてみましょう。全く同じ気分の悪い朝です。しかし、ここであなたはマネジャーで、あなたの部下がビジネス・スーツにテニス・シューズを履いて遅刻してきました。

 あなたがマネジャーか部下かで、違った応答をしますか?

 ゴードン・モデルは、人間関係に対処するためにとても効果的なツール・セットです。そのモデルの基礎は「行動の窓」です。しかし、利用できるベスト・ツールでも十分ではない時がきます。ある時点において、私たちはそれぞれ個々人で、人生で全てのことが私たちの感情的な気分を壊そうと一体となって働いている時、私たちはどのように反応するのかを決めなければなりません。ゴードン・モデルに熟練するだけでは十分ではありません。ある時には、私たち個々人は、人生は困難で全ての人が苦難を経験すると認識しなければなりません。共感は単にアクティブ・リスニングの価値あるツールというだけではありません。共感は人間の感情の核心部です。私たちは共感があれば、先ほどの事例のように、気分をぶち壊す朝でも乗り越えられます。共感は、私たちを本当の意味で人間にしてくれるものだと思います。

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