[ニュースレター] 2020年7月号

─2020年7月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑬」

Date: July 4, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

問題解決者としてのリーダー

 

グループ・リーダーの主要な役割は、問題解決の促進者であると考えることが、私にとっては役に立ってきました。グループは、メンバーの問題が解決されるように責任をもって面倒をみてくれるリーダーが必要です。ある人は、全く問題のない職場にはリーダーは不要である――少なくとも、あまり頻繁には必要ではない──と主張するかもしれません。もし、グループがいつも効率的に、そして生産的に機能しており、メンバーが常に達成感、結束力、高い自尊心や個人的価値を経験しているのなら、「スーパーバイザー」がほとんど必要ないことは明らかでしょう。グループに問題がある時にだけ非常にリーダーを必要とします。つまり、メンバーが自分の個人的なニーズを満たすことができずに問題を抱えている時や、組織の目標が達成されずにグループがリーダーに問題を抱え込ませる時です。

私はこれら2 種類の問題の関係を、私が発案した「行動の窓」と呼ぶ図形で表わしてみました。この図表はマズローとハーツバーグから引き出されたすべての概念を結び合わせるのに役立ちます。少しの間、自分がグループ・リーダーの立場になったと考え、グループ・メンバーの一人を観察する時に、その人の行動が常にあなたの目の前にある四角い窓を通して見えていると想像してみましょう。次にその窓は二つの部分からなっていると想像してください。1 つはグループ・メンバーの行動で、あなたに問題を引き起こしていないので、あなたにとっては受容できる行動です(あなたの行動の窓の一番上の部分)。もう1 つは、その行動があなたに問題を引き起こしているので、あなたにとっては受容できない行動を示します(あなたの行動の窓の一番下の部分)。

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[ニュースレター] 2020年6月号

─2020年6月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑫」

Date: June 7, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

 

 (前出の関連箇所)「不満要因」がないことそれ自体ではめったに満足感を生み出しません。たとえば、労働条件がいいからといってそこから満足感が生まれるということはめったにないでしょう。しかしながら、劣悪な労働条件は実際に不満の感情を生み出しました。そして、満足要因(達成、承認など)があることでのみ、満足感がもたらされたのです。(前出の関連箇所、終わり)

このような顕著な研究結果は、組織の下のレベルで働く人たちには全く同じようには適用できないかもしれません。レベルⅠやⅡの欲求が満たされていない(低賃金、不安定な仕事である)場合、彼らは恐らく非常に強い欠乏感を抱くはずです。その結果、このようなグループのリーダーは、グループ・メンバーが賃金に不公平感を抱いていたり、雇用の安定について不安を感じていたりするかも知れず、その徴候を無視することが絶対にできないのです。

 ハーツバーグの調査結果に匹敵するものに、テキサス・インスツルメンツの産業心理学者M・スコット・マイヤーズの6 年間にわたる動機づけ行為に関する研究があります。 その結果は、「ハーバード・ビジネス・レビュー」において次のように要約されています。

 

従業員が効果的に働くよう動機づけるものは何でしょうか?それは達成感、責任感、成長、昇進、仕事そのものの面白さ、そして承認を得られたと感じることができるようなチャレンジングな仕事です。従業員に不満を与えるものは何でしょうか?ほとんどの場合、それは仕事の周辺の要因で、就業規則、照明、休憩時間、肩書、年功序列、賃金、福利厚生といったものです。

従業員が不満を感じるのはどのような時でしょうか?それは、有意義な成果を挙げる機会を奪われてしまったり、職場環境に敏感になったり、あら探しをし始めたりする時などです。

 

 マイヤーズはハーツバーグと同様に、スーパーバイザーが満たしてあげなければならない従業員のニーズで同じ種類のもの2 つを特定しました。それらは、モチベーション・ニーズとメンテナンス・ニーズです。前者は課題中心で、後者は相対的に仕事の周辺に関わるものです。

 マイヤーズの研究は、私がずっと強調してきたポイントの有効性を確認してくれました。すなわち、効果的なスーパーバイザーは、仕事のスペシャリストとしてのスキル(仕事のプランニングと整理をするスキル)だけでなく、人間関係のスペシャリストとしてのスキル(メンバーの不満の原因を見つけ解決するスキル)も持たなければなりません。効果的なリーダーは、仕事中心であると同時に、人間中心でもあるのです。グループ・メンバーは誰でも勝ち組にいたいと思っていますが、そのために自分の価値や自尊心を犠牲にしようなどとは、決して思ってはいません。

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[ニュースレター] 2020年5月号

─2020年5月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑪」

Date: May 16, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

 

ニーズを満たすのに障害となるもの(「不満要因」)には、次のようなものがあります。

 

  1. 上司とのよくない人間関係
  2. 同僚とのよくない人間関係
  3. 不適切な技術的指導
  4. 劣悪な社内規定やアドミニストレーション
  5. 劣悪な労働条件
  6. 従業員の個人的生活における問題

 

ニーズを満たすもの(「満足要因」)には、次のようなものがあります。

 

  1. 達成
  2. 承認
  3. 仕事そのもの
  4. 責任
  5. 昇進

 

 「不満要因」がないことそれ自体ではめったに満足感を生み出しません。たとえば、労働条件がいいからといってそこから満足感が生まれるということはめったにないでしょう。しかしながら、劣悪な労働条件は実際に不満の感情を生み出しました。そして、満足要因(達成、承認など)があることでのみ、満足感がもたらされたのです。

 これらの研究がはっきりと示唆していることは─―そしてこれは、リーダーにとって非常に重要なことですが─―グループ・メンバーが高い生産性へと動機づけられ、同時に仕事に満足するためには、仕事自体がやりがいのあるものでなければならないということです。その仕事は成長、責任、承認、そして昇進の機会を与えるものでなければなりません。これらの必要条件は、マズローのレベルⅢ、Ⅳ、そしてⅤの欲求に非常に類似しており、効果的なリーダーは、グループ・メンバーが最高レベルのニーズ――仕事上の達成や、その達成の承認から得られる自尊心、そして自己実現(自分の可能性が役に立っているという感覚)――を満たすのを可能にするスキルとメソッドを十分に学ぶ必要があるという前述の私の主張をサポートしています。これらのスキルとメソッドについては後の章で詳しく紹介いたします。

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[ニュースレター] 2020年4月号

─2020年4月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑩」

Date: April 5, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

  1. グループや組織は、必ずしもそのメンバーにレベルⅣやレベルⅤの欲求を満たす機会を与える訳ではありません。特に低いレベルにいる人たちで、仕事がかなり厳密に定義もしくはルーティン化されていたり、その活動がほとんど完全にコントロールされていたり、個人的な指示、意思決定やイニシアチブをとる自由度がかなり制限されていたりする場合はそうです。
  2. リーダーが任意に権力を行使する時、グループ・メンバーは、仕事について非難されることを恐れたり、職務で絶えず不安を感じたりするかも知れません。彼らの安心と安全の欲求が満たされていないと、レベルⅡで行き詰り、社会的欲求や能力と自尊心の欲求を満たすために達成しようとする動機づけがなされません。
  3. 異なるグループ・メンバーは、同時にあるいは同じ状況下にあっても、人によって異なる欲求のレベルで仕事をしているかも知れません。スタッフ・ミーティングで、ある人は疲れているかもしれません(レベルⅠ)が、別の人はグループが何かを達成することを望んでいるかもしれません(レベルⅣ)。また、他の人たちはお互いに話したり冗談を言っていたりするかもしれません(レベルⅢ)。
  4. レベルⅠとレベルⅡの欲求は、現代の豊かな社会ではめったに強力な動機づけにはなりません。なぜなら、グループ・メンバーの生理的欲求はほとんど満たされており(最低賃金法)、解雇される不安もありません(労働組合による保護)。だから、リーダーが、グループ・メンバーに解雇すると警告したり脅したりして、モチベーションを上げようとしても、またコントロールしようとしても、めったにうまくいきません。
  5. もし従業員が、仕事の上でレベルⅢ、ⅣないしレベルⅤの段階の欲求を満たす機会がほとんどないとしたら、彼らは仕事以外で(スポーツや趣味、社交クラブなどを通じて)、社会的インタラクション、達成感や自己実現の欲求を満たす機会を探すでしょう。こういう訳で、多くの人は仕事を維持して給料を得るために必要な最低限の労力しか費やしません。それに加えて、彼らは組織の中で疎外感を感じていたり、関与していないと感じていたりします。
  6. 素晴らしい成果と高度な達成感へと動機づけられるためには(レベルⅣ)、メンバーは次のような責任を果たしてくれるリーダーが必要です。 (a) 公平だと思える賃金が受け取れる (b) 職の安定が感じられる(c) グループが社会的インタラクションや友情をはぐくむ機会、また、理解され受け入れられていると感じる機会を与えてくれる(レベルⅠ、Ⅱ、Ⅲの欲求が満たされる)。
  7. グループの問題解決や意思決定に参加させてくれるリーダーを持つことでメンバーが得られる主な利益として、こうした活動から社会的インタラクションの欲求(レベルⅢ)、組織における自尊心や地位への欲求(レベルⅣ)、そして時には自己実現や自己開発の欲求(レベルⅤ)を満たす機会をメンバーに与えることができます。

 

 マズローの概念に改良を加えることで、リーダーはグループ・メンバーのニーズに対する洞察をより深めることができます。それは、フレデリック・ハーツバーグの研究から発展した二要因理論です。彼は、相対的に独立した2 つの要因が存在する証拠を収集しました。(1) 仕事を一緒にするグループの状況では、ある要因はニーズを満たすのに障害となり、イライラの原因または「不満要因」となります。(2) もう一方の要因は、ニーズを満たす供給者とみなされ、ニーズを満たすもの、または「満足要因」となります。

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[ニュースレター] 2020年2月号

─2020年2月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑨」

Date: February 25, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

(L.E.T. bookからの引用)

人がグループに求めるもの

 人間の欲求を表わすのに役立つ方法として、いくつかの異なるレベルを持つヒエラルキーで表現するものがあります。この分野において先駆け的心理学者のアブラハム・マズローは、個人における5 種類の異なる欲求に関して、その相対的重要性を示した5 つの層からなるピラミッドを構築しました。

 レベルⅠの欲求、たとえば飢えや渇き、暖かさなどは、最も重要(あるいは「非常に優勢」)で、人が次のレベルにおける欲求を満たそうとするためには、まずそれらが優先的に満たされていなければなりません。レベルⅡの欲求(安心と安全)も、さらに上のレベルの欲求を充足しようとするためには優先的に満たしておかなければならず、ピラミッドの上へ行っても同様です。たとえば、空腹な原始人は、生命の危険を冒してでも(安心と安全の欲求を無視しても)食べ物を得るために野生動物を追跡することに、強く動機づけられるでしょう。その野生動物を殺して、必要な分だけ食べたら、今度は安心の欲求を満たすことに動機づけられ、残った肉を保存処理し、将来の消費に備えるために貯蔵するかも知れません(安心と安全の欲求)。食べ物が十分に蓄えられると、次に彼は友人たちを呼んで食べ物をシェアするかも知れません(受容と社会的インタラクションの欲求)。これらの欲求が満たされると、食べ物をより新しい味付けで調理することを試してみようとするかもしれません(達成感と自尊心の欲求)。最終的に、これらの欲求が程よく満たされたならば、彼はきっと洞穴の壁に殺した動物の絵を描くことにするでしょう(自己実現の欲求)。

 マズローの欲求5 段階説の意味するところは、リーダーにとって非常に重要なものです。

 

 

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[ニュースレター] 2020年1月号

─2020年1月号─「地位に就くだけではリーダーではない⑧」

Date: January 2, 2020 | BY Dr. Thomas Gordon

 

(L.E.T. bookからの引用)

 

人がグループに求めるもの

 

グループ・メンバーの視点から見て、彼らのニーズが満たされるという希望が叶うようなことをしてくれることによって、グループのリーダーはリーダーシップのポジションを獲得します。もう一度強調すると、グループ・メンバーなしには、あなたはリーダーたり得ません。そして、グループ・メンバーがニーズを満たすのをあなたが助けてくれる時にだけ、彼らはあなたの指示や影響を受け入れてくれるのです。

とても単純なことのように聞こえますが、まずリーダーはグループ・メンバーが正確に何を必要としているのかを把握しなければなりません。そうして初めてリーダーは、グループ・メンバーのニーズを満たすために何をすべきかを判断でき、引き換えにグループ・メンバーは組織に対して一定の労力を提供し、あるいはその職務を果たすのです。この公平な交換がリーダーシップのカギとなります。

人びとはグループに何を求めるのでしょうか?初期における「科学的管理法」の専門家たちは、人は主に、個人的な収益のために働いているのだと考えていました。これは経済理論です。後に、人はグループから、それ以上のものを求めているという研究結果が立証されました――とりわけ、他のメンバーから認められること、達成感と成功感、他のメンバーとの社会的なインタラクション、グループに参加することから得られる社会的ステータスなどです。

ゆえに、社会経済理論の観点から考える方がより正確なのです。つまり、リーダーは、グループ・メンバーたちをグループに惹きつけておくだけの幅広いインセンティブを提供しているのだと認知する概念です。メンバーを生産的なグループ・メンバーとしてグループ内に保持しておくためには、効果的なリーダーはメンバーたちの単なる金銭的なニーズ以上のものを満足させる必要があります。

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[ニュースレター] 2017年6月号

─2017年6月号─「受容と共感」

Date: June 27th, 2017 | BY  Brian K. Miller

 どのような時にも多くのことが私たちの気分に影響を与えます。例をあげると、体の健康、直近で食べた食事、アレルギーの季節、孤立感、ごひいきのサッカー・チームの成績などです。私たちを取り巻く人の行動をどのように認識するかに影響を与えるのは私たちの気分です。ゴードン・モデルでは、私たちはこれらの異なる全ての要因を簡単なダイアグラムに凝縮しています。それは「行動の窓」です。私たちは「行動の窓」を2つのセクションに分けます。上部の受容エリアと下部の非受容エリアです。受容ラインが、それら2つのセクションを分けるラインです。上下する受容ラインは、私たちの気分に影響を与える全ての事象の物差しです。全ての事象が私たちの気分を高揚させ、気分が良い時、受容ラインはとても低い位置にあります。受容ラインが低い時、私たちはとても寛容で優しいです。その結果、通常は私たちをとても怒らせるような広範囲の行動でも、突如として面白く、滑稽で、楽しませてくれるものに感じます。しかしながら、物事がうまく行っていない時には、受容ラインは非常に高い位置に上昇し、ほとんど全ての事象が私たちを怒らせるのです。

 次のシナリオを考えてみましょう。

 あなたは寝坊をしたので、大急ぎで着替えをします。家を出ようとした時、あなたの左足の靴が完璧に壊れてしまいます。あなたは、下駄箱から二番目に良い靴に手を伸ばしますが、どういう訳か、その靴はそこにありません。下駄箱にあるのはテニス・シューズだけです。あなたは他の靴を探す時間がありませんので、それを履いて家を出ます。あなたの家から駅まで、全ての信号に引っ掛かります。今日は交通量がとても多くて交差点を全速力で横切ることもできません。あなたは駅に着いて、初めて定期券を持参していないことに気づきます。仕方なく切符を購入しようとしますが、今日に限って切符売り場は長蛇の列です。携帯電話の時計をちらっと見ると、いつもより既に20分も遅れています。あなたは、やっと切符を手にして改札を通ろうとした時、10人ほどの高校生が集団で横入りをします。どういう訳か、彼らの半分の人の定期券は使えず、彼らが改札をどうにかこうにか抜け出るのを待っていたため、あなたは更に遅れてしまいます。予定より30分遅れて、遂に電車までたどり着きます。あなたは会社に遅刻した上に、最初に出くわしたのが自分の上司です。挨拶を交わす代わりに、あなたの上司が最初に訊いたことは、あなたがどうして適切な靴を履いていないのかということです。

 このシナリオで、あなたの受容ラインは非常に高い位置にあります。全てが受容できない行動です。あなたの気分は非常に不安で、イライラして落ち着かず、爆発寸前です。

 ここで正反対のシナリオを考えてみましょう。全く同じ気分の悪い朝です。しかし、ここであなたはマネジャーで、あなたの部下がビジネス・スーツにテニス・シューズを履いて遅刻してきました。

 あなたがマネジャーか部下かで、違った応答をしますか?

 ゴードン・モデルは、人間関係に対処するためにとても効果的なツール・セットです。そのモデルの基礎は「行動の窓」です。しかし、利用できるベスト・ツールでも十分ではない時がきます。ある時点において、私たちはそれぞれ個々人で、人生で全てのことが私たちの感情的な気分を壊そうと一体となって働いている時、私たちはどのように反応するのかを決めなければなりません。ゴードン・モデルに熟練するだけでは十分ではありません。ある時には、私たち個々人は、人生は困難で全ての人が苦難を経験すると認識しなければなりません。共感は単にアクティブ・リスニングの価値あるツールというだけではありません。共感は人間の感情の核心部です。私たちは共感があれば、先ほどの事例のように、気分をぶち壊す朝でも乗り越えられます。共感は、私たちを本当の意味で人間にしてくれるものだと思います。

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[ニュースレター] 2017年5月号

─2017年5月号─「ニーズを認識する」

Date: May 19th, 2017 | BY Brian K. Miller

ニーズの対立はビジネスの世界では日常茶飯事です。ビジネスをするということは、実際には利益を得るためにニーズを解決するプロセスなのです。ほとんどのビジネス・ディールでは、皆が何かを得るけれど、同時に何かを失います。私たちがビジネスの交渉術を同僚、部下、上司とのパーソナルな人間関係に適用しようとすれば、結果としては、その日をやり過ごすことができるかも知れません。しかし、憤りや不満も増幅するでしょう。日々のTo-Do-Listの目標とは違って、憤りや不満は日々の課題をクロス・オフすることでなくなるということはありません。

人々の間の人間関係は、企業間の関係と同じではありません。私たちは、ビジネスの案件にアプローチするようにパーソナルな人間関係にアプローチすることはできません。なぜならば、そうすることで憤りや不満が鬱積して、私たちがコミュニケーションをする能力を破壊してしまうでしょう。もし、私たちがコミュニケーションできなければ、皆の日々のTo-Do-Listにある目標を達成するために一緒にワークすることはできません。2人の人の間に沸き起こるニーズの対立を解決するより良い方法が必要です。

メソッドⅢの対立解決法は、皆が満足する方法でパーソナルな対立を解決するためのフレームワークを提供します。これが、私たちが「win-win」対立解決法と呼ぶ理由です。最も重要なステップは最初のステップ、「ニーズを特定する」です。

ニーズは現実的で具体的な人生の避けがたい事実です。人々は時々医者にかかる必要があります。人々は、給料が遅滞なく払われることを知る必要があります。ニーズは通常、以下の3つのカテゴリーのうちの1つに入ります。時間、労力、お金です。これら3つのうちのどれかを失うと、憤りや不満が爆発寸前のレベルまで蓄積して、日々のTo-Do-Listの中の項目をクロス・オフすることが難しくなります。

対立が起こり、メソッドⅢを使う必要が出てきた時には、各人のニーズを正確に描写することが重要です。
 
²医者に診てもらいたいニーズ
²家族休暇を取りたいニーズ
²隣に座っている人を信頼したいというニーズ
²営業のノルマを達成、あるいは超えるニーズ
²利益を出したいというニーズ
²誰かに重要な顧客と会ってもらいたいニーズ
²良い第一印象を与えたいというニーズ
 
これらは本当のニーズです。それらは正確です。もし、ニーズが満たされなければ、本当の損失に見舞われ、憤りや職場環境への信頼の喪失という結果になるでしょう。
 
²毎年、ラグジュアリー・カーを新車で買うニーズ
²時々、怒りを爆発させて「ガス抜き」をするニーズ
²「午後をやり過ごすために」ランチ・タイムでお酒を飲むニーズ
²社交的になる時間がないので、職場でイチャつきたいニーズ
²裕福な結婚相手を見つけたいというニーズ
²公開日初日にひいきにしているパフォーマーが出ている新作映画を観たいニーズ
²同僚とのデートの支払いのために交際費を使うニーズ
 
これらは本当のニーズではありません。これらのほとんどはある種の価値観の衝突です。これらのケースのほとんどでは、従業員と企業文化との間での関係に関して、何らかの思い込みがあるようです。このような種類の思い込み(前提)は、従業員、同僚、雇用者間の人間関係の現実的なアセスメントからではなく、価値観に基づく信念から来ています。もし、メソッドⅢがステップⅠでリストアップされたこれらの「ニーズ」の1つから始まるならば、解決策には到達しないでしょうし、解決策はより根深い憤りや不満を引き起こすでしょう。このようなことが起こるのは、本当のニーズの対立を解決する代わりに、メソッドⅢがある価値観を他の価値観を持つ人に押し付けることを正当化するものになってしまったからです。

結論は、メソッドⅢを始めようと座る時、現実的な世界のニーズを注意深く特定します。何が一体失われているのでしょうか?時間?お金?労力?この喪失は現実のもので、パーソナルなものですか?それとも、これは、個人と企業文化の間の関係についての異なる思い込みから起こっていますか?この種の区別をするのはとても難しいです。価値観に取り組んで、本当のニーズを見つけるために、たくさんのアクティブ・リスニング、訓練されたI-メッセージの使用、ギア・シフトの繰り返しが必要かも知れません。もし、実際の喪失がなければ、ある時点でメソッドⅢを諦めて、価値観の衝突のツールを採用しなければなりません。

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[ニュースレター] 2017年4月号

─2017年4月号─「あなたの脳は共感することができますか?」

Date: April 13th, 2017 | BY Marie Bryson
 
 共感が簡単だなどと誰も言ってはいません。
 少なくとも四半世紀の間、科学は共感のミステリーを解決しようと試みてきました。そして、感情的に「誰かの立場で1マイル歩く」能力は、私たちの脳が携わることができる、より複雑なオペレーションの一つであることがわかります。それは、あるリサーチャーたちが少なくとも部分的に信じている現象で、脳の中にあるホルモンや特別な神経細胞によってコントロールされているようです。私たちが好むと好まざるとに関わらず、どんな時でも共感的であるということは完全にはコントロールできないということを意味します。
 実は、Zero Degrees of Empathy: A New Theory of Human Crueltyの著者である英国のリサーチャーのSimon Baron-Cohenという人が、各人の共感の人間的なキャパシティは背の高さや目の色と同様に、先天的な特徴であると提案しました。彼の仮説によると、EQ (Emotional Quotient) テストによって測定される各人の共感度合いは、ベルカーブのように両極に連続した形をしています。連続したつながりは6つのセグメント、つまり共感の「度合い」に分割されます。あなたは、ゼロのスケール(共感が全くない)から6のスケール(他の人が傷ついているのを見ると実際に肉体的な痛み感じるほどの共感を持つ)のように、生まれつき共感が少ない状態で生まれたか、共感を多く持って生まれたかということです。
 Baron-Cohenの理論は確かに興味深いのですが、個々人の共感のキャパシティについて、もう一つの事実について必ずしも対処していません。それは、ある日、ある時間、ある状況によって一進一退する可能性があるということです。共感のベルカーブの真ん中に入るほとんどの人たちは、疲れている時、ストレスが強い時、働き過ぎの時、酔っている時には、共感の度合いを充分に上げることができません。
 これがどうして重要なのでしょうか?なぜならば、共感(あるいは共感の欠如)は信頼の基礎をなすからです。それが一緒に働くため、問題を解決するため、効果的に、そして建設的にコミュニケーションをするための出発点なのです。
 トーマス・ゴードン博士は「共感とは自分を他者の立場に置いて、その人の『個人的な意味の世界』を――彼らが現実をどのように見ているのか、どのように感じているのかを理解するキャパシティであり、アクティブ・リスニングがまさにこの機能を担います。」と言いました。しかし、共感が持てない時にアクティブ・リスニングを使おうと試みることには警告を発しています。「他の人の話を共感的に、そして正確に聞くことは、ものすごい注意が必要ですから、あなた自身が自分の思いに耽っていたり、何かについて心配していたりしているなら、集中して聞くことができないことに気づくでしょう。グループ・メンバーはいつも聞いてくれるリーダーを必要とはしていません。グループ・メンバーは、理解しよう、受容しよう、気遣おうと本当に感じることができる時に聞いてくれるリーダーが必要なのです。」

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[ニュースレター] 2017年3月号

─2017年3月号─「リーダーシップへようこそ!Good...Luck?」

Date: March 14th, 2017 | BY Marie Bryson
 
 聖パトリック祭は全世界が一週間、アイリッシュになります(あるいは一週間以上かも知れません)。全てを緑色に着飾って、もちろんアイリッシュの幸運をお祝いします。
 幸運とは面白いものです。あなたにも起こりえます。目を見張るほどのルックス、巨額なトラスト・ファンド、王族の血筋に生まれるようなもので、幸運とは完全に徹底的にあなたのコントロール外です。
新しく採用された初めてのマネジャーに「グッド・ラック」を願う単純な気持ちに誰が反対できるでしょうか?
 答は「新しいマネジャーの上司」です。少なくとも、上司が新人マネジャーの役割での成功を現実に願うならです。

それは幸運ではありません――スキルです
 新人マネジャーは、初めてリーダーシップの役割を担う時、マナーや期待される新しい責任に関してトレーニングを受けます。
 損益計算書を一度も見たことがない?在庫管理システムに全く不慣れ?一般的に受け入れられている会計原則について何も知らない?あなたのインボックスになだれ込んでくるレポートの意味を、一体どうやって理解するのかぼんやりしてしまう?いい知らせです!あなたは自分自身の上司、あるいは他の誰かが自身の慌ただしいスケジュールでも時間を割いて、あなたがスピードを上げて慣れるようにしてくれることは100%間違いありません。結局、上司はあなたを採用したのですから、あなたが成功するためのスキルを確実に持てるよう投資します。
 しかし、「ソフトな側面」に関して――ピープル・マネジメント――新しいマネジャー・トレーニングがほとんどの組織でグニャッとしたものか、驚くばかりです。形式的な準備があるとしたら、通常、それは人事部や法務部の側のものです。「攻撃しない。差別しない。違法行為や非倫理的行為をしない。あなたの部下たちがお互いに攻撃したり、差別したりしないようにする。訴訟されないようにする。さあ、出て行って、あなたの部下たちを管理しなさい!…グッド・ラック」
 もし、あなたが管理するチームが既に難しいチームだという噂があったとしたら?業績不振者ばかりなら?その時点で、「グッド・ラック」は不吉な兆候です。なぜなら、あなたの以前からあるチームに、あなたが成功するか失敗するかを聞くなど――おみくじの「幸運」に単に頼ることはできないからです。
マネジャーとして成功するにはもっと多くの「幸運」が必要になるでしょう。リーダーシップは幸運の問題ではありません。スキルの問題です。いいですか?それは良い知らせです――なぜなら、幸運と違ってスキルは定年後にやってくるというようなものではないからです。ピープル・スキルは特にマジックでも神秘でもありません。

新しいマネジャーのスキル・キット:基礎編
 もし、あなた、あるいはあなたの知っている誰かが最近、高いスキルをもったチーム・メンバーはからスキルを持たないチーム・リーダーへと飛躍したら、認識すべき最も重要なことは:初日から全ての職務の責任を遂行できる訳ではありません。それは、あなたのピープル・スキルも含みます――あなたがこの宇宙で、自然と最も社交的で、支援する、分別のある、人を励ます「ピープル・パーソン」な人だとしても。
それは、人の管理が難しいからです。
 しかし、何度も何度も証明された、よりやりがいのある、より生産的な、そして「幸運」のようなコントロールできない外的要因に頼らない幾つかのスキルが存在します。

– アクティブ・リスニング:全ての「ソフト・スキル」の基礎であるアクティブ・リスニングは、誰かの前にただ単に座って、頷いて「あなたが言っていることは…ということですね」と言うことだけではありません(頻繁に誤解され、こんな風にパロディにされますが)。アクティブ・リスニングは自制心です。他の人の話を聴くことを学ぶ――本当に聴くのです――自分自身の考えや課題が相手の人の言葉を競ってさえぎらないように聴くことは、武術で黒帯を締めるように厳格なことです。しかし、それは協力的で尊敬の念を持った、オープン・コミュニケーションを認めているリーダーシップの必須条件です。そして、人を罵倒する、トップダウン型の権力狂のマネジメントから得られる結果より良いものを生み出します。
– 問題の所有権の認識と対立解決:アクティブ・リスニングの習慣的な自制心を通して、一旦相互の信頼と強い人間関係を構築したら、次のステップに移行するのは短いステップになります。問題を認識し、誰が問題を所有しているのかを特定し、そして問題があなたに所属する時には、あなた自身と対立している相手のニーズを両方満たす方法で対立を解決する方向に最初のステップを踏み出します。
– I-メッセージ:あなたが問題を持っている行動に対決するための何度も試された脅しではない手法、I-メッセージは会話で最初のステップとなります。それは必ずしも最後のステップではありませんが、確かにI-win-You-loseメソッドに代わる改善策です。悪影響になったり恐怖や憤りを引き起こす感情的な反応を部下に持たせたりすることは、長い目で見て部署の生産性をあげる「幸運」とは言えません。
 
 Leader Effectiveness Training は、実績があります。新リーダーにピープル・マネジメントへと移行するのを支援することができます――新しく昇進したマネジャーの最もチャレンジングな義務であると頻繁に言われています。私たちは決して新しく採用した人や新たに昇進したリーダーに、幸運だけでインボックスにあふれるスプレッドシートに対処する方法を学べといって見捨てたりしません。彼らの部下への対処方法に関しては構造化された、エキスパートの支援を提供することは理にかなっています。

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