[ニュースレター] 2013年3月号

─2013年3月号─「ゴードン博士の追記」

L.E.T. 修了者の皆さま、
 
私たちは人生の初期にリーダーというものに出会います。まず、私たちの両親、そして、学校の先生やコーチです。大学では、教授やメンターがいます。最後に私たちの職場では多くの上司が私たちの時間や仕事の質について要求をしてきます。私たちはこのようなリーダーの中の幾人かとは楽しく仕事をすることができます。よいリーダーとは上手くいきますし、より生産的に質のよい仕事をしたいと自分自身思うでしょう。あまりよいリーダーでなければ、毎日私たちに大きな負担を強います。モチベーションは下がり、結果的に私たちの仕事の質や量が急激に低下します。知らないうちに私たちは徒党を組んで、私たちの日常生活をひどいものにしたのと同じくらいの仕返しをしてやろうと考えます。
 
トーマス・ゴードン博士は人生において同様の問題に直面し、最終的に自分がリーダーシップのポジションに就くことになった訳です。リーダーとしてゴードン博士が最初に学んだことは、上からの見方は全く異なるということです。彼は自分では達成できそうもないある目標に心を奪われていました。この目標を達成するには団結した効果的なチームが必要です。しかし、チーム・メンバーの幾人かは、チームに与えられた目標や目的に感銘を受けはしませんでした。時間やエネルギーを使ってまでその目標を達成したいとは思いません。その結果、チーム全体としての有効性は消滅しました。
 
チーム・メンバーであることとチーム・リーダーであることの二つの見方はゴードン博士をとても悩ませました。リーダーシップについて、それが意味するところ、それがどのようにワークするか、それがどうして重要かについて分析的になりました。そして1949年にグループ開発のナショナル・トレーニング・ラボラトリーのメンバーになりました。この組織のメンバーシップは、ゴードン博士のエネルギーの全てをリーダーシップ・スキルを教えるプログラムの開発にフォーカスさせるきっかけとなりました。最初の成果は1955年に出版された『グループ中心のリーダーシップ:グループの創造的可能性を放出する方法』でした。
 
この本は同僚や仲間にはあまり受け入れられませんでした。リーダーシップの革新的なシステムでは、リーダーは権力を使いません。その代わり、リーダーはグループを意思決定に関与させます。グループはリーダーだけでなく全てのメンバーのニーズを満たすために存在していることを強調します。リーダーは自分の直感を頼るのではなく、『グループの智恵』を信頼します。ゴードン博士はメンバー同士のステータスの違いを最小限にして、ほとんどの場合、アメとムチは効果的でないモチベーターであることを提唱しました。伝統的な権力に基づくリーダーシップではなく、ゴードン博士はリーダーがプロフェッショナル・カウンセラーである必要性を説きました。
 
近年、もちろんこのようなアイデアは広く一般的に受け入れられています。Leader Effectiveness Trainingを広めるゴードン博士のライフ・ワークのお陰で、現在世界で存在するマネジメント・コースはゴードン博士が1955年に執筆し、顧みられなかった著書の中に紹介されているリーダーシップの特徴をとりいれています。効果的で利益をあげている世界中の組織ではグローバル市場で競争力を保つためにゴードン・モデルをとりいれています。

プログラムに関するご質問など、お気軽にお問い合わせください。

セカンド・ウィンド株式会社

〒166-0002 東京都杉並区高円寺北2-8-10-601 エスタシオン高円寺

[ニュースレター] 2014年5月号

─2014年5月号─「それで、あなたが言おうとしているのは...」

L.E.T. ワークショップ修了者の方々へ、

 あなたの行動の窓の一番上に相手の行動がある時にアクティブ・リスニングする方法であるとほとんどの方は気づかれているでしょう。

 アクティブ・リスニングに不慣れな人には役に立つ一方で(アクティブ・リスニングを試みるための時間稼ぎになります)、鬱陶しくもあります!どういう意味でしょう?あなたがもしこのオープナーや導入を頻繁に使うと、アクティブ・リスニングがロボット的あるいは型にはまったように相手には感じられるかも知れません。この方法が有効であるならばガッカリさせるつもりはありませんが、このオープナーや導入は飛ばして下さいと申し上げます。

 使いたいならば、バラエティに富んだ導入を使うようにと警告いたします。人があなたの意図(ß 重要です!!!)が助けることであるとわかっているなら、あなたが何回か躓いても許容してくれるはずです。人の感情や経験を理解するには、相手の個人的な基準枠に入る試みが必要です。しかしながら、あなたが相手になることは不可能ですから、その理解に近づくことがベストです。結果的にほとんどのアクティブ・リスニングの応答は暫定的で、確認は話し手に委ねます。
 
 アクティブ・リスニングをする際には表現にバラエティがあった方が役に立ちます。『あなたは...のようですね』など1つのフレーズを繰り返すことは、心からの応答・共感的応答ではなく機械的なテクニックを使っていると受け取られ、相手にとって鬱陶しく感じるものです。自分の認識が正確であると信じていて、話し手があなたのアクティブ・リスニングを受容している時に有効なフレーズは以下の通りです。
 
1.       あなたは...
2.       あなたは...と感じていますね
3.       あなたは...のようですね
4.       あなたの観点からは...ですね
5.       あなたにとっては...のようなのですね
6.       あなたに見えているのは...
7.       あなたは...と思うのですね
8.       あなたは...と信じているのですね
9.       あなたは...(感情を特定します。例えば、怒っている、悲しい、大喜び)
10.       あなたは...だと言っているように私には聞こえます。
11.       あなたが意味するところは...
12.       ...ということかしら
13.       あなたに言っていることを正しく理解したかどうかわかりませんが...
14.       もし間違っていたら言って欲しいのですが...
15.       ...ということは可能でしょうか?
16.       もしかしてあなたは...と感じているのでしょうか

 あなたが明確に認識できない時や話し手があなたのアクティブ・リスニングを受け入れてくれない時に役立つフレーズは以下の通りです。

1.       これがあなたの言おうとしていることですか?
2.       あなたは...ということは正しそうですか?
3.       あなたは...と感じているように見えますが

 そして最後に大切なことを言いますが、L.E.T.受講者から先日私が聞いたかっこいいフレーズです。『あなたの行動の窓から見えるのは...』

 もしアクティブ・リスニング、ゴードン・モデル等に関して質問があれば、いつでもご連絡下さい。

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[ニュースレター] 2015年5月号

─2015年5月号─「世間は良く言います: 1オンスの予防は1ポンドの治療に匹敵する」

Date: May 12th, 2015
Blog post by: Linda Adams
 
 対立を防ぎたい人は挙手して下さい!たくさんの手が挙がりましたね。まさにそれをするのを助けてくれるツールがこれです!私たちのワークショップでは、I-メッセージをいつ、どのように送るかを教えています。対決的I-メッセージの概念は、トーマス・ゴードン博士によって開発されました。リンダ・アダムズ氏が、追加説明をしており、とても役に立ちますので、是非読み進めて下さい!
 
 予防的I-メッセージは人間関係における問題や対立を予防する一つの方法です。
 
 予防的I-メッセージによって、あなたのニーズと欲求を相手に知ってもらうことができます。
 
 予防的I-メッセージの背後にある理論は、あなたが何を欲しているのか、明確なイメージがあれば、相手はあなたのニーズを満たす手伝いをしやすくなります。
 
 予防的I-メッセージは、他のI-メッセージ同様、率直、明確で自己一致しています。
 
 予防的な表明を送る3つの主要なステップは以下の通りです:
 
1.      あなたが何を欲しているのか、あるいは必要としているのか、そしてそれは何故なのかを知らなければなりません。そして、あなたのニーズを満たす可能性のある解決策に辿り着かなければなりません。
2.      あなたは自分のニーズを満たす個人的な責任を負います。
3.      あなたは自分のニーズを満たすために行動します。あなたが必要としている協力をしてくれる相手の人たち(人)に、あなたは表明します。
 

 予防的I-メッセージは2つの要素を含んでいます(3つの要素――行動、感情、影響を含む対決的I-メッセージとは異なり)。
 
1.      主張(アサーション)――あなたが何を欲しているのか、何を必要としているかの表明、そして
2.      理由――あなたのニーズの理由
 
予防的I-メッセージは、以下の場合に送ることができます。
a.     他の人が以前、あなたのニーズを満たすのをブロックした
b.     相手の人が以前、あなたがこのニーズを満たすのを促してくれた
c.     あなたのニーズに関して、その人と何らやりとりした経験がない
 
事例: あなたは絵を描くのが好きだとします。最近、あなたは絵を描くことに時間を費やしたいと思っています。あなたは、週中は仕事をしているので、時間に余裕があるのは週末だけです。静かで、妨げられることのない絵画の時間を持つことがあなたにとっては重要です。
 
あなたの自己開示:「今週、自分のための時間が欲しいです...」
 
あなたの理由:「...何故なら、今製作中の絵を終わらせたいのです。」
 
他のケースで、あなたはもっと情報を提供したい、相手にもっと自分のニーズについて話したいと思うかも知れません。
 
事例: 「体重を減らしたいので、私はエクササイズ・プログラムを始めたいと思います。」
 
いかがでしょうか?

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[ニュースレター] 2017年4月号

─2017年4月号─「あなたの脳は共感することができますか?」

Date: April 13th, 2017 | BY Marie Bryson
 
 共感が簡単だなどと誰も言ってはいません。
 少なくとも四半世紀の間、科学は共感のミステリーを解決しようと試みてきました。そして、感情的に「誰かの立場で1マイル歩く」能力は、私たちの脳が携わることができる、より複雑なオペレーションの一つであることがわかります。それは、あるリサーチャーたちが少なくとも部分的に信じている現象で、脳の中にあるホルモンや特別な神経細胞によってコントロールされているようです。私たちが好むと好まざるとに関わらず、どんな時でも共感的であるということは完全にはコントロールできないということを意味します。
 実は、Zero Degrees of Empathy: A New Theory of Human Crueltyの著者である英国のリサーチャーのSimon Baron-Cohenという人が、各人の共感の人間的なキャパシティは背の高さや目の色と同様に、先天的な特徴であると提案しました。彼の仮説によると、EQ (Emotional Quotient) テストによって測定される各人の共感度合いは、ベルカーブのように両極に連続した形をしています。連続したつながりは6つのセグメント、つまり共感の「度合い」に分割されます。あなたは、ゼロのスケール(共感が全くない)から6のスケール(他の人が傷ついているのを見ると実際に肉体的な痛み感じるほどの共感を持つ)のように、生まれつき共感が少ない状態で生まれたか、共感を多く持って生まれたかということです。
 Baron-Cohenの理論は確かに興味深いのですが、個々人の共感のキャパシティについて、もう一つの事実について必ずしも対処していません。それは、ある日、ある時間、ある状況によって一進一退する可能性があるということです。共感のベルカーブの真ん中に入るほとんどの人たちは、疲れている時、ストレスが強い時、働き過ぎの時、酔っている時には、共感の度合いを充分に上げることができません。
 これがどうして重要なのでしょうか?なぜならば、共感(あるいは共感の欠如)は信頼の基礎をなすからです。それが一緒に働くため、問題を解決するため、効果的に、そして建設的にコミュニケーションをするための出発点なのです。
 トーマス・ゴードン博士は「共感とは自分を他者の立場に置いて、その人の『個人的な意味の世界』を――彼らが現実をどのように見ているのか、どのように感じているのかを理解するキャパシティであり、アクティブ・リスニングがまさにこの機能を担います。」と言いました。しかし、共感が持てない時にアクティブ・リスニングを使おうと試みることには警告を発しています。「他の人の話を共感的に、そして正確に聞くことは、ものすごい注意が必要ですから、あなた自身が自分の思いに耽っていたり、何かについて心配していたりしているなら、集中して聞くことができないことに気づくでしょう。グループ・メンバーはいつも聞いてくれるリーダーを必要とはしていません。グループ・メンバーは、理解しよう、受容しよう、気遣おうと本当に感じることができる時に聞いてくれるリーダーが必要なのです。」

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[ニュースレター] 2018年4月号

─2018年4月号─「注意を払う行動と沈黙を組み合わせる」

Date: April 17th, 2018 | BY Brian K. Miller
 
私は同じ考えを繰り返し考える傾向があります。わかっています。私が同じ考えに戻ってしまうのには理由があります。今日の職場で起こるほとんど全ての問題(セクハラ、パワハラ、締切りを守れない、従業員の欠勤、士気の欠如等々)は同じ場所から派生しています。人々は感謝されていると感じておらず、自分の意見を自由に言えないと感じています。今日の職場での重大な問題は、誰も人の話を聞いていないということです。ほとんど権力のない(あるいは絶大な権力を持つ)人は全て、問題解決したり命令を下したりするのに忙し過ぎて、部下の話に耳を傾ける時間がありません。
リーダーが開発できる最も重要なスキルは自分の部下の心配事に誠実に耳を傾ける方法を習得することです。自分たちの意見がリーダーにとって重要であると感じるとき、人々は日常の問題解決に対して自由に、より創造的になることができます。最後には、日常の問題を解決することが、ビジネスを軌道に乗せるためのたった一つの課題です。
ですから、もう一度、時間を作って基本的なリスニング・スキルを復習してみましょう。ゴードン・モデルは4つの基本的なリスニング・スキルを定義しています。
 
1. 注意を払う行動
2. 沈黙
3. ドア・オープナー
4. 簡単受容
 
今日は、2つのスキルにフォーカスしたいと思います。注意を払う行動と沈黙です。
 
1. 注意を払う行動
 
職場と家庭での人間関係における苛立ちの最も大きな原因の一つは、携帯電話です。会話の最中、あるいは時として会議をしている最中にすら鳴り、相手は突然話を中断してテキスト・メッセージに返信します。インスタント・コミュニケーションは今日の世界では最もパワフルなビジネス・ツールですが、場合によっては人間関係にダメージを与えうるツールでもあります。頭のいいリーダーであれば、オフィスに着いたらすぐに私用の携帯電話は電源を切り、机の引き出しに入れ、一日の仕事が終わるまでそこにしまっておくでしょう。2番目に効果的な戦略は、「サイレントモード」にしておくことで、携帯電話が鳴ったり振動したりすることがありません。そして日中、携帯電話のメッセージをチェックし、返信する時間を確保しておきます。最も非効果的な方法は、私用の携帯電話をノーマルモードのままポケットの中に入れて、携帯電話が鳴っても無視することです。私用の携帯電話なら、ほとんどの場合は仕事が終わるまでに1~2回も確認すれば事足りるでしょうから、できることなら最低でも「サイレントモード」にしておくのがベターでしょう。
話が若干逸れてしまいましたが、ここで言いたいのは、会話の最中に携帯電話が鳴り、それによって会話が中断されてしまうと、聴き手側の話し手に対する注意力が疎かになるだけでなく、相手に不快感を与えるということです。仮に「マナーモード」だったとしても、ポケットの中で突然バイブレーションが鳴れば、聴き手側の話し手に対する注意力は疎かになる恐れがあります。ちょっとした変化でも、敏感に感じ取る人はいるものです。ですから、相手の話を聞くときは常に、相手に対して注意を払うための最低限の気遣いが必要なのです。
 
2. 沈黙
 
人間は非常に奇妙な動物です。私たちは話をするのが好きです。私たちの中には話を止めない人もいます。しかしながら、私たちも人の話を聞かない限り、結局お互いの話を遮り、全く何も伝えることができないで終わってしまいます。私たちは話すのが好きですから、最も効果的な基本的リスニング・スキルの一つは、単純に全く何も言わないということです。電話を置き、話し手の目を見て、注意を払い、そして相手が力尽きるか解決策に到達するまで長々と話をさせてあげます。私がしたことは、相手が話し終えるまで静かに座っていただけですが、相手が何度「ありがとう!君のおかげで助かったよ!」と言ってくれたか数え切れません。
注意を払う行動と沈黙を組み合わせることで、驚きの結果を成し遂げることができます。あなたがしていることを止めて、相手の目を見て、話をさせてあげれば、驚くほど多くの問題が簡単に自然と解決されます。もちろん、これだけで全ての問題を解決できるわけではありませんが、この単純なリスニング・スキルだけで職場で起こりうる小さな日常の問題の多くを解決することができます。もっと重要なことは、部下が自分たちの会社への貢献が重要であり、自分たちの意見が本当に大切にされていると感じるようになることです。
 
今回は4つの基本的なリスニング・スキルから2つを取り上げましたが、この2つのスキルだけでも、相手に対する印象は大きく変わります。注意を向けて話を聞いてくれているという実感が、相手の自分に対する見方に影響し、より話しやすい環境を形成してくれるのです。より踏み込んだ問題解決への足掛かりとして、今一度、ぜひ活用してみてください。今まで何も話してくれなかった人が、ひょっとしたら、突然話をしてくれるようになるかもしれません。
 
注意を払う行動と沈黙を組み合わせる  
Date: April 17th, 2018 | BY Brian K. Miller
 
私は同じ考えを繰り返し考える傾向があります。わかっています。私が同じ考えに戻ってしまうのには理由があります。今日の職場で起こるほとんど全ての問題(セクハラ、パワハラ、締切りを守れない、従業員の欠勤、士気の欠如等々)は同じ場所から派生しています。人々は感謝されていると感じておらず、自分の意見を自由に言えないと感じています。今日の職場での重大な問題は、誰も人の話を聞いていないということです。ほとんど権力のない(あるいは絶大な権力を持つ)人は全て、問題解決したり命令を下したりするのに忙し過ぎて、部下の話に耳を傾ける時間がありません。
リーダーが開発できる最も重要なスキルは自分の部下の心配事に誠実に耳を傾ける方法を習得することです。自分たちの意見がリーダーにとって重要であると感じるとき、人々は日常の問題解決に対して自由に、より創造的になることができます。最後には、日常の問題を解決することが、ビジネスを軌道に乗せるためのたった一つの課題です。
ですから、もう一度、時間を作って基本的なリスニング・スキルを復習してみましょう。ゴードン・モデルは4つの基本的なリスニング・スキルを定義しています。
 
1. 注意を払う行動
2. 沈黙
3. ドア・オープナー
4. 簡単受容
 
今日は、2つのスキルにフォーカスしたいと思います。注意を払う行動と沈黙です。
 
1. 注意を払う行動
 
職場と家庭での人間関係における苛立ちの最も大きな原因の一つは、携帯電話です。会話の最中、あるいは時として会議をしている最中にすら鳴り、相手は突然話を中断してテキスト・メッセージに返信します。インスタント・コミュニケーションは今日の世界では最もパワフルなビジネス・ツールですが、場合によっては人間関係にダメージを与えうるツールでもあります。頭のいいリーダーであれば、オフィスに着いたらすぐに私用の携帯電話は電源を切り、机の引き出しに入れ、一日の仕事が終わるまでそこにしまっておくでしょう。2番目に効果的な戦略は、「サイレントモード」にしておくことで、携帯電話が鳴ったり振動したりすることがありません。そして日中、携帯電話のメッセージをチェックし、返信する時間を確保しておきます。最も非効果的な方法は、私用の携帯電話をノーマルモードのままポケットの中に入れて、携帯電話が鳴っても無視することです。私用の携帯電話なら、ほとんどの場合は仕事が終わるまでに1~2回も確認すれば事足りるでしょうから、できることなら最低でも「サイレントモード」にしておくのがベターでしょう。
話が若干逸れてしまいましたが、ここで言いたいのは、会話の最中に携帯電話が鳴り、それによって会話が中断されてしまうと、聴き手側の話し手に対する注意力が疎かになるだけでなく、相手に不快感を与えるということです。仮に「マナーモード」だったとしても、ポケットの中で突然バイブレーションが鳴れば、聴き手側の話し手に対する注意力は疎かになる恐れがあります。ちょっとした変化でも、敏感に感じ取る人はいるものです。ですから、相手の話を聞くときは常に、相手に対して注意を払うための最低限の気遣いが必要なのです。
 
2. 沈黙
 
人間は非常に奇妙な動物です。私たちは話をするのが好きです。私たちの中には話を止めない人もいます。しかしながら、私たちも人の話を聞かない限り、結局お互いの話を遮り、全く何も伝えることができないで終わってしまいます。私たちは話すのが好きですから、最も効果的な基本的リスニング・スキルの一つは、単純に全く何も言わないということです。電話を置き、話し手の目を見て、注意を払い、そして相手が力尽きるか解決策に到達するまで長々と話をさせてあげます。私がしたことは、相手が話し終えるまで静かに座っていただけですが、相手が何度「ありがとう!君のおかげで助かったよ!」と言ってくれたか数え切れません。
注意を払う行動と沈黙を組み合わせることで、驚きの結果を成し遂げることができます。あなたがしていることを止めて、相手の目を見て、話をさせてあげれば、驚くほど多くの問題が簡単に自然と解決されます。もちろん、これだけで全ての問題を解決できるわけではありませんが、この単純なリスニング・スキルだけで職場で起こりうる小さな日常の問題の多くを解決することができます。もっと重要なことは、部下が自分たちの会社への貢献が重要であり、自分たちの意見が本当に大切にされていると感じるようになることです。
 
今回は4つの基本的なリスニング・スキルから2つを取り上げましたが、この2つのスキルだけでも、相手に対する印象は大きく変わります。注意を向けて話を聞いてくれているという実感が、相手の自分に対する見方に影響し、より話しやすい環境を形成してくれるのです。より踏み込んだ問題解決への足掛かりとして、今一度、ぜひ活用してみてください。今まで何も話してくれなかった人が、ひょっとしたら、突然話をしてくれるようになるかもしれません。

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