[ニュースレター] 2020年4月号

─2020年4月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑩」

Date: April 5, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

  1. グループや組織は、必ずしもそのメンバーにレベルⅣやレベルⅤの欲求を満たす機会を与える訳ではありません。特に低いレベルにいる人たちで、仕事がかなり厳密に定義もしくはルーティン化されていたり、その活動がほとんど完全にコントロールされていたり、個人的な指示、意思決定やイニシアチブをとる自由度がかなり制限されていたりする場合はそうです。
  2. リーダーが任意に権力を行使する時、グループ・メンバーは、仕事について非難されることを恐れたり、職務で絶えず不安を感じたりするかも知れません。彼らの安心と安全の欲求が満たされていないと、レベルⅡで行き詰り、社会的欲求や能力と自尊心の欲求を満たすために達成しようとする動機づけがなされません。
  3. 異なるグループ・メンバーは、同時にあるいは同じ状況下にあっても、人によって異なる欲求のレベルで仕事をしているかも知れません。スタッフ・ミーティングで、ある人は疲れているかもしれません(レベルⅠ)が、別の人はグループが何かを達成することを望んでいるかもしれません(レベルⅣ)。また、他の人たちはお互いに話したり冗談を言っていたりするかもしれません(レベルⅢ)。
  4. レベルⅠとレベルⅡの欲求は、現代の豊かな社会ではめったに強力な動機づけにはなりません。なぜなら、グループ・メンバーの生理的欲求はほとんど満たされており(最低賃金法)、解雇される不安もありません(労働組合による保護)。だから、リーダーが、グループ・メンバーに解雇すると警告したり脅したりして、モチベーションを上げようとしても、またコントロールしようとしても、めったにうまくいきません。
  5. もし従業員が、仕事の上でレベルⅢ、ⅣないしレベルⅤの段階の欲求を満たす機会がほとんどないとしたら、彼らは仕事以外で(スポーツや趣味、社交クラブなどを通じて)、社会的インタラクション、達成感や自己実現の欲求を満たす機会を探すでしょう。こういう訳で、多くの人は仕事を維持して給料を得るために必要な最低限の労力しか費やしません。それに加えて、彼らは組織の中で疎外感を感じていたり、関与していないと感じていたりします。
  6. 素晴らしい成果と高度な達成感へと動機づけられるためには(レベルⅣ)、メンバーは次のような責任を果たしてくれるリーダーが必要です。 (a) 公平だと思える賃金が受け取れる (b) 職の安定が感じられる(c) グループが社会的インタラクションや友情をはぐくむ機会、また、理解され受け入れられていると感じる機会を与えてくれる(レベルⅠ、Ⅱ、Ⅲの欲求が満たされる)。
  7. グループの問題解決や意思決定に参加させてくれるリーダーを持つことでメンバーが得られる主な利益として、こうした活動から社会的インタラクションの欲求(レベルⅢ)、組織における自尊心や地位への欲求(レベルⅣ)、そして時には自己実現や自己開発の欲求(レベルⅤ)を満たす機会をメンバーに与えることができます。

 

 マズローの概念に改良を加えることで、リーダーはグループ・メンバーのニーズに対する洞察をより深めることができます。それは、フレデリック・ハーツバーグの研究から発展した二要因理論です。彼は、相対的に独立した2 つの要因が存在する証拠を収集しました。(1) 仕事を一緒にするグループの状況では、ある要因はニーズを満たすのに障害となり、イライラの原因または「不満要因」となります。(2) もう一方の要因は、ニーズを満たす供給者とみなされ、ニーズを満たすもの、または「満足要因」となります。

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[ニュースレター] 2020年2月号

─2020年2月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑨」

Date: February 25, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

人がグループに求めるもの

 人間の欲求を表わすのに役立つ方法として、いくつかの異なるレベルを持つヒエラルキーで表現するものがあります。この分野において先駆け的心理学者のアブラハム・マズローは、個人における5 種類の異なる欲求に関して、その相対的重要性を示した5 つの層からなるピラミッドを構築しました。

 レベルⅠの欲求、たとえば飢えや渇き、暖かさなどは、最も重要(あるいは「非常に優勢」)で、人が次のレベルにおける欲求を満たそうとするためには、まずそれらが優先的に満たされていなければなりません。レベルⅡの欲求(安心と安全)も、さらに上のレベルの欲求を充足しようとするためには優先的に満たしておかなければならず、ピラミッドの上へ行っても同様です。たとえば、空腹な原始人は、生命の危険を冒してでも(安心と安全の欲求を無視しても)食べ物を得るために野生動物を追跡することに、強く動機づけられるでしょう。その野生動物を殺して、必要な分だけ食べたら、今度は安心の欲求を満たすことに動機づけられ、残った肉を保存処理し、将来の消費に備えるために貯蔵するかも知れません(安心と安全の欲求)。食べ物が十分に蓄えられると、次に彼は友人たちを呼んで食べ物をシェアするかも知れません(受容と社会的インタラクションの欲求)。これらの欲求が満たされると、食べ物をより新しい味付けで調理することを試してみようとするかもしれません(達成感と自尊心の欲求)。最終的に、これらの欲求が程よく満たされたならば、彼はきっと洞穴の壁に殺した動物の絵を描くことにするでしょう(自己実現の欲求)。

 マズローの欲求5 段階説の意味するところは、リーダーにとって非常に重要なものです。

 

 

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[ニュースレター] 2020年1月号

─2020年1月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑧」

Date: January 2, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

グループ・メンバーの視点から見て、彼らのニーズが満たされるという希望が叶うようなことをしてくれることによって、グループのリーダーはリーダーシップのポジションを獲得します。もう一度強調すると、グループ・メンバーなしには、あなたはリーダーたり得ません。そして、グループ・メンバーがニーズを満たすのをあなたが助けてくれる時にだけ、彼らはあなたの指示や影響を受け入れてくれるのです。

とても単純なことのように聞こえますが、まずリーダーはグループ・メンバーが正確に何を必要としているのかを把握しなければなりません。そうして初めてリーダーは、グループ・メンバーのニーズを満たすために何をすべきかを判断でき、引き換えにグループ・メンバーは組織に対して一定の労力を提供し、あるいはその職務を果たすのです。この公平な交換がリーダーシップのカギとなります。

人びとはグループに何を求めるのでしょうか?初期における「科学的管理法」の専門家たちは、人は主に、個人的な収益のために働いているのだと考えていました。これは経済理論です。後に、人はグループから、それ以上のものを求めているという研究結果が立証されました――とりわけ、他のメンバーから認められること、達成感と成功感、他のメンバーとの社会的なインタラクション、グループに参加することから得られる社会的ステータスなどです。

ゆえに、社会経済理論の観点から考える方がより正確なのです。つまり、リーダーは、グループ・メンバーたちをグループに惹きつけておくだけの幅広いインセンティブを提供しているのだと認知する概念です。メンバーを生産的なグループ・メンバーとしてグループ内に保持しておくためには、効果的なリーダーはメンバーたちの単なる金銭的なニーズ以上のものを満足させる必要があります。

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[ニュースレター] 2011年6月号

─2011年6月号─「あなたは対決するのが怖いですか?」

L.E.T.修了者の皆さま

対決する = 立ち向かう。事実と直面する。

私たちはしばしば対決することを怖がってしまいます。なぜならば、相手の反応が怖いからです。

私たちは相手が私たちを好きでなくなるのではないかと恐れて、対決することを怖がります。

これらの恐怖があるから、私たちは受容できない相手の行動にも対決しないでいます。彼らがしていること、言っていることが私たちのニーズの妨げになっているのにです。

私たちが対決しない時:

1.       私たちはニーズを満たすことができません
2.       憤りを感じています
3.       人間関係に蓄積されたダメージがあります

ゆえに回避することができない、受容できない同僚の行動が起こった時、私たちは効果的に対決することをいとわず、対決することができなければいけません。

対決するということは、実は変化を求めるリクエストなのです。ということは、必ず脅しの要素がいくらかは入っており、その意味である程度の勇気が必要になるでしょう。また、多くの場合、私たちがゴードン・トレーニングのワークショップで『ニーズの対立』と呼んでいるものになります。

対決が不安を生みだすものである理由としては、対決の伝統的・文化的モデルが不必要に非難し、支配し、罰を与えるものだからです。私たちが対決するのを嫌がるのは無理もありません。

ご存知の通り、私たちはゴードン博士の『I-メッセージ』を教えています。『I-メッセージ』は私たちがまっすぐに非難せず、尊敬の念を持って対決することを可能にしてくれます。この驚くべきスキルは対決をあまり怖くないものにしてくれるのみならず、人間関係を維持し強化してくれます。

Sent by Michelle Adams, VP of Gordon Training Int’l.

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[ニュースレター] 2014年6月号

─2014年6月号─「生産的な仕事の時間の増やし方」

2014年6月10日

 さて、どうやったら生産的な仕事の時間を増やすことができるのでしょうか?ゴードン・モデルの世界では様々なスキルが選べます。色々な種類のI-メッセージ、アクティブ・リスニング、メソッドⅢの問題解決プロセス、そして特に次にお話しするものです。

 ゴードン博士の『行動の窓』を使って、私たちがこの窓のどこにいるのかに従ってどのスキルをいつ使うかを決めます。私たちは理想的にはこの窓の問題のないエリアで生活したいのです。では、どのようにこのエリアに留まったらいいのでしょうか?どのようにこのエリアを拡大し、できるだけ生産的でいることができるのでしょうか?

 このエリアにいる時に、そこに留まるように助けてくれるスキルがあります。それを試してみて下さい。

宣言的I-メッセージ: これはあなたの自己開示です。他の人に対してあなたの信じていること、考え、好きなもの、嫌いなもの、感情、反応、態度、意図を開示します。

例:1.「今日のスタッフ・ミーティングの進行具合が好きです。」2.「私は新しいコンピュータ・プログラムを習うのがとても楽しみです。」3.「やっとインセンティブ・プログラムができたことにわくわくしています。」

称賛をスキップしましょう!

 感謝のI-メッセージ: 感謝のI-メッセージは相手に対する評価や判断を回避します。このメッセージはあなたの感情と経験にフォーカスします。感謝のI-メッセージは相手の行動があなたに与えるポジティブな(肯定的な)感情やポジティブで具体的な影響を伝えます。相手の受容できる行動に対する感謝はI-メッセージの形を取ります。そうすることで、評価による称賛や操作的で不誠実な称賛を回避します。感謝のI-メッセージは自然で、自発的な表現でなければなりません。そのような表現は相手の行動を操作して、自分が望む行動にさせるために使われるべきではありません。

例:1.「配達スケジュールを手配してくれて本当に感謝しています。締切に間に合うと安心しています。」2.「ニューズレターの書き方が本当に好きです。特に私たちがどうやってお客様に接したらより良いかについて書かれた記事が。ご尽力いただき、ありがとうございます。」3.「会議で私のアイデアを支持してくれて感謝しています。それによって私の説明がし易くなりました。」

予防的I-メッセージ: 予防的I-メッセージは人間関係における対立を回避する方法の一つです。予防的I-メッセージはあなたが関わっている人たちに事前にあなたが何を必要としていて、彼らからどのような支援や協力が必要なのかを知らせます。予防的I-メッセージの裏にある理論は、相手があなたの必要としているものをはっきり理解しているなら、相手はあなたのニーズを満たすのを助けてくれるというものです。

例:1.「カンファレンスに行った時に準備が十分で不安がないように、カンファレンスで何をするのかを計画するためにあなたと会って話す時間を設定したいと思います。」2.「明日のプレゼンテーションの準備を終わらせるために今夜ラップトップを家に持ち帰らなければなりません。」3.「今日の午後は邪魔されないでお客様への電話に集中するために、私は自分のオフィスで仕事をしたいです。」

アクティブ・リスニング—これはもはや問題がある時だけのものではありません!

 以下に示すものは相手の行動が問題のない、生産的な仕事のエリアにある時に使えるアクティブ・リスニングの適切な使用法です。

1.  話し手のメッセージの意味をあなたがよく分かっていない時、あるいは相手がよく分かっていない時。(「あなたがおっしゃっていることを私が理解しているかどうか考えさせて下さい...」)
2.  話し手が理解されたと感じていない時。(「あなたにとっては...のように感じるのですね。」)
3.  あなたが話し手にあなたの理解や受容を示す時。
4.  2人以上の話し手のメッセージとそれらのメッセージの関係をグループに示したい時。(「どうやらあなたはスーザンの考えに同意しているみたいですね。更にあなたは私たちが...もすべきだと考えている...合っていますか?」)
5.  長くなった会話を一旦止めて、消化する時間を作りたい時。(「これ以上話し合う前に、あなたがここまで話してくれた内容を私が理解しているか確認させて下さい。私があなたを正しく理解しているならば、あなたは...と言っているのですね。」)
6.  相手の貢献を歪めるような根本的な問題や隠されたアジェンダをあなたが感じる時。
7.  新しいチーム・メンバーとお近づきになるため。しかし、このパワフルなツールが相手のプライバシーを侵害しないよう注意して下さい。また、同時に相手の自己開示に自分も同様に自己開示をするようにします。
8.  仕事への新規の応募者を面接する時。ここでも詮索は回避します。面接の目的はマッチングをすることで、決定するためにあなたが必要なデータを収集するだけではないことを忘れないように。ですから、あなたについても会社組織についても応募者が必要としている情報を提供しましょう。
9.  あなたが他の誰かの指示や命令を理解するため。
10. グループの考えをあなたが理解したかどうかを検証するために、グループの決定をあなたが記録している時。

メソッドⅢを使っていますか?

 問題のないエリアで6つのステップは様々な方法で使うことができます。チームや職場のグループが問題について合意に至るように6つのステップを使うことができます。その中で代表的なものは: 1.問題を解決する(対立とは対照的に) 例:1.新しい商品ラインを開発し、テストし、締切までにマーケティングする。2.目標を設定し、それらを達成するためのプランを立案する。3.ビジネスを拡大するためのアイデアを練って、そのゴールを達成するための方法を計画する。
 
 皆様、6月のブログ/修了者コネクションはここまでです!お役に立てたら幸いです!

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[ニュースレター] 2017年5月号

─2017年5月号─「ニーズを認識する」

Date: May 19th, 2017 | BY Brian K. Miller

ニーズの対立はビジネスの世界では日常茶飯事です。ビジネスをするということは、実際には利益を得るためにニーズを解決するプロセスなのです。ほとんどのビジネス・ディールでは、皆が何かを得るけれど、同時に何かを失います。私たちがビジネスの交渉術を同僚、部下、上司とのパーソナルな人間関係に適用しようとすれば、結果としては、その日をやり過ごすことができるかも知れません。しかし、憤りや不満も増幅するでしょう。日々のTo-Do-Listの目標とは違って、憤りや不満は日々の課題をクロス・オフすることでなくなるということはありません。

人々の間の人間関係は、企業間の関係と同じではありません。私たちは、ビジネスの案件にアプローチするようにパーソナルな人間関係にアプローチすることはできません。なぜならば、そうすることで憤りや不満が鬱積して、私たちがコミュニケーションをする能力を破壊してしまうでしょう。もし、私たちがコミュニケーションできなければ、皆の日々のTo-Do-Listにある目標を達成するために一緒にワークすることはできません。2人の人の間に沸き起こるニーズの対立を解決するより良い方法が必要です。

メソッドⅢの対立解決法は、皆が満足する方法でパーソナルな対立を解決するためのフレームワークを提供します。これが、私たちが「win-win」対立解決法と呼ぶ理由です。最も重要なステップは最初のステップ、「ニーズを特定する」です。

ニーズは現実的で具体的な人生の避けがたい事実です。人々は時々医者にかかる必要があります。人々は、給料が遅滞なく払われることを知る必要があります。ニーズは通常、以下の3つのカテゴリーのうちの1つに入ります。時間、労力、お金です。これら3つのうちのどれかを失うと、憤りや不満が爆発寸前のレベルまで蓄積して、日々のTo-Do-Listの中の項目をクロス・オフすることが難しくなります。

対立が起こり、メソッドⅢを使う必要が出てきた時には、各人のニーズを正確に描写することが重要です。
 
²医者に診てもらいたいニーズ
²家族休暇を取りたいニーズ
²隣に座っている人を信頼したいというニーズ
²営業のノルマを達成、あるいは超えるニーズ
²利益を出したいというニーズ
²誰かに重要な顧客と会ってもらいたいニーズ
²良い第一印象を与えたいというニーズ
 
これらは本当のニーズです。それらは正確です。もし、ニーズが満たされなければ、本当の損失に見舞われ、憤りや職場環境への信頼の喪失という結果になるでしょう。
 
²毎年、ラグジュアリー・カーを新車で買うニーズ
²時々、怒りを爆発させて「ガス抜き」をするニーズ
²「午後をやり過ごすために」ランチ・タイムでお酒を飲むニーズ
²社交的になる時間がないので、職場でイチャつきたいニーズ
²裕福な結婚相手を見つけたいというニーズ
²公開日初日にひいきにしているパフォーマーが出ている新作映画を観たいニーズ
²同僚とのデートの支払いのために交際費を使うニーズ
 
これらは本当のニーズではありません。これらのほとんどはある種の価値観の衝突です。これらのケースのほとんどでは、従業員と企業文化との間での関係に関して、何らかの思い込みがあるようです。このような種類の思い込み(前提)は、従業員、同僚、雇用者間の人間関係の現実的なアセスメントからではなく、価値観に基づく信念から来ています。もし、メソッドⅢがステップⅠでリストアップされたこれらの「ニーズ」の1つから始まるならば、解決策には到達しないでしょうし、解決策はより根深い憤りや不満を引き起こすでしょう。このようなことが起こるのは、本当のニーズの対立を解決する代わりに、メソッドⅢがある価値観を他の価値観を持つ人に押し付けることを正当化するものになってしまったからです。

結論は、メソッドⅢを始めようと座る時、現実的な世界のニーズを注意深く特定します。何が一体失われているのでしょうか?時間?お金?労力?この喪失は現実のもので、パーソナルなものですか?それとも、これは、個人と企業文化の間の関係についての異なる思い込みから起こっていますか?この種の区別をするのはとても難しいです。価値観に取り組んで、本当のニーズを見つけるために、たくさんのアクティブ・リスニング、訓練されたI-メッセージの使用、ギア・シフトの繰り返しが必要かも知れません。もし、実際の喪失がなければ、ある時点でメソッドⅢを諦めて、価値観の衝突のツールを採用しなければなりません。

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[ニュースレター] 2009年7月号

─2009年7月号─「もし、聴く気になれなかったらどうしますか?」

L.E.T.修了者の方々へ

アクティブ・リスニングは自分自身の問題を解決するのに役立つ強力なスキルですが、それは受容と共感的理解をあなたの態度で表わすコミュニケーションの手段にすぎない、ということを思い出してください。どのような理由でも、グループメンバーが問題を共有している時にあなたがそれを受容できないのなら、アクティブ・リスニングのスキルを使ったとしても、あなたの本当の気持ちを決して隠せないでしょう。そして、もし理解するつもりがないのなら、いずれにせよ、的確に聴くということをしていないでしょう。

グループメンバーが問題について話をしたがっている時に、早急にやらなければならない何かがあってあなたが恐ろしく忙しい場合—例えば締切り前に契約を終えなければならない、いくつかの大切な電話をしないとけない、出席しなければならない会議が迫っている、といった時。このような時にはアクティブ・リスニングを始めるにふさわしくありません。あなたの気持ちはそこにはないでしょう。相手に今は支援できないことやその理由を伝える方がはるかに良いのです。あなたが手助けをしたいと思うのなら彼女に、後で話しを聴くのでも大丈夫か尋ねてみてください。[…予防のI-メッセージを送るのにはとてもよい機会のようです]

“full cup principle” がいかに力説されているか思い出してみましょう。あなたがある程度、満足な状態でない限り(抑圧された欲求から解放されて)、相手の支援者であることや、そのような立場としては良い状態ではありません。問題解決のステップにおいては相手を支援するには時間だけではなくあなたの偽りのない受容の気持ちを必要とします。そのようなわけで、もし、あなたがそうでないならば受容しているふりをしないでください。そしてその気がないのなら支援の手を差し出さないでください。グループメンバーの中で生じている殆どの問題は、あなたが助ける気になるまではまで2~3時間(さらに2~3日)はかかるでしょう。

相手の話を共感的に正確に聴くには相当な注意が必要です。つまり、もしあなたが自分の考えや何か心配ごとにふけっていたら、聴く事に必要な集中力を持って相手の話を聞く事ができないことがわかるでしょう。

グループメンバーは絶えず話を聞いてくれるリーダーを必要とはしていません。彼らは理解、受容、思いやりを心から感じることが出来るように聴いてくれるリーダーを必要としています。

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[ニュースレター] 2012年5月号

─2012年5月号─「価値観が衝突した時にコンサルタントとして『振舞う』方法」

L.E.T.修了者の方々へ

コンサルタントとして振舞うというのは、ある特別な状況下でアドバイスを与えることを意味します。価値観の衝突は、『行動の窓』の一番下のエリアにある受け入れられない行動が関わっており、アドバイスは通常ロードブロックです。以下の『コンサルタント』の条件は慎重に守られなければなりません。
 
これらの条件はどの分野においても成功しているプロのコンサルタントが守っているのと同じルールです。
 
成功しているコンサルタントの特徴は以下の通りです。
 
・ コンサルタントはクライエントに採用されなければなりません。リーダーはコンサルティングする前に相手から『採用され』なければなりません。コンサルタントは自分の専門知識を相手に売らなければなりません。そして相手はコンサルタントの話に耳を傾けることに同意していなければなりません。
・ コンサルタントはその分野で専門家でなければ信じてもらえません。リーダーは事実を理解し、説得力を持って相手にプレゼンし、相手が自分の現在の価値観が好ましくないことを受容しようと真剣に考えてくれなければなりません。
・ コンサルタントはクライエントに変わるかどうかを決定する責任を持たせます。それは、クライエントがコンサルタントのアイデアを『受け入れるか』どうかということです。
・ これが意味することは、リーダーは自分の言い分を一度だけ述べるに留めます――もし相手が変わらないならば何度も何度もアドバイスを繰り返すことはしません。プロのコンサルタントはクライエントが自分の提案を受け入れないとしても、クライエントを何度も訪問して困らせたり文句を言ったりしません。そうでないと、コンサルタントとしてクビになってしまいます。文句を言うリーダーも同様です。
・ しかし、相手があなたのアイデアを受け入れようとしなくても、覚えておくべき有益なことが2つあります。クライエントはあなたのコンサルティング内容をしばらく考えてくれるかもしれませんし、その後行動を変えてくれるかも知れません――そんなことはわかりません。
そして、あなたはあなたのすべき仕事をしたということです。相手は注意を受けずに間違った方向に進むということはないでしょう。そして、あなたは文句を言って人間関係に傷をつけることもしていません。

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[ニュースレター] 2015年6月号

─2015年6月号─「リーダーとグループ・メンバー全員との間で対立があったらどうすべきか」

Date: June 8th, 2015
Blog post by:  Michelle Adams, excerpted from the L.E.T. book by Dr. Thomas Gordon
 
 フランスで最近行ったL.E.T.ワークショップで、プロジェクト・リーダーとプロジェクト・コーディネーター全員との間の対立を扱ったあるケース・スタディが表面化しました。重複したワークフローを排除することで最大限の生産性を担保することを目指して、プロジェクト・リーダーはプロジェクト・コーディネーター各人にそれぞれの進捗状況を発表してもらう週一回の長時間にわたる会議を開いていました。プロジェクト・コーディネーターが大勢いるため、各人のプレゼンテーションが短くても会議自体は長時間かかりました。

 ほとんど会議に出なかったり、毎週の会議に遅刻してきたり、会議中にそわそわしていたり、頻繁に時計を気にしていたり、一般的に他の人のプレゼンテーションを無視していたりしたプロジェクト・コーディネーターとプロジェクト・リーダーは個別のミーティングを開きました。このプロジェクト・コーディネーターにアクティブ・リスニングすることで、彼がこの毎週の会議に参加することで生産性が失われていると感じていることを知りました。何故なら、プロジェクト・コーディネーターの報告を聞くことでほとんどの時間をとられていたものの、彼らのチームの課題は彼自身とは何の関係もなかったからです。
 
 次の週の会議で、プロジェクト・リーダーは、他のプロジェクト・コーディネーターたちに、どのような価値を会議で見出すことができたかを話し合うように言いました。圧倒的な反対に遭って、プロジェクト・リーダーは毎週の会議をする必要性をなくす方法をブレーンストーミングするように言いました。ブレーンストーミングを始める前に、プロジェクト・リーダーは皆に、彼女が唯一意図するところは、既存のワークフローを重複させないことであると伝えました。何故なら、ワークフローが重複すると、生産過程で時間を更に無駄にすることになるからです。
 
 多くのアイデアが出されました。プロジェクト・リーダーは批判も議論もせず、出されたアイデアを一つずつ全てホワイトボードに書き出しました。プロジェクト・コーディネーター全員が少なくとも一つアイデアを出し終えた時、リストに載った各アイデアの強みと弱みを話し合うようにグループを促しました。自分のアドバイスや批判を差し挟まずにディスカッションをコントロールするようにプロジェクト・コーディネーターに言い、ミーティングはすぐに解決策に至りました。プロジェクト・コーディネーターたちは、最もワークする解決策は、毎週15行以下の短いE-メールを各人がグループ全員に送るというものでした。各プロジェクト・コーディネーターはE-メールをレビューし、他のプロジェクト・コーディネーターが自分のチームの仕事を重複してやっていないかをチェックします。月一回、プロジェクト・コーディネーターは集まってプロジェクト・リーダーと会議をし、コミュニケーション・フローが計画通りに上手く行っていることを確認し、2つのチームが同じ問題の解決に着手していないかをダブル・チェックします。
 
 最も問題になっているプロジェクト・コーディネーターにまずアクティブ・リスニングをし、そして次にプロジェクト・コーディネーターの全グループに対してアクティブ・リスニングします。そして彼らにメソッドⅢを一つひとつ説明し、士気とイニシアティブを失ってしまう可能性を素早く解決します。プロジェクト・コーディネーターにブレーンストーミングと解決策選択のステップのフローをコントロールさせます。そうすることで、早く効果的に選択された解決策を確実に実行してもらうことができます。

 これは、グループの個々人の目標がグループ全体の集合的目標と対立しているような状況で応用できる、ほぼ完璧な事例です。 

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[ニュースレター] 2018年5月号

─2018年5月号─「人にひらめきを与え、教えるトーマス・ゴードン博士のリーダーシップに関する引用 No.1」

Date: May 9th, 2018 | BY Dr. Thomas Gordon   
 
(L.E.T. bookからの引用)
 
一般的なリーダーシップ
Page 2: 
もしも、リーダーであることがこのように不快な経験を伴うのであれば、それはほとんどの場合、リーダー自身の非効果性に原因があります。そして、リーダーとして効果的であることに特化した研修などを受ける機会がほとんどないことを考慮すると、いかにリーダーであることが、多くの場合に難しく、消耗し、失望してしまうものであるかは理解できます。
Page 8:
権力を使うことなくどのように人々に影響を与えるかがリーダーとしての効果を高める鍵となります。
 
Pages 17 – 18:
リーダーとは何か?
「リーダーは育てられるものではなく、生まれつくもの。」社会科学者がわずか60年~70年前に徹底的な調査の本格的な主題にし始めるまでは、ほとんどの人がそう考えていました。その昔、リーダーとなる人があまりにも頻繁に恵まれた同一の家系から出現していたことから、ほとんどの人がリーダーシップは受け継がれるものだと考え、社会的に根強い階級差別があったことから、誰でもがリーダーになれるわけではありませんでした。階級差別が撤廃され、リーダーが社会のあらゆる階層から出てくるのが明らかになると、リーダーシップは優秀な遺伝子を持って生まれたり立派な家庭から生まれたりするよりも、もっと複雑なものであるということが常識になりました。
遺伝子の適切な組み合わせでリーダーが生まれるわけではないとすれば、恐らく、全てのリーダーはしつけや教育を通して習得した特定の特性や特徴を持ち合わせているのではないでしょうか。この考え方によってリーダーの普遍的な特性の調査が始まりました。しかし、何百という研究によって、リーダーとそうでない人との間には何の特性の違いもないということが判明し、リーダーシップがリーダーの中に備わっている特定の属性の産物であるという仮説は消えてなくなりました。
社会科学者たちが、リーダーとフォロワーとの間のインタラクションという観点でリーダーシップを調べ始めた時、大きな進展が見られました。
 
問題の所有権
Page 37:
「行動の窓」はどんな時でも、どの人が満たされないニーズを持つのか――生産的な仕事を妨げる問題を持つのは誰なのかをあなたが決めるのを助けてくれます。
その目的は、問題が存在していることにリーダーがいち早く気づき、その問題を診断し、人間関係を安定させ生産的な仕事を続けることができるようにするためには、どのスキルを使うべきかを知ることにあります。
 
Page 39:
グループのリーダーになる過程において、手綱をきつく掴み、最高のスタートを切り、全ての問題を自分一人で解決してやろうという誘惑をはねのけられる人はほとんどいません。ほとんどの新しいリーダーにとっては、任命した人たちに、その選択が正しかったことをできるだけ早く証明することが最初の懸念であることはもっともなことです。自分をよく見せたい、それも早ければ尚よい。結局のところ、すぐにでも介入して、「実権を握る」のでないなら、リーダーは何のためにいるのでしょうか?軍用語ではそれを、「指揮を執る」と表現します。
残念なことに、急いで実権を握ろうとすると、リーダーはひどい目に遭うかも知れません。急な改革や速攻治療、生産性の劇的な向上に熱心で、グループの前任のボスが残した問題を綺麗に後始末して欲しいという高い期待があると、リーダーはよく知られる「改革に積極的な新任者」の誘惑に負けてしまいます。しかし、グループ・メンバーの意欲と協力がなければ、自分の力だけではリーダーは滅多に改革はできませんし、即座にメンバーからの協力を得られるものでもありません。グループは変化に抵抗し、慣れ親しんだ方法を続けることに固執します。これらの「グループの規範」は、グループ・メンバーの行動に強い影響を与えます。
 
 
Pages 41 – 42:
効果的なリーダーを問題解決能力のある人として考え直してみると、リーダーは問題解決の全責任を一人で負う必要はないということを強調しておく必要があるでしょう。むしろ、グループ・メンバーの支援をリソースとして得ても良いのです。少なくとも理論上は、問題に直面した際、最善の解決策を導くためにグループ・メンバー全員の創造的リソース(もちろんリーダーも含めて)を結集するのが理想的なグループと言えます。メンバーの全員が全ての問題解決に関わる必要はなく、理想的なグループでは、適材適所でメンバー全員のリソースを活用できるのです。

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